ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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作り手の思いを伝えたい

 

 

 キャメロット城食堂。

 

 手に入れた食材を使い、YARIO達が作る美味しい日本食を堪能したアーサー王とモードレッド。

 

 さて、ここからは本題だ。二人に食事を振舞ったのは他でもない、お願い事があったからである。

 

 

「それで、アーサー王さん…。先ほど食べた食事なんですけど…」

「私の事は私用の時はアルトリアで構わないですよ。なんですか?」

 

 

 口についた食べ物の汚れを綺麗に白い布巾で拭いながら食事に関して話すカルナに首を傾げるアーサー王ことアルトリア。

 

 すると、クーフーリンは頭を掻きつつ、先ほど提供した食事について、彼女に語りはじめた。

 

 それは、この提供した食事についての話である。

 

 

「実はこの料理、未完成なんですよね」

「…!? なんですって!それは本当ですか!」

「マジかよ! こんなに美味しいのに!」

 

 

 そう、料理が未完成だという事だ。

 

 というのも確かに美味しい唐揚げや煮付けの味付けは申し分ないもので、これを食べたアルトリアとモードレッドは大層満足していた。

 

 だが、しかし、よく見てみればわかる。この料理には決定的に欠けているものがあった。

 

 その欠けているものとは。

 

 

「新鮮な野菜、彩りが全く無いし栄養偏ってまうからね、これやと」

「そういう事なんですよ」

「!?…確かにそう言われてみれば…野菜がありませんでしたね…」

 

 

 新鮮な農作物であり、身体の健康を整える野菜、これが不足していた。彩りも少なく、これだと確かに味は美味しいが、なんだか物足りなさを感じる。

 

 それに、これだけオカズがあれば、欲しくなる筈の炭水化物、これもまた、ここには不足していて当然出してない。

 

 この事を踏まえた上でクーフーリンはアルトリアにこう話をしはじめた。

 

 

「僕ら、今、ブリテン島の荒れた土地の開拓をしているんですけども、そこで、新鮮な農作物やこんな風な料理を作れる食材を作ろうかと考えてまして」

「…!…それは面白そうですね、それで?」

「ここにいるモードレッドさんにその土地を管理する領主になってもらって、その土地を発展させていきたいなって考えてるんですけど」

「…!? おい! ちょっと待て! 聞いてないぞ! そんな話!」

 

 

 それはYARIO達が掲げる盛大なプロジェクト。

 

 ブリテンにある地域を緑豊かな資源のある地域に開拓しようという、壮大な計画であった。その名も。

 

 ーーーーーカタッシュ村。

 

 以前、訪れた福島県の村でYARIO達は様々な人に支えられながら、その村を見事に発展させ、開拓していった。

 

 王様作りという土台の上で、彼らがまず思い浮かべた情景はまさにあの村。

 

 あの村こそ、彼らの原点であり様々な事を学び成長させてくれた場所なのだ。

 

 そんな、村の様な場所をこのブリテン島でも作りたい、彼らはそう思っていた。

 

 そして、村を発展させ、いずれはブリテンの島の人々に自分達が学んだ事を伝えていってあげたい。自分達の前の師匠がそうだったように…。

 

 

「僕らの作るこんな料理が、みんなに食べられるようになってくれたらホンマに嬉しいんですよね」

「…確かに、これは今迄に食べたこと無いほどに美味でした」

「…っ!…我が王!…ですが!」

「ならば、この料理がブリテンの皆が食べれる様にしてあげるのが王の勤めですね。モードレッド、貴方にこの件を任せてもよろしいですか?」

 

 

 そう言って、アーサー王は柔らかい口調で自分と同じく、彼らの出した料理を口にしたモードレッドに問いかけた。

 

 よく考えれば、こうして父子と食事を取るのは初めての事ではなかっただろうか? そんな中、アーサー王はモードレッドに使命を授けた。

 

 あの様に美味しそうに食事を取る父の姿をモードレッドは目の前で初めて見た。

 

 そして、更にそんな美味しい食事を取る幸せを民草に分けてあげたいと、アーサー王は自分を信頼してこうして改めて使命を与えてくれた。

 

 今迄、見向きもされていないと思っていた遠い存在が、まるで、身近にいる様にモードレッドは感じた。

 

 モードレッドはすぐに膝を折ると、アーサー王の前でこうべを垂れ、真剣な眼差しで王の前でこう宣言する。

 

 

「…承りました。 その任、この円卓の騎士が一人、モードレッドが受けさて頂きます」

「えぇ、貴方が作りあげたものがどんなものであるのか、しっかり見定めさせてもらいますよ」

「…はいっ!」

 

 

 アーサー王のその言葉に嬉しそうに頷くモードレッド。

 

 理想とする王からこうして信頼され、使命を言い渡されたのだ。これに燃えない騎士は居ないだろう。

 

 というのも騎士というのは今日までの話、絵になる二人のやり取りを見て居た二人は感動のワンシーンを頷きながら見届けた後、膝を折るモードレッドに近寄り、あるものを手渡しはじめる。

 

 そのあるものとは…。

 

 

「いやぁ、ホンマに絵になるなぁ、それじゃモーさん、はいこれ」

「…ん…なんだこれ?」

「鍬ですね」

「…………………」

 

 

 何を隠そう、モードレッドに手渡したのはクーフーリンお手製、スカサハから貰った鍬にしたゲイボルクである。

 

 これさえあれば、どんな開拓だってなんのその、食堂の椅子に座るアーサー王の前で膝をついていたモードレッドは目をパチクリさせてそれを見つめている。

 

 そして、それを手に取るとクーフーリンとカルナはモードレッドの肩をポンと叩き、満面の笑みでサムズアップしていた。

 

 

「これでモーさんも僕らの仲間やね!」

「似合う! 似合う! いやぁ、やっぱりモーさんが鍬持つと様になると思ってたんだよ」

「……………いや、なんだこれ」

「では、後のことは任せましたよ! 私はこの後用事がありますので」

「合点承知!」

「ちょっ…!? 父上!? まっ…!」

 

 

 そうこうしているうちに、食事を終えたアーサー王は食堂をそそくさと後にしてしまう。

 

 食堂に取り残されるモードレッド、確かに王は忙しい身だ。この後、いろいろな予定が詰まっていることはモードレッドにも理解できる。

 

 理解はできるが、このタイミングで一人にされるとこれはこれで困る。しかし、彼女の手にはしっかり鍬が握らされていた。

 

 

 ーーー鍬が似合う騎士。

 

 

 こうして、アーサー王との交渉の末、YARIOの新たな仲間にモードレッド卿が鍬を持って加わる事になった。

 

 彼女の本職が騎士というよりも農家の人になる日もそんなに遠くはないだろう。

 

 

 

 一方、その頃、聖剣の作り方について、湖の貴婦人の元を訪れているスカサハ達、四人はというと?

 

 王様作りの名職人マーリンさんから案内され、その湖の貴婦人がいるという湖の側へと訪れていた。

 

 さて、湖を訪れたのは良いが、湖の貴婦人にどう接触するのか、生憎だが、ここにはドアがない故、いつもの様にこんにちはー! というわけにもいかない。

 

 

「斧落としてみる? 金の斧か銀の斧かとか言われるかもしんないけど」

「うーん…そうだねぇ、師匠どう思う?」

「それより私が泳いで引っ張ってきた方が早くないか?」

「あの…やめて貰っていいかな…、一応、僕の弟子みたいなものだから…」

 

 

 そう言って、湖の前で腕を組みながら相談する四人に顔をひきつらせるマーリン。

 

 スカサハに関しては準備万端と言わんばかりにグルグルと肩を回しているものだから、尚更、本気で強引に湖から貴婦人を引きずり出しそうな雰囲気があった。

 

 とはいえ、このままでは湖の貴婦人に会えるかどうか定かではない。

 

 

「仕方ないねー、マーリンさん、仲介お願いできないかな?」

「お願いします!」

「うん、まぁ、そうなるだろうなとは思ってたよ」

 

 

 こうして、スカサハ達はマーリンから仲介をしてもらい、湖の貴婦人に取り次いでもらう事にした。

 

 マーリンとしても仲介しなければ、スカサハが湖に飛び込んで本気で湖の貴婦人を引っ張り出すだろうという嫌な勘が働いていたためにこれは彼としても得策だろうという判断。

 

 何をしでかすかわかったものではない彼らよりもこうして自分が取り次いだ方が実に平和的である。

 

 しばらくして、マーリンが取り次いでくれたお陰もあってか、湖の貴婦人が彼らの前に姿を現した。

 

 そして、姿を現した湖の貴婦人にベディヴィエールはいつもの様に笑顔を浮かべ挨拶をする。

 

 

「こんにちはー! 僕らYARIOという者なんですけど、実は鉄腕/fateという企画で聖剣の作り方についてお訪ねしたい事がありまして…」

「なんだか、急な来訪ですねマーリン」

「いやぁ、すまないね」

 

 

 そう言って、苦笑いを浮かべながら湖の貴婦人に謝罪するマーリン。

 

 呼び出された湖の貴婦人はと言うとなんだか不機嫌そうだ。それもそうだろう、いきなり来たと思えばやれ斧を投げ入れてみようだの、湖の中から自分を引っ張りだすだのと湖の前で話をされていたのでは機嫌も悪くなるのも必然だ。

 

 一応、師であるマーリンが呼びかけたので呼び出しには参上したが、彼女としてはすぐにでも湖の中へ帰りたいという気持ちがあった。

 

 

「私の名はヴィヴィアンと申します。さて、それで…聖剣に関しての話でしたか?」

「そうなんですよ、僕ら聖剣を作りたいので造り方を教わろうとヴィヴィアンさんに教わりに来た次第でして…」

「そうでしたか、貴方、名前は?」

「あ、俺はディルムッド・オディナと言います、こちらがヴラドに挨拶したのがベティ、こちらに居るのが俺らの師匠のスカサハ師匠ですね」

「ふぅん、そうですか…」

 

 

 そう言って、ヴィヴィアンと名乗る湖の貴婦人はジッと品定めする様に彼らを見つめる。

 

 確かに見た限り彼らは名高い英雄の様な雰囲気がある。それと、同時に周りにいる精霊達も彼らの放つ不思議な雰囲気が気に入っているようだ。

 

 農業に精通している彼らはある意味、農業の精霊みたいなようなもの。

 

 なるほどとマーリンがこの場所に彼らを導いた理由がなんとなく理解できたヴィヴィアンは笑みを浮かべたまま話をしはじめた。

 

 

「それで聖剣の造り方でしたね、聖剣の造り方ですが…私は存じ上げません」

「えー…マジかー」

「あれは星が造ったものですから」

「そっかー、星が造っちゃったならわかんないよね、それは」

 

 

 その湖の貴婦人、ヴィヴィアンの言葉に納得したように頷くYARIO達。

 

 早速、聖剣作りが頓挫してしまった。しかし、ここでディルムッドはある事を思いつく、それは…。

 

 

「じゃあさ、星が造ったもので剣打って作れば聖剣になんじゃないかな?」

「あ…! なるほど! その手があったか!」

「なるほどね! じゃあ星が造ったものをハンマーにしたりすればいいわけだ!」

「いいわけないだろう、何さりげなくとんでもない事をしようとしてるんだ君達は」

 

 

 思わずマーリンは右斜め上の発想をする3人に顔を引きつらせてそう告げる。

 

 星が造った宝具のものを改造しハンマーを作り、それを使って剣を造って聖剣にするなんてとんでもないのも良いとこである。

 

 

 ーーー僕らの本業はみんなのスター。

 

 

 あらがち間違ってはいない。確かにアイドルなのだから、その通りである。

 

 話を聞いていたスカサハ師匠もこれには大爆笑であった。

 

 星が造ったものを打ち直してハンマーにして、さらにそれを使って剣を作るなんて聞けば笑いが出て当然だ。

 

 しかし、ディルムッドはこう話を続ける。

 

 

「あ、兄ィが持ってる槍、確かあれ対神宝具とか言ってたなそういや」

「じゃあ! それハンマーにして剣作ろうよ! 素材はなんがいいかなぁ凄い鋼材がいいよね」

「あとは、ほら、鋼材いろんなとこから探して来てさ」

「あはははははは!! お前達は本当に面白いなぁ」

「…うん、…まぁ、好きにしたら良いと思うよ…」

 

 

 こうして、マーリンから湖の貴婦人まで導かれた四人は聖剣についてどうするかの話を纏め、ひとまず、聖剣作りは手探りで行う事に方針は決まった。

 

 星が造ったものを自分達の手で作る。それには材料と聖剣にするのに必要な道具が必要だ。

 

 確かに、湖の貴婦人の元へと赴いたが造り方が結局は分からないというアクシデントはあったものの、ならば、造り方自体を自分達の手で編み出すのもまたチャレンジである。

 

 四人は湖の貴婦人から貴重な話を聞いて、湖を後にする事にした。目指すは荒れた土地に待つクーフーリン達の元だ。

 

 

 いよいよはじまった聖剣作りにブリテン開拓。

 

 さて、彼らの挑戦は上手くいくのだろうか? そして、この続きは…!

 

 次回の鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 聖剣の造り方を自己流でーーーーーーーNEW!!

 

 モーさん農家の仲間入りーーーーーーーNEW!!

 

 ブリテンにカタッシュ村を設立予定ーーNEW!!








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