アラサーポケ廃のめざせポケモンマスター   作:ジョナン

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第1話

目がさめると俺は原っぱで寝っ転がっていた。

 

ここはどこだ?全く見覚えのない場所だ。俺は確かポケモンを全部売られて…それで確か…。自殺したんだ!

 

記憶はしっかりと残っている。ポケモンのデータを消されて自殺だと!?なんてバカなことをしたんだ!きっと今頃ニュースでは報道関係者がクスクス笑う声が聞こえてるに違いない。

 

でも確かに俺は死んだはず、遺書も書いた。じゃあここはどこだ? まさか転生でもしたのか?いや、どうやら体は元のままの様だし転移というのが正解か。だがとにかく訳がわからない。

周りを見た所は田舎町の様な感じだ。とりあえず人がいないか探していると。一人の少年が歩いてきた。

「おっさん!俺のコラッタどこ行ったかしらない?」

半ズボンに青い帽子をかぶった小学生の鏡の様な格好をしたその少年は俺を見るやいなやそう問いかけてきた。

 

「コラッタか?」

 

コラッタ、初代出身のノーマル単タイプのねずみポケモン。H30-A52-B35-C25-D35-S72。その高いS種族値からストーリー序盤で手に入るノーマル単ポケの中で唯一キノガッサらを筆頭とするメジャーな素早さである70属を上から殴れる(倒せはしない)あのコラッタのことか?

 

「コラッタがいないんだ!お父ちゃんからもらった大切なポケモンなのに!俺がちゃんと側にいてやらなかったから!」

 

少年は今にも泣き出しそうな表情だった。どうやら彼も俺と同じポケモンやり過ぎ病に感染してしまっているらしい。だが伝説ポケモンを逃がされて泣き出すキッズはともかく、コラッタ一匹ごときで泣きそうになるキッズは流石に珍しい。こんなに健気な少年もよくいたモンだ。それともアレか?6V夢特色個体なのか?そいつは。

 

「コラッタがいなくなっちゃったのか?安心しろおじさんは持ってたポケモンみーーーんな居なくなっちゃったんだから。」

 

そう、めざ氷アルビノエンニュートも金属音サンダーもクラウンスイクンもみんな居ない。思い出しただけでもう一度死にたくなってきたがそんなことはもうしない。

 

「おじさんも!?きっと最近ここら辺をうろついてるロケット団の仕業だよ!ゆるせない。」

 

たしかに人のポケモンをいじってポケモンを逃すだなんてロケット団並みの悪徳行為だが「ここら辺をうろついてる」とはこの少年の病気もステージ4くらいまで進行してしまっている様だ。

 

「コラッタがそんなに大事なのか?」

「当たり前だ!父さんにもらった大事な相棒なんだ。」

 

きっとその父さんはそれなりのポケモン廃人で「パパの育てた強いコラッタだよ、相棒にするんだぞ☆」とでもいって息子の準伝説を巻き上げたのだろう。

 

「おじさんポケモン強いのか!?」

「ああ、強いとも。まあ正確には強かっただけどな!君くらいならLv1のココドラで倒せるぞ。」

 

頑丈がむしゃら貝殻の鈴戦法というやつだ、大抵のキッズはこれで倒せる。

「おじさんの相棒はココドラなんだね!それを奪うロケット団!ゆるせない!」

別にココドラが相棒というわけではないが、ロケット団(母ちゃん、姉ちゃん)がゆるせないと言うのには激しく同意する。

「おじさんも俺のコラッタ取り返すの手伝ってくれよ!そしたらおじさんのポケモンも取り返しに行こう!」

 

魅力的なアイデアだが俺のポケモンはもう何処ぞの馬の骨とも知れん奴らに「上+B+SELECT」とやられてしまっているはずだ。

しかし、いったい今自分が状況なのかもよくわからないし、面白そうではあったので取り敢えずこのトンチンカンなことを言う少年についていくことにした。

 

「コラッタ無事かなぁ…」

と不安げに少年は言っている。ここまでコラッタを愛する少年を俺は未だかつて見たことがない。

「きっと無事だろう、強いんだろ?お前のコラッタ。」

全く根拠はないが、ポケモンを愛する若き世代が不安そうにしているのだから励ますのは当然だ。まあ、実際死んだラッタもいるしなんとも言えないところなのだが。

 

「すっごく強いよ!俺は父ちゃんからもらったこのコラッタと一緒にポケモンマスターになるんだ!」

彼の病気はどうやらステージ5に到達した様だが、輝いた目でこんなことを言われては皮肉めいた事を返す気にもなれなかった。

 

「いた!あいつらだ!」

少年が指差す方向を見ると、黒づくめの上下に黒い帽子をかぶった集団がいた。俺はそいつらを見て自分の目を疑った。制服の様なその服の中央には確かに「R」という文字が、赤く、太字で、はっきりと描かれていたのだ。その服装はまさに俺の知っているロケット団そのものだった。

 

「あいつらが…ロケット団か?」

「そうだよ!人のポケモンを奪う悪い奴らだ!」

 

即答が帰ってきた。やはり間違いなくこいつらはロケット団だった。

1日にこんなにもポケモン中毒者に会うことがあるのだろうか。たんぱんこぞうの様なこの少年はともかく、ロケット団の格好をしている奴らはどう見ても年はいい大人だ。いくらポケモンを愛している俺だってロケット団のコスプレをして田舎町で子供のポケモンをいじくったりはしない。それとも何かのイベントなのか?それにしては人が居なさ過ぎる。

様々な発想が頭の中を巡った。

 

「俺!ポケモン取り返してくる!」

 

そう言うと少年は、ロケット団らしき集団の方へと駆けていった。

 

「おい!まて!」

 

ヤバそうな集団に突っ込んでいく少年を見て、流石に危険だと感じたのでついて行った。

 

「おい!お前ら!俺のコラッタを返せ!」

少年はビビる様子もなく怪しい集団に怒鳴りかかった。

「なんだー?テメーは?」

一人の男性団員がこっちに向かってくる。団員と言っていいものかも定かではないが、その目つきから喋り方まで、完全にロケット団のしたっぱそのものだった。

 

「だから!俺のコラッタを返せって言ってるんだ!」

「そいつは聞けないお願いだなァ。このコラッタはかえんぐるまを覚えてる珍しいポケモンだ。俺たちロケット団のポケモンとしてこれからは働いてもらうって決まってるんだよ!」

確かにかえんぐるまは遺伝技で覚えてるコラッタはちょっぴり珍しいが、だからと言って少年から強奪するほどのものでもあるまい。

「お父ちゃんから貰った大切なポケモンなんだ!返せ!」

少年がちょっと可哀想に見えてきたので

「コラッタくらい返してやったらどうだ?」

と軽く言ってやった。

 

「そんなに返して欲しけりゃ力ずくで奪って見やがれ!!!!」

無茶苦茶を言うやつだ。

 

「いけっ!ズバット!」

そう言うとそのロケット団コスの男はポケットからモンスターボールらしきものを出して投げた。

 

は?

 

どういうことだ?

 

次の瞬間、俺は自分の目を疑った。

 

ズバットが、確かにズバットがそこにはいたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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