ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか? 作:パトラッシュS
露天風呂作りに取り掛かったクーフーリンとスカサハ達。
以前、福島県のダッシュ村で作った風呂作りの知識を活かしつつ、この風呂作りに取り掛かる訳だが。
「のう、しげちゃん。こんな感じでいいのか?」
「流石師匠、綺麗に切り倒せてるなぁ、切り口見事やね」
「ふふん! こころなしか木の気持ちもわかってきた気がするぞ! 別に撫でて褒めてもいいんだからな♪」
「あー、はいはい、よくできました」
そう言って、丸太を担いでいる師匠の頭を撫でてあげるシゲフーリン。
どこかの赤王様みたく褒めろと子供っぽいところを見せる師匠にリーダーも思わずほっこりとしてしまう。
そんな二人のやり取りを見ていたメイヴちゃんは羨ましそうにその光景を眺めていた。彼女もプクーと頬を膨らませながら鋸をギコギコと動かし木を加工している真っ最中である。
「うー、私のクーちゃんに擦り寄って…むー!!」
「メイヴちゃんや、変に力入れすぎてるよ肩の力抜かなきゃ」
「まぁ、あの二人はずっと前から師弟関係だったからね」
「あれ? 師匠を褒める弟子ってなんかおかしくない?」
ディルムッドとベディヴィエール、そして、ヴラドの三人はメイヴの言葉に突っ込みを入れる。
確かに師匠が弟子に撫でられる図とはかなりシュールだ。しかしながら、スカサハに一番気に入られているのはリーダーであることは既に皆は周知の事。
ーーーなんだか微笑ましい図。
この露天風呂作りを通して二人の仲がさらに良くなってくれたらなと思うカタッシュメンバー達。
さて、露天風呂作りといえば、我らが親方、カルナの出番、そんなカルナはというと今はモードレッドに付いて工具の使い方を伝授していた。
インドにてたくさんの建設を手がけたカルナの自慢の職人技がここでも光る。
「ボロボロだな、断面図」
「そうだねぇ、兄ィ、これ使えるの?」
「こいつは俺達の人生と一緒だぜ? 使わなきゃかわいそうでしょ」
そう言って、訊ねてくるモーさんにキリッとした表情で告げるカルナ、それにはなぜだか謎の説得力があった。
ーーー確かにいろんな事があった。
まぁ、それはさておき、風呂作りは経験から作り方はわかる。木の香りが立ち込める中、加工した木を使い風呂を作っていく。
以前ダッシュ村で作った処女作ではリーダーとアヒル隊長が入浴していた際、水圧に耐えきれず、前面の板が外れて崩壊した。
そのため、厚い板を使って作り直し、その後数年間風呂として活用したが、風雨にさらされ水漏れを抑えきれなくなったため、浴室つきの鉄砲風呂に作り変えた。
そして、もちろん、風呂桶作りだけではなく水も引いてこなくてはならない。
ならば! 山からの水を通す水路を自作しなければ!
以前は無人島で水が山の方にしか出ていなかったため、自力で水路を作成。途中途中に様々な技術を使い長い長い水路を完成させた。
今回もこれをやる必要がある。
「てな訳で川から水を引いてくるわけなんですけども」
「…水路かぁ…俺作った事ないもんな…」
「俺達がちゃんと教えるから安心しなさいな」
「…ディル兄ィ…。うん! 俺頑張る!」
「よーしよし! なんだろうね、この可愛い娘」
「むー! ガキ扱いすんなよ!」
「あははは、俺らおっさんだから仕方ないね」
そう言って、ワシワシと優しくモーさんの頭を撫でるディルムッドに苦笑いを浮かべながら肩を竦め告げるカルナ。
彼らの心境的には娘か妹が居たらこんな感じなんだろうかという具合なのだが、モーさんはどうやらそれがご不満のご様子。
すると、メイヴの方を見たモーさんはビシッと指差しながら彼女にこう告げ始める。
「やい! 兄ィやリーダーに手出したら許さないからな! 絶対お前なんかに渡すもんか!」
「ふーん、なら奪われないようにせいぜい頑張らないとね♪ メイヴちゃんは欲しいものは手に入れる女だから」
「なんだとー! 見てろよ! お前なんかに負けないくらい凄い水路作ってやんだからな!」
「へー、なら私はクーちゃんと一緒に凄いお風呂作って二人で…ふふふ…」
そう言って、何やら言い合いをしはじめるモーさんとメイヴの二人。
ただでさえファザコンを拗らせているモードレッドだが、どうやら、ブラコンにマザコンも併発しかけているようだ。ちなみにマザコンはシゲフーリン(オカン)に対してだが…。
これにはディルムッドとカルナの二人も顔を見合わせて肩を竦める。
メイヴに限ってはあんな事を言ってるが、リーダーと風呂に入ると言い出すあたりわかって無い。
リーダーと風呂に入っても大概良いことはない。
現に以前作ったお風呂ではアヒル隊長と一緒に入って露天風呂作ったのはいいが浴槽の壁壊れてリーダーがお湯とともに落下してしまった。
それに、下手をすれば入浴後に入浴剤にどれだけ保温効果があるのか検証すべく雪原を走り出したりする事も…。
メイヴの場合はビキニでそれをやる羽目になるだろうが、付き合わされる彼女の姿を想像した二人は左右に首を振らざる得なかった。
ーーーコノートの女王が裸一貫で雪原へ。
どんな絵面だと言わざる得ない。
リーダーならまだしもそれに彼女が付き合おうとするならば全力で阻止せねばと二人は固く誓うのだった。
まぁ、でも露天風呂からリーダーと落下する彼女のリアクションはちょっと見てみたいと思ったのはここだけの話である。
さて、というわけで、メイヴに威嚇する猫みたいなモーさんをヒョイと掴み上げてひとまず水路作りに取り掛かるカルナとディルムッド。
そこで使うのが長い竹、日本に行った際、立派な竹が何本かあったのでこれを繋ぎ合わせて使う。
「結構幅あるな、これ」
「懐石料理の器みたいだね」
「鯛のお刺身入れて欲しいな」
水路に使う竹を繋ぎ合わせながら、感想を述べるカタッシュ隊員達、確かに、これならば立派な水路になりそうだ。
懐石料理の盛り付けにも申し分ないほどの幅、立派な竹である。
ディルムッドは竹をジッと見つめながらこう語りはじめた。
「万が一、次のサミットがここになっても大丈夫」
「へ? なんでだ?」
「各国の首相をここでおもてなしできるよ」
ディルムッドはそう言って、立派な竹を見つめながら頷く。
ほんとに当たり前のように木槌使うし当たり前のように竹割るし各国の首相もおもてなしできる、これでアイドルだと言うのだから驚きだ。
ーーーサミット会議は是非カタッシュ村へ
実際にやってみても面白いかもしれない、モーさんはディルムッドの話を聞いてアーサー王に進言してみようかなとちょっと考えてみた。
今度の円卓会議をカタッシュ村で行うのも面白いに違いない。
しかしながら、この竹はあくまで水路の為の竹だと後にカルナに言われ、モーさんは少しばかりしょんぼりとしてしまった。
まずはカタッシュ村に水路を引く事が最優先だ。
以前は水路500mを開通させた実績を持つ彼らにかかれば、たかだかこの村の水路を作るくらいわけない。
あの水路は森の古井戸から森を抜け、海を渡り、繋がった。
その経験がここにも活きる。木槌を握るモーさんの手にも力がこもる、このカタッシュ村に対する思い入れは彼らと過ごすうちに日に日に強くなっていた。
「よし、以前の師匠達に習った通りにやれば必ずうまくいくよ」
「…以前習った師匠達?」
「そうだよ、木の師匠、土の師匠、石の師匠から俺達はいろんな事を教わったからね」
作業をしながら二人は質問を投げかけるモーさんに笑顔で頷く。
以前作った水路は彼らだけの力ではない、彼らを支えてくれた職人達がいたからこそなし得る事が出来た水路だ。
水路作りのオールスター集結、そんなプロフェッショナルから直々に教えを受けた彼らに作れない水路など無い。
「…やっぱりすげーよ兄ィ達! !」
「へへへ、俺達が凄いって言うか、これを考えた人達が凄いんだよ」
「そうだよ、先人に感謝しないとね?」
「よーし! 俺も水路作りのプロになるぞー!」
ディルムッドとカルナの話にますますやる気に満ち溢れるモーさん。そんな、彼女のやる気に思わず二人もほっこりしてしまう。
そんな、三人は水路を露天風呂に引く為、せっせと繋ぎ合わせる。
さて、そんな中、一方のお風呂作りに取り掛かるメイヴとクーフーリン、スカサハ、ヴラド、ベディの五人はというと?
「水圧で崩壊しないようにしとかないとね」
「もう、作ったのもかれこれ十年前くらいだからなぁ」
「えー、そんな経つっけ?」
そう、かれこれ風呂作りも結構前の出来事。
かれこれ十年くらい前、ダッシュ村で作った露天風呂。きっかけは露天風呂巡りだったが…。
しかし、身体が作り方を覚えていた。ダッシュ村での風呂作りの経験が生きる。処女作は失敗こそしたものの、その失敗があったからこそ風呂作りもこうして無事に出来るようにまで成長した。
「…へぇ、貴方達、本当になんでもできるのね」
「あ、メイヴちゃん、ここ抑えててもらえる?」
「え? あ、うん、こうかしら?」
「そうそう! ありがとね!」
メイヴが抑えた箇所を木槌で叩くヴラド、その表情は真剣だ。以前なら、こんな作業はできなかったが今なら問題なくやれる。
他の箇所はベディが手を加えた。そして、風呂に使う木材の加工はスカサハとクーフーリンの二人が立派な丸太を形にしていく。
「鋸はこうして…腰を入れるとやり易いですよ」
「なるほど、こんな感じか?」
「そうそう、ホンマに木の気持ちわかってきた感じありますね!」
「ふふふ、お前の師匠だからな」
二人の息はバッチリ、木の加工法を丁寧にクーフーリンから学びながらスカサハ師匠は木材の加工に励む。
そして、ADフィンと小次郎さんの二人は…?
「この辺の木ですかね」
「よし、ならば切るか、あの木なんてどうだろうか?」
「いいじゃないですか!」
木材の調達に力を注いでいた。こうする事で、カタッシュ隊員達への負担を少しでも軽減でき、作業効率も上がる。
木材の加工に少しでも時間が裂けれるような配慮、これならば、露天風呂の完成もそんなに日を跨ぐ事なく出来る筈。
そして、マーリン師匠は…?
「こ、こら、リンダ! 晴男! やめるんだ! 僕のマントは食べれないと言ってるだろ」
「メェー」
酪農で飼育しているヤギ、晴男とリンダと名付けられた二頭のヤギの世話をしていた。
というのも、ヤギはこの二頭だけではないが、この二頭のヤギの言うことを周りのヤギ達が良く聞くのでこうして群の中心である二匹を軸にマーリンは牧場にいる動物たちに魔法をかけている。
柵もまだ不十分なところもあるし、こうして誰か酪農に必要な動物たちを見る役目をする必要がある。
その役目にマーリンが抜擢された訳だが、現在、困った事にヤギ二頭からガジガジとマントを齧られているのである。
「…君からも説得しておくれよキャスパリーグ」
「フォーウ」
「いや、君も僕のマントをガジガジするのはおかしいんじゃないかな!?」
そう言って、ヤギと共にマントをガジガジとしはじめるキャスパリーグに思わず声を上げるマーリン。
このマントは使い物にならなくなるかもしれない、そうマーリンはため息をつくほかなかった。
とはいえ、彼もこれはこれで楽しんでいる節はある、動物たちの面倒を見るのは骨は折れるが割とやり甲斐はあった。
この土地を中心にブリテンを発展させようとする彼らの姿勢にも共感できる部分があり、不満は無い。
「はぁ、全くもう…」
「フォーウ」
「…君を見たら彼らなんて言うだろうね? そのモフモフした部分服に加工されるかもよ?」
「フォウッ!?」
「うん、割と冗談じゃないんだよこれが」
そう言いながらヤギと共にマーリンのマントをガジガジしているキャスパリーグににこやかな笑顔を向け告げるマーリン。
割と嘘でなく本当に彼らならやりかねない、確かに品質に関してはかなり良さそうだ。
さぁ、風呂作りの方も順調に進んでいる中、各自カタッシュ村で奮闘する隊員達。
風呂作りの筈が、水路も作る羽目になったが、果たして、無事に皆がゆっくりと疲れを癒せる露天風呂は出来上がるのか?
この続きは!次回の鉄腕/fateで!
今日のYARIO。
ブリテンに露天風呂を作るーーーーーーーーーNEW!!
ブリテンに水路を作るーーーーーーーーーーーNEW!!
モーさんがブラコンとマザコンを併発気味ーーNEW!!
円卓サミットができる村ーーーーーーーーーーNEW!!
褒めると伸びるスカサハ師匠ーーーーーーーーNEW!!
メイヴちゃん風呂作りに奮闘ーーーーーーーーNEW!!
国の首相をもてなせるアイドルーーーーーーーNEW!!