ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか? 作:パトラッシュS
さて、前回の鉄腕/fateでコノートでの採掘を許可されたクーフーリン達。
新たに同行することになったスーパーケルト農女、メイヴちゃんを仲間に加えやって来たのはとある山の麓にある洞窟。
コノートの城からおよそ数キロほどだん吉で移動したところにその洞窟はあった。
「いやー、立派な洞窟やね」
「うむ、こんな場所があるとはな、修行にも使えるかもしれん」
「師匠、何の修行する気ですか?」
そう言って、綺麗に広がる洞窟の入り口に立ちスカサハに突っ込むディルムッド。
確かに修行と言ってもディルムッドやクーフーリンが思いつくのは滝に打たれたりなどという修行だ。
しかし、スカサハはツルハシを担ぐ二人にニヤリと笑いかけるとこう話をし始める。
「知りたいか? まず、洞窟にいるコウモリを刺激して…」
「あー、なるほどね格闘漫画でなんか読んだことあるわ、それ」
「むぅー、私に最後まで説明させんか!」
「あいたっ!」
そう言ってスカサハは納得したように話すディルムッドの頭をかるくコツンと軽く小突く。
まさか、そんな知識がディルムッドにあると思っていなかったスカサハは少しだけ不満気味になっていた。
スカサハ的には最近、弟子の修行をしていないせいもあって本職の血が騒いだというのに水を差されたような気分である。
まぁ、ともあれ、今回の目的は地上最強を目指す格闘士になるべく修行する事ではなく、聖剣作りに必要な鉱石を持ち帰る事だ。
「ねぇねぇ、クーちゃん、何処らへんから掘れば良いの?」
「そうやね、ひとまず…」
とディルムッドとスカサハがやりとりを繰り広げている間にメイヴがクーフーリンにツルハシの使い方と掘る箇所についてレクチャーを受けていた。
ツルハシを用いての採掘だが、これにはまず安全を確保した上で採掘を行う必要がある。
まずは、お目当ての鉱石を探すところからだ。ルーン探知機を使い、洞窟の中を探索して鉱石が採れそうな箇所を探す。
中にはスカサハが前に言っていたようにコウモリなどがいる可能性があるので刺激しないように松明を設置しながら奥へと進む必要があるだろう。
「中、暗いわね、足場に気をつけないと」
「なんだか冒険隊みたいやねー」
「小学生の頃だったらテンション上がってたんだろうけどね」
「歳重ねてまうとやっぱりそうなるよなぁ」
「そうか? 私は案外ワクワクしているぞ」
そう言って、洞窟を進むスカサハは何処か満足そうにクーフーリンに告げる。
ーーーー小学生のような冒険心。
スカサハ師匠は未だにその心を忘れていない様である。暗闇の中でも新たな発見があるのでは無いかという期待で満ち溢れていた。
非常にエネルギッシュな師匠である。カタッシュ隊員達にも見習って欲しいところだ。
さて、進む事、数十分後。
ある程度ツルハシを担いで洞窟を進んだところでルーン探知機に反応が…これはもしや…!
「お! ここらへんやね」
「はぁ…はぁ…。ようやく着いたのね…足が疲れちゃったわ…」
「ゆっくり休んでええよメイヴちゃん、ちょっと休憩挟んで作業再開する予定やからね」
「いやぁ、こんなわかりやすく反応出るもんなんだねルーン探知機」
そう言って、歩き疲れたメイヴちゃんを座らせて一旦休憩を取る事にするカタッシュ隊員達。
さすがに歩き疲れるのもわかる。洞窟の中はなかなか進み難い道もあり、その前には軽く山道を挟んで歩いて来た。
ここらへんで休憩を挟まねば流石に肉体的にも作業に支障が出るかもしれない、休めるときに休むのは必要な事だ。
さて、休憩に入ったところでカタッシュ隊員達も昼食もついでに取る事に、食事は働く前には大きなエネルギーになる。
「メイヴちゃんの分もちゃんとあるからね」
「…? 何かしらこれ?」
「え? メイヴちゃん食べた事無い?」
それは、ブリテンで採れた鯛の煮付け。
以前、0円食堂をした際に採れた鯛の仲間を調理した際、煮付けにしたものを持ってきた。
さらに、ディルムッドは醤油漬けにした鯛のお刺身を取り出す。
これを持って来たごはんの上に乗せ、さらに、持って来ていた熱いお湯をかけてやる。すると…?
「鯛の茶漬けと煮付け昼食セットの出来上がり」
「…何かしら…こんな食べ物初めて見るわね」
「はい、匙の方が食べやすいやろうからね」
「これ師匠の分ね」
「ん…すまないな」
そう言ってクーフーリンは持って来ていた匙をメイヴに手渡し、ディルムッドは食事を配り終える。
コノートの洞窟で食べるブリテンの魚を使った料理、そのお味は…?
「?! これ!? 美味しいわね! 食べたことない味だけど!! これディルが作ったの!?」
「リーダーと一緒に仕込んできたから、まぁ、二人で作ったって感じかな? ね? リーダー」
「前に使った魚、余ってて良かったなぁ」
「うむ、相変わらずの食事の腕だな二人とも」
ごはんに染み渡る醤油漬けにした鯛の味。
口に入れた途端にその風味が広がり、メイヴとスカサハの二人は満足気味にそう告げた。茶漬けという文化を未だに知らなかった二人には新鮮な味わい。
煮付けもまた、簡単な味付けであるが良い出汁が出ており、昼食にしては十分に満足できるようなセット。
「付いて来たのが俺で良かったぁ、リーダーと兄ィなら多分、下手したら洞窟にいるコウモリ焼いて食うとか言い出しかねないかんね」
「えー? でもカエルと蛇は焼いて食えるで?」
「なんでも焼けばいいという問題じゃない」
ーーーーたいがいのものは焼けば食える。
確かに焼けば細菌などのものは焼却できはするだろうが、なんでも焼けば食っていいという発想は料理人、ディルムッドには理解しがたいものがある。
リーダーもそうだが、カルナに関しても無人島に流れ着いたお弁当箱を開けて中身が意外と食べれそうだとか、とりあえず口に入れて味を確かめるだとか大概の野生児だ。
そんな、二人が揃えば食えそうなものを焼いて塩などで適当に味付けした挙句食べるに違いない。
「失礼やなぁー僕は意外と料理上手いんやで?」
「前まで味音痴だったじゃん、お茶作りに関してもだけどさ」
「………。そんなことあらへんよ?」
「今の間は何?」
そう告げて、視線を逸らすクーフーリンにディルムッドはジト目を向ける。
兎にも角にも、昼食も無事に済ませ、作業に入る準備はこれで整った。後は鉱物を掘り出すだけだ。
ツルハシの指導をメイヴに行いながら無理なく作業を再開し始めるカタッシュ隊員達。さぁ、お目当の鉱物を手に入れて来ることはできるのだろうか?
さて、一方その頃、牧場作りに勤しんでいるカルナはというと?
「ぶぇっくしゅい!? ん? 誰か噂してんのかね?」
「おーい兄ィ、杭の設置場所ここでいいのん?」
「んあー? あぁ、そこに打ち込んどいて」
ブリテンにあるカタッシュ村にて、木槌を片手に牧場作りに励んでいた。
というのも、前回の鉄腕/fateで酪農を始めるにあたり、牧場の建設に取り組む必要があったからだ。
動物を調達しに出かけたスカサハはいつの間にかだん吉に忍び込んでおり、モードレッドが彼女の分まで動物を集めに奔走。
そして、ただいま、カタッシュ隊員の一人であるヴラドがその牧場作りを手伝っているのである。
「モフモフ♪ モフモフ♪ モッフモフ♪」
「おーいモーさんや、上機嫌なのは良いけどお兄さん達を手伝っておくれー」
「…んへへー、羊って意外と可愛いんだよなぁ」
「メェー」
そう言いながら、モフモフする羊の毛に顔を埋めるモードレッドを微笑ましく見守りながら告げるカルナ。
羊を集めにモードレッドが頑張ってくれたおかげで、ある程度の動物は確保出来てきた。他にも馬に牛、そして、ヤギの姿も…。
これならば、養殖していき、いずれは安定した食料供給をブリテンにできるようになるのも近い。
後は牧場作りを進めて、整地を行い、動物達が住みやすい環境を作ってあげなければ。
羊のモフモフをしばらく堪能し、カルナから杭と木槌を受け取ったモードレッドも同じく牧場作りに加わる。
「いやー楽しみだなぁー兄ィ! こいつらが国を豊かにするんだもんな!」
「そうだぞー、だからこうやって牧場作ってこいつらが住みやすいようにしてやらないとな」
「…はぁ、だからその間、動物が逃げ出さないように僕が呼ばれた訳か…」
「その通り! 流石は師匠! 頼りになります!」
そう言いながらため息を吐くマーリンにカルナはにこやかな笑顔を浮かべたまま、サムズアップをして応える。
牧場作りに欠かせないのが、このマーリン師匠の魔法。トラック作りを手伝っていた彼をわざわざベディ達の元から借りて来た。
現在はモードレッドが捕まえてきた野生の動物達に大人しくする魔法を掛けてもらい、足留めをしてもらっている。
こうする事で、興奮して動物達が逃げ出さないようにしているのである。この状態が保てるのであれば牧場作りの作業が終わるまでなんとかなりそうだ。
「むふふ、どうなるか楽しみだなぁ…」
「そうだねー、モーさん」
「牧場おっきくなったら父上どんな顔するかなぁ」
「びっくりするんじゃない? モーさんすげぇ!? ってなると思う」
「マジか!? よーし! ならもっと頑張らなきゃな!」
キラキラしながら作業をするモードレッドの姿に思わずほっこりするカルナ。
最近になって教えた技術がものになってきたせいか、筋が非常に良くなってきてる。これならば、いずれは山城作りに聖剣作りにもモードレッドが加わる事ができる筈だ。
…と、ここで、カルナは何かを思い出したようにポンと手を叩く。
「あ、そうだ。モーさんに渡すもんがあったんだわ」
「? へ? なんだ渡すものって?」
「これなんだけどさ、流石に年頃の女の子が農作業だけじゃって思って、リーダーと作ったのよ、服」
そう言いながら、思い出したカルナはそのモードレッドの為にクーフーリンと作った服を取りに作りかけの農場の小屋の中へ…。
それは、牧場を作るにあたり二人がだん吉に乗りわざわざモードレッドの為に素材を集めて作り上げた手作りの洋服。
白のチューブトップに切りとられた茶ジーンズの短いパンツという、身軽さを追求した洋服であった。
「カウガールってのがあってさ。テキサス州とかで流行してたみたいなんだよねこの格好、モーさんに似合うかと思って」
「おぉ!? こいつはかなりイカすなぁ!! やっぱり兄ィとリーダーのセンスは最高だぜ!」
「茶色の長ジーンズもあるけど…」
「いや! 俺はこれが気に入った! これ着る! 絶対着る!」
どうやらモードレッドのお気に召した様子であった。動きやすくてその上、牧場に似つかわしい格好、それに何よりもデザインが気に入った。
動きやすくて、その上、着やすいとくればモードレッドも大満足だ。
「そっかそっか! 作った甲斐があった。後はこれな?」
それは良かったとカルナは喜ぶモードレッドに頷きながら、フリスビーのように彼女に何かを投げる。
モードレッドはカルナから投げ渡されたそれを難なく軽く片手でキャッチした。
「ん? なんだこれ?」
「カウボーイハット、これが無きゃやっぱりはじまんないでしょ?」
「こう被れば良いのか?」
モードレッドはカルナから投げ渡されたカウボーイハットを首を傾げながら被る。妙に頭にしっくりくるそれは、モードレッドにぴったりであった。
ファモさんもとい、可愛い牧場娘、カウモーさんの出来上がりである。
カタッシュ村の牧場に可愛い看板娘がこうして無事に出来上がった。じゃじゃ馬娘がじゃじゃ馬に跨る図が見れる日もそう遠くはないだろう。
「さて、そんじゃ渡すもんも渡したし、さっさと終わらせて一休みしようか、どうせ一日じゃこれ出来上がんないしね」
「そっかー、まだ完成までは時間かかる?」
「後数週間掛からない位じゃない?」
そう言いながら、首を傾げながら訪ねてくるヴラドに告げるカルナ。
農場の敷地の整地はもちろんだが、動物達を収納する小屋もいる。まだまだ完成は先になる事が予想されるだろう。
マーリン師匠にはその間、負担を強いる事にはなるが…。
「この程度の魔法くらいなら、まだ美味しい食事と睡眠さえあればなんとかなるね」
「ごめんね、マーリンさん、美味しい食事ならしっかり作るからさ…。ヴラドが」
「え!? そこは兄ィが作るんじゃないの!?」
「えー…」
「えー、って何、えーって」
「俺もヴラド兄ィの料理たべたいなぁ」
「あー…もう、仕方ないなぁ全く」
ヴラドはカルナとモードレッドにそう言われ、致し方ないと肩を竦めてため息を吐く。
協力してもらっているマーリン師匠がいる手前、美味しい食事を提供して奮起してもらわなくてはいけない。
そこで、この串焼き公、ヴラドの腕の見せどころというわけだ。
「そんじゃ食料調達してきてよ、鶏肉とかその他もろもろ」
「よっしゃ任された! 行くぞ! モーさん!」
「しゃあ! 狩りの時間だー!」
カルナからそう言われたモードレッドは手頃な剣を片手に力強く彼に応える。
そう、まだ牧場も農場も穀物や動物達を入れたばかり、食料は別口から手に入れなければならない。
ならば、どうするか? 答えは簡単だ。現地調達すれば良いのである。これが、彼らが無人島を開拓する上で学んだ事。
食べれそうな野草、そして、お肉、魚などならこのブリテンを探せば見つかる筈。カルナとモードレッドは勇ましくカタッシュ村の周辺に食料が無いか早速散策に向かった。
さて、牧場作り、聖剣作りも順調に進みつつあるカタッシュ隊員達。
果たして村を開拓する彼らは無事に目標を達成できるのだろうか?
この続きは…! 次回、鉄腕/fateで!
今日のYARIO。
だいたい焼けば食えるーーーーNEW!!
カウモーさん上機嫌ーーーーーNEW!!
カタッシュ村牧場完成間近ーーNEW!!
服が作れるアイドルーーーーーNEW!!