ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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第一回、0円卓食堂

 

 

 キャメロット城城内。

 

 鍬を担いだクーフーリン達二人は現在、王様作りのキーマンとなる人物に会うべくこうしてキャメロット城に訪れていた。

 

 というのも、始まった王様作りに必要な人物というのがアーサー王の息子であるモードレッド卿なのである。

 

 このキャメロット城に訪れる前、二人はADフィンからこのモードレッド卿がアーサー王の息子である事をベディヴィエール達とは別に聞かされた。事の経緯やモードレッド卿の出自などは把握済みである。

 

 二人は未だに彼女の性別は知らないが、その事はさておき、ひとまず、彼女が治める予定地の開拓を切り上げて、そのモードレッド卿を呼びに来たのである。

 

 カルナはキャメロット城にあるモードレッドの私室の前で足を止めると扉を3回ほどノックして声高にこう話をしはじめた。

 

 

「こんにちはー、モードレッドさん、ちょっとお時間よろしいですかー?」

「あん? 誰だ?」

「あ、僕らYARIOなんですけどもちょっとお話したい事がありまして」

「YARIO?」

 

 

 全身を甲冑に身に纏うモードレッドはキャメロット城にある自室の扉をノックする彼らの言葉に首を傾げながらそう告げる。

 

 YARIOと聞けば、あの円卓の騎士を清々しくやめていったベディヴィエールが所属するアイドルとかいう団体だ。

 

 彼らの活動は一度、城下町で演奏する事を彼らがアーサー王に許可されそこで歌っていたのを見物したのはモードレッドの記憶に新しい。

 

 

「いいぞ、とりあえず部屋に入れよ、こんなところでそんな鍬担いで部屋前に立たれたんじゃ目立って仕方ねぇし」

「あ、ホンマに?」

「そんじゃお邪魔しますー」

 

 

 そう告げる二人は晴れやかな笑顔を浮かべながら扉を開けたモードレッド卿の部屋に招き入れられる事になった。

 

 モードレッド卿の部屋に招き入れられた二人は甲冑を全身に纏う彼女が座るテーブルの前に腰を下ろすと鍬を立てかける。

 

 一応、二人の鍬は宝具だったものだ。宝具としても使えるがそれを横目に見ていたモードレッドは甲冑の中で顔をひきつらせていた。

 

 

「…なぁ、おい、それ一応宝具だったんだろ? こうして見ると鍬にしか見えないな本当に」

「あ、これ先端外せるから、こうやって…」

「あ、いや、それは先日見たんだけどあれは度肝抜かされたわ、てか普通は宝具をこんな風に扱わんだろ」

 

 

 クーフーリンとカルナがまたもや目の前で鍬の先端を外そうとしたところを見かね、モードレッドは思わず二人を静止する。

 

 先端外せば宝具に早変わり、非常に便利な鍬である。名高い宝具がその扱いでいいのだろうか…。

 

 さて、そこで、本題に入るわけだが…。

 

 

「んで? 俺に今日は何の要件だ?」

「あ、僕ら今、ある地域の土地の開拓をやってるんですけども」

「良ければモードレッドさんに手伝って貰えたらなと思ってまして、こうしてやって来た次第でして」

「開拓ぅ!? お前ら何ちゃっかりそんなことしてんだおい! アーサー王には…?」

「今日実はそれに関してアーサー王にも話そうかと思っててですねー、手土産に僕らが作ったこの街の人から要らない物を使った0円食材を使って料理を振る舞おうと思ってまして」

 

 

 そう告げるクーフーリンはニコニコと満面の笑みを浮かべてモードレッド卿にサムズアップしながら告げた。

 

 それは、二人がこのキャメロット城を訪れる数時間前に遡る。

 

 

 

 今回、土地の開拓を少しばかり早く切り上げた彼ら、実はキャメロット城に向かう前、二人はキャメロット城の近隣の農家や城下町を訪れていた。

 

 ここになら、多分、要らなくなった食材や食べ物などがあるはず。生前の知識を活かし、直感のまま様々な場所に顔を出す事にした。

 

 そう考えた二人がまず訪れたのは、とある羊飼いのおじさんの住まう小屋だった。

 

 

「こんにちはー、僕らYARIOというものなんですけどもー」

「ん? …おー、あんたらは、キャメロットの城下町で先日歌ってた…」

「あー、おじさんこの間の見ててくれたんや、せやでーそのYARIO何やけれど…」

「今、企画でこちらで要らなくなった物とかを頂けたらなーと思いまして」

「ん?…要らない物…」

「はい、捨てちゃう予定の物とかでいいんですけど…」

 

 

 そう告げる二人は考える羊飼いのおじさんににこやかな笑顔を浮かべていた。

 

 この一帯で要らなくなった物を貰い、食材を確保してそれを手料理にしてアーサー王にお願いを聞いて貰おうという彼らの得意分野。

 

 すなわち、簡易0円食堂である。

 

 ついでにモードレッドにもこの後会いに行く予定なので、できれば、良い0円食材を確保してキャメロット城に来訪したいと二人は考えていた。

 

 すると、羊飼いのおじさんは…?

 

 

「今日、ちょうど子羊が不運な事に一匹事故で亡くなってね…それくらいしか無いが」

「あ、それってもしかして捨てちゃったりします?」

「そうだねぇ…毛以外は肉に加工してしまう予定だが…多分、その後の肉が多少なり余るかもしれないね」

「じゃあ、毛を剃った後それを頂いても…」

「あぁ、持っていっても構わないよ」

「ホンマですか!?」

 

 

 となんと、ここでYARIOは新鮮な子羊の肉の一部を羊飼いのおじさんから分けてもらいラム肉を手に入れる事に成功した。

 

 その他にも手作りで作ったルアーを使い、ゲイボルクに糸を付けてそれを垂らし、魚釣りをして、シーブリームと呼ばれる鯛の仲間を確保。

 

 そして、更に幸運なことに…。

 

 

「あ、リーダー、これリンゴじゃね?」

「あ、ホンマやな!」

 

 

 なんと、そのキャメロット城に向かう道中、自然になっていたリンゴ木を発見し、リンゴも一つ確保する事に成功した。

 

 魚と羊のお肉も確保できたところで、それを調理しやすいように下ごしらえした後、こうして、キャメロット城に訪れたという訳だ。

 

 

 そんな二人の話を聞いていたモードレッドはため息をつくと頭痛がする頭を抑えていた。

 

 しかし、ここでモードレッド卿はある事に気がついた。それは、このキャメロット城に訪れたとしても彼らがアーサー王に会えるかどうかは確定的ではないという事だ。

 

 アーサー王は仮にも王様、王様であれば政務などいろんな仕事があるに違いない。

 

 

「いや…アーサー王も忙しい身だ。お前達に会う予定なんて組めるわけが…」

「あ、ADフィンが色々してくれてたみたいでこの後、食堂で会う予定になっとるよ?」

「なんでだよ!?」

 

 

 そう言って、スケジュール表を開きながら何事もなく語るクーフーリンの話を聞いて、バン! と声を挙げて机を叩くモードレッド卿。

 

 確かに王という立場にも関わらず、いとも簡単にこうして彼らが面会ができてしまうと聞かされれば突っ込みたくもなる。

 

 クーフーリンと聞けば名高い英雄なのは間違い無いのだろうし、適当に彼らをあしらうわけにもいかないというアーサー王の考えもモードレッドにもわからんこともない。

 

 それに、そんなアーサー王のスケジュールを何故か把握している我らが優秀なカタッシュスタッフのADフィンの活躍もまた素晴らしいと言わざる得ないだろう、面会に至ったのは彼の功績が非常に大きい。

 

 流石は黒子役、年季が違う。

 

 

「てな訳やから、モーさんもこの後、食堂に来るようになっとるね」

「はぁ? ちょっと待て、それは確定事項なのか!? てかモーさんってなんだよ!」

「お父ちゃんが呼んでるんだから行かなきゃね」

 

 

 そう告げる二人はこうして、モードレッド卿の身柄を無事に確保し、アーサー王が待つキャメロット城の食堂へ。

 

 キャメロット城の食堂は器材もそれなりに揃っており、料理をするには申し分ない。

 

 だが、悲しきかな、ここの食堂で作られている料理は壊滅的においしくなかった。コックが悪い訳でなくお国柄的に料理の作り方が単純に良くなかったのである。

 

 そこに目をつけたのが我らがカタッシュ隊員達。

 

 ADフィンからの事前の情報を得た二人はこうしてアーサー王に料理を振る舞う事に、そのついでにモードレッドを巻き込んだという感じである。

 

 

「さぁ、今回も始まりましたこのコーナー、ブリテンで要らなくなったものを使って料理を作るという0円食堂なんですけども、ゲストには」

「この国の王様! アーサー王と円卓の騎士、モードレッド卿ことモーさんをお迎えしております」

「…ふむ、なんだかわからないですけれど、今日は美味しい料理が食べれるのですか?」

「それはもう! 楽しみにしといてください!」

「なんで俺まで…」

 

 

 さて、始まった第一回ブリテン0円食堂。

 

 まずは要らなくなった食材を調達してきたカルナとクーフーリンが二人に今日振る舞う料理について紹介をしはじめる。

 

 画用紙を使いながら、クーフーリンはアーサー王とモードレッド卿にわかりやすいように今日の食事についてこう話をしはじめた。

 

 

「今日作るのは、まずはこれ! ラム肉の唐揚げに、鯛の煮付けやね」

「ラム肉の唐揚げに鯛の煮付け?」

「ラム肉?」

「せやね、唐揚げはお二人は食べた事あります?」

「いや、無いですね、食べるのは初めてです」

 

 

 そう言って、食堂にて話を繰り広げるクーフーリンに場を任せたカルナは厨房に入り、下ごしらえしてある食材の調理をしはじめた。

 

 まずは、取り掛かるのはラム肉の唐揚げ。

 

 ラム肉に醤油、すりおろしたリンゴ、お酢、おろし生姜、おろしニンニクを手作りの袋に入れ、揉みしだき、味をよく浸み込ませる。

 

 それを今回は30分から1時間ほど既に放置して下ごしらえしてあるものを使う。

 

 水気を取り、片栗粉にまぶして食用の油で揚げていき良い色がつけば盛り付けて完成。

 

 ラム肉の唐揚げである。あとはリンゴを少しばかり添えてやれば多少なり、見栄えが良くなる。後は好みのマヨネーズなど調味料を付けてお召し上がりを。

 

 次にカルナが調理に取り掛かるのは…。

 

 

「さ、煮付けかぁ、久々だなぁ、これ作んのも」

 

 

 鯛の煮付け。

 

 生姜、醤油、みりん、砂糖、酒、水などの調味料を全てフライパンで火にかける。

 

 ふつふつとしてきたら切り身にした鯛の身を並べていき、3分ほど寝かせる。

 

 火をとめて、そのままねかせると更に味が染み込む。これならば、良い味が出そうだ。

 

 後はこれを盛り付ければ完成、鯛の煮付けである。

 

 早速、できた料理を食堂に運んでいくカルナ。並べられた二品を前にアーサー王は目を思わず輝かせていた。

 

 

「おぉ、これはまた…良い香りです」

「確かにアーサー王が言う通り。香りは良いな、しかし味はまだどうかは怪しいとこだ。毒が入ってるやもしれんしな」

「あ、大丈夫大丈夫、火を通せば大抵なもんは食えるから」

「いや、そう言う意味じゃ無いんだが」

 

 

 そう告げるカルナの言葉ににズルッと盛大に滑るモードレッド卿。

 

 

 ーーーーとりあえず焼いとけば平気。

 

 

 多分、モードレッドが言いたかったのはそう言う事では無いのだろうが、カルナは満面の笑みでサムズアップしていたので彼女はもう何も言えなかった。

 

 ひとまず、試食、まずはラム肉の唐揚げからである。ブリテンで育った羊の死体を捌き、良質なラム肉を揚げた一品。

 

 早速、卵と酢、サラダ油、砂糖、塩、コショー、辛子を混ぜ合わせ作ったマヨネーズに付けてアーサー王はそれを口に運ぶ。

 

 

「…はぅあ!?」

「ち、父上!? やはり貴様ら毒を!!」

「美味ぃ…、なんでしょうこの美味しい食べ物は、初めて食べました」

「へ…?」

 

 

 思わず、ラム肉の唐揚げを口に入れ涙を流すアーサー王の言葉に目を丸くするモードレッド。

 

 すると、そこからはアーサー王の食欲が一気に上がる。パクパクと自分の机に並べられたラム肉を食べ終えると次は鯛の煮付けへ。

 

 鯛の煮付けの切り身を口に入れた途端、香ばしい香りと今までに無い食感が彼女の口の中に広がった。

 

 

「う、うぅ…! …こんな美味しい御飯があるなんて…! 今まで生きてきてよかった!」

「泣いてる!?」

「ささ、モーさんも食べてみ? 美味しいで?」

「うぐ!?…たくっ! じゃあねーな!」

 

 

 すると、モードレッドは甲冑の頭部を仕舞いフォークを使い始める。

 

 その頭部の甲冑を外す様はまるでロボットの変形のようにかっこいいものだった。これにはクーフーリン達も思わず目を輝かせた。

 

 今までにいろんなものを見てきたがこんな風に音を立てて変形する甲冑を見るのは二人も初めてである。

 

 YARIOであればこれに感動しないものなどいるはずもない。

 

 

「うお! すげー! トラン◯フォーマーみたいや!」

「かっけー! これどうなってんの!?」

「…!? は、はぁ? あ、そういや、お前達の前で甲冑外すの初めてだっけ?」

 

 

 そう告げるモードレッドは甲冑の変形に興奮する二人に目を丸くしていた。

 

 モードレッドが顔の部位の甲冑を外すのは確かに二人の前では初めてだ。であれば、驚くのも無理はない。

 

 それはともかく、モードレッドの素顔がこれで露わになった訳だが。

 

 

「あ、モーさんそんな顔してたんだ」

「綺麗な顔してるじゃんか、甲冑で隠すの勿体無いよ」

「っ…!? るっせーな! 別に良いだろうがっ! はむ!」

 

 

 そう告げるモードレッドは声を荒げながら褒める二人の言葉に照れ隠しの様に目の前にあるラム肉の唐揚げを口に入れる。

 

 すると、ラム肉を口に入れたモードレッドはしばらく目をパチクリさせると先ほどまで険しかった表情が柔らかくなり、ほっこりとした表情を浮かべた。

 

 口に入れただけで、その味が今までに食べた事の無いカルナが作った0円料理が美味だと彼女も理解したのだろう。

 

 

「はぅ〜…美味い…、なんだこれ、めちゃくちゃ美味しいぞ!」

「せやろ、喜んでもらえて嬉しいわ」

「お粗末さまです」

 

 

 こうして、食堂で0円食材を振る舞うクーフーリン達。

 

 ブリテンで取れた0円の食材、これだけで美味しいものは出来る。その事を彼らはモードレッドとアーサー王に伝える事が出来たに違いない。

 

 さて、続いては本題について二人に話をしなければならないだろう。果たして、二人は無事にモードレッドを引き連れてくる事ができるのだろうか?

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 ブリテンで0円食堂ーーーーーーーNEW!!

 

 アーサー王0円料料を堪能ーーーーNEW!!

 

 モーさんの素顔を披露ーーーーー NEW!!

 


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