ハイスクールD×D~円卓の銀鴉~    作:Licht10

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 明けましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。

 さて、今年初めての投稿はクリスマス編っ!?
 色々な意味で私も驚いております。

 書き始めたのが十二月中旬頃。
 あれよあれよという間に年が明けてしまいました。
 折角書いたものなので、カトリックのクリスマスの終わりである公現祭に合わせて投稿を、と思いましたが日を取り間違える始末です。
 慣れないことはするものではありませんでした。

 ショックを受けて一週間ほど読専に戻ってしまいましたが……それはさて置き、今回は物語に直接関係しない番外編です。
 時系列的には本編開始の二年ほど前を想定しております。
 初出のキャラたちも居ますが、シリアス混じりのギャグパートをお楽しみください。

*注意――今回のラウル君は男装しております。


季節編 ラウルクローズ~聖夜の下陰で暗躍する者~

「偉大なる主 イエス・キリストの御名によって 御前に御奉げ致します――アーメン」

 

 

 色鮮やかな電飾の灯りに彩られた大広間にて、血塗られた十字架を前に跪き一つ人影が祈りを織る。

 

 

 

「さてさて、今年もこの季節がやってきたわけだが」

 

 十字を切ることで祈りを終えたラウルは、傍らに置いた帽子を手に取り立ち上がる。

 立ち上がった彼が振り向き様に声を掛けるのは、世界に名を轟かせた聖書の神の降誕を祝うために集った少女たちであった。

 

 銀髪の麗人と似通った容姿をする女性は、暖炉の前で広げた文書に目を通していた。

 文書に目を通す彼女の正面では、蒼銀と白髪の少女たちが並べられた馳走を競うように貪り合う。

 食卓で白熱する彼女たちとは対照的に紅茶を啜り優雅に談笑をするのは、黒髪紫目の少女と金髪の少女であった。

 語り合う少女の傍らには嘗て聖女と崇められ、魔女として火罪に処された金髪の女性が静かに座っており、愁い顔を浮かべて深く息を吐いていた。

 また、ソファーを一つずつ占有し、龍尾を揺らして腕を組む龍王様や肌蹴た着物を身に纏い麗人を誘う猫又も居たが、人外が集まるラウル邸では見慣れた光景であった。

 

 気侭に寛ぐ少女たちの姿を確認したラウルは、銀糸によって編み込まれた結い髪を隠すように帽子を被り直すのだった。

 

「赤のナイトキャップ、赤白の法衣。そして、白長の立派な御鬚――」

 

 ラウルが祈りを捧げ終えたことに気付いたルチアは、勢いよく席を立つと蒼銀の尾髪を揺らして出迎えた。

 人懐こい笑みを振り撒く彼女は、瞳に映る麗人の容姿を述べてゆく。

 

 腹部にまで伸びた特徴的な顎髭。

 麗人の細身を覆い隠すのはゆったりとした赤地のローブ。

 足元を包む黒塗りのブーツは夢を運ぶ象徴とも言えた。 

 

 その姿は正しく――。

 

「まさに奇蹟者の再来って感じだね!」

 

 ――とある守護聖人を元として、伝説にまで成り上げた老人の風貌であった。

 

「相も変わらず、その恰好は似合っていませんが」

 

「ラウって細身だし、無駄に鬚なんて付けているからね――――って、そこ! 身も蓋もないことは言わない!」

 

 しかしながら、老人の姿を真似るラウルの格好は少女たちの不評を買っていた。

 伝説の老人とは異なりその肉付きは無駄がなくほっそりとしたもの。

 加えて端正な顔立ちをする彼が伸ばした白鬚によって、何とも言えない違和感を醸し出すのが実情だ。

 衣装を揃えて念入りに装おうとも似合わない――女装が似合う男の娘がゆえの悲しき性であった。

 

「にゃはは、マリにゃはラウるんに手厳しいのよねー」

 

「まあ、ラウル君とマリナ君の仲だからね。下手に可愛がっていたりしたら天変地異ものだよ」

 

 包み隠さないマリナの物言いに対して、曖昧な笑いを上げる黒歌に同意するのは黒髪紫目の少女。

 男性口調で毒を吐く彼女は、紫水晶の瞳で普段と変わらぬ光景を静かに称えていた。

 

「うーん……水を差すようで悪いけど、おねえさんはちょっと微妙な気分だったりするのよね」

 

 ラウルの仮装を話題として盛り上がる会場に陰気を含む声が響く。

 愁い顔を隠すことのない金髪の女性が胸内に溜まる鬱憤を吐き出したのだ。

 

「気にするなとは口を避けても言えないが、そこまで深刻に考えることではないと思うぞ、ジャンヌ」

 

 彼女の生い立ちを知るラウルはひどく優しく語り掛けた。

 

「私の産まれ故郷である彼の国では、宗教的な意味合いはなく、ただの催しの一つとして親しまれていたぞ。クリスマスだからと言って聖書の神の降誕を無理に祝う必要もない。季節の節目の行事として楽しむのも――一興、なのではないか?」

 

 ラウルもまた過去に打たれた楔に苦しむ一人であったのだ。

 似通った悩みを持つ彼はジャンヌの苦しみが手に取るように理解できた。

 

 人知れず涙を呑んだこともある。

 身を焦がす憤怒に焼かれたこともある。

 背負わされた運命を呪ったこともあった。

 

 それでも業魔の麗人は割り切ってみせた。

 幻夢の見せる過去は幾ら抗おうと過去でしかなく、自身が踏みしめるのは現在という名の大地。

 過去から現在までが大樹のように連なろうとも、無限の可能性を秘める未来を断ち切るには惜しいと。

 己を苛む故人の記憶に囚われるのではなく、目の前にある催しごとを楽しむように勧めるのだった。

 

「……そうね。せっかくのお祭りなのだから楽しまなくちゃ損よね」

 

 伏せていた目を開けたジャンヌはラウルの言葉にゆっくりと頷いた。

 業因を宿した魂に縛られることを良しとする筈もなく。

 強き意思を宿す瞳には陰りがあろうとも、確かな展望を映すのだった。 

 

「ねぇ、ラウル……おねえさんにとびっきりの思い出をちょうだい」

 

 優しき言葉に絆されたジャンヌは濡れた瞳をラウルへと向ける。

 

「もちろんだ。降誕祭を気嫌っていた貴方でも、忘れられない一日として見せよう。ただ、貴方一人だけに付きっ切りとはいかないが――――っ!?」

 

 ない胸を張り、威風堂々とした態度でジャンヌの希望に応えて見せると誓いを立てるラウルであったが、突如として彼の胸間に飛び込んできた白い影が誓約の言葉を遮る。

 

「おっひげ♪ おっひげ♪ ふわふわ!」

 

「ミュ、ミュリエル……急に飛び付いてこないでくれ」

 

 ラウルの胸間に飛び込んできた白い影の正体は、ルチアと伴に馳走を勢いよく口に運んでいた白髪の少女。

 ミュリエルと呼ばれた少女は長く伸びた白鬚に心を奪われている様子であった。

 

「むー、ラウラウのおひげがいけないんだもん! アイムはおひげのゆうわくに負けちゃっただけだもん!」

 

「それは……困ったな」

 

 少女の身体を抱くラウルは呻き声を上げた。

 白長の御鬚にご執心のミュリエルは言い聞かせたところで離れはしないだろう。

 第一に、幼児思考を抜け切れていないミュリエルには理屈が通じないのだ。

 如何な正論をぶつけようとも拒絶の一言で断ち切られることは想像に難くない。

 呻き声を上げながらでも、彼女の汚れた手を何処からともなく取り出した御絞りで拭いている麗人の様子は、不測の事態に慣れていることが窺えた。

 

 困り顔を見せるラウルは、助けを求めようとジャンヌに視線を投げ掛けるが返ってくるのは苦笑ばかり。

 他の顔ぶれに視線を向けても同様の反応が返ってくるだけであった。

 

「やれやれ、世話が焼ける」

 

 ラウルの困り顔を見たティアマットは、ソファーから重い腰を上げた。

 向かう先は無邪気に戯れる少女の背後。

 主に仇を為す不届き者へと魔の手を伸ばした。

 

「にゃっ!?」

 

「頭がお花畑な猫擬きはこっちにこい」

 

「それって、わたしのことではないでしょうねー」

 

 ミュリエルの首筋を鷲掴みにしてティアマットは力づくでラウルから引き離すことに成功する。

 その際、口から零れた言葉が黒歌の琴線へ引っ掛かることとなるのだが。

 

「さてな……いくぞ、ミュリエル」

 

「あーっ!? 待って! アイムのおひげぇぇぇぇぇ!!??」

 

 黒歌を一瞥したティアマットは、ミュリエルを連れてソファーへと帰ってゆく。

 引き摺られるミュリエルは抵抗を示すが、叫び声が虚しく響くだけであった。

 

「厳密に言うならば、あなたの鬚ではなくラウルの付け(・・)髭に当たります」

 

 無邪気な少女の起こした騒動去った大広間に新たなる声音が加わる。

 

「……いつの間に現れたのかな、オラトルのお嬢さん?」

 

 細長い特徴的な作りの耳翼。

 無駄の少ない理想的な体躯に、人の目を惹く整った容貌。

 抜けるほどの白い肌は壊れ物を想い起こさせる儚さを宿している。

 精巧で儚い人形のような小柄な身を鮮やかな翡翠色のローブに包んだ令嬢が広間の入口に佇んでいたのだった。

 

「これは御無体なことを。私が午後十時――今から丁度五分ほど前でしょうか。屋敷の玄関ホールに留まっていたことはご存じの筈です。趣味の悪いとしか言いようのない常駐型の魔装具にて監視していたでしょう?」

 

 来客を出迎えることもなく、知り得て尚も知らぬ振りをする。

 異形の小妖精は麗人の許されざる所業に涙を浮かべる。

 

「それに……昨日は夜が深まるまで語り合いましたのに…………酷い人」

 

 震える声で在らぬことを口にして泣き伏せるあえかなに映ろう仙女。

 ラウルは自身に集まる少女たちの視線に顔を顰めた。

 少女の言い分は利に適ってはいるが、重要な部分が底抜けとなっていたのだ。

 まるで誤解を誘発しようとする意志が汲み取れるほどには。

 警備のために配置した魔装具を趣味が悪いと言う実、彼女が振る舞う舌技の方が趣味の悪いことは間違えなかった。

 

「HoHoHo! 人聞きの悪いことを言わないでもらえるかな。貴方が魔方陣を介して一方的に語りかけてきたのだろ?」

 

 貶めようとする鳶色髪の少女が濁らせた空気を払拭するべく、高笑いを上げたラウルは真実を告げた。

 夜が深まるまで語り合っていたことは間違えないが、それは与り知らぬ所。

 半日近くも論議を交わすことになろうとは露程も思わなかったのだ。

 敢えて付け加えるとすれば、講論ではなかったかと思うのがラウルの偽らざる本音であった。

 

「先に私に乞いてきたのはあなたではありませんでしたか? 今年の降誕祭は如何して盛り上げようか、と。律儀にもあなたの問いに答えて――――」

 

「――ツグミ、皆まで言わないでもらいたい。折角のサプライズが台無しになってしまうだろ」

 

 片目を閉じたラウルは無粋なツグミの言葉を遮った。

 いま口にされたのでは面白味が半減してしまう。

 密談の内容は明日の楽しみにするようにと、唇に指を添えるのであった。

 

「これは失敬。迂闊にも口を滑らせてしまうところでした。以後、気を付けるつもりではありますが、人間忘れ易いもの。また粗相を仕出かした時には、教えてもらえると助かります」

 

 自身の起こした不始末にツグミは非礼を詫びて締め括る。

 謝罪の言葉に彼女なりの誠意が込められているのはご愛嬌か。

 

「メリー・クリスマス、ツグミ君。冴え渡る舌振りはいつ見ても衰えることはないのだね」

 

 ティーカップを片手に場景を眺めていた少女は、反省の色も見えないツグミの皮肉を褒め称える。

 

「それほどでもありませんよ、メアリー。私は経験の足りぬ未熟者。未だ偉大なる父母には及びません。しかしながら、誰しも称賛を受ければ心が動くことは必須。例え世辞であろうとも、その気持ちに揺らぎはありません。故に感謝の意を込めて一つ言葉を送らせて頂きます。Merry Christmas,『陽気な大帝殿(メリー・シャーレメイン)』」

 

「これはまた一本取られたかな。本当に舌を巻きたくなるほどの物言いだよ」

 

 ツグミに挨拶を返された少女は軽く舌を出してお茶目に苦笑を浮かべるのであった。

 

「あれ? メイの名前の綴りって確かMaryだったはずだよね?」

 

「大方、英名のメアリーと陽気さや祭り気分を謳うメリーを掛け合わせての言葉遊びだろう」

 

「ああ、なるほど……」

 

 そんな彼女たちの挨拶を目にしてルチアが抱いた疑問にラウルは答えを示した。

 慎ましやかに振る舞う少女の本名メアリー・シャーレメイン。

 聖書の神の降誕を祝う言葉メリー・クリスマス。

 この二つの言葉を合わせて陽気な大帝と揶揄したのだろうと。

 的を射ているラウルの言葉にルチアは手を打つのだった。

 

「最もお祭り気分なのはお兄ちゃんなのでしょうけど……」

 

 聖人の衣装を纏い、率先して祭りを盛り上げる銀髪の麗人。

 普段から装っている異性の恰好を取ることもない徹底ぶりなのだ。

 晩から続く宴が一先ずの終わりを迎えれば本格的に動き出すことになる。

 酔狂と言われようとも過言ではない兄分へ、ルフェイは温かな眼差しを送るのだった。

 

「なにを分かりきったことを言っている、ルフェイ。やるならば楽しむのが信条の私だぞ。こういう時にこそ、徹底した役回りを演じなければ損だろ?」

 

「ノリノリだね、ラウ」

 

 迷いが残れば半端な結果が目に付くのはこの世の道理だ。

 半端で終えれば、当然の如く面白味も欠けてしまう。

 ならばこそ、祭りの時ぐらいは恥じらいを捨て、心行く儘この一時を謳歌してみせる。

 確固たる意思を胸に宿したラウルは心くすぐる視線に満身の笑みで応えた。

 

「役を演じるのは構いませんが、おふざけが過ぎないように」

 

「おっと、釘を差さてしまったか。貴方の言う通りほどほどにはするつもりではあるよ」

 

 そして、ラウルが暴走した時の歯止め役はマリナの役目であった。

 マリナ自身、羞恥心を捨てることができず、騒ぎ立てることを好き好まない質ゆえに、時折タガを外してみせる彼を止める役を買って出るのだ。

 

「ほどほどに、ではなく真心を込めてやり遂げなさい」

 

 この役回りは何時何時であっても変わらない訳だが。

 

「わたしもお兄ちゃんのかっこいい姿を見ていたいです」

 

「……善処はしよう。遊び心を忘れてしまえば、ただの作業になり兼ねないからな」

 

 ルフェイにまで言い寄られたラウルはあっさりと根負けしてしまう。

 最後の抵抗とばかりに尤もらしい言い回しを口にするが、結局は自身を擁護する言い訳に過ぎなかった。

 

「マリナ君の叱咤によって揺らいだ心をルフェイ君が煽り立てる。ラウル君を落とすには理想的な陣形のようだね」

 

「要は飴と鞭だね。ラウが完全に躾けられてる」

 

「ああ……嘆かわしい。天を冠する高名な魔術師が犬畜生の如く調教されているとは。所謂、騎士に成り下がった彼は魔女に惑わされる運命にあるのでしょうか?」

 

 口々に騒ぎ立てる彼女たちの声が耳に付いたラウルは軽く咳払いをしてルフェイの方へ向き直る。

 

「ともあれだ……私も演技に力を入れながら、祭りを興じるつもりであるからな。貴方も存分に楽しんでいってくれ」

 

「はい、今夜も楽しみにお待ちしていますね」

 

 どこか不器用でありながら誠実に応じる兄分の姿にルフェイは顔をほころばした。

 

「む? プレゼントを届けるのはサンタであって、私ではないぞ」

 

 されど、無垢な微笑みを向けられたラウルは言葉の意味に気付き細眉を顰めることとなる。

 善良な小童たちに恵投をもたらすのは伝説の所業。

 約まる所、老人を演じているだけの麗人には他人事であったのだ。

 

「あはは……」

 

 平然を装う白々しい態度にルフェイは口元を押さえて乾いた笑いを浮かべる。

 子どもの夢を壊さないようにとの配慮なのだろうが、幼子から成長し真実を知った彼女からすれば、余計な気を回すラウルの行いはもはや節介の領域に達していた。

 

「そう言えばプレゼントを届けてくれるのはサンタさんでした」

 

 例え節介であろうともルフェイは素直に受け入れた。

 澄まし顔を作って見せるいじらしい麗人の優しさなのだから。

 

「でも、サンタさんじゃなくて……お、お兄ちゃんが届けてくれた方が、わたしは嬉しいかもです」

 

「…………考えておこう。必要ならば、彼らとの接触も視野に入れて、な?」

 

 大人顔負けの胸内を秘し隠し、ルフェイは持ち前のあどけなさを前面に押し出す。

 柔肌を赤らめ潤んだ瞳で見上げる魔女っ娘。

 幼さの抜け切れない少女の醸し出す妖花に、不敵な態度を崩さない麗人も心を大きく揺り動かされるのだった。

 

「糠に釘とは貴男の為にあるような言葉ですね、ラウル」

 

「……随分と棘のある言葉だな」

 

「わたしの言葉の意は会得できているでしょうに。仮に分からないようであれば論議するだけ時間の無駄です」

 

 盛大にため息を吐いたマリナは、容易く少女の香りに惑わされるラウルに冷や水を浴びせ掛ける。

 何分、この年若き盟主は不用意な発言することが多いのだ。

 現に魔女っ娘の口車に乗せられて結社の禁忌に触れようとしている。

 紳士なのは一向に構わないが、麗人の羽翼となる彼女にとっては頭の痛い問題であった。

 

「それはさて置き、下手に誤魔化し続けるのは貴男の為にもこの娘の為にもなりませんよ」

 

 バツの悪そうな顔を浮かべる彼らを見比べマリナは淡々とした声音で諭した。

 薄々勘付きながらも意図的に埒外へと追いやる消極的な関係は仕舞にするべきだと。

 ルフェイも成長したのだからそろそろ頃合いではないかと問い掛ける。

 

「貴方の懸念ももっともだ。だが、もう少しぐらいは夢を見続けても大丈夫だろうよ」

 

 鋭い瞳を正面から受け止めたラウルは静かに頷いた。

 彼女が並べるのは正論の中の正論。

 マリナの意向に従えば倫理的には間違えは起きないだろう。

 

 しかしながら、ラウルは厚かましい好意を受け取ることはできない。

 抱かれた夢現を繋ぎ、紡がれし光明を守護する先槍ゆえに。

 己に課せられた――自身が課した使命が安易な道を歩ませないのだ。

 

 建前以上に今日という祭りの日に相応しくないという本音もあれど、少女の夢を守るラウルの意思には変わりなかった。

 

「それに私たちが生きるこの世界は、不可思議に満ち溢れた奇々怪々な世界に変わりない。信じていれば奇跡の一つや二つ起きても不思議ではないだろ?」

 

 魑魅魍魎が跋扈する世界では常識など覆されるもの。

 十字を背負う神子は聖槍の洗礼により救いの神となり、侵略戦争の折に隻腕となりし神王は義手を得て暴君を追放するも、不始末によって起こされた叛乱が原因で命を落とすこととなる。

 不変の原理はなく己の概念に囚われれば、足元から崩される世界だ。

 中には伝説を真似ることで夢を振り撒く酔狂な輩が一人や二人くらい存在しても可笑しくはなかった。

 

「――確かにお兄ちゃんの言う通りかもしれませんね」

 

 悪戯に笑んだルフェイは同意を示す。

 道化の踊るさまを温かな眼差しで見つめ、奇跡を起こすのを面白おかしく待ち望む。

 妹分たる彼女も悪戯娘の影響を大いに受けていることが窺えた。

 

「そうそう、『信じる者は救われる』って、今も昔も世界中で言われているもんね!」

 

 それは義妹として保護されたルチアとて同じことであった。

 本質は違えど麗人の行動を尊重することで場を盛り上げる。

 道化と化して踊る事すら厭わない大胆さすらその身に宿していた。

 もっとも快活な彼女の場合、先天的に通じるものを持っていたのかもしれない。

 

「奇跡が起きるのではなく、何処かの誰かが真似事をやってのけるだけですが」

 

「もう! マリーは本当に無粋だよね!」

 

「無粋か、無粋でないかは兎も角、マリナの言っていることは真実。付け加えるならば、その文言は古今東西にて扱われる宗教勧誘の殺し文句です。事、三大勢力内の概念で言われるならば、今は亡き聖書の神を信じよと。主を信じるが故に救われていることに気付かされる。また躰を失った魂が天上へ昇り詰め、生涯に行った悪徳を許されるが故に救われる、と言ったことを謳っているのでしょう」

 

 義兄の真似をした迂闊な発言は当然の如く反感を買うことになる。

 道化足り得ぬ者が軽々しく真似事をするべきではなかったのだった。

 

「うぅぅぅっ……助けて、ラウ! マリーもツグも寄って集ってわたしをいじめる~っ!」

 

 手酷い仕打ちに打ちのめされたルチアは両手で顔を覆い、助けを求めてラウルの胸に飛び込む。

 

「まあ、ジャンヌにも言ったことだが、堅苦しいのは無しにしよう。折角の祭りだ……前夜祭たるクリスマス・イブはそろそろ終わりを迎えてしまうが、降誕祭自体はまだ終えていない。少しばかりツグミに明かされてしまったが、私の方でも取って置きの企画を用意したある。今日はゆっくりと休み、明日は思う存分楽しもうではないか」

 

 優しく受け止めたラウルは蒼銀の髪を手櫛で丁寧に梳いて慰める。

 暫くして胸間に顔を埋める少女が落ち着いたのを見計らうと、温かな眼差しを向ける者たちへ檄を飛ばした。

 

「本腰を入れて参加するのは初めてだから、明日が楽しみね」

 

「そうねぇ、ラウるんもやる気だし、いい日になるんじゃないのかにゃ? まあ……私としては今夜のお楽しみがあった方が嬉しいだけどねぇー」

 

 ラウルの言葉にジャンヌは明日を迎えるのが待ち遠しいと身体を震わせる。

 興味はあれど秘めた過去ゆえに蛇蝎の如く嫌厭してきたのだ。

 半生の間、無駄に過ごしてきた反動が出ても仕方がないことであった。

 

「取って置きの企画ですか……羽目を外さなければいいのですが……」

 

「まあ、大丈夫ではないかい? ボク達の盟主殿は最後はきっちりと締めるタイプだからね」

 

「初志貫徹――とはいきませんね。最後こそ確りしていますが、成り行きで巻き込まる上に、周りの影響を受け易いのが彼の本質ですから。もっとも、今回に限って言えば、彼自身が企画しているので問題はないでしょう」

 

 一方、ラウルの言葉に不安を抱く者もいた。

 享楽的な彼は普段から遊びに対して底なし沼のように余念がない。

 今日という日に合わせて纏っている服装がその象徴とも言えよう。

 女装好きで知られる彼が司教服を纏い男装しているのだ。

 そんな麗人が満身の笑みを浮かべる様子に懸念を抱くのも当然であった。

 疑心に駆られて目を光らせるマリナであったが、明日まで諦観するという結論に留まるのだった。

 

「それでは、お休みなさいませ、皆様。お兄ちゃんはお仕事頑張ってください、ね」

 

 ルフェイの挨拶が締め括り、前夜祭とされた今宵の集会は穏やかな空気のまま解散となる。

 

 魔女っ娘は魔方陣で私室に戻り、小妖精は割り当てられた客室へと転移する。

 ジャンヌ、メアリーの騎士組は綺麗な一礼をして退室する。

 ラウルの胸で泣いていたルチアは羞恥の余りに足音を残し彼方へと走り去った。

 

 大広間に残ったのは半数の五人。

 騒ぎ立てた反動か、ミュリエルは毛布に包まりソファーで船を漕いでいた。

 暖炉の前にいるマリナはこの場の始末をするために残っている。

 紙束を手にする彼女の片手が妖猫を捉えているのは御愛嬌であった。

 

「さてと……末娘の激励を受けたのだ、道化の真似事をするお兄ちゃんは役目を果たすとするかな。道中よろしく頼むぞ、ティア」

 

「ふん、私も暇ではないのだ、さっさと支度をしろ」

 

 宴会の始末を任せた彼女たちに敬礼を飛ばすと、大袋を担ぎラウルたちは大広間を後にする。

 こうして、赤を基調とした法衣を身に付けた麗人は使い魔を伴い、聖夜を迎えた街に繰り出すのであった。

 

 

* * *

 

 

「―――♪ ―――♪ ――、―、――♪」

 

 星瞬く寒空に響き渡る鈴の音。

 騎龍に跨り空駆ける麗人が自前の美声で祝いの旋律を奏でる。

 

「ストップだ、ティア。どうやら、あれが次のお宅のようだぞ」

 

 検索用の魔術を手元に展開したラウルは、龍鱗を叩き自身が騎乗する彼女へ合図を送る。

 合図を受けたティアマットは上体を起こし緩やかな減速へと移行する。

 半円を描き下降する彼らは、やがて一件の民家へと辿り着く。

 煤けたレンガ造りの外壁に、屋根から飛び出した煙突。

 郊外に建てられたごく一般的な一軒家であった。

 しかしながら、この変哲もない古民家がラウルの目的の地だった。

 

「用事は早く済ませてこい。寒空の下、一人で待たされるこちらの身にもなってほしいものだ」

 

 龍王姿の彼女は背より飛び降りたラウルへ愚痴めいた声援を送る。

 八幡ラウルの内に宿す業が風変りな行動原理となっていることも分かる。

 守護者として背負う責任感が彼を突き動かせていることも理解できる。

 理解できるが彼女が不満を抱くこととは別問題なのだ。

 口に出しても仕方ないことだが、待たせられるティアマットとしては、この時間は苦痛に変わりなかった。

 

「そうだ……ティア、目を瞑ってくれないかな?」

 

 愚痴をこぼすティアマットの様子を見てラウルは予定を繰り上げた。

 元々、我が儘に付き合ってくれたお礼として用意したものだ。

 雰囲気も何もないが、彼女の憂いを晴らすことができるのならば訳なかった。

 

「何故、貴様の言うことを聞かなければならない。何をする心算かは知らないが目を瞑る必要などないだろう」

 

「別に取って喰おうという訳ではない。それとも私が信用できないのか?」

 

「む……」

 

 渋々ながらも瞼を閉じるティアマットの姿を確認したラウルは、背負う大きな袋から絹糸の編み物を取り出した。

 袋一杯に詰まった編地の防寒具は彼の手に余る代物。

 全長は明らかにラウルの身長を超え、ティアマットの体躯にまで迫るものとなっている。

 取り出したその長物を彼女の首回りに壊れ物を扱うような優しい手付きで巻いてゆく。

 

「もう目を開けてもらっても大丈夫だ」

 

 か細い白指で作り出した大きな結び目を横にずらし、その出来にラウルは頷いた。

 自画自賛にはなるが、人前に出しても恥ずかしくはないものとなっていたのだ。

 手塩を掛けたこともあり喜びも一段と深いもの。

 後は受け取り手のである彼女の反応を見るだけだった。

 

「ラウル……これは?」

 

 鎌首をもたげたティアマットは自身に巻かれたマフラーを手に取る。

 染め上げた上質な絹糸を惜しげもなく使い、何故か横糸まで入れて織り上げた奇抜な編物だ。

 手作りが丸分かりの構造をしている割には緻密に編み上げられている。

 加えて、絹糸一本一本から強力な魔の波動を感じ取れた。

 一般的な魔法使いや魔術師が束になった所では届かないほどの術が施されていることは明白であった。

 不敵に笑む麗人からの予想すらできない贈り物にティアマットは目を見開いた。

 

「月影に輝く艶やかな龍鱗を彩る紫色の一点花――気高く、寛大な愛情を持つ貴方だからこそ、よく似合っている」

 

「なっ――!?」

 

「それでは往ってくる。寒いことには変わりないだろうが、結界を張っておいたので暫しの間、辛抱してほしい」

 

 背後で騒ぎ立てるティアマットの声を追い風にしてラウルは夜の空を駆ける。

 瞳の先にあるのは古民家の二階部分。

 伝説の老人に夢を描く幼子が眠る寝室だ。

 

「お邪魔させてもらうぞ。名も知らない家主さん」

 

 魔術を使い瞬く間に窓を抜けたラウルは室内へと侵入を果たした。

 侵入した室内を見渡すと目的の人物は間もなく見つかることとなる。

 両脇を両親と思われる男女に挟まれて仲睦まじく夢を結んでいたのだ。

 

「それでは、貴方の願いを覗かせてもらうよ、お嬢さん」

 

 微笑ましい筈の光景に複雑な顔を浮かべたラウルは、目を瞑り静かに一息吐くと役目を果たすべく動き始める。

 親子の寝台に片膝を下ろし虚空に指を奔らせる。

 手早く織り上げた魔方陣を幼き娘子の額に向け起動する。

 

 幾ばくもなく輝くを失った六羽の魔方陣を消したラウルは次なる術を紡ぎだす。

 

「boot――『造星工房(ジェネシス・ステラシオン)』」

 

 寝室を埋め尽くす数多の星々。

 霊気の奔流に引かれた水霧が室内を満たす。

 奇蹟の模倣者が造り上げた異空間――それは溢れ出すほどの神秘を内包した銀環の工房であった。

 

 自前の工房を展開した彼は魔力を源として少女の夢を織り成す。

 

 それはあらゆるモノの起源となった創世の御業。

 生を産み出し、在を与える。

 人類の願望にして禁忌を三対六翼を展開するラウルは成し得る。

 

 そして、星々の輝きが治まった一室へ新たに生み出されたのは一つの無機物。

 ラウルの両手に収まる精鍛な作りをした可愛らしい創造物であった。

 

「出来は上々……と言ったところか」

 

 御業を為した麗人は備え付けの靴下の傍へ西洋人形を静かに立て掛ける。 

 

「Merry Christmas.世界の御宝たる愛しき貴方に大羽の祝福が在らんことを」

 

 幸福の祈りを込めて、幼き娘子の額に祝福を落とした魔術師は早々に部屋から立ち去る。

 翼を羽ばたかせる飛禽が事跡を残すことがないように。

 奇蹟者の現身たる麗人は、人知れず幼子の願いを叶え、一片の銀羽を贈り届けるのであった。

 

 

* * *

 

 

 明けの明星が聖夜の空を彩る頃――

 

 天高くそびえる楼閣を象徴とした城郭の一室へ魔道の輝きが広がる。

 光を放つのは六羽の紋章を基調とした魔方陣から現れたのは赤地の法衣に身を包む麗人であった。

 容易に少女の私室へと忍び込んだラウルは小さく口を開いた。

 

「此処まで頑丈な結界を張っているとは意地悪が過ぎるのではないか、ルフェイ?」

 

 あどけない少女の寝顔を前にして微笑を讃える麗人の顔には怒りはなく、小洒落た悪戯を成した魔女っ娘への慈愛が満ちていた。

 

「取り敢えずはメリー・クリスマスと言わせてもらおう」

 

 ルフェイの眠る寝具へと腰を掛けたラウルは小さく祝いの言葉を送る。

 

「眠っている最中に悪いが貴方の願いを聞かせてもらうぞ」

 

 断りを入れたラウルは少女の額に向けて指を奔らせる。

 虚空に描くは読み取りの魔術を込めた方陣。

 脳髄を侵す魔道の秘術が織り成される。

 

「……貴方は本当に要らない気遣いばかりするな」

 

 魔術によってルフェイの望みを盗み見たラウルは静かに息を吐く。

 静かな寝息を立てる少女が見せたのは、彼自身も諦めた懐かしき光景。

 久しく目にすることが出来なくなった古き良き情景であった。

 

「任せろ、貴方の願いはこの八幡ラウルが聞き届けて見せよう」

 

 少女の願いは、また麗人の願い故に。

 真摯な眼差しを向けるラウルは決意の言葉を口にする。

 

「だから……私が叶えて見せるから……ルフェイは気兼ねなく心を休めてくれ」

 

 未だ夢の世界を漂う少女の頬へ誓いの口付けを落としたラウルは静かに私室を後にする。

 

 足早に廊下を渡るラウルは通信用の魔方陣を展開した。

 繋げる先は自身が盟友と定めたもう一人の相手。

 残酷と揶揄されるほど興味のないことには無情理な心柄ではあるが、彼の周りも含めて非常に頼りになる者の多い友人であった。

 

「――ミリーか? 早朝からにすまないが、至急アーサーへと繋いでもらえないだろうか?」 

 

 健気な少女の見せた憧憬を再現するべく、奇跡の担い手は奔走を始めたのだった。

 

 




 季節外れのクリスマス編は如何だったでしょうか?
 今年こそはイブ(クリスマスの晩)に投稿したいものです。

 皆さんお気づきかも知れませんがこの話にはまだ続きがあります。
 グレゴリオ歴に於いて当日とされるクリスマスパーテイーの模様です。
 一度話が切れるのはここでも新キャラが大勢出てくることが理由です。
 早く物語を進めなければいけない状況です。
 具体的には今年のクリスマスまでに原作六刊相当。
 一刊二十話で納めたとしても後九十三話。
 文字数に直して七十万文字越えです。
 よーしー、がんばるぞー(棒)

 諸事情があるため、続きにつきましては今年のクリスマスをお楽しみにください。


 ちなみにラウル君がイブを前夜祭としたのは意図的な描写です。
 日本産の彼には認識の違いを、と思ってのことです。


 さて、クリスマス気分は落ち着けまして、私からお年玉企画のお知らせです。

 第一企画――予告風創作小説。

 七日ほど黒歴史をスコップして見付け出した、設定のみを考えた二次創作。
 資料不足や時間不足で断念したことも数あるといった拙いものです。
 出来次第活動報告に乗せますので、興味のある方はご覧ください。


 第二企画――過去に綴った二次創作の公開。

 にじファン時代に書いた私の二次創作処女作です。
 いまは別サイトで公開していますが、完全にエタってしまているものです。
 数日中に某サイトに作ったページを閉鎖してこちらに飛ばしますので、こちらも興味があればどうぞご覧下さい。
 人気が出るようならこちらも続けながら、続きを書くやもしれません。

 以上の二つの企画を用意しています。
 本作に関わりのないものも多い企画で申し訳ないです。
 強いて記すならラウル君の原型となったキャラが二人それぞれの企画に出場予定だということ。
 番外編を書くと本文が遅れてしまうので苦渋の決断をした次第です。

 お年玉というほど立派なものではありませんが、これからもよろしくお願いします。


 最後に新キャラ登場により、キャラが増えてきましたので簡易紹介をさせて頂きます。


*以降、多少のネタバレを含みますのでご注意ください。








  簡易紹介

 八幡・G・ラウル――この小説の主人公。言わずと知れた男の娘。
 ラウル一派を率いる団長的な役割を持つ。

 マリナ・●●●●●●●――眼鏡のよく似合う、ラウル君のそっくりさん。冷徹な瞳は悪戯娘をも怖がらせる。
 平時より参謀役として、貧乏くじを好んで引く団長を公私共に支える。
 一応、伏字としましたが読者の皆さんには見抜かれるだろう。
 余談だが、某魔術と科学の小説で出番があるなら、二重聖人?としての活躍が見られるかもしれない。

 ルチア・F・ヤハタ――自称ラウル君の義姉。戸籍では養子縁組で義妹となっている。
 良くも悪くもラウル一派のムードメイカー。
 過去に起きた事件によって致死性の毒に侵されてしまう。
 ラウル君の治療で一命を取り留めたものの、複数の要因から毒が変質し呪いと化してしまう。
 現在もその呪いは解くことができていないために病弱な身体となっている
 活動時間が限られているにも拘らず、有事には切り込み隊長として先頭に立つ。

 メアリー・シャーレメイン――黒髪紫目のボクっ娘。本話で初登場のオリキャラ。
 歯に物を着せたかなようなシニカルな口調が特徴。
 色々と感覚のずれているラウル一派の常識人とも言える。
 役職としては独立大隊長。
 有事にはジャンヌと伴にラウル一派の最大戦力を担う。

 ジャンヌ・ダルク――原作に登場した英雄派の女性と同一人物。本作ではラウル君に拾われる。
 性格改変はなく陽気なお姉さんという人柄。
 ラウル君に拾われた後、結社の影響を大いに受けたため原作に比べると能力が魔改造されている。
 役職は独立大隊副隊長。
 神器の特性上、メアリーとの相性がとても良い。

 ルフェイ・ペンドラゴン――カムランの戦いから脈々と王の血を受け継いできた来たペンドラゴン家の令嬢。
 ラウル君の愛弟子にして愛嬢、一派の中では特に付き合いが長い。
 付き合いが長いが故にラウル君の扱いを熟知しており、言葉巧みに操る様子は魔女の素質を感じさせる。
 空間に作用する魔術を得意としており、日に日に上がる腕前にラウル君も気が抜けない。

 ツグミ・K・オラトル――ラウル君の家系と同等の歴史を持つオラトル家の令嬢。本話が初登場のオリキャラ。
 皮肉な言動が多く比較的よく喋るのが特徴である。
 加えて、妖精族に合法ロり娘の属性持ちとなっている。
 本来ならばこれに関西弁と設定上加わるはずであったが、作者が忘れており脳内修正不可となったため、この属性を封印したのは完全に裏話である。

 ミュリエル・アイム――断絶した筈の悪魔アイムの末裔。本作初登場のオリキャラである。
 無垢、純粋を体現化したような少女。同じ白髪少女の小猫とは正反対の性格である。
 我慢することを知らないため、暴走気味に周り(主にラウル君)を振り回すこともしばしば。
 忍耐を強いれば暴発するので非常に(主にラウル君が)危険である。
 適度に息抜きをさせればいいのだが、放っておけば火を付けて回るのでやはり危険。
 その後片付けもラウル君の仕事のため好きにさせる現状が一番となっている。
 本編で未登場ではあるが、彼女は週一でラウル邸を訪れている。

 黒歌――主を殺して悪魔たちに追われていたところを助けられた拾われ猫。
 年中盛りついているために雌猫や恋猫と呼ばれることが多い。
 元悪魔としての猫魈としての誇りはほぼ皆無である。
 得意の仙術による気配遮断を行使しての諜報活動が主な役割。

 ティアマット――ツンデレ龍王様。勝気な龍王様。神出鬼没な女王様。
 形式上使い魔ではあるが、主の方針から特に拘束されることはない。
 むしろ後ろ盾を得たが故に、痛い目に遭ったにも拘らず各地への襲撃を平然と行っている。
 流石は龍種の頂を見据える龍王である。
 ちなみにラウル君が褒めたり甘やかしたりすれば、時偶だが背に乗せてもらえることも。
 そんなユーモア溢れる五大龍王最強の彼女のライバルは、少女の姿を取るオーフィスである。



 リーク・ハワード

 教会で小猫を襲撃したジェントルマン。
 光術を主体ではなく魔術を主体に戦う堕天使擬き。
 現在はグリゴリに所属している模様。
 各方面に太いパイプを持っており情報屋としても知られる。
 ラウル君も彼の顧客の一人である。


 ロデリク・●●●●

 リークの顧客の一人。
 聖剣魔剣を売買するラウル君を凌ぐ財力を持っている。
 ラウル君の口から同格の『六天』と言われる謎の人物である。
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