ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか? 作:パトラッシュS
失われた仲間達を探すため違う世界へ飛ぶためにデロリアン『だん吉』を共に作り上げる事になったクー・フーリンとスカサハ。
世界を『だん吉』で飛び越えた二人はYARIOの一人であるフィオナ騎士団、板前料理長ディルムッド・オディナに再会する事となる。
再会を喜ぶ、YARIOのリーダー、クー・フーリンとディルムッド・オディナ。
YARIOの仲間に再会したリーダーのクー・フーリンとその師匠であるスカサハは手厚くもてなされ、フィオナ騎士団の本拠地の砦であるアルムの砦へと案内された。
だが、再会したクー・フーリンはディルムッドの話を聞いて深刻な出来事に直面する事になった。
そのディルムッドの話というのは…。
「…そうか、まさか僕らのADが…そんな事になってたやなんて…」
「あぁ、なかなか深刻だぜ、リーダー、それに問題はADフィン足立だけじゃない」
「なんだ、それだけじゃないのか?」
「あぁ、最近、デッカい猪が出て俺たちフィオナ騎士団が耕した畑が手酷く荒らされてんだ…」
深刻そうにディルムッドは深いため息を吐いてクー・フーリンとスカサハの二人にそう語る。
まずは、フィオナ騎士団団長であるADフィンが年老いており、ADの作業が困難であるという事。
そして、もう一つは凶暴な異父弟の化身である耳と尾のない大きな魔猪が自分やフィオナ騎士団の皆がせっかく耕した畑を荒らしに来るという悩みであった。
どれも大変な悩みである。確かに、ADフィンの力はYARIOには必要不可欠なものだ。これから先、ADフィンの協力が無ければ今後の活動にも支障が出て来てしまう。
畑に関してもそうだ、猪のせいで新鮮な食材が手に入らなくなるのはあまりにも酷い、それに、猪が出たとなれば怪我人や死者が出てしまう可能性がある。
その話を聞いた我らがリーダー、クー・フーリンは拳を握りしめて熱い感情を前面に押し出しバンと机を叩いた。
「よっしゃ! 決まりやな! まずはADフィンからや!」
「決まりだと? どうする気だ?」
「つまり、ADフィンを若返らせたらええんやろ?」
「何!? フィンを若返させるだと! 馬鹿な!?」
そう言って、机を叩いて告げるクー・フーリンに声を上げるフィオナ騎士団の団員、ロナン。
若返らさせたらいいと簡単に言うが、それは、すなわち不死の類の術でも持ちいらなければ不可能な業だ。
そして、スカサハもまたクー・フーリンの言葉に目を丸くしている。仲間を若返らせるなどという考えを聞かされれば、そうなるのは当たり前だ。
スカサハは神霊の類を狩り続けた事により、信仰が集まりすぎた結果、神の領域に片足を突っ込んでしまいそれにより人間の枠を越え、不死になってしまった女性である。
そんな、彼女にしてみても仲間の若返りを行うなど神に反逆するようなクー・フーリンの発想にあまりにも度肝を抜かされた。
しかし、それだけに逆に興味をそそられるものがある。
「…あははははは!! 本当に面白いなお前は! 流石は儂の弟子だ!」
「でしょう? ナイスなアイディアでしょ!」
そう言ってスカサハにサムズアップして満面の笑みを浮かべるクー・フーリン。何故だか、それは周りには清々しい程に爽やかなものに映る。
しかし、それを静かに聞いていたディルムッド・オディナはYARIOのリーダーであるクー・フーリンの言葉に納得したようにポンと手を叩いていた。
「あ、その手があったか、流石はリーダーだわ」
「!? ちょっとまてぇ!! ディルムッド! 何でお前は平然と納得してるんだ!」
納得したように頷くディルムッドに思わず突っ込みを入れるフィオナ騎士団の一員でありフィンの息子であるアシーン。
しかし、そうと決まれば彼らの行動は早い、すぐさま、その場で今後どうするかの打ち合わせをしはじめた。
「ちなみにどのレベルからはじめる? リーダー」
「せやなー、若返りって言ったらやっぱり薬やろ?」
「やっぱり原材料から集めるのか? 今回も」
「話を聞け! お前ら!!」
そう言って、淡々と話を進める彼らに声を上げて突っ込みを入れるアシーン。
何故か、もう自分の父親であるフィンを若返えらせる方向で話がトントン拍子に進んでいればそうなるのも致し方ない。
だが、彼らは顔を見合わせると首を傾げる、別になにもおかしな事は言っていない。単に仲間であるフィオナ騎士団団長のフィンを若返らせADとして復帰して貰おうとしているだけである。
そこで、クー・フーリンはある事に気がついた。
「あ! 師匠! そういや、僕ら自己紹介まだでしたやん!」
「む? おぉ、そう言われてみればそうだったな」
「違う! そうじゃないんだよぉ! 確かにしてないが!」
そう言われて、打ちひしがれるように地面に両手をついて項垂れるアシーン。
それを見ていたフィオナ騎士団の騎士団員であるロナンも頭が痛くなってきたのか額に手を当てて左右に首を振り、ルガイドはそれを見てゲラゲラと笑っていた。
それから、とりあえず改めてその場にいる3人に自己紹介をはじめる。
「僕はクー・フーリンって言います、そんでもってこちらが師匠の…」
「スカサハだ、よろしく頼む」
「……は?」
その瞬間、その場の空気が止まった。
彼は今何と言っただろうか? 更に言うなら隣の女性もサラッととんでもないことを言っていた様な気がする。
クー・フーリン? スカサハ? いやいやいや、おかしな話である、今から昔の伝承に残されている英雄の名前では無いだろうかと彼らは顔を見合わせた。
「も、もう一回いいですか?」
「あ、クー・フーリンです、呼びにくかったらしげちゃんでもええよ?」
「私はスカサハだ、私も呼びにくかったら…」
「いやいや、師匠は愛称とか無いですやん」
「む、そうか、何か考えとかねばな…サーちゃんとかどうだろう?」
「なんか大佐っぽいですね、返事がサー、イエッサーとか言わされそうな気がするのは僕だけやろうか」
「いいな、それ」
「あかん、僕、余計な事言うてもうたかもしれん」
そう言って、もう一度、アシーンに問われた名を告げて漫才みたいなやり取りを行うクー・フーリンとスカサハの二人。
それを見ていたディルムッドはウンウンと頷いてそのやり取りを見ていた。しかし、二人の名を聞かされた3人の顔は蒼白である。
クー・フーリンと言えば、今から三百年以上前の伝承に残されている大英雄であり、スカサハと言えば影の国の女王でこんなところに軽いノリで来ていい様な人間ではない、というか神様に近い類の者である。
しかし、ディルムッドに関してはそんな大物達に対して実に親しく接していた。
こうなってくるとフィオナ騎士団の3人にはYARIOと呼ばれるもががよくわからない得体の知れないものの様に思えて仕方なく思えてくる。
「じゃあさー、サーちゃん師匠はリーダーの師匠って事は俺の師匠にもなるって事かな?」
「まぁ、そうなるか、じゃあ、お前も私の弟子だ」
「おー! なんか知らないけど俺、弟子になっちゃったよ! しげちゃん!」
「やったやん!」
そう言って、ディルムッドとクー・フーリンはサムズアップをし合いながら笑みを浮かべて互いに喜び合う。
それを、3人のフィオナ騎士団は呆然と眺めることしかできなかった。いや、それよりも色々突っ込みたいことが多すぎて、もはや、どうでもよくなってきたのかもしれない。
そして、彼らはとりあえず自己紹介が終わるとすかさず先ほどの打ち合わせに戻ることにした。
「そんで若返り薬ってどのレベルから作るの?」
「えーと、師匠なんかわかりますか?」
「んー、そうだな、私の知識が確かなら若返りの霊薬というものがあるはずだが…」
若返りの霊薬。
文字通り、飲んだ人間を若返らせる薬である。その製造法としては深淵から持ち帰った不老不死の霊草を加工したものを使用する。
かつて、かの英雄王ギルガメッシュが深淵から持ち帰った不老不死の霊草を加工したものがこの霊薬と言われているが、しかし、それを入手するには過酷な道を歩んでいかなければならないだろう事は容易に想像できる。
しかし、クー・フーリン達は至って簡単に考えていた。
要は深淵まで行って薬草をブチっと回収して砦まで帰ってきて加工して薬を作ればいいというわけである。
「なるほど、まずは草から取りに行かなあかん訳やね」
「深淵まで野草狩りか! 胸が熱くなってきたなリーダー!」
深淵までなんの迷いなく草取りに行こうと告げる二人の会話にポカンとするフィオナ騎士団の3人。
だめだ、ついていけない。こいつらは一体何を言ってるんだとその場にいる3人は素直にそう思った。
野草狩りなら0円食堂で何回かした覚えがある二人にはそれが自然な事なのだろうが、草を取りに行く場所が場所だけに普通にぶっ飛んだ発想である事は誰が聞いても明らかだ、少なくとも彼ら以外はそう思うだろう。
スカサハは深淵まで野草狩りに行く勢いの二人の会話がツボに入ったのか、腹を抱えて笑いを溢していた。
自分の弟子であるクー・フーリンがある意味色んな意味で発想がぶっ飛んでいる事はわかっていた事だが、この、YARIOのメンバーであるディルムッドも大概である。
さて、こうして、話がまとまった所で今回のザ! 鉄腕/fateはADフィンを若返らせるためにカタッシュ隊員達が深淵まで伝説の野草、霊草を手に入れるという挑戦だ。
今回、野草狩りに挑戦するYARIOのメンバーはリーダーのクー・フーリン、そして、再会したディルムッド、彼らの師匠であるスカサハの3人である。
「ところでディルムッド、その妖精につけられたであろうウザったい泣き黒子、私がひっぺがしてやろうか?」
「…え? これ、取れるんですか!?」
「まぁ、私にかかればチョチョイのチョイだ、ほれ、ちょっと顔かしてみろゲイ・ボルグで抉ってやるから」
「痛い!痛い! 師匠! それ絶対、痛いやつですやん!」
「冗談だよ、ちょっと待ってろ、ルーン魔術でなんとかしてやる」
そう言って、何やら呪文らしきものを唱え始めるサーちゃん師匠、もとい、スカサハ師匠。
すると、何という事だろうか! ディルムッドの泣き黒子がみるみるうちに消えていくではないか! それを手鏡で確認したディルムットは目をパチクリさせている。
そして、クー・フーリンはマジマジと黒子が消えたディルムッドの顔を見つめていた。
元々、ディルムッドは綺麗な容姿をしているが黒子が顔を傷つけずに跡形もなく無くなっていた。これはまさに神業、ディルムットの黒子に呪文を唱え終えたスカサハはフゥと一息入れる。
これを目の当たりにした二人は素直に師匠であるスカサハを賞賛したくなった。
「ほぇー、凄いなー師匠、整形外科医になったら絶対金儲けできるで」
「本当に無くなってる!? 正直、最近日焼けして肌を真っ黒にして黒子目立たなくして無くそうかと思ってたけどこれは助かった!」
「いや…日焼けで消える類のものじゃないぞ、その黒子…。というか整形外科医とはなんだ」
そのクー・フーリンとディルムッドの二人の言葉に呆れたように苦笑いを浮かべるスカサハ。
Before:以前はディルムッドにあった泣き黒子、女の子を魅了する反面、女難的な要素を含むこの泣き黒子でしたが…。
After:何ということをしてくれたのでしょう! なんと、ディルムッドさんの美貌はそのままに、顔を傷つけずチャームポイントだった泣き黒子が綺麗に無くなっているではありませんか! ケルトの女の子達が涙を流しながら打ちひしがれる姿が容易に想像できてしまいます!
さて、こうして優しい妖精さんがつけてくれた面倒臭い黒子はスカサハから取り除かれ、綺麗な素顔になってしまったディルムッド。
これで、彼には何ら不安要素は無くなった。
ケルト内での女の子の人気がそれなりに落ちた気がしないわけではないが、要はその分、農家や職人の方からの人気を取れば彼には何ら問題ない。というより、そちらがYARIOとしてはメインである。
「さて、それではひと段落ついたところで深淵まで野草狩りに行きますか!」
「馬を三頭とりあえず借りるけどええかな?」
「あー…、はい、もう好きに使っちゃってください」
クー・フーリンの言葉にもう投げやりな返答を返すフィオナ騎士団の団員の一人、ロナン。
なんだか、目の前でいろいろ言いたいことがありすぎてもう、彼らはクー・フーリン達に何も言えなくなってしまっていた。
こうして3人はフィオナ騎士団から馬を借り、幻の0円野草、霊草を求めて深淵まで野草狩りに出かける事になった。
果たして、野草狩りに出掛けた彼らの前に立ち塞がるものとは一体どんな困難なのか!
この続きは…、次回の鉄腕/fateで!
今日のYARIO。
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