ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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まず木から作ります

 

 

 YARIOの仲間の一人、カルナを連れて『だん吉』に乗りフィニアンサイクルに帰還したクー・フーリン達。

 

 今回は建築のスペシャリスト、インドの叙事詩『マハーバーラタ』から遥々、YARIOのカルナを引き連れての帰還、カタッシュ隊員達も久々の活動に力が入る。

 

 アルムの砦で待機していたADフィンと合流した彼らは早速、第2の幻の食材、魔猪を手に入れる為に被害のあった畑へと訪れていた。

 

 

「うわぁ…酷いねこれ」

「めっちゃ荒らされとるねー」

「この足跡からして魔猪かな、やっぱり」

 

 

 そう言って、三人は被害のあった畑を散策しながらその有様を見て回った。

 

 畑の側にある建物は倒壊し、ボロボロに崩れてしまっている。農作物を仕舞うであろう倉も破壊され中身がごっそり食い荒らされていた。

 

 これを見たクー・フーリンは悲しげな表情を浮かべて、畑の土をそっと触る。その土の感触は間違いなく農家の人やフィオナ騎士団の人達が手入れした綺麗な土だ。

 

 こんな綺麗な土を踏み荒らして、しかも、せっかく実った穀物が全部食い荒らされているこの状況はYARIOとして見過ごせない。

 

 

「それで、どうするんだ? しげちゃん」

「また魔猪がここに戻ってくる可能性が高いですからね、ここで迎え討ちましょ」

 

 

 土を触るべく屈んでいるクー・フーリンの背後から声をかけてきたスカサハに彼は確信を持ったように告げる。

 

 魔猪ならば、必ずここに帰ってくる。畑の土は良いし、ここに穀物や野菜を植えておけばそれに釣られて奴が舞い戻ってくるはずだ。

 

 

「奴は味をしめてる、間違いない」

「ディルちゃん、マタギのおっさんみたいになってるよ? 顔が」

 

 

 そう言って、表情を引き締めて告げるディルムッドの肩にポンと手を置くカルナ。

 

 マタギとは東北地方・北海道で古い方法を用いて集団で狩猟を行う者を指す。他の猟師には類を見ない独特の宗教観や生命倫理を尊んだまさに古から伝わる伝統的な狩人だ。

 

 そんな伝統的な狩人に習い、YARIOのメンバーは魔猪を狩るべく、この場に投石機と巨大弓矢を作り上げなければならない。

 

 

「さぁ! んじゃ取り掛かろっか、まずは投石機から作る?」

「そうだね、それもだけど、まずは丈夫なバリケード作ったがいいんでない? 猪に突進されてもビクともしないやつ」

「おぉ!! ついに作るんだな! よし! 私も手伝うぞ!」

「それじゃバリケードも視野に入れて、まずですね…」

 

 

 それから、役割分担をし、早速、YARIOメンバーは別れて、魔猪討伐の為の投石機の組み立てに取りかかり始める。

 

 バリケード係にはディルムッド、カルナチーム、そして、巨大弓矢の作成にはスカサハ師匠、リーダーのクー・フーリン、ADフィンが着手する事になった。

 

 そして、スカサハとADフィンと共に巨大弓矢の作成に取り掛かろうとしたクー・フーリンはここである事に気付く、それは…。

 

 

「あ! この木材…! もしかして!」

「はい、用意しときました。木材切るところから始めなきゃいけないんだろうなって思ってたんで」

「流石! ADフィン! 準備ええな!」

 

 

 なんと、ADフィンが用意した木材が積まれていた。

 

 三人がインドにカルナを連れ戻しに行っている間、ADフィンもじっと待っていた訳ではない、騎士団を連れて彼は必要になるであろう木材の確保を既に行なっていたのである。

 

 それも、見る限り、丈夫そうな木ばかりだ。これを切り倒してここまで運んでくるには大変な労力がいる筈、しかし、ADフィンは何でもないかの様に爽やかな笑顔でクー・フーリンにサムズアップ。

 

 流石は優秀な我らがカタッシュスタッフ、抜け目がない。

 

 

「この木はしかもオークの木やない? あとザンザシと…トネリコ?」

「そうですね、これ切る時にドルイドさんに見つからないように気をつけながら伐採してきました」

「…それは見つかったら大ごとやろうからなぁ…」

 

 

 そう言って、クー・フーリンは積まれ、フィン達が伐採してきた木を触りながら引きつった笑顔を浮かべていた。

 

 このクー・フーリンが挙げた3つの木にはある意味いろんな迷信がある。

 

 まず、オークの木だが、オークの木は神聖で魔力のある木といわれている。

 

 ドルイド僧の魔法の杖は、オーク製。オークの木には妖精が住んでいるといわれていて、伐られると激怒し、切り株からでている若芽は、怒りに満ち、悪意を持っているとか。

 

 そして2つ目はトネリコの木。トネリコの木はキューピットの矢がそれでできているとか、生木でも火がつき、しかも煙がでないそんな不思議な木であると言われており、トネリコの赤い実で出来た首輪を牛にかけると魔よけに狂牛病に効くという迷信がある。

 

 そして最後は、サンザシの木。本来の目的としては雷よけの木として生け垣や畑に植えられていたという話で、このサンザシが3本以上生えているところは妖精の住処だとか、このサンザシの木を切れば、牛や子供が死んでしまったり、記憶を喪失するとも言われている。

 

 とはいえ、もうさっぱり綺麗に切りとられてここに3本ともずっしりと積まれてしまっている。見つかれば大ごとのような気がするが、大事に使えばきっと妖精さん達も喜んでくれる筈だ。

 

 

「罰当たりどころではないな、これを見られたらドルイドから『お前は明日死んでしまうだろう』と言われかねないぞ」

「その時はディルムッドさんにお願いしてみます」

「あー…確かに妖精関連ならディルやもんな…、ま、なんとかなるやろ」

 

 

 そう言って、互いに笑顔を浮かべながらスカサハの言葉に頷くADフィンとクー・フーリンの二人。

 

 その顔を見たスカサハは深いため息をついて頭を抱える。どうせ、彼らの事だからそう言い切るとはわかっていたが、開き直っている彼らを見ているともうどうでも良くなっていた。

 

 そして、丁度その頃、バリケード班のカルナとディルムッドはと言うと?

 

 

「しゃあ! 倒れるぞー!」

「おーし! いい感じ! いい感じ!」

 

 

 盛大にオークの木を思いっきり切り倒していた。

 

 妖精の住処という話もあったにも関わらずこれである。しかも、斧を持っているのはディルムッドだ。

 

 妖精王オェングスの息子であるにも関わらずこの有様。しかし、なんの躊躇もなく木を切り倒しているあたり思いっきりの良さが感じられた。

 

 

「ふぅ、なんていうかやっぱり久々に斧持つと気持ちいいよな!」

「大自然に感謝だよ、ありがとう! 大自然!」

 

 

 そう言って、また木こりの様に木に斧を振り下ろし、巨大弓矢に必要な木を確保しはじめる二人。

 

 思いっきりの斧を使い木を切り倒すところを見る限り、ディルムッドも全く迷信を信じていないのかそれともわかっていないのか…。

 

 兎にも角にも、彼らはADフィンと同じ様に木をたくさん手に入れる為に木を切り倒し、畑へと馬車を使いながら持ち運んでいく作業を淡々と行なった。

 

 そんな木材を運ぶ作業を行う中、ディルムッドはふとした疑問をカルナに問いかける。

 

 

「どころでさ? バリケードってどんなの作るのよ? 兄ィ」

「あーそれね! 一応、ヒルフォート作ろうかなって考えてるけど」

「おー、ヒルフォートね! …ヒルフォートって何?」

「ってわからんのかい! ヒルフォートっていうのはねぇ…」

 

 

 そう言って、ヒルフォートとは何かという事について、理解していないディルムッドに話をしはじめるカルナ。

 

 ヒルフォートとは要塞化した避難場所。または防御された居留地として使われた土塁などの1つである。主に防御に有利になるよう周囲より高くなったところを利用して建設された事で知られている。

 

 ヨーロッパで青銅器時代から鉄器時代にかけて建設されたものを一般にこのように呼んでおり、敵を迎え撃つ為の拠点として広く役に立った。

 

 今回、カルナはこのヒルフォートを使い、巨大弓矢と投石機を守るバリケード代わりに使おうと考えていたのだ。

 

 

「へぇー、兄ィ流石だねぇ、俺全然知らなかったもん」

「アイルランドの英雄なのに?」

「いやー、俺は厨房で戦うことが多かったからさー」

「それなら仕方ないね」

「てか、それを知ってる兄ィが逆にすげーよ、どっから知ったのその知識」

 

 

 インドに居ながらヒルフォートについて知っているカルナに感心するディルムッド。建築についてはやはり本職のカルナは頭一つ飛び出ているなと改めてそう感じさせられた。

 

 さて、二人はこうして木材を持ち帰り、早速、投石機を作るADフィンとクー・フーリンの元にそれらを次々に運んでいく。

 

 

「これだけあれば足りるでしょ?」

「まぁ、ADも木は確保してくれてたみたいだからね」

「お前達、戦争でもする気か?」

 

 

 淡々と積まれた木材に目を丸くしながら告げるスカサハ、巨大弓矢と投石機を作っても余りが出そうである。

 

 すると、そんな木材を見つめたカルナは笑顔を浮かべたまま、スカサハにサムズアップし心配ないと言わんばかりにこう話をしはじめる。

 

 

「投石機と巨大弓矢もう一個作れば問題ないですよ、数は多いほど助かりますからね」

「おー、確かにそうやな、もう一個作ろう! もう一個!」

「もう一個づつ作るのか? …いよいよ本格的に戦みたいになってきたぞ」

 

 

 そう言いながら、五人は魔猪を狩る為にさらに投石機と巨大弓矢を増やす事にした。

 

 数は多いほど確かに有利な事は間違いない、手作りのノコギリや金槌を使いながら作業を分担し、彼らは作業に取りかかる。

 

 

 巨大弓矢作成の作業はクー・フーリン達三人。

 

 まずは弓の作成。前は19人の弓職人が集結し完成させた巨大弓を今回はこの三人で作り上げなければならない。

 

 生前、ご当地PR課で訪れた宮崎県都城市。生産量日本一の和弓をPRするため、通常2m程の弓矢を約3倍の6mに巨大化! 見事、100m先の的を射抜くことに成功した。

 

 そんな都城で学んだ反発力と粘りのある弓作り。その作り方は、体が覚えている。

 

 確か、都城の和弓職人は竹の間にハゼの木を入れていた。

 

 この1枚で弓の強度が増し、大きな反発力を生む。そこで、竹の幅に合わせて板を切り出し、二つの竹で挟んで、7か所をロープで縛って固定する。

 

 しかし、今回は…。

 

 

「竹なんて無いもんなーしかもハゼの木でもあらへんし」

「竹? なんだその竹というのは」

「あ、竹っていうのはですね」

 

 

 そう言ってクーフーリンはスカサハに竹について説明をしはじめた。確かにここはアイルランド、竹を手に入れようにも入手場所が無い。

 

 どうするか悩む一同、早速、壁にぶちあたってしまった。しかし、これは原材料を手に入れなくてはいけない事であり、避けては通れぬ道だ。

 

 クーフーリンは長く悩んだ末、こんな言葉をポロリと溢し始める。

 

 

「竹かぁー…だん吉使わないかんかな?」

「あー、それなら日本に取りに行けますもんね」

「せやねん、やから日本に竹を取りに行かないなんかなって考えてんねんけど」

「ほほぅ…なら、また『だん吉』に乗るんだな?」

「師匠、運転する気満々やね…」

「次は上手くやるさ、やらなければ上手くはならんぞ! さぁ!私にやらしてみろ!」

 

 

 そう言って、自信有り気にクー・フーリンに告げるスカサハ。確かに前回はあんな感じではあったが運転自体はうまく出来ていた。

 

 それにスカサハが言うように運転しなければ上達しないことも事実である。ならば、経験を積ませてあげる事も大事だ。

 

 

「もー、ほんまに仕方ないですねー、そんなに言うなら師匠に運転してもらいましょうか」

「ほんとか!」

 

 

 目を輝かせるスカサハに仕方ないとジト目を向けながら告げるクー・フーリン。

 

 本当に彼女の運転で大丈夫なのだろうか? 心配はあるが、いろいろと助けられている手前あんな顔を向けられてはクー・フーリンも無下にはできない。

 

 こうして、二人は今回は巨大な弓矢作りに使用する竹を手に入れる為、『だん吉』を使いわざわざ日本へ向かう事にした。果たして、二人は無事に竹を手に入れる事が出来るのだろうか?

 

 ようやく動き出した巨大弓矢作りに投石機作り、そして、伝説の食材の魔猪討伐!

 

 竹を手に入れる為にクー・フーリンとスカサハは日本へ! なんと、そこに待ち受けていたのは新たな出会い!

 

 そして、ディルムッドとカルナの二人は初めてのヒルフォート作りに挑戦!はたして、魔猪も壊すことが出来ないヒルフォートを作ることができるのか!

 

 この続きは…次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 ヒルフォートが作れるーーーーNEW!!

 

 マタギになるーーーーーーーーNEW!!

 

 魔猪の生態観察ーーーーーーーNEW!!

 

 竹を取りに日本へ行くーーーーNEW!!








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