ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
<< 前の話 次の話 >>

14 / 74
石橋ヒルフォート作り その2

 

 

 無事、上質な柳洞寺の竹を手に入れたカタッシュ隊員達。

 

 新たに協力してくれた小次郎さんを引き連れ、一同は再び『だん吉』に乗り、フィニアンサイクルへと戻ってきた。

 

 その柳洞寺周辺で採れた竹だが、確認してみると新たな事がわかった。それは…。

 

 

「頑丈だね、これ」

「いやー丈夫やねー、良い竹やな」

 

 

 かなり頑丈で丈夫。これならば、巨大な弓矢の加工にも問題なく使えるはずだ。

 

 竹を持って、魔猪の為のヒルフォートを作成しているカルナ達の元へとそれらを担いで運ぶクーフーリン達。

 

 その姿はまさに竹取物語に出てくる竹取の翁のようだ。ケルト神話の中にあるには明らかにシュールすぎる絵面がそこにはあった。

 

 そして、ヒルフォートにたどり着いたクーフーリン達は作業を行うカルナ達の元へと足を進める。

 

 

「おー! すごいやん! めっちゃ良い感じになっとるやんか」

「あ、おかえりーリーダー! ん? もしかして」

 

 

 竹を背負い戻ってきたクーフーリン達に手を振り出迎えるカルナ、すると、ここでクーフーリンとスカサハの他にも二人の男性の姿がある事に気付く。

 

 それを察したディルムッドもまたカルナ同様に彼らの元へとやってきた。

 

 そして、先ほどまでヒルフォートの建築作業を行なっていた二人はヴラドから発せられた声を聞いてそれが確信へと変わる。

 

 

「やっほー! 兄ィ達!久しぶりー!」

「え! マジかよ! うわー! お前髭ぼーぼーじゃん!」

「それリーダーからも言われたからね!第一声がそれってどうなのよ!」

 

 

 そう言いながら、ヴラドは苦笑いを浮かべつつ、声をかけてきた二人に親しく話し掛ける。

 

 仲間との久しぶりの再会の第一声が髭が濃いと言われれば顔も引きつってしまうだろう。しかし、二人は嬉しそうにヴラドを迎えながら笑顔を浮かべていた。

 

 やはり、メンバーとの再会ほど嬉しいものはない。もう会えないかもしれないと思っていた仲間にこうしてまた巡り会う事が出来た事が何よりも彼らには心にくるものがあった。

 

 その証拠に笑ってはいるが、カルナもディルムッドもうっすらとながら涙を浮かべている。

 

 

「…いやー、いかんね? 笑顔で出迎えようって思ってたんだけどさ、やっぱりこう」

「やっぱりくるもんがあるよね」

「そっか、実は最近、俺も涙脆くなっちゃってさ…」

 

 

 三人はちょっとだけ溢れ出た涙を手でぬぐいながら、鼻声になりつつそう告げる。

 

 それを見ていた我らがリーダー、クーフーリンもまた、竹を背負ったまま熱くなる目頭を押さえていた。

 

 つい、溢れそうになる涙を見せまいと指で目を押さえつける。

 

 

「あー、アカン…、あかんわー」

「ちょ! リーダー何泣いてんだよ! 馬鹿!」

「あーダメだわ、しげちゃん泣いちゃったら俺もつられそうになるから」

「よし! みんな! とりあえず一旦、竹をおろして深呼吸だ深呼吸」

 

 

 カルナはパンパンと手を叩いて笑顔を浮かべたまま、そう告げる。

 

 そうだ、まだ、メンバー全員が揃った訳ではない、こんなところで涙を流すのはまだ早いのだ。

 

 まずは、目の前にある事、やるべき事をやらないといけない。

 

 

「とりあえず、そちらの方紹介してよ、しげちゃん」

「あ、せやったね、こちらは…」

「私は小次郎と申す者、何やら柳洞寺で採れた竹で面白い事をすると聞いたもので見に来たのだが…」

 

 

 小次郎は背に背負った竹を地面に下ろしつつ、先ほどまでヴラドとの再会を喜んでいたカルナとディルムッドに自己紹介をする。

 

 すると、二人は互いに頷くと力強く共に小次郎の手を握りしめて固い握手を交わした。

 

 

「それはわざわざ、ありがとうございます」

「僕らだけじゃ出来ない事とか勉強させてもらう事とかあると思うんでよろしくお願いしますね」

「! …あぁ、こちらこそよろしく頼む」

 

 

 その彼らの手は長らく金槌などを扱い、豆だらけになった手だった。握りしめた手からそれがどれだけ尊いものかをすぐに小次郎は察する。

 

 なるほど、確かに彼らは只者ではなかった。

 

 間違いなく、常に向上し学ぶことの姿勢を止めることがない者達である。

 

 固い握手を交わした小次郎はこの者達と握手を交わした瞬間に悟る。実に面白い者達と巡り会う事が出来たと、これも何かの縁なのだろう。

 

 

「…おー、これはまた立派なヒルフォートが出来上がりそうだな」

「あ、師匠、まだ途中なんですよね、これ」

 

 

 カルナは恥ずかしそうに頭を掻きながら、ADフィン達が作業をしている傍でヒルフォートに触れるスカサハにそう告げた。

 

 さて、このヒルフォート作りだが、まだまだ、手をつける箇所は数多くある。

 

 ひとまず、弓矢作りはヴラド、ADフィン、小次郎さんの三人に任せ、我らがリーダー、クーフーリンとスカサハ師匠はこの石橋作りに加わる事にした。

 

 

「どこまでやっとる感じ?」

「一応、ビシャンで石を整えたとこまでかな」

「なるほどなぁ、次取り掛かる作業はそれじゃ胴突きやね」

 

 

 クーフーリンは建設中のヒルフォートをまっすぐ見据えたまま、カルナとディルムッドに告げる。

 

 そう、それはかれこれ十年以上前に福島県のある村で母屋の基礎固めをした時の事。その時に使ったのがこの胴突き。

 

 この胴突きを使い、地盤を固める。既にこの胴突きでカルナ達は石を積み上げている最中だが、また、新たな面積に石を積み上げるのならばこの胴突きを行う必要がある。

 

 あの時学んだ建築の技術をケルト神話で活かす。

 

 

「そんじゃまた胴突きで地盤固めますかね」

 

 

 そこから、地道に地盤を固めていく作業が始まった。

 

 クーフーリンの掛け声と共に胴突きで地盤を固めて行くカタッシュ隊員達、ある程度、地盤が固まれば、あとは先ほどと同じく、ディルムッドが叩いた石を積み上げて粘着物を付けてヒルフォートを作りあげる。

 

 しかし、この石の重さは80kgほどの重さ、持ち上げるにも大変な力がいる。

 

 これを運び、ヒルフォートの地盤に積んでいくのであるが。

 

 

「普通は櫓で輪石を釣り上げて積み上げるわけやけども」

「何をやっている? こんなもの自力で持ち上げてこうすれば良いじゃないか」

「師匠、それ80kg以上軽くあるんですけど!?」

 

 

 なんと、スカサハ師匠、この櫓で輪石を釣り上げる作業を無視し、素手で掴み上げると軽々しく持ち運び積み上げていった。

 

 ーーーーまさにガテン系女子。

 

 こんなのを女性であるスカサハから目の前で見せられては我らがリーダーやカルナ達も負けてはいられない。すぐに根性の元、石を自力で運ぶ作業を試みる事にした。

 

 早速、大きな石に手をかけ、持ち上げるクーフーリン、しかし…?

 

 

「あ、アカン、これ腰やる、腰やるやつや」

「おっも! あの人こんなの米俵みたいに軽々担いで運んでんの?」

「ひぃー、ちょっと勘弁してよ」

「お前達、気合いが足らんぞ! ケルトの男なら根性見せてみろ!」

「あ、いや、俺はインドなんですが」

 

 

 力作業で女に負ける訳にはいかないと息巻くところだが、その相手が我らがスカサハ師匠なら仕方ない。

 

 それでも、カタッシュ隊員達はなんとか持ち前の根性と気合いを入れて、この重い80kgの石を運び積み上げていった。

 

 心なしか生き生きしているスカサハ師匠、久方ぶりに鍛錬に似た事をできた気がすると彼女は大喜びの様子である。

 

 ーーーー背中を見て、育つ。

 

 スカサハのそんな後ろ姿を見たカタッシュ隊員達は負けずに石を運んで積み上げていった。

 

 本来の彼らの身体なら腰が砕けて動けなくなってしまうが、そこは流石は名だたる英雄といったところだろう。

 

 

「ひぃ、ひぃ…ちょい休憩、あー疲れた」

「とりあえずなんとか積み終えた感じ?」

「み、みたいやね…僕らもう本当なら40過ぎなんやで? ほんまに」

 

 

 積み上げた石のヒルフォートを見上げながら、クーフーリンは汗を拭い呟く。確かにこんな思い石を運ぶ作業なんてこの身体でなければぶっ壊れてしまうところだ。

 

 しかし、彼らよりもより多くの石を運んだスカサハは飄々とした表情を浮かべながら息を切らしている彼らにこう告げる。

 

 

「なんだ、私なんてそれ以上の月日を…」

「師匠、やめましょ? 僕らの中では師匠は永遠の20代ですんで」

「そうそう、女性に年齢の話をさせるのはNGだからね」

 

 

 それを言われてしまっては立つ瀬がない。そう思ったクーフーリンとカルナの二人は満面の笑みを浮かべたまま平気な表情を浮かべるスカサハに告げる。

 

 ーーーー女性の扱いは丁重に

 

 アイドル故の気遣い、自分たちの師匠なら尚のこと気遣って然るべきだというのはクーフーリン達の総意だ。

 

 それにスカサハの場合は神霊の類に片足を突っ込んだ結果での事、そう考えれば、スカサハの年齢はなんの意味も持たない事を彼らはしっかりと理解している。

 

 その言葉を聞いたスカサハは上機嫌にクスクスと笑いながらちょっとだけ照れ臭そうにこう話をしはじめる。

 

 

「む、そうか? ふふふふ、本当に可愛げがある奴らだなお前達は」

「リーダーがそういう人だからね、自然とね」

「そうそう」

 

 

 そう言いながら笑顔を浮かべてスカサハに応える二人。

 

 リーダーとして纏めてくれた彼がいたからこそ今もこうして自分たちがいる。そして、スカサハや小次郎とも何かの縁で巡り会う事が出来たのだ。

 

 スカサハは二人の言葉を聞いて確かにとそう感じた。彼女は優しい眼差しをクーフーリンに向けこう告げる。

 

 

「そうか、やはりお前が弟子でよかったよ、しげちゃん」

「何言ってんですか、僕も師匠が僕らの師匠で、ほんまによかったですよ」

 

 

 晴れやかな笑顔で互いに微笑む二人。

 

 それはどこか清々しいものがあった。影の国に訪れた彼を見た時はどうなる事かと思ったが、今は彼とその仲間たちといる事が非常に楽しい。

 

 毎日毎日、死ぬ事を望んでいた筈なのに近頃は生きる事が楽しいとスカサハは日々、彼らと過ごす中でそう感じていた。

 

 そんな中でスカサハは綺麗な瞳を閉じ、ゆっくりとこう語りはじめる。

 

 

「ふふ、そうだな、今じゃ…お前が私の中で…」

「あ、ちょっとちょっと、これこれ」

 

 

 何かをスカサハが言いかけたところで、ここでクーフーリンは何かに気がついたようにヒルフォートに近寄るとジッといろんなところに視線を向けていた。

 

 そして、彼はある重要な事に気付く、そうこの石を積み上げて形にしたまでは良い、完璧だ、だが、しかし。

 

 

「ガバガバやな」

 

 

 そう、石と石の間が空いており、空洞化しているところが目立ちガバガバであった。それを見ていたカルナとディルムッドは顔を見合わせる。

 

 確かにクーフーリンが言う通りガバガバであった。これならば、もし、魔猪が突進してきたら崩れてしまうだろう。

 

 だが、今回はそれ以上にガバガバなところがある、それは。

 

 

「しげちゃん、流石にガバガバ過ぎでしょ?」

「せやろー、これガバガバやん、補強せなあかんね、なんかで」

 

 

 どうにも会話が噛み合ってるようで噛み合っていない様子。

 

 カルナは思わずそのクーフーリンの言葉に苦笑いを浮かべ顔を引きつらせる。しかし、リーダーの彼らしいといえば彼らしい。

 

 ディルムッドは笑いを溢しながら、優しく師匠の肩をポンと叩くとフォローするように彼女にこう告げた。

 

 

「まぁ、らしいっちゃらしいけどね? この人の場合雰囲気とかに流されちゃうタイプじゃないからさ、ね? 師匠」

「これは私はどうすればいいのだ」

「本人には悪気は無いんですよ」

 

 

 なんとも言えず、プルプルと顔を赤くして震えているスカサハにそう答えるしか無いディルムッド。

 

 雰囲気に流されないとこは確かに彼の魅力ではあるのだが、これには流石に二人も同情せざる得ない。

 

 それから、クーフーリン達の作るヒルフォート作りは石を積み上げ、ガバガバになった石の間の補強をする作業を行う事になった。

 

 

 今日のYARIO。

 

 ガバガバなヒルフォートーーーーーNEW!!

 

 ガバガバなリーダー。ーーーーーーNEW!!

 

 ケルト神話で胴突きーーーーーーーNEW!!

 

 重量がある石を軽々持てる師匠ーーNEW!!








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。