ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
<< 前の話 次の話 >>

67 / 74
超越開拓島 カタッシュ島
王様作り(完結)


 

 

 さて、カタッシュ村での休日を満喫したカタッシュ隊員達。

 

 彼らが今回訪れたのは再びノアの男爵ディーノの回収である。というのも、ヨルムンガンド捕獲にも成功した彼らは以前から計画していた事に挑戦しようとしていたのである。

 

 打ち上げられたノアの男爵ディーノを目の当たりにするカタッシュ隊員達。

 

 あの荒海の中を乗り越えて大雨を凌いだ男爵ディーノは傷だらけではあるものの綺麗な形で残っていた。

 

 

「こんにちはー! ノアさんお久しぶりー」

「おー! そなた達か! 久方ぶりじゃの!」

「どうでした? 男爵ディーノ?」

 

 

 そう言って、打ち上げられた男爵ディーノを見渡すカルナ、船の出来栄えは間違いなくよかった。その証拠に傷はあれども破損し浸水した形跡は無い。

 

 これなら、まだ使える。彼らはそう確信していた。問題はこの男爵ディーノをまだノアさんが使うかどうかであるが…。

 

 その事について、ベディはこんな質問を早速ノアさんに問いかけはじめた。

 

 

「えーと、この後、この船使う予定とかありますかね…?」

「いや、ないのう。とりあえず大雨と洪水は凌げたし、こうして大陸も見つけられたしの」

「じゃあ…この船、僕らが頂いちゃっても…?」

「もちろんOKじゃ!」

 

 

 そう言って、サムズアップと満面の笑みで応えてくれるノアさん。同じ船を作りあった仲、それに協力してくれた彼らに船を譲るのなど何も躊躇する要素はなかった。

 

 お礼を述べ、それを素直に譲り受けるカタッシュ隊員達。これさえあれば、念願のカタッシュ島までの渡航ができる船が手に入る。

 

 長旅になる為、これの他にもちろん様々な補修や改修を行わなければならないがそれでも基になる船があるだけでもだいぶ違ってくる。

 

 

「ありがとうございます!」

「いやー、この船ならぜってー行けるな! ブリテンってイギリスでしょ? 問題ないな」

「まずは、改修して…ほら、丁度、間違えて戦艦作ろうとして解体して持って帰った鉄あるからそれ使おうよ」

 

 

 コロンブスが世界を一周したように、日本の海にもこの船があればきっと渡れる、この男爵ディーノならば。

 

 そんな確信が彼らにはあった。どうせならばラーメン作りに必要な海産物を日本の海で採りそれを使いたい。

 

 ノアさんと作ったこの男爵ディーノならきっとそれも成し得る事ができるはずだ。

 

 

 そして、この男爵ディーノを早速カタッシュ村に持って帰ることに。とはいえ、この大きな男爵ディーノをそのままで持って帰るのは不可能。

 

 なので、小分けにしトラックだん吉に詰める大きさにしてカタッシュ村に持ち帰る。こうすれば向こうで組み立てができ、なおかつ船の改修や補修もできる。

 

 

「いつもなら和紙や発泡スチロールの船なんだろうけどね」

「それでどうやって大西洋横断する気? 沈むよ間違いなく」

「だよね」

 

 

 以前作った和紙や発泡スチロールの船、土佐和紙の船はグニャグニャになり、発泡スチロールの船はクルクル回転するだけだった。

 

 そんなもので広大な大西洋を横断できるわけが無い、ブリテンから日本までの距離は言わずもがな相当な距離がある。沈没不可避である。

 

 よくよく考えてみれば長い航海になるだろう。場所が場所だけに今回の企画は気を引き締めて臨まなければならない。

 

 

「きっと中途半端な気持ちでやると目も当てられない酷い航海を公開することになって皆、後悔することになるで!」

「……そうだね」

「今の時点でかなり後悔してるじゃないリーダー」

 

 

 ーーー寒いギャグにも負けず。

 

 そう大寒波のようなリーダーの親父ギャグに晒されている彼らにしてみればなんのその、航海でトラブルがあったところで屁でもない。

 

 というわけで、トラックに積んで男爵ディーノはブリテンの地へ。

 

 重機を使い、慎重にトラックから引き下ろしていくクーフーリン。

 

 ピラミッド作り以来、久々に扱うクレーン車だが、長年重機を使ってきた経験から身体が覚えている。

 

 

「このために車両系建設機械整地等の資格を取ったんだから。やってやれないことはない」

 

 

 ーーーー重機歴18年の余裕。

 

 作業自体もプロ顔負けの扱い方、付いたあだ名が重機王。

 

 様々な重機を扱う資格を持っているリーダーだからこそのあだ名である。

 

 そんなクーフーリンがクレーン車を操っている最中、一方でカタッシュ村でモーさん、エリちゃんと共に男爵ディーノの組み立てを行うディルムッドとカルナの2人。

 

 木材を扱うディルムッドは思い出すかのようにエリちゃんモーさんに対してしみじみと昔話をし始めた。

 

 

「木の気持ちになってあげるといいよ アタマごなしにやられたら木もね… オレが木の気持ちになったのは4歳の時かな」

「ふーん、てか木の気持ちって今思ったんだけど何?」

「木の気持ちってのは感じるんだよ! 聞こうとしちゃダメ! 第六感使うんだよ!

「…な、なるほど、奥が深いわね」

 

 

 痛んだ箇所を取り除き、新たな木材を使い張替えを行うカタッシュ隊員達。男爵ディーノはノアさんと共に大洪水に荒波を耐えきってみせた、だからこそ、改修はしっかり行ってやらねばならない。

 

 ディルムッドはしみじみと男爵ディーノを撫でてやりながら慈愛に満ちた表情で彼女達に話を続ける。

 

 

「北海道はポプラが有名でね オレがどうこうじゃなくて 向こうが話しかけてきたのよ」

「…まぁ、精霊の類に強いもんなディル兄ィ」

「妖精王の息子らしいじゃない? それくらい当たり前なんじゃないの?」

「この身体なる前だからパンピーのアイドルやってた時の話なんだけどね?」

「木の気持ちが分かるアイドルの時点でパンピーじゃねぇよ」

 

 

 冷静なヴラドの突っ込みが今日も冴え渡る。

 

 どこの世界にアイドルで木の気持ちが分かる一般人がいるというのだろうか? 英雄になる前から木の気持ちが分かる時点で十分な変態である。

 

 幼少期の出来事をディルムッドはふと思い返してみる。

 

 

「俺、友達いなかったから 木と遊んでた」

「泣いていいっすか?」

 

 

 そう言い切るディルムッドに作業を手伝っていたヴラドが思わず同情してしまう始末。

 

 これにはモーさんとエリちゃんの目もウルウルと涙目になって頷いていた。可愛い妹分達に同情される40過ぎのアイドル、これも定めか…。

 

 さて、続いては丸太を削る作業、丸太の中身を削り、以前やった水路作りの要領でベディが丸太を削る。

 

 しかし、その削れた中身は…。

 

 

「先生 ボロボロなんですけど」

「俺の人生と一緒だぜ」

「ディル兄ィ! ほら!」

「おー! モーさん上手くなってんじゃん! これで俺と一緒で人生ボロボロブラザーズだな

「イェーイ!」

 

 

 サムズアップするディルムッドとモーさんの2人のやりとりに思わず顔をひきつらせるベディ。

 

 

 ーーー人生ボロボロブラザーズ。

 

 

 そんな兄妹で果たして良いのだろうか…、本人達が楽しそうなのでとりあえずそっとしておくことにした。

 

 そんな作業を側から見ていたリーダークーフーリンはしみじみとモーさんの丸太彫りを見て思い出す。

 

 確か、鑿の使い方は彼女は苦手だったはず、それがいつのまにか克服されているではないか。

 

 以前の彼らも鑿の使い方がイマイチできていなかったのだが、経験を積み克服した。

 

 それをモーさんが成し遂げたのである、自分達の姿を思わず彼女に重ねてしまう。

 

 

「みんな、ノミが苦手やったもんな、最初はうまくなったのは、ノミのみか」

 

 

 ーーーー空気が止まる。

 

 さて、そんな最中、リーダーの寒いギャグはとりあえず放置して作業は続行される。鉄板を貼り付けて補強し、強靭な海賊船へ。

 

 そんな時だった、この日、予想もしない人物がこのカタッシュ村での作業中に彼らの元へ訪れた。

 

 それは…。

 

 

「…おぉ、これまた立派な船だな」

「我が王よ、これが男爵ディーノなる船らしいです」

「うむ、確かに素晴らしい匠の業だ。私も期待せざる得ないな」

 

 

 そう、槍を携えたブリテンの王、アルトリア・ペンドラゴンとアグラヴェイン卿の2人である。

 

 まず、注目されるのはアルトリアさんのその成長っぷりである。以前はあれだけ、浜辺で流れ着いたまな板に近いような胸部がなんと一変。

 

 まるで、以前、モーさんが西瓜を胸に入れた時と同じくらいに豊満になっている。

 

 

「おー! アルトリアちゃん! 久しぶりー! 元気してた!」

「え! 父上か! 父上ー! …えっ? ち…乳上っ…!?

「モーさん、ショックなのは分かるけど文字がいかがわしくなっちゃってる」

 

 

 たゆんと弾むアルトリアの胸に思わずショックを受けたモーさんが真っ白になり固まる姿を見て、突っ込みながら肩を叩くヴラド。

 

 確かに見ないうちに成長しすぎである。こんな凶悪なものを揺らされれば子であるモーさんもそうなるのも致し方ない。

 

 以前、モーさんに限っては西瓜でそんな事をやっていたので余計にダメージが大きかった、目前にはあの西瓜と同じくらいデカイのをぶら下げた父上、もとい、乳上がいるわけだが。

 

 それを見たディルムッドはリーダーの元に駆け寄るとこんな言葉を交わす。

 

 

「あれの糖度何度くらい?」

「あれは大体…。いや、わからへんよ、西瓜やないやろ」

 

 

 ーーー測定不能の西瓜。

 

 どうもアルトリアちゃんから話を聞くところによると折れたカリバーンの代わりに槍を使うようになって成長期に入ったらしい。

 

 にしてもこの成長っぷりは彼らも度肝を抜かされざる得なかった。

 

 しかしながら、こうも見ないうちにアルトリアちゃんが成長するとなんだか嬉しくもなってしまう。

 

 農業に携わっているものゆえの性分か…。

 

 

「いやー、こんなに立派になるなんて」

「毎日、肥料(食料)送っただけはあるよな!」

「こう…来るものがあるよね…」

 

 

 ーーー思わず感動してしまう。

 

 そして、モーさんに対しての期待も高まってきた。あと数十年か、その後かはわからないがあれくらい大きくなるポテンシャルを彼女も秘めているわけだ。

 

 ベディは思わず目をキラキラと輝かせる。今後の成長が実に楽しみである。

 

 さて、それはさておき、どうやらアルトリアちゃんがカタッシュ村に訪れた理由というのは村の視察に来たらしい。

 

 急速に発展していくカタッシュ村、医療関係、食料、物流、ect…。挙げれば切りがなくその恩恵はブリテン全土まで広がりつつある。

 

 特に蛮族と思われていたピクト人との交易もカタッシュ村では頻繁に行われている。

 

 彼らとのファーストコンタクトを行なったのはもちろん、ベディである。彼らとの会話はこんな感じに進行していた。

 

 

『オレタチ、キウエル、オレタチ、ナカマ! カンゼンニ ゴリラ ジョウタイ』

『オマエタチ、ヤサシイ、ハイタツ、ヨククル、タスカル、オイシイ』

『ココニ、シルシ、ツケル、スルトポイント、タマル』

『コレハ、オトク』

『もの◯け姫みたいな事言ってるけどそれめっちゃ現代的な会話だよね、ねっ?!』

 

 

 ーーーポイントタマル。

 

 

 確かにお得ではある。これにはピクト人の族長もにっこり、というわけで、ピクト人伝統を教わりつつ、文化的な交流を行う事になり今ではこのカタッシュ村のおかげでブリテンで争いが起きる事はなくなった。

 

 ピクト人の中にも建築やトラックの運転に秀でている人材もいるので、今では貴重な人材として活躍している者達までいる。

 

 そんなカタッシュ村を治めている領主であるモーさんことモードレッド卿はブリテンではアイドルであり皆から憧れの存在として広く認知されつつあった。

 

 そこで、アルトリアは考えた。今の彼女ならその器になり得ると。

 

 

「モードレッド…、貴殿を私の跡継ぎとしてこのカタッシュ村とキャメロット、そして、ブリテンを後々治めてほしいと思っている。アグラヴェインや円卓の騎士達と話し合ってそう決めた」

「……!?…そ、それは本当ですか!?」

 

 

 そう言って、驚いたようにアルトリアに問いかけるモードレッド。

 

 アルトリアは静かに頷いた。モードレッドはこのブリテンに紛れもなく大きな功績を残していた。

 

 領民から愛され、先住民との争いを無くし、そして、何より憧れと敬意を抱かれている。YARIO達が手塩にかけて育てた彼女を跡継ぎにするのに何の迷いも今のアルトリアにはなかった。

 

 ブリテンの王、アルトリアはゆっくりと馬上から降りると笑顔を浮かべたままモーさんに近づいていく。

 

 

「あぁ、貴殿は十分によくやってくれた。…紛れもなく私の自慢の息子だ」

 

 

 

 

 そして、彼女を優しく抱き締めるとアルトリアはそっと頭を撫でながら今までの頑張りをねぎらうようにモーさんに優しく言葉をかけた。

 

 それに対し、モードレッドは肩を震わせながら、固まったまま静かに涙を流していた。

 

 その光景を目の当たりにしていたカタッシュ隊員達もまた皆嬉しそうに拍手を送りつつ、満面の笑みを浮かべている。

 

 

「…よかったなぁ、一番認めてもらいたい人にようやく認めてもらえてホンマによかったわ」

「あー…ダメ…俺こういうの駄目だわ…。涙出てきた」

「…いやー、頑張ったもんなぁ頑張ったよ、モーさんはよく頑張ってた」

 

 

 彼女を可愛がっていた兄貴分の彼らの眼からも思わず涙が出てきた。モーさんの頑張りは彼らもよく知っていた。

 

 そうめん流しを作るために、リーダーと一緒に川に流された事もあった。

 

 スカサハ師匠に失礼な事を言ってお仕置きされた事もあった。

 

 木材や建物の作り方工具の扱い方を真剣にカルナから学んだ。

 

 美味しい板前料理の作り方や様々な伝統的なモノづくりをディルムッドから学んだ。

 

 機械弄りやレストア、船造りや乗り物についてはベディから学んだ。

 

 土器や器、炭作りや新たな事に挑戦する姿勢をヴラドから学んだ。

 

 土の知識や農業の大切さをリーダーであるクーフーリンから学んだ。

 

 彼らは知っていた、モードレッドという自分達の妹分が一日、一日しっかり成長していた事を、だからこそわかる、彼女の気持ちが。

 

 

「……は…い…っ、承りました…! 父上っ!」

 

 

 しっかりとした口調で震える声でモードレッドはアルトリアにそう答えた。

 

 今までモードレッドが積み上げてきた事は無駄ではない、彼らを通じて人の大切さ、絆の大切さをしっかりと学んだ。

 

 アイドルとして人に自然に地球に幸福を与える彼らの教えは彼女には大きな財産になったに違いない。

 

 それを見ていたマーリンもまた笑顔を浮かべ頷いていた。

 

 アルトリアの決定になんの異議もない、モードレッドはきっと領民から憧れ愛される立派な王になるだろうとわかるからだ。

 

 マーリンはしっかりと目撃していたモードレッドの腰に携えてあるすっぽん沼江が薄く光を放っている事を。

 

 そう彼らはついに作ったのだブリテンを治める王様を。

 

 こうして、彼らの挑戦の一つがまず一つ達成される事になった。

 

 いよいよ残るは遠回りになりつつある伝説のラーメン作りだけ! 果たして彼らは伝説のラーメンを作り上げる事はできるのか?

 

 

 この続きは…! 次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.カタッシュ村in王様造り編完結。

 

 2.ピクト人と会話できるベディ。

 

 3.おっぱいが成長した乳上。

 

 4.重機歴18年のリーダー。








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。