ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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北欧神話蛇駆除大戦 ア・オダイショウ・タイジ
刀の指南 その2


 

 

 さて、今日はなんともめでたい日。

 

 というのも、入院していた沖田さんが復活を遂げたのである。カタッシュ村病院が誇る医療チーム、team medical Dragonの医療技術の賜物だろう。

 

 そういうわけで、退院した沖田さんを彼らは出迎える事に元気な姿を見せてくれる筈だ。

 

 すると、しばらくして、元気な沖田さんが刀を携えニコニコと笑顔を浮かべて彼らの前に現れた。

 

 

「沖田さん! 無事に復活しました! いえーい! 皆、観てるー? 皆の大好き沖田さんですよー!」

「おかえりー、というより初登場から即退場してましたが、なんとか調子が戻って何よりですよ」

 

 

 そう言いながら、調子に乗っている沖田さんに厳しいヴラドからのお言葉、病弱だから致し方ないとは言え、正直、あの吐血はテレビ的にNGなグロテスクな絵面だった事はメンバーの記憶に新しい。

 

 そんな沖田さん、彼らが送ってくれた着物を着用し完全復活!

 

 しかし、着物の下の丈が短くてスースーしてそうと刀を携えているモーさんは元気な沖田さんを見てそう思ったのだった。

 

 

「むふふ、これで沖田さんの株も今日からだだ上がりです。頼りになってなおかつ可愛い謎の刀使いの匠! いやー、このミステリアスな感じが私的には合ってますとも!」

「はい、という訳でですね、前回、刀の使い方を教われなかったという事で、沖田さんにモーさんがご指導してもらうという事です」

「え? まさかのスルー? スルーするんですか? カルナさん」

 

 

 そう言いながら淡々と話を進めるカルナに思わず顔を引きつらせる沖田さん。軽く話をスルーされた事が地味にダメージを与えてきたらしい。

 

 それについて、カルナはヴラドにこんな事を。

 

 

「この娘もなかなかに癖があるね」

「めんどくささで言ったらどんくらい?」

「リーダーよりは下くらいでスカサハ師匠とどっこいどっこいかな」

「ちょっ!? なんで私そんな扱いなんですかー!」

 

 

 ーーーー英雄は目立ってなんぼや。

 

 そう、桜セイバーもとい、沖田さんだから仕方ないのである。製作者から寵愛を受けし沖田さんが愛されてしまうのは致し方ない事なのだ(本人談)。

 

 というわけで、これまたキャラが濃い沖田さんを迎えたカタッシュ隊員は早速、すっぽん沼江を携えているモーさんの元へ。

 

 

「今日は先生が刀の使い方を教えてくださるぞー!」

「押忍ッ!」

「ほんと楽しそうだね、あんた達は」

 

 

 気合いの鉢巻を頭に巻いて、モーさんもカルナの言葉に意気揚々。元はモーさんに関してもめんどくさい性格だったのだがだいぶ丸くなってしまった。

 

 よくよく考えたら、カタッシュメンバーを含めて関係者の英雄はめんどくさい性格のメンバーだらけなのでは? と、野暮な突っ込みは入れてはいけない。

 

 では、早速、可愛くて強い桜セイバーこと沖田先生から刀の使い方についてのご教授を受けることにしよう。

 

 

「はい! では私が使う天然理心流についてですね! 日本の古武道の流派。剣術、居合術、小具足術を含み、柔術、棒術も含んだ総合武術です!」

「ほえー、刀の技だけじゃないんですね」

「そうなんです! 実践では刀が折れる事さえあり得ます! そんな時は鞘で! 鞘が駄目なら拳で! 拳が駄目なら頭突きで! これが私達新撰組のモットーですので!」

 

 

 天然理心流の稽古の中心は木刀での組太刀が主となるが、他に各種の構え、素振り、移動稽古、抜き付けなどの稽古が良く行われていた。

 

 天然理心流の特色のあるもののうちの一つとして「平晴眼」というものがある。これは、他流派でいう「正眼」と呼ばれる構えであるが普通、正眼の構えというのは自分の体の正中線に構えを取る。

 

 武道では、正中線に人間の急所がありこれを攻防するのが基本とされているのだ。

 

 しかし、天然理心流の平晴眼の構えでは、普通の構えより右側に刀を開いて構える。

 

 そうすることにより普通の正眼の構えでは、首を狙った突きでは、かわされやすいが平晴眼の構えから突いた場合、例えかわされても次の攻撃に移行しやすいのである。

 

 これにより、突きと斬るといった二つの攻撃を即座に出来る構えなので、すぐさま、相手の頚動脈を斬れる体制にもっていけるようになっている。

 

 

「このことから沖田さんの剣術は「沖田の三段突」とか「無明剣」とか呼ばれていたんですよー? どうですか? すごいでしょう?」

「へぇーかっこいいな!」

「モーさんにはぴったりの剣術かもね、性質的に」

「今回、教える人が基本脳筋っぽいもんね」

「グハァ…!」

 

 

 ーーー病弱と見せかけた脳筋。

 

 まさか、スカサハ師匠同様の思考の持ち主がいるとは…、いや、もしかしたら基本的に英雄とは脳筋が大半を占めているのかもしれない。

 

 というわけでヴラドの毒舌で思わず精神的ダメージを受け吐血する沖田さんに早速、お手本を見せてもらうことに。

 

 今回、使うのはこちら。

 

 

「はい! という訳で用意しましたよマグロ!」

「ま、まま、マグロォ!?」

 

 

 そう、今回、用意したのは130kgにも及ぶ巨大なマグロ! だん吉で足を運んだ冬の大間の海で取れた超巨大マグロである。

 

 そのお値段、1キロ辺り5千円~1万円くらい、しかしながら、これは自分達で釣ってきたので実質的にはタダである。

 

 ちなみにスカサハ師匠がゲイボルク一本突きで仕留めたマグロである。

 

 ディルムッドは吊るし上げる大間の本マグロを見上げながら目をまん丸にする沖田さんにサムズアップする。

 

 

「さぁ! どっからでもどうぞ!」

「いや!? マグロって! えっ!? 沖田さんがこれ捌くんですか!」

「自慢の無明三昧おろしとやらを見せてくださいよー姉御ー」

「三段突き! 突きなのっ! 三昧おろしじゃないんですっ!」

 

 

 ーーーー三昧おろしでなく突きなんです。

 

 そう、突きでは魚は捌けない、これが天然理心流の限界なのか、沖田さんは期待の眼差しを向けてくるカタッシュメンバーにそう告げる。

 

 だが、これに対してモーさんとヴラドは。

 

 

「なんだー、ならディル兄ィの方がすげーよな、だって三昧おろしなんて簡単にしちゃうもんな」

「ジャックちゃんだって幼女なのに本業医者だけど魚の解体めっちゃ上手いからねー」

「う…! ぐぬぬ…!」

 

 

 これは沖田さんも言い返せない、天下の天然理心流であればマグロの一匹や二匹、解体できてしまうだろうという期待を裏切ることはできない!

 

 というわけで、沖田さんはカッ! と目を見開くと覚悟を決めたように彼らにこう告げはじめた。

 

 

「いいですよ! やりゃいいんでしょ! やれば! やってやりますよ! しかと目ん玉くり抜いてみといてくださいよ!見なかったら私がくり抜いてやりますからね!」

「なんか沖田ちゃん、芸人魂ついてきたんじゃない?」

「うん、リーダーとおんなじ匂いがする」

 

 

 ーーー芸人枠と言われる新撰組隊長。

 

 ディルムッドとカルナの二人は腕を振り回しながらマグロと対峙する沖田さんの背中を見つめながらそんな話をしていた。

 

 そんなこんなで、沖田さん、天然理心流をカタッシュメンバーの前で初披露。

 

 抜刀の構えから、トンッと駆け出し始めると静かに口を開く。

 

 

「一歩海峡超え……二歩大間……三歩包丁! 『 無明――三枚おろし!』」

 

 

 スパスパスパーン! っと沖田さんの振るう名刀が煌めき、吊るされている大間のマグロが頭を残して見事に身が切り裂かれ別れる。

 

 そして、それを丁寧にキャッチしてまな板に並べるディルムッド。周りからは盛大な拍手が沖田さんに送られる。

 

 マグロを無事に捌ききった沖田さんはここでキリッとした表情で一言。

 

 

「マグロご期待ください」

「もう今年のやつは終わったけどね」

 

 

 そう言いながら、綺麗に沖田さんが捌いたマグロを運送しにきたメイヴちゃんのトラックに積み込み始めるはじめるカタッシュメンバー達。

 

 これらは、ブリテンをはじめとした街に運送され美味しい寿司や刺身などに使われる。

 

 というわけで、沖田さんの天然理心流を目の当たりにしたモーさんもこれには感動したのかすぐさま彼女の元へ駆け寄り教えを乞うことに。

 

 

「すげー! ど、どうやるんだ! 俺にも教えてくれよ! あんな風に魚を捌けるようになりてぇ!」

「…そこは天然理心流を学びたいんじゃないんですね」

 

 

 思わずモーさんの一言にガックリとうなだれてしまう沖田さん、剣術指南を引き受けた師匠とはいえ何というかやりきれない。

 

 マグロの解体に憧れるという部分で剣術を学びたいというきっかけは果たして良いのだろうか?

 

 何はともあれこうしてモーさんは沖田さんから天然理心流を学ぶことになった。

 

 

「あ、私の事は母上と呼ぶと良いですよ、なんだかそちらがしっくり来ますので」

「はい! 母上!」

「またモーさんのお母さんが増えたよ」

 

 

 ーーーー日に日に増えるモーさんママ。

 

 モーさんの保護者がだんだんと増えて来ているような気がするのは気のせいではないだろう。

 

 少なくともナイチンゲール師匠とリーダーを含めて既に三人いる。リーダーに関しては男であるにもかかわらず母ちゃんである。

 

 というわけで、沖田さんを母上と呼び、刀の指南を受ける事になったモーさんは名刀すっぽん沼江を使いこなす修行に入ることに。

 

 

 目指すはマグロの三昧おろし。

 

 

 あそこのレベルになればたとえ巨大な魚類だろうが蛇の怪物だろうが三昧におろせるようになるはず。

 

 また、包丁の使い方をディルムッドに習いつつ天然理心流を沖田さんから学ぶことによりその技術は向上間違いなしだ。

 

 さて、修行を終えたモーさんは名刀すっぽん沼江をどれだけ使いこなせるようになっているのか?

 

 

 この続きは、次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 そして、今回、出番がなかった我らがリーダーから綺麗に沖田さんが捌いたマグロにここで一言。

 

 

「隊長の体調が不安やったけど、これはおっきーマグロもイチコロやね」

「はい、寒いの頂きました」

 

 

 ちなみに、ただいま別行動をしていたリーダーとベディとスカサハは極寒の地、大間まで出かけております。

 

 寒い地方でさらに寒いギャグ、これにはベディも顔を引きつらせずにはいられなかった。

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.沖田さん新宝具無明三枚おろしを開発する。

 

 2.増えるモーさんのお母さん。

 

 3.みんな大好き沖田さん復活(芸人枠)


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