ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか? 作:パトラッシュS
さて、ノアさんの方舟、別名、男爵ディーノを作り始めたカタッシュ隊員達。
伝説の海賊を目指すため、彼らの冒険が今まさに始まる!
世はまさに! 大開拓時代!
という茶番は隅に置いておくとして、ノアの男爵ディーノ作りから3日目、作業の方は割と順調に進んでいた。
「洪水っていつくんのかなー」
「わからへんけど急いだほうがええのは間違いないやろうね」
「がんばれよー男爵ディーノ」
そう言って男爵ディーノをさするカルナ。
まだ未完成だが、このノアの方舟、少しばかり普通の船とは作り方が異なっている。
そして、作業の方が進む中、彼らに心強いカタッシュ隊員が派遣されてきた。そう、朱色の鍬製造機。
「助っ人はやっぱりスカサハ師匠かぁ」
「なんだ、不満か? ディルムッド」
「だって師匠、どうせリーダーが居なくて寂しくなったから手伝いにきたんでしょ?」
「そうだ! 悪いか!」
「清々しいねぇ、そう言われたらなんも言えないっす」
我らがおっぱいタイツ師匠こと、スカサハ師匠がなんと彼らのお手伝いに駆けつけてくれた。
しかしながら、たしかに限られた時間での舟作りには人手は一人でもあった方が助かる。
さて、ノアの方舟、別名、男爵ディーノだが、これは今回なんと普通の船とは違う円盤型に作ることに。
だが、目指すは海賊帆船! 開拓船からもちろん、ノアの方舟を男爵ディーノにする。
「ところでしげちゃんはどこだ?」
「あー、リーダーはねぇ…あそこ」
「ん?」
前回、完成させた船首像、今度は新しい帆の取り付けに着手。
長さが大きく、かなり重いうえ、風に煽られるなど作業は難航したものの、メンバーとスタッフ総動員で取付作業を実施。
今回、リーダーもまた、ノアさんと共にこの帆の取り付けに取り掛かっていた。スカサハの視線の先にはリーダーが帆作りに勤しむ姿があった。
その完成度は高く、思わずヴラドもこれには。
「これだよ、これ。俺が作りたかったのはこれだ!」
という納得の出来栄え、さらにカルナも海賊の模様を描いた帆の出来栄えに嬉しそうに笑みを浮かべていた。
そして、カルナは皆にこんなことを。
「伝説の海賊になるぞ俺ら」
ーーーーついにアイドルが、海賊に転身するのか。
当初の方舟作りが戦艦作りにシフトしかけたと思えば次は海賊船へ、彼らは当初の目的を忘れているのではないだろうか?
だが、それにしてもアイドルでありながら、いとも簡単に海賊帆船造りあげる技術力があるうえ、「ダッシュ海岸」での漁師力もある。
彼らなら、あらがち伝説の海賊になることも可能かもしれない。
しかし、手伝いに来たスカサハ師匠はそんなカルナの言葉を聞いて目をキラキラと輝かせている。
どうやら、また彼ら面白い事をやり始めたという確信を得られたからだろう。
更に、そんな彼らを援護するかのようにここに来て、もう一方の木材の方がなんとこのタイミングで届きはじめる。
「ただいまー! 帰ったよー!」
「ユグドラシルとやらの枝! 仕入れて来てやったぞ!」
「おー! ベディ! ギル師匠! モーさん! みんなおかえりー、大変だったね」
そう巨大な枝を括り付けたトラック型だん吉が3輌ほど陳列し、ギル師匠、モーさん、ベディが木材を仕入れて帰ってきたのだ。
そして、荷台には立派な枝が加工してと言わんばかりに鎮座している。立派な枝、間違いないユグドラシルの枝だ。
すると、トラックから降りたベディが方舟作りに勤しむ彼らの元にやってくると、こんな話をしはじめる。
「とりあえず、仕入れはできたんだけど…みんなに相談があるんだよね?」
「ん? どったの? なんか問題あった?」
「実はちょっと依頼受けちゃって」
そう言って、苦笑いを浮かべるベディ。
一体、こんな馬鹿でかい枝を持ち帰るのになんの問題があったというのだろうか?
すると、今回、協力に乗り出してくれたギルガメッシュとオジマンディアスの二人がベディの後ろからやってくるとこんな話をカタッシュ隊員達にしはじめた。
「うむ、実は枝は持ち帰っていいと言われたんだが、代わりに馬鹿でかい蛇を退治してくれと言われてな」
「ヨルムンガンドとかいうクソでかい蛇なんだが…」
「マジっすか!」
そう言って、申し訳なさそうにぽりぽりと後頭部を掻きながらめんどくさそうに告げるギルガメッシュとオジマンディアス。
ヨルムンガンドとは北欧神話に登場する毒蛇の怪物。その名は「大地の杖」あるいは「大いなるガンド(精霊)」とも呼ばれている。
世界蛇の名の通り、その身を伸ばせば世界を締め上げられるほどの巨体を持ち、海の底で体を何周にも巻いて横たわっているという。
海底だけでは長さが足りず、仕方なく尻尾の先を咥えているらしい。
「髭が凄いおっちゃんが枝やるからあれどうにかしてくれって」
「そっかー、それならなんとかせなあかんね」
ヨルムンガンドは確か、雷と農耕の神であるトール神とは浅からぬ因縁があり、三度にわたって戦いを繰り広げている。
農耕の神、すなわち、YARIOである彼らにも縁が近い神様。そうであれば、少しでも畑や農作物が豊かになるように彼の力にならなければ!
まぁ、今は船作りが先だが、とりあえずこのヨルムンガンドについて彼らの意見はというと?
まず、顔を引きつらせたディルムッドから一言。
「それマムシじゃないの?」
ーーー※マムシではありません。
すると左右に首を振るベディ達、一応、彼らもヨルムンガンドの姿を髭が凄い依頼人に力を使って見せてもらったので姿はわかる。
しかし、ここで大問題が…。なんとディルムッド、蛇が嫌いなのである。
だが、依頼されたのであればいずれにしろその馬鹿でかい蛇を退治しなくてはならない。
するとここでヴラドがこんな意見を…。
「アオダイショウ?」
「だからヨルムンガンドだってば!」
「もう俺やだよー、でっかいマングース見つけて退治してもらおうぜぇー」
そう言って今までより弱腰のディルムッド。
しかし、彼らは蛇退治に関しても以前、リーダーとカルナが猛毒を持つハブの駆除を行なった事がある。
これまでもハブの駆除を行なって来たカルナとリーダーならきっと馬鹿でかいヨルムンガンドのような蛇でもハブを一発で捕まえるアイドルという威信にかけて、捕獲する自信があった。
「あれって要は慣れだから」
弱腰のディルムッドに対してそう言い切るカルナ。
特にカルナのハブ駆除スキルはとても高い、さすがは頼もしい我らが兄貴分である。
ちなみにこのヨルムンガンド、馬鹿でかい蛇だが、捕獲したとして、用途はどうするつもりなのだろう?
それについてモーさんがこんな意見を。
「でもあれ捕まえても何にも使い道ないんじゃないか?」
「塩焼きにして食う」
「俺たちだけで食べられなくてもアルトリアちゃんなら食べれるでしょ」
「嘘だろ!? あんな馬鹿でかいのに!?」
ーーー蛇を塩焼きにして食べるアイドル。
デカさなどあまり関係ない、とりあえず塩焼きにして食べれれば、最悪、我らが最終兵器腹ペコ王様アルトリアちゃんをはじめとしたジャンヌちゃん達が背後に控えている。
これなら、調理しても無駄にはならない。というか彼らはどうやって調理するつもりなのだろうかは疑問に残るところだが…。
しかし、話を聞いていたスカサハ師匠はこんな事を言いはじめた。
「串焼きにしたらいけるんじゃないか?」
「ゲイボルグで?」
「なんなら、僕が鎖になって縛ろうか?」
「俺個人的にはエルキドゥさんには巨大なハブ捕り棒になってほしいかなぁ」
そう言って、個人的なお願いをしはじめるカルナ。
英雄に対して、巨大なハブ獲り棒になってくれと頼むのはおそらくこの人達くらいである。
しかも、退治するのはハブではなくヨルムンガンドという馬鹿でかい蛇だ。
と、話がある程度進んだとこで、ディルムッドが珍しくこんな一言を。
「…とりあえず、方舟作ろう? 作業進まないし」
「そうだねー、とりあえず蛇駆除は後回しで」
「んじゃ、これ使うか、馬鹿でかいユグドラシルの枝」
蛇が嫌いだからか、珍しくガヤ三人衆の一人が作業を促してくるので、とりあえず一同は持ち帰ってきたユグドラシルの枝の加工に移る事に。
とりあえず、丸太にしたユグドラシルの枝。
とりあえずはこれを床板の長さ4mに切り揃え、縦割りにして、さらに中の状態を確認する。
このユグドラシルの丸太の断面を見れば、福島県の村で数多くの木に触れて来たカルナは、すぐに分かった。
「この木はいいよ! なんでも使えんなこれ!」
穴や割れも見当たらない。棟梁・カルナの目利き通り、かなり上等な木材。
さすがはユグドラシルの丸太、質が段違いである。
これを必要な分だけ、帯ノコで丸太を厚さ3cmにスライスしていく、更に、無駄がないように帯ノコ製材機で貴重な丸太の使える部分を切り出し形を整え、船底や壁に取り付けれる大きさに。
これを目の当たりにしていたモーさんもそのカルナの手際の良さに見入るように目をキラキラさせていた。
「すんげー! こうやって加工するんだ…」
「モーさんもやってみる?」
「うん! えーと…」
「まずはこうやって…」
そして、モーさんに木材加工の手ほどきをしはじめるカルナ。
有り幅で切ると、丸太のどの部分かによって、幅はまちまち、モーさんの作業をレクチャーしながらカルナはこの木材の加工をしながら一言。
「節の位置は同じだね」
それは長年の経験で培われた知識。
この木材をかんな盤で滑らかに仕上げる。機械の中の刃が高速回転して、板の表面を3mmだけ削る。
上から2mm、下から1mmと両面同時にうまく削っていく。
出来上がったこれをディルムッドやリーダー達が担ぎ上げてノアさんの方舟へ持ち込んで船の骨組みや板張りに使う。
ギルガメッシュやオジマンディアスら師匠達もこの作業に参加。
ギルガメッシュは釘を口に咥え、さながらベテランの大工のような雰囲気すら醸し出していた。
「ここはこのように張り付けるが良いか?」
「はい! えーと、あと3センチほど右にずらしてもらって…」
「こうか?」
「はい、バッチリです」
鋸や金槌の音が辺りに響き渡る中、夜通し作業は行われた。
スカサハ師匠もこの船の出来栄えにはにんまり、これが、大洪水の中を進んでいくというのだから今からワクワクが止まらない。
そうして、それから作業すること数日。
無事に長さ300キュビト、幅50キュビト、高さ30キュビトの巨大な方舟が出来上がった。
方舟には3つのデッキがあり、更に、帆もつける事で風を拾うことも可能。
さらに船首像には我らがカタッシュ隊員達が作った男爵ディーノが鎮座している。
これが人類史上、初の海賊船、ノアの男爵ディーノである。
「立派な船じゃ…、皆さんありがとう!」
「いやいや、ノアさんから船作りを学べて僕らもすごく勉強になりましたよ!」
「ほんまありがとうございます!」
そう言って、今回、船作りをさせてくれたノアさんに感謝を述べる一同。
後は洪水を待つだけ、だが、カタッシュ隊員達はこの後、巨大な蛇の駆除の依頼がある。なので、40日間後に船の様子を見にくることしかできない。
なので、彼らはこのノアの男爵ディーノの完成を記念して、ノアさんに対してエールを送ることにした。
「俺たちも正直、ノアさんと航海したいんだけどね」
「この後のスケジュールがね…」
「ええんじゃ、船作りを手伝ってくれただけでもありがたい」
「だから、代わりに歌送りますね! 頑張ってください! 俺たちもこれから頑張ってくるんで!」
もちろん、それは歌である。彼らなりのエール。40日間という間の長い航海に向け、ノアさんに対して彼らができるのはそれくらいの心遣いだった。
スカサハやギルガメッシュ達も笑顔を浮かべながら彼らとノアさんのやり取りを見守っていた。
そうして、彼らは楽器を設置し、準備に取り掛かる。
40日という長い航海、そんな長い旅にノアさんに送る曲。
マイクを久々に握るベディも真剣な眼差しでゆっくり配置についた。
ギター、ベース、ドラム、キーボードの配置にそれぞれつくカタッシュ隊員達。
そして、前奏が始まり、ベディは声を張り上げた。
「その船を〜♪」
もちろん、それはノアさんがこれから挑む困難を打開できるようにと選んだ曲。
洪水なんかに全てを任せるな! と己の手で道を切り開けるように心を込めて彼らは歌を歌った。
流されまいと、船は大洪水に挑む。
全ての水夫が恐れてしまうような洪水であっても、この男爵ディーノならば、どんな海にも耐えられる筈だ。
こうして、ベディの声が響き渡る中、熱唱が辺りに響き渡る。
動物達も、そして、スカサハ達もその歌に耳を傾けていた。
こうして、彼らの夜は更けてゆく、果たして完成したノアの方舟は無事に40日間の航海を終えることができるのかはわからない。
だが、少なくとも彼らとノアさんの間には船作りを固い絆ができたのは確かな事実であった。
今日のYARIO。
1.ノアの方舟完成。
2.ヨルムンガンド駆除を頼まれる。
3.ユグドラシルの枝を加工できる。
4.人類史上初の海賊船完成。
5.海賊に転身するアイドル。