賢者の石の設定の一部が消失してしまい、書き直すのにだいぶ時間掛かりました(それ以外にも理由ありますが……)。
出遅れた分これから再開していきます。
ホグワーツに向かう汽車がキングズ・クロス駅を発車してから数分後の事。突然アリスとハリーがいるコンパートメントの戸が開いた。
「ここ空いてる? 他はどこもいっぱいなんだ」
そう言って何やら困り顔で現れたのは先程もホームで見掛けた赤毛の男の子だ。どうやら他に空いてる席が見当たらないらしい。
「えぇ。あたし達と一緒でよければ」
「うん。僕も構わないよ」
二人が快諾すると、赤毛の男の子は何気なくアリスの顔をチラッと見てから若干恥ずかしそうに彼女の隣に座った。
「それじゃ……自己紹介しないと。僕はロナルド・ウィーズリー。みんなからはロンって呼ばれてる」
最初に口を開いたのは赤毛の男の子だった。自らロンと名乗る彼はハリーに比べて背が高く、痩せてひょろっとしており、手足は大きく鼻が高い。隣に座る彼の見た目は地味な男の子というのがアリスのロンに対する第一印象だった。
「あたしは……アリス。アリス・リデルよ」
アリスはロンが名乗ったのを見て少し悩んだ後、深呼吸してから自分の名前を静かに告げる。
正直に言うと、アリスはこの瞬間が堪らなく嫌いだった。今までは誰か他の人と自己紹介すると、必ず『アリス・リデル』という世界的有名な名前が嫌でも目立ってしまい、彼女と接触した誰もがアリスを特別視し始めるのだ。
たとえそれをアリスが望んでなくとも、人は皆アリスを有名人で人気者の美少女としか評価しない。アリス自身が本当に聞いて貰いたい主張は誰も聞いてなどくれない。
恐らく彼らは有名人の美少女と会話できるだけで気分が舞い上がり、嬉しい気持ちになるのだろう。その興奮と熱気の渦中でアリスが必死に自身の事をどれだけ話しても、誰の耳にも届きはしない。
何故なら皆、『不思議の国のアリス』の主人公と話したいのだから……
「……」
ロンの前で僅かに表情を曇らせたアリスを見て彼女の心中を察したハリーが直ぐ様助け船を出した。
「僕はハリー・ポッター。よろしく」
「君、本当にハリー・ポッターなんだ。じゃあ本当にあるの? ほら、『例のあの人』の──」
「うん。でも何にも覚えてないんだ」
咄嗟に話題を変えた事が良かったのか、ロンは何やら“訳あり”そうなアリスではなくハリーに対して強い興味を惹かれた様だ。やはりこの魔法界ではアリスよりハリーの方が有名らしい。
二人の会話を黙って聞いていたアリスも、ハリーが自分の為に話題を逸らしてくれたのだと理解した。
(あたしの為に……ごめんなさい、そしてありがとう)
アリスは心の中でハリーに感謝しつつ、少しでも二人の会話に参加しようと小さな勇気を出すのだった。
十二時を過ぎた辺り。紅色の汽車がロンドンを離れてから徐々にスピードを上げ、牛や羊のいる牧場の傍を走り抜けていく。
その間にも三人はそれぞれの家の事を話して教え合った。
ハリーがマグルの親戚と一緒に暮らしている事は以前ダイアゴン横丁で聞かされている。そしてその人達から酷い目に遭っているという事も……
次に家族全員赤毛が特徴的なウィーズリー家が由緒正しい“魔法使いの旧家”の一つだと分かり、ロンには更に魔法使いの兄弟が上に五人もいると聞いた。
ロンは優秀な生徒揃いだと言うウィーズリー兄弟の一番下という事もあってだいぶ思い悩んでいるらしく、ホグワーツで上手くやっていけるか不安を感じている様子。
そして同じく心の悩みを抱えるアリスはロンの話に共感する。自分も家では優秀な二人の姉妹に挟まれてプレッシャーを感じ、日頃二人に対する鬱憤が溜まっている事、父親やロリーナにちやほやされて贅沢三昧なイーディスばかりがいつも良い思いをしていて姉の自分はいつも嫌な目に遭っている……などと話してあげると、ロンはそれで少し元気になった様だ。
そんな話をしているうちに汽車は長閑な風景の野原や小道をどんどん通り過ぎていく。
やがてお昼時になり、アリス達もそろそろお腹を空かせてきた頃、通路でガチャガチャと大きな音が聞こえてきた。
「はぁ~い、車内販売よ~。車内販売はいかが~?」
笑窪が特徴的なお婆さんがニコニコ顔でコンパートメントの戸を開けては生徒達に声を掛けている。
「車内販売はいかが?」
アリスは朝起きた時間的にも出発までだいぶ余裕があった為、朝食こそ家で家族と優雅に食べてきたものの、汽車の中で売られている物に強い興味を惹かれて立ち上がった。
ダイアゴン横丁では付き添いのハグリッドから大きなアイスを買って貰ったが、アリスは恐らく他にもっと“魔法界でしか食べられない”様な特別な食べ物やお菓子があるに違いないと考えていた。
そしてその予想は当たっていた。イギリスの子供なら余程教育が厳しい家でない限り恐らく誰でも一度は食べた事があるだろう有名なマーズ・バー・チョコレートが売られてない事から見ても明らかだ。
その代わりに売られているのはバーディー・ボッツの百味ビーンズ、ドルーブルの風船ガム、蛙チョコレート、かぼちゃパイ、大鍋ケーキ、杖型甘草飴などのお菓子──それに今までアリスが一度も見た事ない様な不思議な食べ物がたくさん売っていた。
百味ビーンズや風船ガム、かぼちゃパイはまだマグルの視点から見ても普通にお菓子として理解できるが、蛙チョコレートや大鍋ケーキ、杖型甘草飴に至っては製作者の頭の中を少し覗いて見たくなる程にマグルとは異なる発想だなぁとアリスは思った。
とは言え、この機会を逃したらしばらくお菓子は食べられないかもしれない……大量のお菓子が詰め込まれた台車を見てアリスが我慢できずに少しだけお金を出そうとすると、同じく席から立ち上がったハリーが笑顔でお婆さんに告げた。
「ここにあるお菓子、全部ちょうだい!」
「えっ?」 「ふぁっ!?」
これにはアリスとロンも唖然としてしまう。ハリーが魔法界基準では相当な金持ちだという事はダイアゴン横丁で知っていたが、まさかいきなり自分が食べた事もない──それに食べ切れるかどうかも分からない──お菓子を買い占めようとするとは……
早く自分のお金が使いたくて堪らないとばかりに嬉々としてポケットの中を探るハリーを見て、すかさずアリスが“待った”を掛けた。
「ハリー、少しにしなきゃダメよ。ここでたくさん買うのはちょっと利口的とは言えないわ」
アリスの冷静な忠告に興奮していたハリーの手がピタッと止まる。
「どうして? 僕お腹ペコペコなんだよ」
「知ってるわ。だからよ。ホグワーツに着いたらお菓子はなるべく持ち歩かない方がいいでしょ? 自分の寮の友達にあげるとかならまだいいけど、それが別の寮だったら生徒同士のトラブルになりかねないし……」
それに……と、アリスは自分なりに考えた事を二人に話す。
「ホグワーツに着けば最初の歓迎会で美味しい料理やデザートが死ぬほど食べられるって『ホグワーツの歴史』って本に書いてあったもの」
宛ら暗記した様に詳しく話す彼女に対し、ハリーとロンが二人揃ってポカーンとした様子で見合わせる。
「君、知ってた?」「いや、まさか」
そんな顔をしながら黙って聞いている二人にアリスは尚も続ける。
「だいたい、ここでたくさん買ったら他のみんなが買う分が無くなっちゃうでしょ? ん、そうね──」
少し考える素振りを見せ、アリスはハリーがポケットから取り出して握っていた大量の銀貨と銅貨から、何枚かを手に取って計算してからお婆さんに支払った。
「はい。これくらいならあたし達三人で分け合って食べても汽車が着く前には食べ切れると思うわ」
そう言ってアリスがお婆さんから受け取ったお菓子を空いている座席に置いていく。
「ハリーもいい? もう既にお菓子の料金払っちゃったけど……」
「もちろんさ。お菓子だってみんなで食べた方がいいに決まってるよ」
ハリーもアリスの提案に賛成した。元々ハリーは今まで誰かと分け合う様な物を持った事がなかったし、分け合う人もいなかったのだから。
車内販売のお婆さんに声を掛けられた際にロンが「家からサンドイッチを持ってきたから……」と恥ずかしそうに口ごもっている様子を見て、アリスもハリーも何と無く察していたのだ。
ハリーが買ったお菓子をアリスとロンに分け与える間、赤面したロンは申し訳なさそうに、それでも嬉しい気持ちでハリーに貰った蛙チョコレートの箱を開け始めていた。
マグルのアリスにはなんでチョコレートが蛙の形をしているのかずっと疑問だったが、アリスもハリーも箱を開けた途端に納得した。なんと包みの中からチョコレート色の生きた蛙が飛び出し、汽車の車窓を這って逃げて行ってしまったのだ。
「いなくなっちゃったよ!」
「そりゃ、蛙チョコだって食べられたくないから必死さ。逃げる前にさっさと食べなきゃ」
「……どんなお菓子よ」
唖然とする二人が素早い蛙チョコレートを捕まえられないでいるうちに、ロンは非常に手慣れた様子で動く蛙を手中に収めて飲み込む。蛙チョコレートなど普段から飽きる程に食べているロンが言うには捕まえるコツがあるらしい。
「気をつけた方がいいよ」
蛙チョコレートで集まった何枚かのカードを眺めていたハリーが次にバーディー・ボッツの百味ビーンズの袋を開けた時にロンが注意した。
ロンが言うには、百味ビーンズの百味は本当の意味で何でもありらしい。もちろんマグルが食べるお菓子のゼリービーンズの様に普通の味もある。しかし中には食べ物ですらない最悪な味まで存在するのだから驚きだ。
アリスが最初にお菓子を見た時の予感は当たった。やはり魔法界のお菓子はおかしい。
それからの三人はしばらく百味ビーンズを楽しんだ。アリスもハリーも当たり外れの差は極端だったが、できれば二度と食べたいとは思えない酷さだった。しかし二人共ロンが言う“最悪の味シリーズ”に当たらないだけまだ幸運と言えよう。
それでも後味の悪いアリスは最後に食べたそれが何なのかロンに聞く事を遂に拒んで、口直しにハリーが食べ掛けていたかぼちゃパイに急いでかじりつく。
「もう無理。人が食べる事を想定した味じゃないでしょ、あれは……うぇっ」
軽い地獄を見た一喜一憂な百味ビーンズの後で食べる普通のかぼちゃパイは、アリス曰く非常に甘くて優しい幸せな味だったそうな。
それはお菓子を食べ終えた三人が思い思いに休んでいる時の事──コンパートメントの戸が突然ノックされたかと思えば、ふさふさな栗色の髪をした可愛らしい女の子が堂々と入ってきた。
「誰か“アリス”って女の子について知らない? この汽車に乗っているってマグル出身の間で噂が広がっているのだけど」
どこか威張った様な話し方をする女の子だ。
この時ハリーはぼんやりと車窓の風景を眺め、ロンは自分が今まで集めた魔法使いや魔女のカードに関する豆知識や入手話を得意気に話して聞かせ、アリスは窓際の座席で家から持ち込んだ日記に何やら書き込んでいる途中。
三人とも突然コンパートメントにやって来た女の子に顔を向けると、誰かが開口する前に女の子がアリスの顔を注意深く見つめてきた。
「あなた──もしかして?」
今のアリスは世界的に有名な青と白の華々しいエプロンドレス姿ではなく、どこか薄汚れて育ったマグルの貧相な町娘という出で立ちで、目の前の彼女の様に真新しいホグワーツの制服に着替えている訳でもない。
それでも女の子はその地味な人物が探し求めたアリスだと確信した様子で目をキラキラと輝かせている。
一方で自分のカードの話を邪魔されたロンは何の話か理解できずに唖然として女の子を見つめ、事情を知るハリーは心配そうに前方のアリスと視線を何度か交差させる。
「えっと……そんなに騒ぎ立てる事でもない気がするんだけど」
どうか放っておいてほしいと言いたげなアリスが流し目で伝えるが、本人を前に興奮した様子の女の子はお構い無しだ。
「やっぱり! あなたがアリスなのね!? 本物のアリス・リデル! やっと──やっとあなたに会えたわ! 私、もちろんあなたのこと全部知ってるわ。大好きな『不思議の国のアリス』は何度も読んでるし、あなたがプライベートにお忍びで来るって噂の『アリスショップ』にも何度か行ってあなたのグッズを集めてるけれど、憧れのあなたには一度も会えなくて──」
自称アリスファンらしき女の子はこれだけの台詞を噛む事なく早口で言い切った。これにはアリスもハリーもロンも大したものだとばかりに彼女を唖然と見つめてしまう。
「私の家族に魔法族は誰もいないの。だから、手紙を貰った時は驚いたわ。でももちろん嬉しかったわ。だって、最高の魔法学校だって聞いているもの……教科書はもちろん、全部暗記したわ。それだけで足りるといいんだけど……あっ、言い忘れてたわ。私、ハーマイオニー・グレンジャー。アリスはもちろん私の知ってるアリスだとして……あなた方は?」
ハーマイオニーと名乗る女の子は自分の言いたい事を全部言ってのけると、ようやくアリスから目を離し、今度はハリーとロンの方に向き直ってそう訊ねた。
「僕、ロン・ウィーズリー」
「ハリー・ポッター」
二人共どこか引いた様子でハーマイオニーに挨拶する。しかし彼女は然程気にもしていないのか、魔法界ではアリスより遥かに有名なハリーの事も本で読んで知っていると短く話すだけに留めた。
どうやらハーマイオニーの頭の中ではハリーよりアリスの方が重要事項らしい。ハリーが呆然とした顔で彼女の話す内容を聞いている間、アリスは彼女にずっと言おうと思っていた事を伝える。
「その、ハーマイオニー? あなたは私の事を好きだって言うけれど……それはきっと本当の私じゃないわ」
「どういうこと?」
「……あなたが愛しているのは物語の私であって、現実にいる私じゃないってこと。私は所詮“アリス”という、世界中のすべての女の子が夢見て憧れる至高にして理想の少女になれなかった……言わば、夢破かれて幻想に堕ちゆく存在なの」
儚げにぽつり呟くアリスはとても哀しい目をしていた。
「ハーマイオニー。私じゃない“もう一人のアリス”のこと、そんなに好きでいてくれてありがとね。私ももちろん、あなたと同じで『不思議の国のアリス』が大好きだから──これから仲良くしましょ?」
そう言うと、アリスは無理矢理作った様な笑顔でハーマイオニーと握手を交わす。
「あっ……え、えぇ。こちらこそ」
アリスの名前が出てくるだけで途端に重くなる周囲の空気。だからアリスは大好きな物語の彼女と比べられてしまう自分の事が大嫌いだった。
それに何より──
(私はそんな、他人から尊敬される女の子じゃない……ドジで根暗で、泣き虫で、寂しがり屋で、すぐ人を怒らせてばかりで……ほんと、私ったらダメダメなアリス)
理想と現実は同じに見えても合わせ鏡の様に違う。ハーマイオニーの様に初めて彼女と出会った人間は必ず“本物のアリス”と言ってくる。
じゃあ彼らの言う本物とは何か? そもそも何を以て本物と呼ぶのか……
まだ幼い子供のアリスには分からない。大きなリボンとニーソックスで飾り、可愛いフリフリのエプロンドレスを着ていれば本物になれるのか。
(はぁ……自分の本でこんなに悩み苦しむなら……いっそ、イーディスが理想のアリスになってたら良かったのに……)
妹、イーディス・リデル。アリスとは高貴な血を分けた姉妹であり、その容姿は鏡に映した様にアリスと驚く程に似通っている。
誰よりもアリスに憧れ、誰よりもアリスに近付こうとした狂気のアリス中毒者。しかしその内面性は反転した様に理想の中のアリスとは似て非なるもの。
どれだけ外観が似ていても、どれだけ性格や口調を真似てもアリスではない──“本物”には程遠い“偽物”。
(……そっか。イーディスもこんな気持ちで私のことを……)
姉妹揃って“アリス”という少女の理想を目指す……その終わり無き旅はまだ始まったばかりなのかもしれない。
「ごめんなさい。せっかく会いに来てくれたのに、つまらない話なんてしちゃって……」
「そんなことないわ。私、それでもあなたに会えたことが夢みたいに嬉しいの──ほんとよ? だから、その……」
ハーマイオニーは赤面して何やらモゾモゾとし出すと、黒いローブの中から一冊の本を取り出してアリスに渡した。
「私とお友達になってほしいの! 同じ読書の仲間でアリスの物語のファンとして! あと、できれば私の本にあなたのサインが欲しいんだけど……」
若干恥ずかしそうにお願いしますと頭を下げてハーマイオニーが渡してきたのは、驚いた事に『不思議の国のアリス』の本だった。
とても綺麗に手入れが行き届いており、ハーマイオニーが何度も夢中になって読み返している事はどうやら本当の事らしい。これにはアリスも思わず目頭が熱くなる。
「ハーマイオニー……でも私、物語の中の自分と違って全然ダメダメよ? それでもいいの?」
ハーマイオニーから受け取った本の表紙に綺麗な直筆でサインを書きながらもアリスはまだ言う。そんな自信喪失気味の彼女にハーマイオニーはクスクスと微笑み、いつもの威張った話し方で言い返す。
「えぇ、もちろん。むしろ私、あなたに興味が湧いてきたの。今度はほんとにあなたのファンになっちゃうかも──」
するとアリス、サインを書いていた筆の指先がピタッと止まった。それはもう見事に。
「……あの、ハーマイオニーさん。やっぱりこれ、お返しします」
何やら身の危険を感じたアリスに驚くほど無機質な声で告げられてしまい、ハーマイオニーは慌てて変な意味じゃないのと弁解を始める。
「……ねぇハリー、僕なんかここ居心地悪い気がするんだ」
「うん……実は僕も少し」
「「……男の子ってつらい」」
とここで、すっかり話の隅に追いやられていたハリーとロンが寂しげに呟いた事で二人の存在を思い出したアリスとハーマイオニーが慌てて二人のフォローに回る展開となった。
その後、ハーマイオニーを加えた(何故か自分のコンパートメントに帰ろうとしない)四人で談笑したりしながら残りの時間を過ごした。
魔法使いがホグワーツ卒業後にする仕事、クィディッチの話、アリスとロンのペット自慢話、ハーマイオニーの『不思議の国のアリス』に関するマニアックな話などなど……面白い話が聞けてアリスもハリーも大いに楽しんだ。
その中でただひとつ、アリスもハリーもグリンゴッツに強盗が侵入したという魔法界の新しいニュースがどうにも気掛かりだった。
ロンとハーマイオニーは強力な闇の魔法使いの仕業に違いないと話していたが、アリスとハリーは強盗犯の正体より盗まれそうになった物の方に寧ろ興味を惹かれたが。
──その後、何事もなく紅色の汽車は長い道程を進んでついにホグワーツへと到着した。
『今回の話の原作との相違点』
ウィーズリーおばさん、ジニー、パーシー、双子のウィーズリーの出番カット(アリスの影響でハリーと出会う切っ掛けが消滅)。
ハリー豪遊……ッ!(させません。お金のご利用は計画的に)
ネビルの出番カット(ヒキガエルはいなくなってなかった……いいね?)。
マルフォイ達との出会い&喧嘩回避(彼らのお菓子は無事に残ったみたいです。これからどうなるフォイ?)
ハーマイオニーが最初からハリーやロンと友好的(友達と言うよりまだ話し相手レベル。ただし原作でのこの後の流れから察すると……アリス、お前の嫁だ何とかしろ)。
ハーマイオニーがアリス物語のファン(読書好きならおかしくはないかと。それにほら、彼女秘密の部屋でもロックなハートの持ち主の熱狂的なファンになってるし……)。