ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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現代に限りなく近い島国――
忘れ去られた小さな島で、
海を、大地を、空を拓く戦い。


歪み無き金色の杯を、神々から祝福されし五人でひとつの英霊達が創り上げる。

fate/grand order

特異点EX
『超越開拓地区 DASH島』

好評配信中。



カタッシュ村開拓記 その1

 

 

 さて、前回の鉄腕/fateでモードレッド卿を仲間に加えたカタッシュ隊員達。

 

 アーサー王から使命を受け、カタッシュ村開拓予定地まで足を運んだモードレッドだったが、この目の前に広がる広大な荒地を見た途端に鍬を担いだ彼女は目を丸くしていた。

 

 

「なんだこれ! こんな場所開拓すんのかよ! 頭おかしいんじゃねぇのか! おい!」

「こらこら、そんな言葉の使い方しちゃあかんで、モーさん」

「そうだぞ、やってやれないことはない! 土なんて変えりゃいいんだからさ」

「はぁ!? なんだそれ!?」

 

 

 そう言いながら、広大な荒地を何事もなく平然と見つめる彼らの言葉に目を丸くするモードレッド。

 

 どんなに耕しても豊かになる情景がモードレッドには思いつかないが、二人は俄然やる気になっている様子だ。

 

 とりあえず、鍬を持ったからにはやる事は一つ、耕すだけ、二人はせっせと土地を耕す作業を開始しはじめる。

 

 

「あー! もう! しゃあねぇな! たく!」

 

 

 そして、そんな二人の姿を見せられては任を承ったモードレッドも黙って見てるわけにはいかない。

 

 そんな二人に続くように土地を耕しはじめる。今は荒地となっているこの地域だが、どんな風に生まれ変わるのだろうか?

 

 …とそこへ。

 

 

「おー、やってるやってる、ただいましげちゃん」

「帰ったかー、どうやった?」

「まぁ、手ごたえは上々って感じかな? あ、そっちが…」

「モーさんじゃん! じゃあ今日から…」

「せやで」

「よっしゃ! テンション上がって来た!」

 

 

 そう、ディルムッド達がこの場所に帰還して来たのである。

 

 メンバー全員が集結、となれば、開拓もより捗るのは明白だ。

 

 彼らの師匠であるスカサハはツカツカとモードレッドに近寄ると品定めするように彼女の顔をジッと見つめる。

 

 

「ふむ、こやつがモードレッドか? まだまだ小娘だな」

「…っあ!? 今なんつった! テメェ!」

「あ、モーさん! その人は…」

 

 

 そう言いながら、小娘呼ばわりしたスカサハにすかさず突っかかるモードレッド、その目は殺気に満ちており、スカサハを殺さんとするばかりだ。

 

 怒りのあまり、静止しようとするベディヴィエールの言葉に耳を貸そうとしないモードレッド。

 

 すぐさま、持ってきていた自前の剣を構えた彼女はスカサハに向かってそれを振り下ろさんとするが…。

 

 

「遅いな、まだまだ甘い」

「がぁ!?」

 

 

 間合いをスカサハに詰められると同時に顎を掌で打ち上げられ、大きく仰け反った。

 

 それを見ていたカタッシュ隊員一同はあちゃーとばかりに頭を抑える。

 

 スカサハ師匠はこう見えてもバリバリのガテン系女子、しかも、武闘派だ。下手すれば熊を片手で遊んで倒せるくらいの技量を持っている。

 

 

「ぐ…くっそ…! ぶっ殺して…」

「もう! あんたら何しとんの! ホンマ! アホやないんやから!」

「あいた!?」

「…っつう! 何する! しげちゃん!」

「あ、オカンフーリンだ」

 

 

 …っと二人がヒートアップしそうな瞬間、オカンと化したクーフーリンの拳骨が二人の頭に直撃する。

 

 痛みのあまり、その場で拳骨を受けた二人は険しい表情を浮かべ頭を抑えている。今から殴り合いか殺し合いになろうという時に水を差されたのだ。そうなるのも当たり前な話。

 

 しかし、頭を抑えた二人が振り返った先には、背後に仁王と化した大阪のおばちゃんの守護霊を身に纏しケルト神話の大英雄が立っていた。

 

 仲間同士で揉め事があれば、リーダーであるクーフーリンが本気を出す。それが、仲間内のリーダーというポジションだ。

 

 

「あんたらは仲ようせなアカンやろ! モーちゃん! なんであんたは手出したんか!」

「…いや、だって俺のことを小娘って…」

「女の子なんやから当たり前やろ! しかもこんな危ないものもって! 怪我したらどないすんの!」

 

 

 いつの間にか、クーフーリンから土の上で正座させられた二人はシュンと縮こまりしおらしく仔犬の様に大人しくなっていた。

 

 流石、オカン力A+は伊達ではない、仁王と化した大阪のおばちゃんの迫力は凄まじいのである。オカンフーリンは怒髪天だ。

 

 モードレッドは正座のまま、涙目になりながら両手の指をちょんちょんと合わせている。

 

 

「あ、いや、それは…その…」

「師匠も師匠や! もうちょい穏便に済ませなあかんやろ! 女の子にあんなことしたりしたらあかんよ!」

「…はい、ごめんなさい」

 

 

 そして、師匠であるスカサハも申し訳無さそうに小さくなっている。オカンとなるクーフーリンを見るのは2回目だが、その迫力は以前と同様に健在であった。

 

 クーフーリンはふぅ、と一通り説教をし終えると一息つくと正座をしている二人の肩をポンと叩きいつものように優しい笑みを浮かべる。

 

 

「うん、互いに悪いとこがあったら謝る。それがちゃんとした人間の基本やで、ほら、アメちゃんあげるから仲ようしいや」

「…うっ…うう…ごめんなさい…かあちゃん…」

「そうだな、私も配慮が足りなかった。気をつけるよ、しげちゃん」

「ええんやで、はい、アメちゃん」

 

 

 そう言いながら、アメちゃんを一個づつスカサハとモードレッドに配るクーフーリン、その眼差しは慈母の様に優しかった。

 

 大阪のおばちゃんは時に厳しく、しかし、世話焼きでとても優しいのだ。

 

 

 ーーーーシゲフーリンオカン。

 

 

 確かに謎の包容力があり、昔ながらのいいオカンな彼は皆のまとめ役として申し分ない、こんな風なトラブルは仲間内でも起きることはある。それをどう丸く収めるかがアイドルのリーダーとしての技量が問われるところだ。

 

 それを、遠目から眺めていたカタッシュ隊員達はというと?

 

 

「モーさんついにしげちゃんの事、お母さん言っちゃったよ」

「うんうん、やっぱり仲良しは良いことだよね」

 

 

 鍬を持ちながら土を耕しつつ、反省している二人を見ながらほっこりした表情を浮かべていた。

 

 やはり、自分達のリーダーなだけあって伊達ではない、実に頼り甲斐がある。

 

 すると、説教をし終えたクーフーリンは再び鍬を持ったところである事に気がついた。それは…。

 

 

「え!? モーさん女の子やったん!?」

「今更かい!」

 

 

 そう、勢いで説教をしたのはいいが、なんと我らがリーダーここに来てようやくモードレッドが女の子であるという事実を知る事になった。

 

 そのあまりの天然振りにディルムッドも突っ込みを入れざる得なかった。確かに、性別についてはクーフーリンとカルナは存じていなかったがディルムッドが言う様に説教を終えて今更である。

 

 と、何やら内輪で揉め事が発生しそうになったもののこうして和解した我らがカタッシュ隊員達は再び鍬を握り開拓を再開しはじめた。

 

 まずは鍬を使って土を耕さなくてはいけない、何事も土台が大切なのである。というわけで…。

 

 

「ここはこうして、鍬を持って入れる。こんな感じに」

「へぇ、そんな感じに鍬って使うんだ…えぇと…」

「あ、俺の事は兄ィでいいよ、あとディルはディル兄ィね! あとはヴラドと…ベティは前の同僚だからわかるでしょ?」

 

 

 そう言いながら、笑顔を浮かべて、鍬の指導をしていたカルナはモードレッドにメンバー全員を紹介する。

 

 言われてみれば、出会い頭、モードレッドは小娘と言われスカサハに斬りかかったのでちゃんとした紹介をされてなかった。

 

 カルナからメンバーの紹介をされたモードレッドは鍬を握ったまま、満面の笑みを浮かべてこう答える。

 

 そのモードレッドの表情は何やら色々と吹っ切れたようなそんな笑顔だった。

 

 

「あぁ! オーケー!兄ィ! そんじゃよろしく頼むぜ」

「応ともさ! それじゃ、さっきの続きだけど」

「すごく…勉強になる…」

 

 

 そこから、モードレッドへの農業に関するYARIO達の英才教育がはじまった。

 

 まずは土の知識から、土は水捌けの良い土が農作物を作るのに適している。これを見極める術をモードレッドはクーフーリンやカルナから学んだ。

 

 

「こうやって土を触って見るといい土かどうかわかるんやで、だいたい固形やなくて粒子が細かい丸い土が農作物がよく育つ土なんや」

「…ほぇー、でもなんでだ?」

「粒子が細かいと、根っこの下まで水が届きやすいし植物も根を伸ばしやすいんだよ」

「なるほどなぁ…」

 

 

 農作物に適した土作りから豊かな土地は出来上がる。

 

 水捌けが悪い固形の土では農作物は上手く育たない、昔に彼らが学んだ知恵、それがこのブリテンの地でも生きる。

 

 そして、ディルムッドやヴラドからは料理を学んだ。調味料や味付けの仕方、食べられる野草や包丁の使い方などいろんな技術を彼らからモードレッドは教わった。

 

 ベティヴィエールとADフィンからは作業のしやすい小道具の使い方、作り方と木材などの加工の仕方、そして、壊れた物のレストアのやり方など今まで見たことがない物を彼女は目の当たりする事になる。

 

 スカサハからは武術の基本やルーン魔術について教わった。レストアした物にルーン魔術をどのように適用するのか、はたまたルーン魔術がどんな風に使えるのものかをモードレッドは学ぶことが出来た。

 

 

 そうした経験をする事一ヶ月。

 

 すっかり、板についた鍬の作業と農作業着、そして、晴れやかな笑顔と土を耕す彼女の姿がそこにはあった。

 

 思春期だった彼女はすっかりいろんな経験を積む中で少しずつ大人になっていた。トゲトゲしかった彼女も今ではすっかり彼らに溶け込んでいる。

 

 

「昔もあんなんだったな俺たちも」

「年をとるにつれて丸くなってまうもんなぁ」

「俺たちもモーさんみたいに昔のYARIOに戻ろうぜ! 今はただただ丸くなっちゃってるけどさ」

 

 

 そう言いながら、畑仕事に勤しむモーさんを眺めながらしみじみと感じるクーフーリン、ディルムッド、カルナのおっさん3人衆。トンがっていたあの頃に戻りたい。

 

 

 ーーーー最近丸くなってきたYARIO。

 

 

 いろんな意味で丸くなってきてるのかもしれない、モーさんのキラキラしている光景を見ていた3人衆は改めてそう感じるばかりであった。

 

 そんな中、畑を耕し終えたモーさんは顔に泥をつけたまま鍬ボルクを担いでおっさん3人衆の元へ。

 

 

「なぁなぁ! かあちゃん! 兄ィ達!見てくれよ! ここ全部俺がやったんだぜ!」

「…いやぁ、上達したなぁ凄いよモーさん」

「モーさんは筋がええからなぁ、ようやったでー」

「えへへ、そんなに褒めんなよ照れるじゃんか」

 

 

 そう言いながら、クーフーリンに撫でられ頬を染めたモードレッドは照れ臭そうに3人に笑みを浮かべながら告げる。その顔は実に幸せそうであった。

 

 彼らは面倒見が良く、実にモードレッドを可愛がっていた為、彼らにモードレッドが懐くにはそれほど時間はいらなかった。

 

 今まで自分が嫌っていた女の子扱いも彼らならば特に気にすることもない。素の自分でいられる分、尚更、この場所が彼女には楽しい居場所になりつつあった。

 

 さて、それなりに下地は整った。あとは植える野菜や農作物などを決めていかなくてはいけないだろう。

 

 

「さてと、そんじゃとりあえずお茶でも飲むか、一息入れよう!」

「お、いいね!」

「そういやこの間、スズメバチの巣見つけたんだけどさ」

「お、マジで! ここにスズメバチの巣とかあったんだ」

 

 

 なんと、ここでカルナが近隣の森でスズメバチの巣を発見。

 

 これは駆除しなければ、いずれ開拓の障害にもなるかもしれない。でも、それはとりあえず後回し。

 

 まずはお茶で一息入れるのが先だ。

 

 

「あ、モーさんお茶飲んだことあったっけ?」

「ん? お茶? いや、無いな、聞いたこともねぇし」

「なんだ? また面白い話でもしてるのか? 私も混ぜろ」

「…うぉ!? 師匠! いや、今からみんなでお茶でも飲もうかと思ってまして」

「お茶?」

 

 

 そんなこんなで、お茶の話をしている間にスカサハ師匠も彼らの会話をどこからか聞いてかすっ飛んできた。

 

 さて、こうして、お茶を作る事になったカタッシュ隊員達だが、果たして今回作る事になったお茶とは?

 

 この続きは! 次回!鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 スズメバチの巣を発見ーーーーNEW!!

 

 ブリテン開拓開始ーーーーーーNEW!!

 

 モーさんファモさんになるーーNEW!!

 

 

 

 


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