ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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カタッシュ村の日常

 

 

 

 聖杯戦争。

 

 あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機・聖杯の所有をめぐり、一定のルールを設けて争いを繰り広げる争い。

 

 その中でマスターとなる魔術師はサーヴァントの触媒となる聖遺物を基にサーヴァントをそれぞれ呼び出し戦わせる。

 

 というものが、最近ちまたでは流行りらしい。

 

 その流行に先駆け、彼らもまたこんな話をしていた。

 

 

「そういや俺たち前に聖遺物作ったよな」

「いやー博物館に展示されるとは思ってなかったよね」

「横浜の博物館だもんなー」

 

 

 そんな事を話しながら、彼らは今日も今日とてカタッシュ村の畑を訪れていた。

 

 季節は夏、この時期は種子を蒔いた野菜達が美味しく実る時期。

 

 時に彼らはそんな野菜を回収すべくこの畑にやってきたわけだが、丁度、収穫に入っていたカタッシュ隊員農業部門のエミヤさんとジャンヌちゃん、マルタちゃんが彼らを出迎えた。

 

 

「畑どんな感じ?」

「そうですねー、やっぱり全体的に見て西瓜は今回実りがかなり良さそうですね」

 

 

 そう言って、実った西瓜の一つを持ち上げてみせるジャンヌちゃん、顔の周りには泥が付いてしまっているが御構い無しのご様子、やはり、農家生まれは違った。

 

 早速、ジャンヌちゃんから手渡された西瓜を見つめるカタッシュ隊員達。さて、その出来栄えはいかに?

 

 まず、彼らが注目したのは西瓜を作っていた土からだ。気がつけばリーダーが既に土を触って感触を確かめていた。

 

 ケルトから持ち帰ってきた水はけの良い土にさらに霊草を使ったアルギン酸を馴染ませたこの土。

 

 リーダーは一言こんな感想を述べる。

 

 

「これ、火山灰土使ったやつよりええ土になっとるんやない?」

「あんたは気づけばいっつも土触ってんね」

 

 

 ーーー基本はまず土から入る。

 

 そう言って、触った土の感触を確かめるリーダークーフーリンにそう突っ込みを入れるディルムッド。

 

 だが、この光景も見慣れたもの、土の感触は言わずもがな好感触であった。これならば、良い質の西瓜に仕上がってる筈。

 

 そんな中、ジャンヌちゃんは彼らの言葉を聞いて安心したのか、カタッシュ村で農業に励む人たちにこんな声を掛けはじめる。

 

 

「皆さん! 農業に詳しい人が来てくれましたよ〜」

「西瓜歴何十年のベテランだからね」

「学校の科目に西瓜ってあったら間違いなく100点取れる自信あるわ」

 

 

 ーーー※普通の学校にそんな科目はありません

 

 ひとまず、出来上がった西瓜を切り分けてみる事に、美味しそうな赤い身が露わになり甘さにも期待が持てそうだ。

 

 早速、出荷する予定の西瓜を糖度を確認するため、リーダーが一口かじってみる事に、シャリっとした歯ごたえがあり水々しい西瓜の味をしっかりと噛み締める。

 

 そして、しばらく首を捻ったリーダーが西瓜を確認した後、こう告げた。

 

 

「これ…12度くらいやな」

「…ちょっと計ってみますね…。…ドンピシャです

「なんで分かんだよ! 毎回の事だけど!」

 

 

 ーーースキル人間糖度計。

 

 そう、測定器を使わずとも彼は味覚の感覚だけで糖度を言い当ててしまう。これには、カタッシュ村の畑を管理している隊員達からも思わず拍手喝采が巻き起こった。

 

 思わず突っ込みを入れるディルムッド、リーダー固有のスキル、人間糖度計に狂いはない。

 

 

「兄ィ! 見てくれよー! 俺こんなにおっきくなったぜ! 触ってもいいぞ!」

「うお! でっけー! そっか成長期だもんなモーさん、あれ? 硬くない?

「あんたら服の中に西瓜入れて何遊んでんのよ」

 

 

 ーーー※食べ物で遊んではいけません。

 

 コンコンと固いモーさんの巨大化したおっぱいをノックするカルナにそう突っ込むディルムッド。

 

 西瓜を服に入れてるだけなのだから硬いのは当たり前、しかし、叩いてみると良い音が鳴った、これは味にも期待できそうだ。

 

 すると、農業に入っていたマルタとジャンヌの二人を見ていたベディはモーさんと同じように西瓜を服に入れるとこんな感想を述べはじめる。

 

 

「なるほど、胸に西瓜入ってるとこんな感じなんだね。女の子は大変だ」

「そうなのよー、肩凝るのよね」

「そうですよねー、大きくなると大変なんですよねぇわかりますその気持ち…って何言わせるんですか」

 

 

 そう言って、服に入れた西瓜をユッサユッサと揺らしながら話すベディに突っ込むジャンヌ。

 

 さりげなくベディから聞かれた為、自分の胸を見ながら語ってしまった。思わず恥ずかしさからか顔も赤い。

 

 そして、そんな楽しく話をしていた彼らに対し近づいてくる人物が…。

 

 農作業着を着ている彼女は何やら不機嫌そうな表情を浮かべながら鍬を担いだまま西瓜の話をしていた三人にこう言葉を投げかける。

 

 

「ちょっと! 手を動かしなさいよ! 手を! まだ回収する西瓜はたくさんあるんですから!」

「おー…誰かと思えば! ジャンヌオルタちゃん!」

「サボってんじゃないわよ! この馬鹿!」

 

 

 そう言って辛辣な言葉をベディに投げかける彼女。何となくだがジャンヌダルクと瓜二つの少女だった。しかし、似てはいるがどことなく黒い。

 

 彼女の名前はジャンヌダルクオルタちゃん。一応、ジャンヌダルクちゃんの妹みたいな感じで現在このカタッシュ村にやってきたカタッシュ隊員の一人である。

 

 きっかけはあのジャンヌの処刑の日、彼女を0円で回収した事から始まった。

 

 ベディが0円でジャンヌダルクを回収しちゃったので人々に対する怨みやら何やらがアレのせいで全てパァになった。

 

 おかげで処刑されるはずだったジャンヌダルクが己を見捨てた祖国、国民、そしてこの世の全てに憎悪し、復讐を誓うなんてifな出来事はなくなってしまった。

 

 しかし、ある事がきっかけでジャンヌダルクちゃんの暗黒面が出現、その結果、ジャンヌオルタちゃんは抑止力から送り込まれる形でこのカタッシュ村にやってきたわけである。

 

 そんなジャンヌオルタちゃんが出現できるようになったそのきっかけはなんと、ジャンヌが楽しみにしていた漬物をカタッシュ隊員達が台無しにしてしまったという事だった。

 

 詰まる話が…。

 

 

「漬物でジャンヌオルタがオルタった(降りたった)って訳やね」

「リーダー…」

 

 

 今日も今日とてリーダーの寒いオヤジギャグが染み渡る。西瓜もよく冷えそうだ、現にカルナは可哀想な人を見る目でリーダーを見つめていた。

 

 

 ーーー食べ物の恨みは怖い。

 

 

 モーさんの聖剣作りの過程とはいえ楽しみにしていた漬物を台無しにされては暗黒面に堕ちても致し方ないというもの。

 

 というわけで、このように現在は聖女二人、また、カタッシュメンバー達と共に農業に勤しむ毎日を送っているわけである。

 

 すると、ジャンヌはにこやかな笑顔を浮かべてジャンヌオルタの肩をポンと叩く。

 

 

「まあまあ、そんなに怒らなくても良いではないですか照れ隠しなんでしょう? 私にはわかります」

「ハァ? 何言ってんのよ? 私が照れる意味が…」

「ベディまだかなーまだかなーって言ってましたもんねぇ、この西瓜見たら喜ぶだろうなぁとか言ってましたもんねー、貴女」

「なぁ…っ!?」

 

 

 そう言って、ジャンヌは悪戯じみた笑みを浮かべながらジャンヌオルタにそう告げる。ジャンヌからそれを言われた彼女は顔を真っ赤にして声をあげた。

 

 ジャンヌオルタちゃん、実は大のYARIOファンであり、その中でもベディが大好きなのである。

 

 というのも? その理由は彼女が本来なるべきだった復讐心を彼がどっかへ追いやってくれた事が大きい。

 

 火刑台に送られるはずだったジャンヌダルク。

 

 しかし、ベディ達がいつのまにか現れ、自身の処刑を中断させただけでなくバーベキューで狂気で染まっていた民衆達を正気に戻し、幸せを送り届けてくれた。

 

 そんな、いろんな意味で自分を救ってくれたカタッシュ隊員達、そして、特に処刑を意図せず止めてくれたベディが彼女にとって一番大好きなアイドルになったのである。

 

 

「べべべべ別に? 私は単に農業が好きでベディに見てもらいたいわけじゃ無いし?」

「この西瓜、甘いねー」

「いやー、やっぱ糖度12度は美味いよな! すんげー甘い」

「ちょっと話聞きなさいよ! 燃やすわよ!」

 

 

 そう言いながら、呑気に西瓜を仲良く齧り感想を隣り合わせに述べるベディとヴラドの二人に顔を真っ赤にしたまま青筋を立てるジャンヌオルタちゃん。

 

 それを見ていたジャンヌからは笑いが溢れでる。

 

 西瓜には満足してくれてるようなのでジャンヌオルタちゃんも表だって怒っているような素振りを見せてはいるが内心では育てた西瓜を喜んで食べてくれてる事が嬉しいみたいであった。

 

 さて、西瓜を楽しんでいるカタッシュ隊員達だがもちろんそれだけでは無い。

 

 

「おーい、帰ったぞ、今日はなかなか大量だ」

「ふむ、上々だな」

「アタランテちゃんにスカサハ師匠お帰りー」

「うわー、鹿とでっかいイノシシだねこりゃ」

 

 

 狩りに出かけていたアタランテとスカサハ師匠もここで帰宅。鹿やイノシシを担いで帰って来てくれた。

 

 狩りの名人達だけあって、仕留めるのも上手い。

 

 これだけ傷もなく綺麗に仕留めてある鹿やイノシシなら毛皮を使って衣類にも活用できるだろう。

 

 

「晩飯楽しみだなこれ!」

「いやぁ、アタランテさんはやっぱりマタギが似合ってるよ」

「ふふふ、これくらいなら簡単なものだ。なぁ?」

「あぁ、楽勝というものだな」

 

 

 そう言いながら、嬉しそうに笑みを浮かべて仕留めた獲物を自慢げに見せつける二人。弓矢の名手であるアタランテと主に幻獣を普段からいくつも狩っていたスカサハ師匠の言葉だけに頼もしい。

 

 

 ーーーカタッシュ村の狩師。

 

 

 彼女達ならどんな獲物でも捕まえてきそうだ。クマやトラなんかを狩ってきても何らおかしく無いだろう。

 

 そして、一方、西瓜を食べ終え農業を終えたマルタちゃんは着替えを終えるとエミヤ、カルナと共に車庫に向かった。

 

 最近、バイクの製造にハマっている彼女、実は整備士であるエミヤと共に作ったこれを彼らに見せようと思っていたのだ。

 

 

「どうこれ? なかなかいいでしょ?」

「うわ! ハーレーじゃん! マジか!」

「あの英雄王もバイク作りに協力してくれてな、こんなのも試しに作ってみた」

「これニンジャだよね? 」

 

 

 そこには、バイクにハマった英雄達によるいくつもの製作されたバイクがずらりと並んでいた。

 

 もちろん、車検などはエミヤさんやADフィンら優秀なカタッシュスタッフ達が定期的に行ってくれるようになっている。

 

 そんな中、マルタが嬉しそうに笑顔を浮かべてカルナに見せるのは自慢の愛車。

 

 

「私はこいつがお気に入りなのよね?」

「…マルタちゃん、これ…」

「どう? かっこいいでしょ、私の愛車」

 

 

 そう言いながら、カルナに愛車を見せつけるマルタ。

 

 そこにはバベルの塔のように天を貫かんばかりの三段シート、そして、独特のカラーリングに真っ赤なバイク。

 

 横文字で夜露死苦と刻まれている文字、特攻の拓なんかでよく見かけるソレがそこに鎮座していた。

 

 おまけに纏いを着るマルタちゃんは胸に晒しを巻いて完全に聖女のお姉さんというより姉御と呼びたくなるような格好に着替えていた。

 

 そして、笑顔を浮かべたままマルタはこう語りはじめる。

 

 

「最近、村をこの格好でバイク走らせるのがたまらないのよね! ほら、ストレス発散っていうか農業も楽しいんだけど…」

「あのすいません、田舎のレディースの方ですか?」

 

 

 ーーーこんなバイクを田舎でたまに見る。

 

 そう、久方ぶりにカタッシュ村に帰ってみれば、マルタ姐さんが爆誕していたのだ。これにはカルナも顔をひきつらせるしかない。

 

 普段から杖よりステゴロで龍ですら素手でぶん殴るマルタ姐さん、さすがは世界最古のレディース、最先端を行っていた。

 

 とはいえ、やっていることはただのツーリングでバイクを走らせることなので防音もしっかりしているので近隣の人に迷惑を掛けることは無いというのはバイク作りに携わっていたエミヤさんの談である。

 

 

「そういう事で、私、今からちょっくらブっ込んでくるんで! 後は夜露死苦!

「あ、はい」

 

 

 そう言い残して、すぐさまバイクを走らせてどっかに旅立ってしまうマルタを見送るカルナ。

 

 彼女の身につけている纏いの背中にはタラスクの刺繍と聖女魔流堕参上の文字が記されてあった。さすがは世界最古のレディース、センスが違う。

 

 カタッシュ村にもこういうパンチが効いたものがだんだんと増えてきたんだなとカルナは風になりバイクを駆るマルタの背中を見送りながら感心するのだった。

 

 さて、だんだんとカタッシュ村にも人が増えはじめ賑やかになってきた。

 

 こうしてカタッシュ隊員達は本拠地であるカタッシュ村にて、つかの間の穏やかな村での生活を堪能した。

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.リーダー、固有スキル:人間糖度計

 

 2.漬物でオルタ化してしまったジャンヌ

 

 3.聖遺物を作れるアイドル。

 

 4.世界最古レディースマルタちゃん爆誕。








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