ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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石橋ヒルフォート

 

 

 前回のザ!鉄腕/fateでようやく動き出した魔猪退治。

 

 さて、その作業に急遽、巨大な弓矢作りに竹が必要になり『だん吉』に乗り、日本へ向かおうとしたクーフーリンとスカサハの二人。

 

 そんな二人だったのだが、ここに来てあるトラブルに巻き込まれてしまった、それは…。

 

 

「行き先、間違えてルーマニアになってたやん…」

「うまく運転できただろ? 私は」

「今回は師匠のせいじゃないですよー。僕が設定し忘れてたのがあかんかったんで」

 

 

 なんと、日本じゃなく、どこかの別世界のルーマニア南部の地域に『だん吉』で飛んで来ていたのだ。

 

『だん吉』の設定を間違えたまま、目的地がYARIOの仲間の一人がいるであろう場所に調整されていたのである。

 

 このルーマニアの時代は1459年。オスマン帝国がワラキア公国が睨み合うそんな激動の時代だ。

 

 二人はとりあえず『だん吉』を草むらに隠すようにして置いて、間違えて来てしまったルーマニアにてYARIOの仲間を探す事に切り替える事にした。

 

 

「師匠、ごめんなー、僕のミスやね」

「いやいいんだ、気にするな、それより仲間を探すんだろ?」

「せやね、この時代にいるみたいなんやけど…、どこに居るんやろうなぁ」

 

 

 そう言って『だん吉』から降りた二人はひとまずルーマニア南部の町ワラキアに散策に出掛ける。

 

 その街に住む人達は笑顔で生き生きとしながら生活していた。なんでも話を聞くと領主であるヴラド3世と呼ばれる人物の治世が非常に良いとか。

 

 木炭の輸出やオスマン帝国との上手い交易によりこの街はかつてないほど活気がある街に変わったのだと街人は語る。

 

 

「ほぇー、そのヴラドさんってすごい人なんやね」

「そうなのよー、ウチも最近、黒字でねぇ、特にヴラドさんが直々によく作ってくれる木炭が上質なものだから美味しいパンができて大助かりなの!」

 

 

 街のパン屋で働くおばさんはにこやかな笑顔でクーフーリンにそう語る。

 

 そのヴラド三世はどうやら、その卓越した炭作りから『木炭公』と呼ばれているらしい、それからさらにスカサハとクーフーリンが街で聞き込みを行うとさらなる事が判明していった。

 

 ヴラド公は木炭だけでなく、粘土を使った土器作りにも力を注ぎ、菜園なども自ら手がけているとか。

 

 

「あいつ…身体が病気で無理できんやったのになぁ」

「…しげちゃん?」

「あぁ、ごめんな、師匠。 多分、そのヴラド公って僕らの仲間やね」

 

 

 クーフーリンはこぼれ出そうな涙を指先で拭い、笑顔を浮かべてスカサハに告げる。

 

 最近、妙に涙脆くなってしまった。力作業やキツイ仕事をできない身体であった彼が自らそういった事を進んで行なってると聞いてリーダーのクーフーリンは感慨深く感じてしまったのである。

 

 今はどうかは知らないが、炭作りも菜園も土器作りもこの時代にやるのは大変な事。それを進んでやっていると聞かされて必死に彼が生きているという事をクーフーリンは実感した。

 

 ならば、迎えに行ってあげないといけない、それが、YARIOのリーダーとしての自分の役割である。

 

 間違えてルーマニアに来てはしまったが、これはむしろ来てよかったなとクーフーリンはそう思った。

 

 それから、クーフーリンとスカサハはルーマニア南部、ワラキアの領主であるYARIOの仲間であろうヴラド三世を迎えに行くべく彼が住んでいるであろう城へと向かった。

 

 当然ながら、ワラキアの城の城門には見張りの兵士が立っている。それを見たクーフーリンは早速、その兵士に声をかけた。

 

 

「こんにちはー! すいません、僕らヴラドさんから呼ばれて来たんですけど?」

「ヴラド公が? 貴様ら何者だ?」

 

 

 一見すれば農業の服に身を包んだ怪しい男女の二人組。鍬を持っているあたり、貴族やそんな類の人間ではない事は明らかだ。

 

 よく見れば間者とも見て取れる、門番からしてもこんな怪しい連中を易々と城内へと入れるわけにはいかない。

 

 すると、クーフーリンは満面の笑みを浮かべたまま、城門に立つ門番ににこやかな笑みを浮かべたままこう告げる。

 

 

「僕はYARIOのリーダーのクーフーリンと言います、そして、こちらが…」

「こいつの師匠のスカサハだ」

「!?…あ! …や、YARIOの方々でしたか!? これはすいません! どうぞ城内へ!」

 

 

 なんと、クーフーリンとスカサハの二人はこんな怪しい農作業者の格好ながらもYARIOという名前と顔パスで行けた。

 

 YARIOがどう知られているのかは定かでは無いが、これならば、何事なくヴラド公と面会ができるだろう。

 

 二人は門番に案内されるまま、ワラキア城の城内へ、果たして、この城の中にYARIOの仲間の一人がいるのだろうか?

 

 

 

 そして、ちょうど二人がワラキアの城を訪れていたその頃、フィニアンサイクルに残りヒルフォート作りに勤しむディルムッドとカルナはというと…?

 

 

「前作った石橋ってこんな感じだったよね確か」

「そうそう、そんな感じだった」

 

 

 前に無人島で一度作った石橋作りの経験を活かし、ヒルフォート作りに着手していた。

 

 今回ヒルフォートに使うのは丈夫な石。これに粘着物を取り付けながら積み上げていきヒルフォートを作成する。

 

 その数は石橋を作った時の倍の石量を使う事になる。これにはカタッシュスタッフであるADフィンとフィオナ騎士団、そして、村の石積みを専門とする職人さん達に協力してもらった。

 

 異国でも生きた、職人から教わった石橋作りの技術。二人はコツコツと石を金槌で削りながら作業を行う。

 

 

「コツは?」

「繊細にかつダイナミックにかな」

「恋愛と一緒だな!」

「そうだねー」

 

 

 そんな雑談をしながら、石を削りながらコツコツと積み上げるフィオナ騎士団とディルムッドとカルナの二人。

 

 それを聞いていたディルムッドは思わず笑いを吹き出しながら、カルナにこう問いかける。

 

 

「そうなの? 恋愛と一緒なの?」

 

 

 そのディルムッドの言葉に次は思わずカルナも吹き出して笑いが溢れでてしまった。

 

 ディルムッドとカルナの二人の脳内には『だん吉』で師匠と旅に出たリーダーの顔が思い浮かんでいた。

 

 ーーーー石も恋愛も勉強や。

 

 そんな言葉(テロップ)が思い浮かび、遂にはADフィンからも笑いが起きてしまった。石を組み上げながら、ディルムッドは笑いを溢しながらふとした疑問を口に出す。

 

 

「あの人いつ結婚すんだろうね?」

「いっときは無理そうな気がすんだよねぇ」

「師匠美人だからくっつきゃいいのに」

「あの人の頭の中は0円食堂とかそんなんでいっぱいだからなぁ」

 

 

 そんな、我らがリーダーについての他愛の無い雑談をディルムッドとカルナが繰り返しているうちにも作業はどんどん進む。

 

 積み上げる石の微調整を行うカルナとディルムッドの二人。そんな中、ディルムッドの石を見たカルナは石を指差しながらこう話をする。

 

 

「もうちょいバッテンだね、上の方が」

「あーマジか、前のしげちゃんみたいになってるわけか」

「臆病なのはダメだよ、ガツンといかなきゃガツンと!」

 

 

 石に気遣いすぎてるディルムッドにそう告げるカルナ、周りからは思わず笑いが溢れていた。

 

 そして、作業を黙々とこなす中、何故かワラキアにいるクーフーリンの頭の中にはこんな言葉が舞い込んでくる。

 

 ーーーーーー石も恋愛も臆病。

 

 そんな言葉が聞こえて来た我らがリーダークーフーリンはハッ! っとした表情を浮かべて背後を振り返る。

 

 

「? どうしたしげちゃん」

「今、僕の頭の中で何かが聞こえて来た気がしまして」

「? そうか、とりあえず行くぞ」

 

 

 フィニアンサイクルにて行われているヒルフォート作りにまさか自分の名前が使われていることを察したのかは定かでは無いが、思わず気配を感じて立ち止まるクーフーリンにスカサハは歩くように促す。

 

 そんな中、ヒルフォート作りの作業も淡々と進んでいき、いよいよ、石の面を平べったくする作業へ。

 

 そこで、ディルムッドはあるものをカルナから手渡された、それは…。

 

 

「またお前を使うことになるか、肉用ハンマー」

「ディルちゃん、ディルちゃん、それビシャンだから」

 

 

 そう、カルナから手渡されたのは石の面を平らにするためのハンマー、ビシャンである。

 

 以前、作った石橋作りではこれを使い面を平らにして石を積みやすい形に変えていた。そして今回もこれを使い、石を平らにする。

 

 

「肉用ハンマーだと思ってたから」

「まぁ、肉用にも使えそうではあるよね」

「肉用ハンマーは家にもあるけど…」

 

 

 そう告げるディルムッドはビシャンを石に振り下ろし石の形を整えていく。金属と石がぶつかる音が響く中、ディルムッドのビシャンの使い方は卓越していた。

 

 思わずそのディルムッドのビシャンの使い方に感心するように口笛を吹くカルナ、だんだんとディルムッドも前に叩いた石橋の石での手ごたえを思い出して来た。

 

 

「あっ! 上手! うまいねディルちゃん」

 

 

 思わず声に出して、ビシャンの使い方を賞賛するカルナ。

 

 ーーーー石もドラムもリズム命。

 

 それは身体に染み付いたもの。

 

 皆さんはもう普段の活動から忘れているかもしれないが、何故なら彼は…。

 

 ーーーーYARIOのドラム。

 

 ディルムッドがビシャンで叩き終え平べったくなった石をつぎつぎと運ぶADフィンとスタッフ達。

 

 

「すごいなぁビシャン、うまいなぁ。ビシャンディルムッドじゃん」

「そっちに改名しようかなぁ、俺」

 

 

 平べったくなった石の手触りを確認しながら笑顔を浮かべるディルムッド。YARIOのドラム担当はやはり伊達ではなかった。

 

 まだ、石は幾らでもある。フィオナ騎士団や石造りの職人さん達も石を削りながらディルムッドを真似て石を平らにする作業を行う。

 

 まだまだ石はたくさんある。気が遠くなりそうだが、今回は木材も使うので全部が全部この石でのヒルフォートを作るわけでは無いのが唯一の救いだった。

 

 

「さ、リーダー達帰ってくる前に形だけでも作っとこ!」

「あの人達大丈夫かな?」

 

 

 そんな心配を浮かべるカルナだが、世界を越えて飛んだ『だん吉』の行き先が、竹がある日本でなくルーマニアにて絶賛迷子になっているのでその心配は既に的中している。

 

 ひとまず、YARIOの仲間であるヴラドの城には辿り着いたようだが、果たして彼らは無事にお使いをこなして帰ってこれるのだろうか?

 

 ヒルフォート作りもまだまだ完成は遠い、我らがリーダーとスカサハ師匠は仲間と竹を無事に持ち帰ることができるのか?

 

 

 この続きは…次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 ルーマニアに間違えて飛ぶーーーーNEW!!

 

 ルーマニアで炭作り、菜園作りーーNEW!!

 

 ケルトで石橋ヒルフォートーーーーNEW!!

 

 恋愛に臆病なリーダー (独身)ーーーNEW!!

 

 ビシャンディルムッドーーーーーーNEW!!








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