ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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閑話3 カタッシュ村音楽祭。

 

 カタッシュ村ではある催しが開催される予定であった。

 

 それはカタッシュ村で各英雄の喉自慢が競い合う祭典、ずばり、二つに割れた英雄同士の紅白歌合戦である。

 

 いたるところには人だかり、ブリテンだけでなくローマやフランス、エジプトやギリシャまで幅広い地域に渡りこのカタッシュ村に足を運ぶ事になった。

 

 そして、そんな祭典に向けてカタッシュ隊員達はというと?

 

 

「ステージに使う丸太足んないよー」

「あー、待ってて、ちょっくら切り倒して持ってくるから」

「忙しい! 忙しい!」

 

 

 そう言って、あちらこちら走り回り準備に追われるカタッシュ隊員達、少しでも賑やかな祭にするため出店を出来るだけ作らなければならなかった。

 

 何故、このような祭りが開催される事になったのか?

 

 事の顛末は一カ月ほど前に遡る。

 

 

 

 

 その日、村にある生き物が発見された。発見された生き物はというと愛らしい風貌をしたマスコットの様な生き物であった。

 

 それを拾ってきたベディはこの可愛らしい生物を大変気に入っていた。

 

 

「ノッブ! ノッブ!」

「…何それ」

「可愛くない? ねぇ、可愛くない?」

「確かに愛嬌あるなぁ、ノッブ言うてるけど」

「こいつ食えんのかな」

「焼いたらいけそうな気はする」

「あんた達はほんと拾ったらなんでも食べようとするね」

 

 

 そう言って、ノッブをマジマジと見つめながら呟くベディとカルナにそうツッコミを入れるヴラド。

 

 よくもまあこんな可愛らしい生き物を食べれるかどうか考えつくものだと感心する。

 

 しかし、これは実は始まりにすぎなかった。というのもこの謎の生き物がいるのには原因がある。

 

 それが…。

 

 

「儂が! 儂こそが! 第六天魔王! 織田信長である!」

「すいません皆さん…ちょっとトラブルに巻き込まれちゃって…」

 

 

 そう、知る人ぞ知る第六天魔王、織田信長を出張に出かけていたADフィンが連れてきてしまったからである。

 

 しかも、織田信長と言っても幼げっぽい風貌、可愛らしい女の子だった。今までの英雄も女性ばかりだったので今更ではあるが…。

 

 そんな織田信長さんがこの場に来たことによりこのマスコット、ノッブが出現したのである。

 

 そして、この彼女の出現により、さらに連鎖的な出来事がこのカタッシュ村に降り注ぐ事になった。

 

 というのも?

 

 

「これ宇宙船じゃね?」

「うお! マジだ! かっけー! ヤマトじゃん! ヤマト!」

「宇宙戦艦ほどデカくはないけどね」

「ケホ…ケホ…っ! 大量のアルトリア顔の反応を追っているうちにこんなところに不時着してしまうとは!」

 

 

 謎の宇宙船がこのカタッシュ村近郊に不時着し、中から現れたのはブルマ姿にジャージのアルトリア顔の少女だった。

 

 そうして、彼女達と彼らは出会った。

 

 そして、同時に信長ことノッブは宇宙から突如現れた謎のヒロインXと意気投合する事になる。

 

 意気投合、すなわち、一緒のタイミングでカタッシュ村に現れたこいつとならコンビを組んでも良いのでは? と。

 

 そんなこんなで、YARIOが実は農家に見せかけたアイドルでありロックミュージシャンという影響もあり彼女達はある事を決心した。

 

 そう、バンドの結成である。

 

 

「儂はギターできるからの! ボーカルはお主! そして、ドラムは沖田じゃ!」

「…なんでこんなことに…」

「お主、どうせ仮病じゃろ? 儂に協力せい、霊草で寿命伸びたんならええじゃろうが」

「病弱の兆候はまだあるんですよ! 死にませんけどね! 確かに!」

 

 

 暇そうにしていた沖田さんを無理矢理拉致し、刀使えんならドラムできるだろと無理矢理、信長ことノッブはその座に彼女をつかせた。

 

 こうして、バンドのメンバーは揃った。

 

 以前、謎のヒロインXさんから沖田さんが襲われた挙句始末されそうになったといういざこざもあったが、ロックバンドに衝突は付き物、なんとかヒロインXをボーカルに据える事にも成功。

 

 

「ボーカル…、華形ですね、うむ、他のアルトリア顔をおびき寄せるには確かに目立つ方が色々とやりやすいですし、わかりました承りましょう」

 

 

 こうして、信長、沖田さん、謎のヒロインXからなる謎のバンドメンバーがカタッシュ村で結成されてしまうことに。

 

 確かにイギリスといえばロックの発祥の地として知られている。

 

 では、この破天荒なメンバーがどんな曲を歌うのか? そして、バンド名は一体どんなバンド名にするつもりなのか?

 

 これらの疑問はすぐさま解消される事になった。

 

 ADフィンが面倒ごとに巻き込まれて本能寺からちゃっかりカタッシュ村までやってきた織田信長、そして、アルトリア反応を追っかけてこの村に墜落してきた謎のヒロインX。

 

 そしてノッブに巻き込まれる形でバンドに加わった沖田さん。

 

 バンドを組んだ彼女達のバンド名はこちら。

 

 

 ーーーー謎のヒロインXJ。

 

 

 そう、なんとボーカルの名前にJを付けただけ、しかし、ただのJでは無い、これは、ジャパンという意味のJなのである。

 

 皆さまはご存知だろう、メイドインジャパンという銘柄の魔力を。

 

 シンプルにしてベスト、そして、彼女達が歌うジャンルはハードなロック。マイクを握る信長は声高にステージからこんな事を観客の皆に告げる。

 

 

「儂のイメージカラーは何じゃ皆の衆! みんなは当然知ってるから是非もないよネ!」

「あの…そのキャラいちいち作らなくても」

 

 

 そう言いながら、マイクパフォーマンスに入るノッブを制止する沖田さん、観客からは思わず笑いも溢れる。

 

 しかし、しばらくして、マイクを握ったノッブはギターをギャンギャンと弾くと声高にこう叫んだ。

 

 ノッブのイメージカラー、そう、それは勿論。

 

 

「そう、紅じゃぁぁぁぁああああ!」

 

 

 ノッブがそう叫ぶと共にスイッチが入ったのかドラムを激しく叩き始める沖田さん。

 

 元病弱な体とは思えないほど首を激しく上下に動かしながらドラムを叩きまくり始めた。

 

 そうして、ディルムッドから学んだドラムの技術を習得した沖田さんはハードなドラムの首振りと共にリズムを刻む。

 

 

 ーーーしかし沖田さんは死にそうになっていた。

 

 

 この光景を眺めていたカタッシュ隊員達は、こんな感想を各自、思ったように口にしていた。

 

 

「あれは死ぬでしょ、沖田ちゃん」

「あれ首やるらしいよ」

 

 

 事実、沖田さんはドラムを激しく叩いてる中意識が朦朧としているようだった。これはもう止めた方が良いのでは?

 

 しかし、その心配は見事に的中する。

 

 加速する音楽についていけなくなった沖田さんが喀血し、ドラムを叩いている最中に椅子から転倒。

 

 

「グハァ…!」

「お、沖田ちゃーん!」

「担架持ってきて! 担架!」

 

 

 血を吐きながらドラムで力つきるというあまりにロックな出来事にカタッシュ隊員達もすぐさま動いた。

 

 一応、霊草を食べているので命の危険はないのだが、担架に乗せられた沖田さんは何故かサムズアップしながらステージから退場していった。

 

 送り先はもちろんカタッシュ村病院である。

 

 運んでいる最中、沖田さんはアイルビーバックとか呟いていたが皆は聞かなかった事にした。

 

 

「どれだけ涙を流せば〜、沖田を忘れられるじゃろ〜」

「せめて覚えててあげてください!無理して付き合ってくれたんですからっ!」

 

 

 そう言って、白状な事を口走る第六ロックスターノッブにツッコミを入れるヴラド。

 

 当たり前だが、この後、緊急搬送された沖田さんはナイチンゲール婦長からこってり怒られる事になったのは言うまでもない。

 

 という訳で、すぐさま、ドラムの代役を彼女達は探す事になった。そこで白羽の矢が立ったのはこの人。

 

 

「ご無沙汰ー…」

「えっちゃん! えっちゃんではないですか!」

 

 

 邪聖剣を扱う彼女。アルトリア粒子を追いかけてこの地に墜落した宇宙船に乗っていたその名も謎のヒロインXオルタちゃんである。

 

 暗黒面に堕ちたセイバーらしく、黒竜双剋勝利剣の使い手、さらに二刀流という事もあってドラムの補充としては最適解だと言えるだろう。

 

 ちなみに彼女の宇宙船が墜落したことで謎のヒロインXちゃんと合わせてカタッシュ村に大きなクレーターが二つほどできたのは言うまでもない。

 

 

「ちなみにリーダーは私がしますので…。貴女達は頼りなさそうだし…」

「えっ!! それはおかしいでしょ! そこはX的な意味でもボーカルの私がリーダーですよ!」

「なぁにぃ! バンド組もうと言ったのはこの儂じゃ!! だって儂、めちゃ有名だし! 儂じゃろ普通!」

 

 

 そう言って、ドラムのえっちゃんに対し異議申し立てをし始める二人。

 

 バンドを立ち上げたノッブにボーカルでバンド名的にもリーダーであると言い張る謎のヒロインX。

 

 これでは埒があかない、という事でえっちゃんこと、謎のヒロインXオルタはめんどくさそうにこんな事を二人に告げる。

 

 

「ふーん…じゃあドラムの代わりの人探してね」

「ちょっ! えっちゃん! チョットマッテ!」

「少し話し合おうかの!? いやー、リーダーの座なんて些細な問題じゃし? 貴様なら相応しいかもしれんしな! だからバンド解散するのは待ってください! いやほんとに!」

 

 

 そう言って、えっちゃんを引き止める第六天魔王と謎のヒロインXちゃん。

 

 本来、基本めんどくさがりのこの娘がドラムを引き受けてくれるというの自体奇跡なのだ、それ相応の代価はもちろん必要だろう。

 

 さて、こうして、ようやく話がまとまり、とりあえずバンドは無事結成される事になった。

 

 後に彼女達は伝説的なバンドになるだろう、そんな予感がする。

 

 だがその前に…。

 

 

「とりあえず、あのクレーターと荒らした畑を治そうか? お前ら」

「…えっと…、今からリハやる予定なんじゃが…」

「やれ♪」

 

 

 そう、満面の笑みを浮かべ青筋を立てているモーさんがすっぽん沼江をちらつかせながら彼女達全員に脅しをかけていた。

 

 一応、カタッシュ村の領主であるモーさん、確かに自分の管理する村に墜落した宇宙船で出来たこんなでかいクレーターが二つできれば捨て置く事は出来ない、当たり前である。

 

 

 ーーーー後始末はしっかりやらなければ。

 

 

 しかも、彼女達が断りでもしようものなら、ステゴロで首と拳ゴキリゴキリと鳴らしつつ特攻服を着た聖女のお姉さん、そして、同じく仁王立ちしている聖女の農家娘を含めた農家の人達が満面の笑みでお出迎えしてくれる事だろう。

 

 これを見ていた彼らは無言で左右に首を振り、助けを求めるノッブ達に静かに鍬を渡してあげるのだった。

 

 

「仕方ないね、やっちゃったもんは」

「さ! しっかり埋めよう! なかなか深いけどね!」

「…最近のロックバンドって鍬握るんですね」

「儂、殿様なのになんで農民やっとるんじゃろう…」

 

 

 こうして、クレーターを埋める作業に入るノッブ達、人気バンドへの道のりは果てし無く遠い。

 

 人気アイドル兼ロックバンドの彼らも鍬を握っているのだから間違いない、いつか彼女達も違和感なく鍬を握るその日はそう遠くはないはずだ。

 

 

「えっちゃん上手いですね、使い方」

「慣れればなんてことないよ」

 

 

 ーーー二刀流の鍬使いが二人。

 

 

 流石は剣を日常的に二つ握っているわけではない。というより、鍬の二刀流など見たことが無いが。

 

 眼鏡美少女とジャージ美少女が泥まみれで鍬を握る姿はやはり絵になる。しかし、一方で第六天魔王はどこか鍬の使い方がぎこちなかった。

 

 そんなこんなで埋め立てを始めるバンドメンバー、果たしてこんなことで曲を演奏することができるのだろうか?

 

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.親方、空から女の子が!

 

 2.X斬りがカタッシュ村に流行。

 

 3.村にクレーターができる。

 

 4.カタッシュ村紅白歌合戦開催。








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