ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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方舟造り その1

 

 

 ノアの箱舟作り。

 

 聖書に書かれているノアの方舟の話では洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。水は150日の間、地上で勢いを失わなかったとされる。

 

 すなわち、今回の方舟作りではこの洪水に耐えられる丈夫で頑丈な船を彼らは作らねばならないわけだ。

 

 

「洪水ってえらいこっちゃだね」

「せやなぁ」

「うーん不安だねー」

 

 

 そう言って、スリスリと方舟に使う木材をさするベディ。

 

 だん吉に乗ってエミヤんやアルジュナ達が手伝いに来てるものの、やはり不安は拭えない。

 

 そこで…!

 

 

「やっぱりさ、木だよ木」

「心当たりあるん? 方舟はゴフェルの木使うつもりやったんやけど」

「いやー、どうせならもっと丈夫なやつ使おうよ」

 

 

 なんと、この洪水を乗り越えられるだろう木材にカルナには心当たりがあった!

 

 というのも? この方舟作りをする数ヶ月前から準備を行っていたのだが、ここで、カルナは北欧神話にてある木材に目をつけていた。

 

 それはユグドラシルと呼ばれる世界樹。

 

 ユグドラシルは世界を体現する巨大な木であり、アースガルズ、ミズガルズ、ヨトゥンヘイム、ヘルヘイムなどの九つの世界を内包する存在とされている。

 

 これを…。

 

 

「この木材なら行けると思う、だって世界樹だぜ? 世界樹!」

「すげーよな」

「船に使ったらぜってー沈まないもん」

 

 

 ノアの方舟に使えば、きっとすごく丈夫な船に仕上がるに違いない。

 

 だが、まるごと世界樹を伐採しては大ごとになるので世界樹の一部を頂いて、この船の木材として使用させてもらう事に。

 

 そんな馬鹿でかい木を伐採しては環境にも影響が出てしまう。それは、東京湾や幾多の川を復活させてきた彼らの本意ではない。

 

 

 後にこのユグドラシルを使ったノアの方舟と呼ばれる船は魔術師ユグドミレニアのシンボルマークとされ。

 

 これを作ったYARIOに敬意を表すために定期的にマグロを捕まえるための遠洋漁業に繰り出すという謎の伝統が家系で継承されていく事になるのだが、それはまた別の話である。

 

 

 船をつくる職人として知られる船大工。

 

 金属などの材料がなかった時代に昔ながらの職人達によってつくられた木造船には、驚くような技術が秘められている。

 

 というわけで、では早速、舟作りの話に入るとしよう。今回もまたマーリン師匠からご説明が。

 

 

「船作りの話をしよう。まずは船型を決めていくところから始まるんだね。船型は搭載量、最高速度、安全性に影響する最も重要な要素でもある。商船は大量の荷物を安価に運ぶことができる事を求められるため、積載量が重要だ。軍艦は最高速度や堅牢性が求められる。船主の望む性能を備えた船型が理想的だとされているね」

 

 

 そして、この船型を具体的にどのような構造で作るかを図面化する。

 

 なるべく少ない木材で必要な強度と使いやすい船内配置にするには、外板を支える構造部材の構成が主要で具体的な設計段階での課題だ。

 

 日本の高度経済成長時代には「造船業は日本のお家芸」と呼ばれていた。

 

 生粋の大和魂を持ったこの五人なら、きっとこのノアの方舟も凄い船になるに違いない。

 

 とここで、ディルムッド、ヴラド、ベディのガヤ三人衆は鋸を握りながらこんな事を。

 

 

「どうせなら戦艦大和作ろうぜ!」

「いいね! なら艦長は沖田ちゃんにしようよ!」

「波動砲積もう! 波動砲!」

 

 

 そんなものは当然必要ない、一体積んだとしてどこで使うというのだろうか?

 

 箱舟作りから宇宙戦艦作りにシフトしようとする彼ら。確かにユグドラシルを使えば出来そうな気もしない気はしないが、それではこれはもはやノアの箱舟ではなく。

 

 

 ーーーーノアの宇宙戦艦大和

 

 

 になってしまう。それはあまりにもスケールがでかすぎるし波動砲をどこにぶっ放すのかという話に。

 

 しかし、造船技術を学んだ彼らの事。

 

 そう、あれは遡る事数十年前、彼らはある出来事を思い出しはじめる。

 

 

「そういや、俺ら鎮守府で提督やってたよね?」

「いやー懐かしいね、みんな元気にしてっかな?」

 

 

 そう、ある企画で鎮守府に着任し、造船技術を学んだ出来事である。

 

 かれこれあれから何年も経ったが、今回もあの頃に学んだ造船技術が生きるに違いないという謎の確信が彼らにはあった。

 

 さて、そういうわけで、ノアさんから造船の技術を学び取りつつ、巨大な船作りへと励む。

 

 

「まずはの、木の気持ちになることが…」

「ばっちりです。俺らポプラの木とかともよく話してるんで」

「木の気持ちってやっぱり大切っすよね!」

「お、おう、そうじゃの」

 

 

 彼らは木の妖精か何かだろうか、木の気持ちを理解できるアイドルはおそらく彼らくらいなものだろう。

 

 ところで、上記であったユグドラシルだが、こちらの探索の方はなんと強力な助っ人が来てくれた。

 

 その方達とは?

 

 

「よし、話はわかった。我が行ってこよう」

「斧の使い方とかわかります?」

「最悪、乖離剣で伐採してくるから案ずるな! わははははは!」

「安心してくれ、僕なら手を斧に変えれるから大丈夫」

「さて! 黄金の! 行くぞ!」

「あ! 太陽の! 運転席は我の特等席だと言っておるだろうが!」

 

 

 なんと、幸運が高いギルガメッシュ師匠とオジマン師匠の天地驚愕の同盟コンビにエルキドゥさんである。

 

 国を治めてるだけで暇だからと彼らが今回、なんと、伝説の世界樹ユグドラシルの探索にひと肌脱いでくれる事になった。

 

 彼らの付き添いにはベディとすっぽん沼江を携えたモーさんである。

 

 

「しゃあ! こいつの試し斬りにはもってこいだな! おい!」

「モーさんそれ使い方違うから」

 

 

 ーーーー日本刀で世界樹を伐採。

 

 まあ、とはいえ、流石にユグドラシルをまるごと伐採するのは不味いという事でこうして静止役にベディがいるわけであるし、問題はないだろう。多分。

 

 すると、すっぽん沼江を試しに素振りするモーさんはそれを仕舞うと深いため息をついた。一体どうしたのだろう?

 

 

「…あーあ、兄ィも付いてきてくれたらなぁ」

「まぁ、あの人達は船作りで忙しいからねー仕方ない」

「言ってくれりゃ俺も手伝ってやるのに…」

「そっかなー? しっかりモーさんが木材調達したら兄ィも喜ぶと思うけどなー」

 

 

 そう言って、しょんぼりとするモーさんに笑みを浮かべながら告げるベディ。

 

 すると、モーさんは目をキラキラさせて、一変し嬉しそうな表情を浮かべていた。つまり、頼りにされているという事が嬉しかったらしい。

 

 ならばと、モーさんはますます世界樹調達に意欲が湧いてくる。

 

 

「そ、そうだよな! 兄ィ達も喜んでくれるよな!」

「そりゃもう、モーさんありがとうーってなるよー」

「えへ、えへへへへ」

 

 

 自分が褒められる姿を想像し顔がついつい綻ぶモーさん。

 

 何というか、この娘は本当に頑張り屋さんなので、そろそろご褒美的な物も考えてあげないとなと兄貴分の一人としてベディは思った。

 

 というよりか、カタッシュ隊員達がモーさんに対してかなり過保護なだけである。やはり、妹分となると彼らとしても可愛くて仕方がないのだろう。

 

 

「よーし、それじゃ行くぞー! モーさん! 兄ィ達見返してやろう!」

「おー!」

 

 

 こうして、ユグドラシル探索隊はだん吉に乗り込むと出発!

 

 北欧神話に登場する9つの世界に枝を伸ばす1本の巨大な“トネリコ”の木を果たして彼らは伐採し回収することはできるのだろうか?

 

 さて、ここで場面は再び変わり、ノアの方舟作りに移る。

 

 まずは世界樹が来るまで時間があるので、その他に用意できる木材、及び鋼材を持ち込み洪水が来ても大丈夫な装甲作りから始めることに。

 

 まず、取り掛かったのは飛来する敵弾をはね返す目的で装備される鉄板。

 

 本来、戦艦には自艦の搭載する主砲弾の攻撃に耐えられるだけの装甲を施すことが求められていた。

 

 艦の水線部近辺に垂直に装備する水線甲鉄と水平な甲板に装備する甲板甲鉄があり、これらはどちらも特殊鋼でできている。

 

 ここでも、彼らがかつて鎮守府にいた時に学んだ知識が生きる。

 

 

「ドレッドノートってこんな感じだったよね? 設計図」

「あーそうそう、そんな感じだった」

「案外、覚えてるもんだねー」

 

 

 なんと、覚えていた知識を各自で出し合い、その時に学んだドレッドノートの設計図を書いてみせた。

 

 ドレッドノート、つまりはこのノアの方舟を丈夫で沈まない船に仕上げるため、彼らは嵐が来たとてビクともしない戦艦を作ろうとしているわけである。

 

 確かに戦艦ならば、砲撃に耐え得る装甲も兼ね備えているし、嵐が来ても吹き飛ぶ心配もない。

 

 だが、ドレッドノートと聞いてもピンとこない方もいらっしゃるはず。

 

 では、ここで皆さんにはドレッドノートについてマーリン師匠からのご説明を聞いて頂こう。

 

 

「戦艦の話をしよう。ドレッドノートは中間砲・副砲を装着せず単一口径の連装主砲塔5基を装着して当時の戦艦の概念を一変させた革新的な艦の事だね、従来の戦艦の速力がレシプロ機関で18ノット程度なのに対し、ドレッドノートは蒸気タービン機関を装着していて21ノットのスピードを出すことが可能にしたんだ」

 

 

 だが、一つここで疑問が生まれる。

 

 彼らが作っていたのは、確か戦艦ではなく木造の船ではなかっただろうか?

 

 というより、いつのまにか気がつけばノアの方舟とは別に船の竜骨があった。これはもしや…。

 

 

「…やってしまいましたか」

「やっちゃったなぁ」

「はーい! メイヴちゃん参上ー! 依頼されてた鋼材置いとくわよー!」

「あー、うんありがとう、メイヴちゃん」

「お安い御用! あ、私、次の配達先があるからそれじゃ頑張ってねー」

 

 

 そう言って、鋼材を置いてスタコラサッサと配達が終わり大型車で立ち去って行くメイヴちゃん。

 

 それといつのまにか出来上がっている鋼の竜骨に言葉を失うディルムッドとカルナの二人。

 

 何が、どっからおかしくなったのかわからないが、木造船を作る段階の物ともう傍で戦艦の基礎部分が鎮座している。

 

 久しぶりにどうやら、いつのまにかリーダーを含めカルナとディルムッドの二人は盛大な勘違いをしていたらしい。

 

 

「そういや、こんなの造ったのいつ頃だっけ?」

「多分、だいぶ前にディルが戦艦作ろうぜ戦艦! って言うてた時くらいやないかな?」

「あー…、言ったわ、言ってたわ俺。まさか、あれに釣られてこれやったの?」

 

 

 二人はディルムッドのその問いかけにうん と素直に頷いた。

 

 それを聞いたディルムッドは顔をひきつらせる。余計なことを言ったばかりに、想定外のこんなものができてしまった。

 

 作ってしまったこれを一体どうするのかがそもそも問題である。

 

 

「どうすんのよ、これ」

「とりあえずもう造る? 戦艦大和」

「いやどう考えても今から造ったら洪水に間に合わへんやろ! しかも大和はアカン! デカすぎや! ホテル建てるようなもんやで!」

 

 

 確かにリーダーの言う通り、戦艦大和なんか造ってたら造る最中に洪水にやられて終わりである。

 

 そんなのを造っている暇などない、というよりわざわざ戦艦をこの時代に作る必要性もそもそもない。

 

 ピラミッド作りでさえ、半年以上掛かって総出でやっと出来上がったのだ。

 

 洪水という期限がある中で全長263mを誇る戦艦大和をわざわざ造る意味が無い。

 

 

「浪漫ってこぇーな」

「やっぱり造りてぇなぁ、ここまでやったら」

「とりあえずこれは分解してメイヴちゃん達に持って帰って貰わなな?」

 

 

 そういう事で残念ながら今回は戦艦造りは断念せざる得なくなってしまった。

 

 というより、そもそも戦艦が造れるのならわざわざ木造船を造る必要もないような気もするが…。

 

 その後、メイヴと小次郎さんに鋼材を回収してもらいやる気満々のカルナをなんとか説得し、改めてノアさんの木造船建造に取り掛かる事に。

 

 方舟の骨組みをしっかりと造り、船の形を丈夫なものにしていく。

 

 

「そういやさ、この船の名前ってなんて言うんですか? ノアさん?」

「む? 名前か…はて、考えたことはなかったの」

「じゃあさ! 俺らで名前付けようぜ!」

 

 

 方舟に使う木を鋸で切りながら会話を繰り広げるカタッシュ隊員達。

 

 こうなると珍妙な彼らのネーミングセンスがつけられるだろうノアさんの方舟。

 

 しばし考えること数分。

 

 するとここでディルムッドがあるものを木材の中から見つけて持って来た。それは…。

 

 

「これ帆船の先頭に付けれないかな?」

「あ、それ! 懐かしの形!」

 

 

 そう、それはかつて彼らが島にいた時に見つけた流れ木にそっくりな木材。

 

 どうしてこんなところにあるかわからないがまんまの形でそれが木材の中から発見された。

 

 これはつまり…?

 

 

「ランボー」

「あははははははは」

 

 

 そう言ってバズーカを構えるようにして木材を担ぐカルナに思わず笑いが溢れるディルムッド。

 

 まるで、ベトナム戦争の時の様な構え方、しかし担いでいるのは木材である。

 

 

「撃てー」

「ドカーン」

 

 

 ーーーーそれじゃ武装化。

 

 さて、こうして見つかった懐かしの形をした木材だが、これの用途について少しばかり説明をしよう。

 

 ここでの説明はまだ未登場であるが、この木材の用途について詳しい専門家の方から皆さんにご説明をさせて頂きたいと思う。

 

 

『んんん、拙者から説明させていただきますぞ! これは船首像と言って、当時は相手を威嚇するために使ってますなぁ、あっ、拙者としては船首像は可愛いロリっ子がベス…』

 

 

 という具合に、カリブ海に海賊船が数多く存在していた時代、船首像は威嚇や魔除け、守り神的な意味合いを込めて船に飾り付けられていた。

 

 そう、彼らはこの木材をなんとこのノアさんの方舟に船首像として取り付けようと考えていたのである。

 

 これを取り付ける事で考えられるのはこんな効果が…。

 

 

「なんて魅力的な船なの! っていう」

「つまり」

「女が集まる」

「なるほど、それは大切やね」

 

 

 そう言って納得する二人。なるほど、確かに船首像があれば見栄えが良くなることは間違いない。

 

 多分、女性に関しては彼らの場合さして困っているようにも見えないが…。

 

 皆さまは色々言いたいことがあるだろう。

 

 ディルムッドの黒子でも船首に引っ付けとけという野暮な突っ込みはしてはいけない。

 

 

「さて、じゃあ船首像、付けてみようか」

 

 

 とりあえず懐かしの形の木材を船首像に設置してみる。

 

 何というか、ここまで来たらもうこのノアの方舟の名前は決まった様なものだった。彼らは既にその時の小学生の様なテンションに立ち返っているのだから。

 

 そして、帽子の代わりにカタッシュ村から持ってきた黒いバケツを乗せれば。

 

 

「男爵ディーノじゃないですか」

「男爵ディーノ…」

 

 

 それはディルムッド世代にお馴染みの昭和の格闘漫画。

 

 マジックと融合した武術の使い手。

 

 麦わら帽子がトレードマークの海賊とは遠く離れた船になってしまった。というよりこれはもはや開拓船というよりは海賊船と言った方が良いだろう。

 

 

 ーーーー開拓船から海賊船に。

 

 

 さて、こうなれば話は早い、ノアさんの方舟の名前はこうして男爵ディーノという名前に決定してしまった。

 

 そして、船長はこの人。

 

 

「船長!」

「ん? あぁ、忘れてたぜ…俺はこの船の船長だったぜ」

「まぁ、ノアさんが船長なんだけどね」

 

 

 ーーーー設定を思い出す。

 

 何故か、急に演技が入ったヴラドは顔に皺を寄せながら何やら話をしはじめる。そして、冷静な突っ込みを入れるカルナ。

 

 そして、三文芝居でヴラドは変顔をしたままこんな事を。

 

 

「ありったけの酒とありったけの肉を用意してくれ」

「あははははははははは」

「わかりました」

 

 

 だが、すぐに設定を忘れる、先程までの演技はなんなのやら。

 

 こうして、ノアの方舟は別名、海賊船、男爵ディーノと命名された。名前を決める経緯はあれだが、彼らにもやる気がみなぎる。

 

 さて、名前を付けて貰ったノアさんはというと?

 

 

「男爵ディーノ…良い名前じゃ」

「まじっすか!?」

 

 

 案外、簡単に男爵ディーノを受け入れてくれたからびっくりである、しかも海賊船に関わらずだ。

 

 なるほど、確かにこんなに寛容なら神さまも助けたくなるわけだと素直に彼らはそう思った。

 

 こうして始まったノアの男爵ディーノ造り。

 

 果たして彼らに待ち受けているのは大洪水か!それとも驚邏大四凶殺だろうか!

 

 彼らと木材との戦いはまだ始まったばかりである。

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.船を造る木材に世界樹を使う予定。

 

 2.モーさん刀の使い方が迷走中

 

 3.間違えて戦艦を作ろうとする。

 

 4.ノアの方舟が男爵ディーノ。








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