ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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カタッシュ村開拓記 その2

 

 

 ひとまず、前回、作業に一息入れる為にお茶作りをする事にしたクーフーリン達。

 

 いろいろなお茶を作ってきた我らがリーダーを筆頭に今回も新たなるお茶作りに茶レンジする事に!

 

 さて、その本題となる、今回作るお茶だが…。

 

 

「あ! しもた! お茶にする予定の物がまだ無かったわ!」

「えー、マジかよ、しげちゃん…」

「リーダーそりゃないぜ、俺と師匠、お茶飲むの楽しみにしてたのに…」

「むぅー…、しかし無いものをねだっても仕方あるまいな」

 

 

 ここにきて、お茶にする原材料がないことが発覚してしまった。

 

 本来ならば、お茶にするなら枇杷の葉なんかが好ましいが、今、手元には枇杷の葉も無い。

 

 となれば、簡単に手に入るお茶の原材料となるものとして考えつくのは一つしかない。

 

 ここで、クーフーリンは閃いた。そうだ、確か、森の中には…。

 

 

「…せや! スズメバチの巣があるって言うてたな!」

「え? もしかしてあれ使うの?」

「…これしかない!」

 

 

 残念そうにしているモードレッドとスカサハ師匠の顔を見たリーダークーフーリンはそう思い立った。

 

 そう、そのスズメバチの巣を使えばきっと、美味しいお茶ができるに違いないと。

 

 スズメバチの巣を作ったお茶。それは、二年前、見つけた空になったキイロスズメバチの巣。

 

 クーフーリン達は以前、見つけたこのスズメバチの巣を使って、お茶を作る事に成功した。ならば、今回も…。

 

 

「やりますか」

「やりましょう」

 

 

 お茶にして飲むことが出来るはず。

 

 作業で乾いた喉にはやはり栄養があるお茶が必須。だが、ここで二人は肝心な事を忘れていた。

 

 それは、その時飲んだお茶の味である。しかし、お茶作りはクーフーリンの生きがい。だが、以前、作った飲んだお茶は全て…。

 

 

『うぇ…』

『くそ不味ィ…』

 

 

 そのどれもが、強烈な味わいで、口に入れたカタッシュ隊員達もこれには阿鼻叫喚。

 

 

 ーーーー飲めたもんじゃない。

 

 

 だが、それでもお茶を作った本人であるクーフーリンは何事もなくそのお茶を噛みしめるように飲んでいた。

 

 玄人ならではの味わい方、それをクーフーリンは心得ている。

 

 

『…………………』

 

 

 ーーーー若造にはまだ早いねん。

 

 つまり、このスズメバチの巣を使ったお茶作りは失いかけていたクーフーリンの生きがいを取り戻す為の挑戦。

 

 二度目の失敗はないだろう。彼らには、前に学んだ知識もある。

 

 早速、スズメバチの巣がある現場に向かうクーフーリン達。

 

 以前のカタッシュ隊員達の目撃証言を元にしばらく森林の中を歩くと、その発見した巣に近づいてきたのかスズメバチの姿も。

 

 これには、流石のカルナも。

 

 

「あースズメバチいたねー、一旦戻ろっか」

「え? なんでだよ、この先にスズメバチの巣があるんだろ?」

 

 

 スズメバチの姿を発見したところで一旦撤退を進言。

 

 それには、何故わざわざ巣を発見したのに撤退する必要があるのかとモードレッドも首を傾げた。

 

 確かにこのまま巣に向かっても相手はあのスズメバチ。何もない状態では危ない事は明白だ。

 

 刺されでもしたら大ごと、スズメバチには凶悪な毒針がある事はカタッシュ隊員達なら誰でも知っている。

 

 

「モーさん痛い思いしたくはないやろ? プスってやられるで、プスって、しかも、下手したら死んじゃうかもしれへんからな」

「そ、それはやだな…、刺されて痛い思いしたくないもんな」

 

 

 モードレッドはクーフーリンの言葉に納得したように頷く、確かに相手は自然が生み出した産物。

 

 舐めてかかれば痛い目を見るのは明白だ。ここはしっかり準備をして相対する事が一番賢いやり方である。

 

 

「私は刺される方じゃなくて刺す方が好きだ、蜂程度素手ではたき落としてやるんだが」

「さすがにそれは危ないですから一旦引きましょう? 師匠」

 

 

 そう言って、スズメバチに対しての意見を述べるスカサハに顔を引きつらせながら突っ込みを入れるクーフーリン。

 

 確かに、彼女の場合はスズメバチを全部手ではたき落としそうな気がする。

 

 しかし、スカサハ師匠もレディである、ここはアイドルとして彼女を淑女として扱わねば。

 

 さて、そういう事でスズメバチを発見した一同は一旦退却し、対策を講じることにした。

 

 長年に渡り培った経験、その経験からわかる。スズメバチに相対する方法、それは…。

 

 

「フルセット着てやれば今すぐ(スズメバチを)駆除できる」

「え? 何? もしかして、さっき話してたスズメバチの巣を駆除する気なのおたくら?」

「あ、ディル兄ィお帰りなさい」

 

 

 森の中から撤退してきたカルナ達と同じく、鍬を担いで開墾から帰ってきたディルムッドがその会話を聞いていたのか目を丸くしながら告げる。

 

 スズメバチに対して長年に渡り戦ってきた彼らにはその戦い方は身についている。

 

 

 ーーーー四年以上も蜂と戦った猛者達。

 

 

 ならばこそわかる。スズメバチを退治するある物さえあれば、奴らを駆逐できるという確信。

 

 YARIOVS外来種のスズメバチ。

 

 スズメバチと戦う術はカルナとリーダークーフーリンは既に持ち合わせている。数々の戦場を経て不敗、スズメバチには負ける気がしない。

 

 

「(スズメバチを駆除する為の)フルセットあるから」

「もっと大きいの駆除したことあるから」

「あんた達何なの? 業者の方?」

 

 

 ディルムッドの言葉も全くもってその通りである。聞く限りスズメバチ駆除に関する業者の人の会話だ。

 

 モードレッドも二人の逞しい会話に目をキラキラしていた。あの凶暴なスズメバチを難なく駆除できると言ってのけるのだから大したものである。

 

 

「夏前だから、そんな、攻撃的ではないからね」

「せやねー…早くした方が巣もでっかくならんやろうし」

 

 

 ーーースズメバチ駆除の方法を学んで数年。

 

 もはや、彼らにはスズメバチ駆除も慣れたもの。ならばあとは道具さえあれば良い、そして、そんな事前の準備が完璧な黒子役がYARIOにはいる。

 

 それが…YARIOを支える名スタッフ。

 

 

「フルセット来たよーADフィンが持って来てくれた」

「ちゃんとあるな、流石や!」

 

 

 そう、ADフィンがいるのである。

 

 道具は揃った。これで、安心してスズメバチとも戦える。

 

 白いフルセット、ヤリオーIII。

 

 これさえあればもう鬼に金棒だ。早速、スカサハ師匠もフルセットに身を包みクーフーリン達と共にスズメバチの元へ。

 

 流石にフルセットにはスズメバチ達も敵わない。モードレッドに関してはヤリオーIIIではなく宝具、不貞隠しの兜をADフィンが改造し作り上げたフルセット、ファモさんIIIを装着済みだ。

 

 変形するようにファモさんIIIを装着するモードレッドを目の当たりにしたクーフーリン達はというと?

 

 

「やっべー! 何それ! モーさんのフルセットだけカッコ良すぎだろ!」

「えへへ、そうかな?」

 

 

 そのフルセットの出来栄えにテンションが上がっていた。

 

 今まで見たことないフルセット。ファモさんIIIには宝具としての能力はもちろんスズメバチ駆除にも役立つ加工をADフィンから施されている。

 

 これで、モードレッドも晴れてスズメバチ駆除の業者に仲間入りである。これさえあればプライベートのスズメバチ駆除も容易にできること請け合いだ。

 

 さて、こうして、完全防備のクーフーリン達は奥へと進み、スズメバチの巣を探索する。森奥に進むにつれ増えてくる蜂達。

 

 

「木の上にあるかどうかやな」

「そうだねー」

 

 

 それは、数年前、対馬列島でのスズメバチ駆除の経験から知っていた…。

 

 直径70cmもなるスズメバチの巣は地上から20mにもなる木の上に、これは天敵であるクマなどから身を守る術。

 

 冬になると、女王蜂は越冬、働き蜂も死に中は空に…しかし、今回はあいにく冬ではなく、夏前の季節、今からスズメバチが活発になるかならないかの瀬戸際。

 

 

 ーーーー狩るなら今しかない。

 

 

 そして、歩く事数分、そこには…。

 

 

「あーおったおった」

「やべ! すげーいる! 怖い!」

「大丈夫大丈夫、フルセット着てるから」

「ふむ、これだけいるとやはり迫力があるな」

 

 

 大きなスズメバチが群がる巨大な巣が…。

 

 怖がるモードレッドと冷静なスカサハを置いて、まずは、カルナとクーフーリンが先導するように巣に近づき状態を確認。

 

 巣の場所は発見した。そして、スズメバチの巣を発見してまずやる事は…。

 

 

「燻ってみようか」

 

 

 煙で燻る、これも、経験済み。これにより蜂は山火事と勘違いし逃げたり気絶したりする事も。

 

 これで蜂がいなくなったことを確認すると、次に巣の回収をし。さらに、巣の中にいるスズメバチを駆除するため手順通りに蜂の巣を回収するクーフーリン達。

 

 スズメバチと格闘すること数分、その巣にいるスズメバチは全部取り除き、無事に巣を回収。

 

 

「よし、持ち帰るか」

「一応、燻ながら帰ろう、中におったら大ごとやからな」

「うぉ! でっけー! すげー!」

「うむ、これが蜂の巣とはな、驚きだ」

 

 

 それから、戦利品である巣をカタッシュ村へ持ち帰る。道中、そのあまりのサイズに驚くスカサハとモードレッド。

 

 二人ともスズメバチの巣を目の当たりにするのは初めての出来事。そこで、クーフーリンは二人にフルセットの中からサムズアップしこう告げはじめた。

 

 

「今度は二人にやって貰おうかな? 手順はさっきの通りやで」

「やるやる! やってみてぇ!」

「なるほどな、勉強になった」

 

 

 次は二人がスズメバチの巣を回収する番。これさえできれば、スズメバチ駆除ができるカタッシュ隊員が増えてクーフーリンとカルナの二人としても大助かりである。

 

 持ち帰ったスズメバチの巣を解体し、中にいるスズメバチの幼虫をクーフーリンとカルナはフルセットを着たまま取り除き、分ける。

 

 これには理由があった。

 

 

「この幼虫、ピザにして食べると美味いんだぜ」

「マジかよ! すげぇ!」

 

 

 そう、スズメバチの幼虫をピザにして食べると美味しいのである。これにはモードレッドも度肝を抜かされた。

 

 これは以前、蜂&蜂の子ピザを食べた時の経験から二人は知っていた。

 

 食料問題が深刻なブリテン、いずれはこのフルセットを普及させ、このスズメバチを使った料理もモードレッドを通して普及してもらえたらという彼らの願いがそこにはあった。

 

 ひとまず、スズメバチの巣はこれで中身も無くなり綺麗になった。後はこれでお茶を作る。

 

 

「さて、蜂の巣は確保できたな…。残り半分は食料にするとして…」

「ねぇ、しげちゃん、本当に作るの?」

「せや! この新鮮な蜂の巣なら美味しくなるかもしれへんやろ」

 

 

 ーーーーリベンジマッチや。

 

 復帰戦に燃える我らがリーダー、クーフーリン、生きがいであるお茶作りをしてこそ、この、カタッシュ村の開拓にも力が入るというもの。

 

 半分にした蜂の巣を持って、ひとまず、カタッシュ村にあるクーフーリンとカルナが応急で作った一軒の簡易民家へ。

 

 さぁ、久々のお茶作り、クーフーリンも目が輝いている。

 

 

「それ大丈夫なのか?」

「漢方であるんやで? こんな感じのやつが」

 

 

 確かに以前、作ったお茶では雨などにさらされボロボロになった蜂の巣を使う露蜂房という漢方をモデルにお茶を作った。

 

 しかし、味は濃すぎ、惨敗、なので今回は新鮮な蜂の巣なら大丈夫だろうとお茶作りに使ってみることにした。

 

 この光景を苦笑いを浮かべて見つめるカルナを見ていたモードレッドが不安げにクーフーリンに告げるが問題ないと言わんばかりに作業を黙々と続ける。

 

 露蜂房に含まれる亜鉛やミツロウには精力増強と解毒の効果など様々な健康に良い成分が含まれており、平安時代の天皇も好んで飲んでいたとか。

 

 まずは、エキスを取り出すため蜂の巣を細かく砕く。中には女王蜂がいる事もあるがそれは既に取り出し既に食料にしてあるため、砕いている最中に出てくる心配もない。

 

 

「おー、いい感じ」

「これはなかなか…」

 

 

 クーフーリンが砕く蜂の巣を興味深く見つめるスカサハ。

 

 初めて目の当たりにするクーフーリンのお茶作りにモードレッドもスカサハも興味津々だ。結果出来上がるお茶がどんな味なのか知らない二人はだからこその新鮮な反応。

 

 これには、クーフーリンも思わずにっこり。

 

 だが、心配は募る。カルナもこの光景に思わず。

 

 

「大丈夫なの? これ?」

 

 

 と思わず口に出してしまう。だが、クーフーリンの手は止まらない黙々とお茶作りに励む。

 

 

 ーーーー素人は黙っとれ。

 

 

 そして、続いては煮る作業に入る。砕いた巣からタンパク質やミネラル分を溶かし出す。

 

 

「あー、なんか木の匂いやね」

「ん…本当だ」

 

 

 クーフーリンの言葉に頷くモードレッド、確かに漂う木の香り、これには、カルナからも思わず笑いが溢れる。

 

 色が濃くなったら巣に含まれている成分が煮出せた証、殺菌も兼ねて30分。

 

 

 ーーーーーー30分後。

 

 

「煮出せたかな」

 

 

 蓋を開けてみると、そこには広がる黒いエキスが、いかにも濃ゆそうな色合い。そして、蓋を開けた途端に広がる匂いが…。

 

 これには、クーフーリンも思わず手ごたえを感じる。

 

 

「あ、すごい匂いするじゃん」

「あ、なんかする、なんかするね」

 

 

 以前とは異なる匂い、しかし、まだ油断はできない。

 

 あの強烈な味は未だに舌が覚えている。カルナはその匂いに若干、嫌な予感を感じでいた。

 

 

「これがスズメバチの巣の甘酸っぱい匂いや」

「クンクン…。確かに甘酸っぱい匂いがする」

「…うむ、確かに」

 

 

 その匂いを確かめるモードレッドとスカサハの二人、完成したスズメバチ茶の匂いに期待を膨らませつつ納得したように頷く。

 

 しかし、よく見てみると色が真っ黒、これには、クーフーリンも思わず。

 

 

「多分、カラーチャートやとこれが一番端やな」

 

 

 そう、今まで作ってきたどのお茶よりも色が極端に濃い、見た限り地雷臭しかしないそのお茶。

 

 香りこそ甘酸っぱいものの、既にカルナは確信していた。これは今回もリーダーはやらかしたのだろうと。

 

 ーーーーまずはリーダーから。

 

 

「…お〜…これは」

 

 

 思わず声に出してしまうほどの味

 

 しかし、リーダークーフーリン、身体に染み渡る栄養を感じ取ったのか飲んだ後に話を続ける。

 

 

「今までに飲んだ事ない味。でも身体に良いのはわかる、前作ったやつよりちょい飲みやすいかも」

 

 

 その食感と味に手ごたえを感じていた。

 

 確かに色の濃さは一緒だが、今回は新鮮なスズメバチの巣。味は前よりも酷くはないかもしれない。

 

 続いてこのスズメバチ茶を飲むのはカルナ、モードレッド、スカサハの三人。

 

 果たして…その味のほどはいかに?

 

 

 そして、この続きは…次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 モーさんの鎧がフルセットにーーーNEW!!

 

 魔のスズメバチ茶を製造ーーーーーNEW!!

 

 スカサハとモーさん業者になるーーNEW!!

 

 スズメバチの駆除の指導ーーーーーNEW!!


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