ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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準備万端!

 

 

 石橋ヒルフォート作りが捗る一方。

 

 こちらはヴラド、ADフィン、小次郎さんによる巨大弓矢作りが始まっていた。まずは前回頓挫していた竹を用いた製法からだ。

 

 竹の間にハゼの木の代わりにオークの木を使う。ヴラドは慣れない作業ながらも、製法通りのやり方で小次郎さんとADフィンと巨大弓矢を作り始める。

 

 

「うわぁ、こんな感じだったっけ?」

「一応、ケルトでも弓作りは行われていてこのオークの木や他の木材で弓を作っていたようなので出来ないことは無いと思います」

「うむ、まさに和との調和よな、これはこれで風流がある」

 

 

 まずは、スカサハ、または、クーフーリンからオークの木とザンザシの木をルーン魔術で強化してもらっておく。

 

 そして、続けてこれらで出来た弓芯を2枚の弓竹で挟み、関板をつけて接着したものをロープで巻く。

 

 クサビで締め付けながら、半円状に反りを付けて打ち上げ、張り台にかけた後、足で踏んで弓型を丁寧に整えていく。

 

 しかし、この作業、弓矢の大きさからしても大変に手間取る作業であるが…。

 

 

「はぁ、すげーな、ルーン! 師匠流石だわー…」

「加工しやすいですね、これ」

 

 

 意外にも、3人の作業は割と順調であった。

 

 一度学んだ都城大弓の作り方、ここで忘れてしまってはYARIOの名が廃るというもの、我らが優秀なカタッシュスタッフと手先が割と器用なヴラドが行えば…この通り、見事な巨大な弓矢の形が見えてくるまでに作業が進む。

 

 

 ーーーー弓は生き物。

 

 

 愛情を持って弓を育てていく気持ちで接すれば、必ず弓も応えてくれる。この大事な事は伝統的な都城の弓職人達から学んだ大事なことだ。

 

 生き物を扱うように繊細に。

 

 続いて、弓に角度を付けるべく、さらにロープを巻き付け、竹との間にくさびを打ち込みながら巨大弓矢を途中から加わったフィオナ騎士団達と共に全員で気をつけながら曲げていく。

 

 これも都城で学んだ、江戸時代から伝わる和弓作りの技術。

 

 くさびを打ち込んで弓を曲げ、クセがつくまで、しばし待つ。

 

 そして、4時間後、ロープを外せば…。

 

 

「いい感じで曲がってる!」

 

 

 曲がった弓矢は綺麗な形でカーブを描いていた。これならば、なんら問題無い。

 

 職人達から教わった技術を存分に使った宮崎県、都城市の伝統的な巨大弓の製法、身体と頭が覚えていたこれが今、ケルト神話で蘇る。

 

 続いて、この巨大な弓の端から端へ弦を張るのだが、ここにも、江戸時代からの知恵が!

 

 

「曲がった側とは反対側に糸を張る」

 

 

 つまり、クセをつけた弓を今度は強引に逆へと反らせ、その状態で弦をかけることで、より反発力が生まれる。

 

 弓は巨大だが、弓の作り方は変わらない。ただし、全長6mにも及ぶその弓はやはり加工はそれなりに大変なものだ。

 

 そして、弦の代わりは一番丈夫なスカサハ師匠、特製のルーンの魔術が施された糸。これならば、簡単に引き千切れることもないだろう、巨大弓矢の弦にと彼女が提供してくれたものだ。

 

 

「(弓は)一点ものだから無理して曲げんほうがいいですよ」

「同感だな」

「おーけぃ!」

 

 

 ADフィンと小次郎の忠告にそう言って応えるヴラド。

 

 確かに2人の言う通りではあるのだが、しかし、限界まで反らせて糸をかけねば、強力な反発力は生まれない。

 

 多少強引に、メキメキと軋ませながら、全員で徐々に巨大弓を逆方向へ曲げていく。

 

 それから何とか、全員で気をつけながら弓が折れることなく、弦を張ることに成功!こうして、巨大弓矢は適度なしなりを備えた。

 

 あとは、巨大な弓矢を立てれば…。

 

 

「…ほぁー、デカいねーやっぱり」

「全長6mですからね、この弓」

「ふむ、まさか、提供した竹がこうなるとはな」

 

 

 そびえる巨大な弓、全長6mのその弓はしなりも良く、これならばきっと、猪を仕留められる筈だ。

 

 あとは同じ要領でもう一個、巨大弓を作る。この巨大な矢に関してもクーフーリン達と話をしなければならないだろう。

 

 江戸時代から伝わる都城市の伝統的な巨大な弓矢を使って…幻の食材を手に入れる。

 

 これならば、PRとしても申し分無い。出来上がる弓矢を前にヴラドは満足げな表情を浮かべてそれを見つめていた。

 

 

「うん、上出来だね。あとはヒルフォートと投石機だったっけ?」

「そうですね」

「なんと、お主達、まだ作る気か?」

 

 

 ADフィンとヴラドの会話を聞いていた小次郎は目を丸くする。

 

 なんと、こんな巨大な弓矢を作ったにも関わらず、彼らは対魔猪用の兵器をまだ作ろうというのである。

 

 しかし、材料は確かに余っていた。これを使わないという選択肢はYARIOには無い。

 

 結局、巨大な弓をもう一つ作り、後はヒルフォートと投石機を作るのみといった具合になった。

 

 

 

 ちなみに、そのヒルフォート作りはというと?

 

 ヒルフォート作りはいよいよ大詰めに。叩きつける雨の中。いよいよ、完成に向け準備を進めていた。

 

 

「いやー、こんだけ木があれば色んなもの作れるよね」

「ほんとだよねー」

 

 

 金槌を使い、カルナとクーフーリンはあるものを作っていた。

 

 余った木材を使い、より利便よく、数多くの石ができるだけ運べるようにと2人が作ったのは…。

 

 

「壁石運び用の荷車、人力で運ぶのは大変やからこうやって荷車に乗っけて運んだ方が効率はいいと思う」

「そうだよね」

 

 

 というのも、カタッシュ隊員達が作る石橋ヒルフォート作りもいよいよ大詰め。

 

 ヒルフォートに壁石をたくさん積む段階に。

 

 角張った石を積めば、噛み合いずれにくいだけではなく、奥行きが長いほど安定して崩れにくい。

 

 そこで、手頃な石を集めてきた。その角張った石の数はなんと数百個以上。

 

 

「あ、こんなのもいいね」

「あーいい感じやな」

「なるほど、こんな感じの石なのだな」

 

 

 3人が集めた角張った石、そこら中に転がっていた場所から、3人は手作業で持ち運んできたのだが。

 一つ一つ、手で運び、約300m以上ある距離を歩いて運ぶのは、効率が悪く限界を感じていた。

 

 

「資源を利用しないとね、やっぱり」

「昔の人はこうやって重いものを運んでたんやろうからな」

 

 

 昔も昔、遥か昔のケルト神話の世界でそんな事を語るリーダークーフーリン。

 確かに言葉は間違ってはいないものの、その発言はかなりシュールなものがある。

 

 ともあれ、古くから木材や石などの資源は運搬方法が多種多様に考えられてきた。

 特に陸路が続く場所ではできるだけ数多くのものを運ぼうと工夫が成され、今ではトラックや電車などにその形が変わっている。

 

 それは、2人とも経験から知っていた。

 

 

「木材の車輪使うとは考えたねー」

「荷車だと車輪がよく転がるからね、クルクルっていって、しかも、この後も使えるしね」

「ほほう荷車で石を運ぶのか、というよりも私が投げて運んだ方が早いんじゃないか?」

 

 

 確かにスカサハのいう言葉には説得力がある。

 

 投げた方がこの場から離れずとも石を運べてしまうだろう、しかし、場所は300m以上離れた場所、そこで我らがリーダークーフーリンはスカサハにこう話しをした。

 

 

「師匠、そんな砲丸投げ選手みたいにしたら人に当たるかもしれんし危ないからですね」

「む、そうか、ならば仕方ないな」

「投げるって発想、以前の僕らじゃなかったからね」

「確かに効率は良さそうなんですけどねー」

 

 

 英雄故に、ここ最近、そんな発想が出来てしまう。

 

 だが、それでは自分自身に進化がない、こうした局面に直面した時こそ初心を忘れずにコツコツとやる。

 それがYARIOがYARIOである為に必要な大事な事だと、クーフーリン達は思っていた。

 

 ーーーー初心は物作り。

 

 職人や色んな人達から学んだ知識を最大限に生かし、生活に反映させる。英雄の身体になった今でも忘れない大事な心構えだ。

 

 荷車に石を次々と乗せていく3人、その重量は軽く100kg以上はある。

 

 後はこの荷車を動かし、石を運ぶわけだが。

 

 

「リーダーとりあえず左右から押し出す感じで」

「オーケーオーケー」

「師匠は後ろから押し出す感じでお願いします」

「わかった」

 

 

 この重量のある荷車を押し出し、石を運ぶには安定感がいる。そこで、リーダーとカルナが左右から荷車を押し出す形で後ろからスカサハが荷車を押す。

 

 そこで、安定感を保ち荷車をどんどん前に出していくようにする為、建設中のヒルフォートで待機していたディルムッドを呼び、4人でこれを運ぶ事に…。

 

 

「せーの! そい!」

「おー、いい感じ! いい感じ!」

 

 

 力を加え、動き出す荷車、左右とのバランスも取れて、これなら順調に石をヒルフォートまで運べそうだ。

 

 下にある車輪はお手製。道が多少悪くても4人がかりならば、崩れる事なくこの石も無事に運べる筈だ。

 

 目指すはヒルフォートの建設現場。と、ここでカルナある事に気付く。

 

 

「あ! 車輪やばそう!」

「え! まじ!?」

 

 

 荷車の車輪がバギバキと音を立てて軋みをあげていた。

 

 流石に100kg以上ある石をこれだけ積んでいれば荷車とて、耐え難いものだろう、そして、運んでいる道も整備されている道なわけではない。

 

 そして、4人が運んでいた荷車は。

 

 

「退避ー!」

「ちょっとお!?」

 

 

 横に倒壊し、運んでいた石がボトボトと横に溢れるようにして溢れてしまった。

 

 これには、荷車を押していたスカサハも目を丸くする。順調に見えた荷車運びだったがまさかの荷車大破。

 

 これには3人も顔を見合わせるしかなかった。

 

 

「石なくなっちゃったじゃん」

「なくなっちゃったね」

「まさかの大破だよ車輪」

「うむ、荷車が消えてしまったな」

 

 

 まさかの展開に4人は思わず笑いが溢れてしまった。

 石自体は地面に落ちているので積み直せば問題無いのだが、それよりも、壊れた荷車の修理をどうするかだ。

 そこで、リーダークーフーリン、壊れた荷車の車輪を見つめてこう話しをしはじめた。

 

 

「これ…ちょい横幅おっきくして車輪作らへんかな? 横幅がちっさすぎたんやと思う」

 

 

 それは、横幅を大きめに作るといった提案。

 それならば、確かに安定感は増し、先ほどのように車輪が壊れてしまう心配もなくなるかもしれない。

 

 ーーーーリベンジ運搬。

 

 早速、カタッシュ隊員達は車輪の横幅を広げたものを荷車につけ、荷車に石を積み直すと再び先ほどの配置で荷車を押してみる。すると…?

 

 

「あー、確かにブレないねさっきより」

「これならいけそうだな」

 

 

 手ごたえを感じ、荷車を押すカルナとスカサハは口々にそう話した。

 

 確かに先ほどまでよりも安定して、荷車は左右にブレずまっすぐに動きはじめている。これならばきっと、ヒルフォートまで何事まで石を運搬できる筈だ。

 

 それから、ヒルフォートに石を運ぶ為に荷車を使って往復する事、数回あまり。

 

 角張った石がある程度積み上がった事を確認したカタッシュ隊員達は次の段階へと進む。

 

 大量に持ってきた角張った石達、これを…。

 

 

「これをこの周りに積んでいきます」

「よっしゃ!」

 

 

 木材で補強した箇所の周りに積んでいく。

 魔猪が突進してきてもビクともしない丈夫なヒルフォートにすべく、そのクーフーリンの言葉に対してカルナの声にも思わず気合が入る。

 重い角張った石を積み重ね、そして、目指すは…。

 

 

「お城の石垣みたいな感じね」

「なるほどな、同じ高さくらいで?」

 

 

 それは、熊本城や名古屋城のような丈夫な石垣。

 

 それならば、きっと、魔猪の突進にも耐えれる耐久性があるヒルフォートになり得る筈だ。それに…。

 

 

「ルーン魔術を織り交ぜながら、積むんだよね」

「私の出番か、ふふふ、任せておけ」

「お、師匠、生き生きしとるね!」

 

 

 クーフーリンとスカサハが使う強化型のルーン魔術を石の一つ一つに織り交ぜながら、この石垣を作り上げていけば、その、ヒルフォートはより強固なものへと変わる。

 

 そして、まずカタッシュ隊員達がこのヒルフォート作りの前にやる事は…。

 

 

「丁張りからやね」

「丁張り?」

「あ、師匠、丁張りっていうのはですね」

 

 

 聞きなれないクーフーリンの言葉に首をかしげるスカサハに説明をしはじめるカルナ。

 

 丁張り。

 

 丁張り板を立て、高さをだす建物の位置を見る為に出す立体的な目標。その出来は建物の仕上がりに直結する。

 

 鎌倉時代には行われており、区間整備の方法が語源とされている。線を貼り、丁を区分して、高さと長さを出す。

 

 それは福島の村で母屋を建てた時にも行われた。14年以上前での仕事だが…。

 

 

「おっ、こんな感じでええかな」

 

 

 身体が覚えていた。

 

 まずは、角石を積む幅の目標を立てていく、黙々と金槌を使って丁張りを立てていくカタッシュ隊員達。

 

 それをスカサハは興味深そうに見つめていた。見たことの無い技術や考え方は彼女にとっても良い勉強となっていた。

 

 金槌を使って丁張りを終えたカルナは汗を拭う。

 

 

「はい、オーケー」

「ほいで?」

 

 

 そして、その間を手作りで作った荒縄で結んでいく。

 

 全長はより大きめに取り、幅は2m以上にもなるこのヒルフォート、この大きさならば、いくらデカイ猪でも破る事は容易くはない。

 

 まずは、大きく、70kg以上ある重量ある角石から積んでいく。

 

 

「よっこいしょ! …うっほほー! やっべー!1人で持てたよこれ!」

「うそぉ! じゃあ、僕も…」

 

 

 以前は3人がかりだった石も、英雄の身体の今なら1人で担いで持てるようになっている。これならば、作業は手早く進む。

 

 石を担いでテンションが上がるカルナに続けとばかりにクーフーリンとディルムッドもまた石を持ち上げてみる。

 

 確かにさっきまで思い込みで重いと思って持っていた石だが、この身体で持ってみると案外…。

 

 

「あ、ホンマや、全然軽く感じる」

「80kg以上あるよねこれ絶対」

 

 

 新たな発見に驚くディルムッドとクーフーリンの2人。

 

 だが、驚いてばかりではいられない、そうと分かればバンバン持ち運んで石を積み上げれば早く作業も進む筈。

 

 スカサハはいつものように涼しい顔で石を大量に担いでいるが、これならば、彼女に負けてはいられないとカタッシュ隊員達にも火がついた。

 

 次から次へと石を運び、積み上げるカタッシュ隊員達。

 

 

「次は栗石やんな」

「確か隙間なくだったよね」

 

 

 そして、ここでも、職人達の知識が生きる。

 

 隙間なく敷き詰めた小さな栗石、これにより、横揺れを無くし、衝撃に強いヒルフォートが出来上がる。

 

 さらに、壁の継ぎ目を複雑にする事で絡み易くし、そして…。

 

 

「こんな風にして勾配を作るんやね」

 

 

 ここでも、以前、作り上げた石橋の知識が生きる。

 

 クーフーリンが言う、勾配とは水平の積み方とは異なり斜角になるように石を積み上げていくという事。

 

 水平に壁石を積んでしまうと、上からの衝撃に弱く、中の栗石が押し出され外側に崩れてしまう。

 

 しかし、壁石を傾け、勾配をつければ内側へと衝撃を逃がすことができる。上からの衝撃にも栗石が押し出されて崩れる事もない。

 

 それを意識しながら積み上げていくこと数時間余り、しっかりと積み上がったヒルフォートが4人の目の前にそびえ立つ。

 

 勾配もしっかり取れており、これならば、ルーン魔術を織り交ぜながら積み上げたヒルフォートが魔猪にやられる心配もないだろう。

 

 

「さ、後は…」

「投石機と弓矢を設置して、エサ撒いて待つだけだね」

「なんだかワクワクしてきたな」

「師匠楽しそうやね〜」

 

 

 完成したヒルフォートを前に目を輝かせているスカサハに思わずほっこりとするクーフーリン。

 

 皆で力を合わせ、ついにこの石橋の知識を存分に活かしたヒルフォートで魔猪を迎え撃つ準備が着々と整いつつある。

 

 さて、その出来栄えは果たして?

 

 この続きは…! 次回、鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 石を運ぶ荷車を作るーーーーーーNEW!!

 

 石橋ヒルフォート完成ーーーーーNEW!!

 

 巨大弓矢完成ーーーーーーーーーNEW!!

 

 投石機作りに着手ーーーーーーーNEW!!

 

 








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