ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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伝説食材その2。魔猪の豚骨

 

 

 

 さて、石橋ヒルフォート、巨大弓矢も無事に作り終えた我らがカタッシュ隊員達。

 

 次なる作る予定の物は投石機、別名『ローリングストーンズ』。

 

 かつて、YARIOのメンバー全員でこの投石機の建造に取り掛かりスタッフ達の手を借りて完成させた対攻城兵器だが…。

 

 

「俺たちには、敵が多い」

「ねぇ? それ、この間も言わなかったっけ?」

 

 

 そう、皆さんは忘れているとは思うが、彼らロックバンド、それ故に敵も多い筈。

 

 見えざる敵との決戦に備えたYARIOが誇る最終兵器なのである。これを作らずして、猪と戦えるはずがない。

 

 そうと決まれば話は早い、巨大弓矢の隣のスペースに投石機を作成する場所を確保し、早速、彼らは作業に取り掛かる。

 

 まずは…。

 

 

「いやーこれ握るの久々かもねー」

「あ、ディルは久々かぁ、俺はしょっちゅうインドで握ってたけど」

 

 

 鋸でオークやザンザシ、そして、余った木材を切り取っていく作業からだ。

 

 久々に鋸を握るディルムッドに笑顔で答えるカルナ。流石は棟梁、インドで磨かれた建築の腕前が光る。

 

 鋸で木材を切り終えたところで、YARIOが作る投石機、『ローリングストーンズ』だが、元々は重い石を遥か遠くへ飛ばす兵器。

 

 中世ヨーロッパでは、攻城戦の際、火の石で城壁を破壊した。それは、千四百年前の唐の国でも、動力の無い時代、縄や木材を使って作られた。

 

 テコの原理を利用したこれならば、余った材料でも…。

 

 

「ここに石運んできて、バシーンって感じで」

「うむ、いいな、見晴らしも悪くない、これなら当たるはずだ」

 

 

 スカサハ師匠、お墨付きの適正設置場所。

 

 まずは土台を作り、投石機の足場を固めていく、慣れた作業だが今回退治する相手が相手だけにカタッシュ隊員達の手にも力が入る。

 

 

「待ってろよー、伝説の食材」

「もう魔猪って事を既に忘れかけてるよね? 俺たち」

 

 

 金槌で土台を作るカルナに冷静に考えてツッコミを入れるヴラド、そう、ラーメン作りに必要な食材という認識でしかないが、相手は巨大な魔猪。

 

 このルーン魔術を施しているとはいえ、ヒルフォートが果たして無事で済むのかも危うい相手だ。

 

 しかし、カルナの隣で同じく土台作りに金槌を扱うディルムッドは…。

 

 

「猪って包丁で捌けんのかな? 肉固そうじゃない?」

「いやー、いけるっしょ、だってディルあの包丁すごそうじゃん」

「まさに、宝丁やな、なんちゃって」

 

 

 いつも通り、リーダークーフーリンのつまらない親父ギャグが炸裂する中、一同は黙々と作業に没頭する。

 

 ーーーー宝具だけに、宝丁や

 

 土台作りが進み、しっかりとした土台が出来上がったところで、ディルムッドとカルナが鋸で作った板を取り付ける。

 

 

「支点をどこにするかやね」

「このくらい?」

「コングラチュレーション!」

 

 

 支点を決めたら、固定し、重さのある枕石を三本重りに取り付ける。この重さの反動で石が飛んでいくといった仕組みだ。

 

 あとはこの枕石を板に張り付け、そして、その反対側には…。

 

 

「こうやって結びつけて」

 

 

 手作りで作った丈夫な網を結びつけ、支え棒に枕石を置けば、いよいよ形が見えてきた。

 

 支え棒を外せば、その重さの反動でしなり、石が魔猪目掛けて飛んでいく、これならば例えデカイ猪だろうとひとたまりもない。

 

 これを反対側の巨大弓の横にも取り付ける。それを遠目から眺める小次郎さんはその光景に思わず。

 

 

「うむ、小さきながら堅牢な城よな」

 

 

 出来栄えに感心していた。

 

 完成した石橋ヒルフォートと並ぶYARIO特製の兵器達、これならば、例え魔猪だろうとて倒してしまうに違いない。

 

 あとは、肝心の魔猪を迎え撃つだけだ、それには、まず、餌となる良質な穀物を大量に集め、ヒルフォートの前に畑を作りそこに撒く。

 

 あとは良質な穀物をヒルフォートのすぐそばにある簡易に作られた倉庫にしまえば、魔猪が食べたくなるような食事場になる。

 

 これならば…、魔猪も顔を出すに違いない。

 

 後はここでキャンプで過ごしながら、魔猪の到着を待つばかりだ。

 

 その間に…。

 

 

「ゲイボルクで矢を作りましょう」

「ついにきたか! よし! やるぞ!」

 

 

 嬉しそうに笑顔を見せるスカサハと共に我らがリーダークーフーリンは都城の巨大弓用の矢を作成しはじめる。

 

 長さはゲイボルクの長さを考慮しながら木を削り、矢の形が歪にならないように調整する。矢が歪になれば飛ぶ方向も異なり外れてしまう可能性があるからだ。

 

 ゲイボルクの長さと矢の長さが合うように組み合わせ、後は羽根をつければ完成。

 

 

「名付けて都城ゲイボルクや!」

「名前がなんかシュールだね」

「早く撃ってみたいな!」

 

 

 出来上がった矢を片手に笑顔を浮かべるクーフーリンに冷静に突っ込むヴラド、確かにこの都城ゲイボルクという名前にはどこかシュールな違和感がある。

 

 しかし、師匠であるスカサハはご満悦のようだった。出来上がった都城ゲイボルクを前に早く撃ちたいと心を躍らせていた。

 

 そして、カタッシュ隊員達が伝説の食材、魔猪を待つ事数日。

 

 

「グルルルル…ブモォ!」

 

 

 禍々しいオーラを醸し出しながら大きな魔猪がその姿を現した。

 

 ゆっくりと石橋ヒルフォートの周りを旋回しながら味をしめたであろう穀物を食い荒らしに地面を闊歩している。

 

 その眼は獰猛さが滲み出ており、普通の猪でないことはカタッシュ隊員達も一目見てわかった。

 

 すぐさま、息を殺し、都城ゲイボルクを持って巨大弓へと向かうカタッシュ隊員達、そして、ADフィンや小次郎もまた投石機へ向かい猪を狩る準備が整う。

 

 まずは、第1射目、都城ゲイボルクの弓を一人で引いてしまうスカサハはクーフーリンに肩車されて支えられながら的を夢中で穀物を漁る魔猪へと絞る。

 

 そして…。

 

 

都城…ゲイ…ボルク(都城職人の死翔の槍矢)!」

 

 

 都城ゲイボルクの第1射目が魔猪目掛けて飛んでいった。

 

 石橋ヒルフォートから飛んでいった都城ゲイボルクはまっすぐに魔猪の横腹に飛んでいくと見事に命中! 魔猪は痛みのあまり咆哮を上げた。

 

 それに続くように、都城ゲイボルクの第2射目を発射すべく。カルナとディルムッドの二人がもう一つの巨大弓から魔猪を狙う。

 

 

「やべー! 俺、そういや弓矢やったことないや」

「心配するな! とりあえず発射しろ! 発射すればなんかしらんが心臓目掛けて飛んでいくはずだ!」

「師匠!! それちょっとアバウト過ぎじゃないですかね!」

 

 

 都城ゲイボルクの第1射目を見事当てたスカサハはご満悦の様子で満面の笑みを浮かべながら二人にそう告げる。

 

 同じく肩車しているディルムッドは足を踏ん張らせながら、カルナが弓を引いて咆哮を上げる魔猪にしっかりと的を定めるまで待つ。

 

 そして、放たれた第2射目、都城ゲイボルクは魔猪にまっすぐ飛んでいくと?

 

 

「ピギァ!? ブルル!」

 

 

 見事に命中、これは堪らんと魔猪も怯んでしまい、足元がおぼつかなくなっている。

 

 しかし、このまま魔猪も黙ってやられるわけにはいかない、魔猪はまっすぐ力強く直進すると石橋ヒルフォートに凄い勢いで突撃を敢行する。

 

 だが、その魔猪の突撃だが…。

 

 

「やば! 突撃してきた!退避ー!」

「ピギァァァ!?」

「あ、思ったより大丈夫やったね」

 

 

 丈夫な『石橋ヒルフォート(職人達の知恵と神業の石橋)』の頑丈さに突進を敢行した筈の魔猪の方が思わず怯んでしまった。

 

 職人達の知恵と力の結晶、このヒルフォートの頑丈さはスカサハが織り込んだルーン魔術を含めて伊達ではない。

 

 そして、仕上げには…、ついに、YARIO最終兵器。『ローリングストーンズ(リーサルウェポン・オブ・ダッシュ)』が牙を剥く。

 

 ADフィンと小次郎は合図と共に、ローリングストーンズの網に積み込まれた重いルーン魔術で補正された火石を支え棒を外し飛ばす。

 

 ゴォ、という音と共にADフィンと小次郎さんが発射した投石機ローリングストーンズ(リーサルウェポン・オブ・ダッシュ)の火石は巨大な魔猪に直撃し、魔猪はそのあまりの威力に身体が吹き飛んでしまった。

 

 

「ローリングストーンズすげぇ…、俺らあんなの作ってたんだ」

「凄い音したよね、映画みたい」

 

 

 その光景に思わず感心するカルナとディルムッド。

 

 それから、都城弓矢とローリングストーンズを使って魔猪と戦うこと数十分あまり、ダメージを受けすぎた魔猪はふらふらと力なく地面に膝をつくと最後に凄まじい咆哮を上げて力尽きた。

 

 それを見ていたクーフーリン達は少し悲しげな表情を浮かべながら力尽きる魔猪を見届ける。

 

 

「なんだか、申し訳ない事しちゃったね…」

「可哀想やけれど、皆の生活の為やからね…、ちゃんとみんな手を合わせて供養してあげようや」

「…ごめんなさい! 魔猪さん! 絶対! 美味しい食材にして恩返しするからね!」

 

 

 そう言って、魔猪が力つきるのを確認した一同はわざわざ石橋ヒルフォートから出て、皆で力尽きた魔猪に向かって手を合わせて殺生した事を詫びるように黙祷を捧げる。

 

 スカサハは首を傾げながら、クーフーリン達の行動にひとまず同調するように亡くなった魔猪に手を合わせた。

 

 致し方ないとはいえ、やはり、命を頂くのだからこうして手を合わせてご冥福を祈る事くらいはしてあげなくてはいけない。

 

 YARIO達はこうして、魔猪の命を貰い受ける事にした。

 

 兎にも角にも、こうして、第2の伝説の食材、魔猪の豚骨を手に入れる事が出来たわけだが…?

 

 

「いやー、でもおっきいね、牙とかさ」

「あ、牙って確か毒あるらしいよ毒」

「え!? マジで! この猪、毒牙とか持ってんの!?」

「あ、とりあえず荷車に積んでアルムの砦の貯蔵庫に運ぼうや、腐らんようにしとかなあかんし」

 

 

 一同はこの猪をひとまず、アルムの砦に持ち帰る事にした。

 

 確かに腐ってからだと、美味しい豚骨スープは取れなくなってしまう。早めに捌いて形にして豚骨スープに使えるようにしとかなくてはいけないだろう。

 

 こうして、第1の幻の食材、霊草と第2の食材、魔猪の豚骨を無事に手に入れる事に成功したYARIO一同。

 

 さて、この魔猪が一体どのような料理や食材となってしまうのか?

 

 そして、残りの仲間の一人の行方は?

 

 まだまだ、見どころがたくさん! この続きは、次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 投石機で魔猪を撃退ーーーーーーーーーNEW!!

 

 都城ゲイボルクーーーーーーーーーーーNEW!!

 

 幻の食材ゲットーーーーーーーーーーーNEW!!

 

 魔猪に突進されても平気な石橋作りーーNEW!!

 

 スカサハ師匠ご満悦ーーーーーーーーーNEW!!

 

 投石機が知らぬ間に宝具になるーーーーNEW!!

 

 石橋作りが知らぬ間に宝具になるーーーNEW!!

 

 都城の大弓が知らぬ間に宝具になるーーNEW!!

 

 


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