ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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酪農のお手伝い

 

 

 

 前回の鉄腕カタッシュでついに王様検定一級資格免許を取得したモーさん。

 

 めでたく、これでブリテンの王様になることができるようになった。

 

 それは同時にYARIOの目標である王様作りが完了したことを意味する。

 

 そんなめでたい出来事を迎える事が出来たカタッシュ隊員達だが、引き続き、カタッシュ島に渡るための男爵ディーノの組み立てがまだ残っている。

 

 と、それとは別に今回、ベディとヴラド、モーさんの3人はマーリン師匠の酪農の手伝いをしにやって来ていた。

 

 牛や羊、豚やヤギなどの家畜を始め酪農に必要な動物が増えて行く中で人手が足りなくなって来ているという。

 

 

「干し草この辺りで良いですかね?」

「うん、ありがとう助かるよ」

「よーしよし、晴男元気にやってたかー」

 

 

 そう言いながら晴男(ヤギ)の頭を撫でてやるベディ。

 

 この牧場の動物達が人懐っこいのはマーリンが手塩にかけて世話をしてあげているからだろう。

 

 マーリンも最近、酪農についての知識を深めていく中でだんだんと酪農に関するコツをつかめているようであった。

 

 一方でモーさんはじゃれつくように一匹の狼と戯れている。

 

 彼女はペロペロと顔を舐めてくるその狼を可愛がりながら満面の笑みを浮かべていた。

 

 この狼は羊の誘導を行う為の牧羊狼としてカタッシュ隊員達が連れてきた狼である。

 

 

「あははは! くすぐったいってば!」

「ワン!」

 

 

 だが、この狼はただの狼ではない。

 

 狼王ロボ、「魔物」と呼ばれ恐れられる古狼であり、巨躯の狼で、自分の倍以上もある体重の牛を引きずり倒す体力と「悪魔が知恵を授けた」とさえ称される知性を持ち合わせていたと言われている。

 

 それがなんと今では牧羊狼。

 

 ニューメキシコから彼らが連れてきたこの狼だが、それにはちゃんとした訳があった。

 

 そう、この狼王と呼ばれている巨大な狼。実はYARIO達にとって思い入れが強いメンバーの1人だったのである。

 

 

「北登〜、もう! 本当にお前は可愛いなぁ〜よしよし〜」

「クゥーン」

 

 

 そう、なんとあの福島県の村で彼らの師匠と共にいたあの柴犬、北登だったのである。

 

 それゆえ、人懐っこく、特にモーさんはこの北登を溺愛していた。

 

 暇さえあればこうして北登と戯れにこのカタッシュ村の牧場に毎日訪れているわけである。

 

 モーさん曰く、北登のモフモフした毛に顔を埋めるのが大好きだという話であった。

 

 

「もう誰か言ってやって、お前の方が可愛いぞって」

 

 

 そう言いながら幸せな表情を浮かべて北登を撫でているモーさんを見ながらそう突っ込みを入れるヴラド。

 

 そんな中、マーリンと共に牛から乳を絞り牛乳を搾取している。

 

 ベディは手探りながら、マーリン師匠から乳搾りのやり方をレクチャーしてもらい牛から上手く乳を搾り出していた。

 

 白い液体を木製のバケツで回収していく作業。

 

 確かにこれは人手がいる。この作業をマーリン師匠だけでやるのは大変な作業になるだろう。

 

 そんな最中、ベディは勢いよく出る牛の乳を見ながらこんなことをマーリン師匠に話しはじめる

 

 

「師匠、俺さ、乳マスターになるわ

「君はいきなり何言ってるんだい?」

 

 

 そんな急な決意に思わず顔を痙攣らせるマーリン師匠。

 

 しかし、ベディは牛の乳を搾り出しながら確信していたこの牛の乳搾りに対する確かな手ごたえ。

 

 かつて、あーご飯食べてお腹いっぱい、を略しておっぱいと口走った男が言う決意は伊達ではない。

 

 

おっぱいで俺の右に出る奴は居ないっていつか言ってみたいなって思って」

「冷静に考えよう? 人前でそんなこと言ったら通報されるよ」

 

 

 そう言いながら、唖然としているマーリン師匠に変わって冷静な突っ込みを入れるヴラド、人前でそんな事を言ったりしたらそうなるのは当たり前である。

 

 そんな中、牛の乳搾りの作業にモーさんも加わって順調に牛乳を回収していくカタッシュ隊員達。

 

 そんな最中、牛で何かを思い出したのか、ベディはふと搾り出している牛の身体を見ながら他のメンバーにこんな質問を投げかけはじめた。

 

 

「そういやさ、英語で牛の赤ちゃんってみんな何て言うの?」

「牛の赤ちゃん?」

「何? またどうしたの急に?」

「いやさ、思い出してさ、牛見てたら」

 

 

 ベディは首を傾げながら牛の乳を絞りつつみんなに問いかける。

 

 牛の赤ちゃんを英語で、なかなかそんなシチュエーションはないだろうがカタッシュ隊員達はベディの疑問に首を捻りながらちょっと考え込む。

 

 そんな中、ヴラドは逆にその質問に関してベディに問う。

 

 

「じゃあ、ベディは英語で何て言うの? 牛の赤ちゃん」

 

 

 そう、そんな事を聞いてくると言うことは以前、ベディがそう質問をされたということ。

 

 その件に関して、首を捻っていたベディは間を空けて、ゆっくりと口を開いてヴラドにこう答えた。

 

 

「俺がそん時言ったのは、ビーフベイビー

「牛肉に既に加工済みかな?」

 

 

 

 ーーー牛肉赤ちゃん。

 

 その瞬間、マーリンとモーさんの2人は吹き出すように笑い始めた。

 

 ビーフは牛肉、つまり、訳すと牛肉赤ちゃんなのである。どうやら、牛の赤ちゃんは牛肉に加工済みらしい。

 

 ブリテンに住んでいるというのにこれではここの現地の人に言葉がちゃんと伝わっていたのかどうかすら怪しいところである。

 

 

「そん時はロック調な感じでビーフベイベーって言ってた」

「何ちょっとかっこつけてんだよ」

 

 

 そう言いながら、ヴラドも思わずベディのその言葉に吹き出す。

 

 かっこつけても間違いは間違いである。そう言われたベディはその後、モーさんから牛の赤ちゃんの正しい英語を教えてもらった。

 

 そんなわけで、乳搾りを終え出来上がった牛乳を並べていくカタッシュ隊員達、これが、後々、様々な乳製品に変わっていくのだから楽しみだ。

 

 

「マーリン師匠、俺、練乳たくさん食べたいからいっぱい作ってね」

「…う、うん、わかったよ」

「それとスタッフもおいおい連れてきますので、これ、お一人だと大変でしょうし」

「まあね、魔法でカバーはそれなりにしてるんだけどそうしてくれると助かるよ」

 

 

 そう言いながら、苦笑いを浮かべるマーリン師匠。時々、心優しいジャンヌや優しい姉貴肌のマルタが手伝いに来てはいるが、女性に手伝ってもらえる仕事は限られている。

 

 力作業や酪農のイロハを知っている経験者が欲しいとは前々からマーリンも考えていた事だ。

 

 というわけで、場所は変わって男爵ディーノの改修に移るとしよう。

 

 

「アルトリアちゃん、案外不器用なんだね」

「ぐぬぬ…」

「我が王よ、そこはこうしてですな…」

「そんでもってアグちゃんがめちゃ器用過ぎるわ、何で金槌の使い方そんな上手いのよ」

 

 

 そう、アルトリアちゃんがなんと船造りに協力してくれる事に。しかもアグラヴェイン卿まで手伝ってくれていた。

 

 頭にタオル巻いている姿が妙に似合っているアグラヴェイン卿、一言で言い表すなら日曜日に大工を趣味にしているお父さんのようだ。

 

 アルトリアちゃんは相変わらず苦戦中の模様、工具の扱い方がどこかぎこちない。

 

 

「…船造りとはこんなに難しいものだったのか…」

「国を治めるよりは簡単だと思うよ」

 

 

 ーーー国を治めるより船造りが難しい。

 

 そんな事を言い始めたら多分、いろんなところの王様達から抗議が殺到することだろう。しかしながら、最初慣れない内はやはり難しいものは難しいのである。

 

 アルトリアちゃんにレクチャーしながら男爵ディーノの加工、改修は順調に進む。

 

 

「バックだ! そのままそのまま! オーライ! よしこんなものか」

「エミヤん、もうええの?」

「リーダー、私的にはこの位置がベストだと思う。ここなら運搬も手数が少なくて済みそうだしな」

 

 

 安全メットを被ったエミヤさんは設計図を見ながらクレーンを操り、男爵ディーノに必要な材料を運搬するリーダーにそう告げる。

 

 効率よく作業ができるように工夫をし、運搬に手数をかけなくて済むようこうして必要な材料をあらかじめ移動させておく。

 

 こうする事で男爵ディーノの改修作業もより円滑に進める事ができるはず。

 

 

「完成が楽しみやなぁ」

 

 

 一体どんな仕上がりになるのか今はまだ想像できないが期待は高まるばかりだ。

 

 さて、そんな作業を繰り広げる最中、一台のだん吉が現場へ帰ってきた。

 

 中からは疲れた様子のディルムッドの姿が…一体どうしたというのだろうか?

 

 

「ただいまぁ…」

「おー、ディル! 今クレーン終わったとこやで、えらい疲れとるけどどないしたん?」

「いやー…、久々、フィニアンサイクルのみんなにお土産持って帰ったんだけどさー、ちょっと聞いてよーマジで」

 

 

 ディルムッドは呆れたような表情を浮かべて深いため息を吐くとそう告げる。

 

 そう、ディルムッドは久方ぶりに挨拶がてらフィニアンサイクルのフィオナ騎士団の皆さまに板前料理とカタッシュ村で採れた作物のお裾分けをしに行っていた。

 

 そこまでは良かったのだが…?

 

 

「…なんかさぁ、前からなんだけど俺、料亭開いてた時期あったじゃん? そん時になんかコーマックさんって人がさぁなんかえらい気に入っちゃったみたいでさ和食料理」

「ほうほう」

「そんでまぁ、その人にグラーニアって娘さんいんだけど嫁にやるってんで、アイドルだから俺ってば一回断った訳よ」

「そんでそんで?」

「久方ぶりに騎士団に帰ったらその娘が厨房で包丁チラつかせてて戦慄した」

 

 

 ーーーまさかの押しかけ嫁。

 

 そう、久方ぶりに帰ってきた実家に見知らぬ可愛らしい娘が包丁を持って眼のハイライトが無く台所に居たらそれは戦慄不可避である。

 

 流石にこれにはディルムッドも身体が強張ったとため息をつきながらリーダーに話す。正直な話、巨大な大蛇、ヨルムンガンドより怖かったそうな。

 

 

「嫁だけに読めんかったわけか…」

いや、嫁じゃないし、貰ってきてないし、なんとか言いくるめて一命取り留めて帰って来たんだからね、俺」

「そりゃ大変やったなぁ」

 

 

 ディルムッドは顔を引きつらせながらリーダーに告げる。トラウマになりそうな出来事だが、なんとかなったみたいである。

 

 久方ぶりに実家に帰ってみたらとんでもないことになっていたのだからそうなるのも致し方ないだろう。

 

 

「グラーニアちゃん、別れ際にきっと貴方の元へ行きますからっ! 待っててね! って」

「よかったやん! それでお前なんて答えたん?」

「そこは抜かりなく、俺らのアルバム買ってくれたら握手券付いてくるよって言っといたわ!」

「それはちゃうやん! あかんやん!その商法どっかで見たで!」

 

 

 ーーーどっかで見た商法。

 

 そんな商法が通用するのか、いや、彼らほどの人気アイドルとなればこんな風な商法もいけるのではないだろうか?

 

 しかしながら、皆さまは彼らの事は既に歌うアイドルというより農家の人の認知になってしまっているのでこの商法が成功するかどうかは疑問である。

 

 

「…まぁ、一応、俺たち島行くから船舶免許取って船を木から作れるようになってから出直しておいでとは言っておいたから大丈夫とは思うんだよね、多分」

「いやーわからへんよその調子ならその娘、船舶免許取ってくるかもしれへんで?」

 

 

 ーーー本気でやりかねない。

 

 それくらいの勢いはあったような気もする。なんにしろ、彼女に無理難題を言ってもフィオナ騎士団の皆は優しいので手助けしそうだなとディルムッドはふと思った。

 

 現にグラーニアさんが厨房で包丁をちらつかせていた時もどうやら彼らから板前料理について学んでいたからだそうな。

 

 そう考えると、いずれにしろ船舶免許を取得し、更に航海術を兼ね備え、板前料理もできるようにグラーニアがなってしまえば…。

 

 そう考えるとディルムッドは急に背筋が寒くなったような気がした。

 

 

「今度帰るときは刺されないように腹に鉄板仕込んで持っていっとくわ」

「Vシネマかっ! 」

 

 

 エミヤさんはそんなディルムッドの言葉に思わず突っ込みを入れる。

 

 まな板を腹に抱えて持って行けば確かに刺された時になんとかなりそうな気もするが実家に帰るのに任侠映画のカチコミに備える格好はいかがなものだろう。

 

 愛のチカラとは時に末恐ろしいものである。

 

 というわけで、予想外の熱烈なファンの押しかけ騒動があったもののディルムッドも男爵ディーノの改修作業の手伝いに入る。

 

 

 さて、カタッシュ島に渡る船は無事に完成するのだろうか?

 

 この続きは次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.酪農のお手伝いをする。

 

 2.狼王と化した北登登場。

 

 3.ビーフベイベー

 

 4.グラーニア嬢板前に弟子入り祈願

 

 5.国を治めるより難しい船造り








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