ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか? 作:パトラッシュS
無事に第1の食材、もとい、ADフィンを若返らせる為の霊草を手に入れ、砦に帰還したYARIO一行。
ラーメンの具材にも、薬の原材料となるこの霊草の入手は非常に大きい、これさえあれば今後のYARIOの活動にも幅が広がることは間違いない。
海藻に含まれているグルタミン酸、アルギン酸は間違いなくこの深淵の霊草には多く含まれているはずだ。
グルタミン酸は料理にも使えるのはもちろんだが、アルギン酸は土の水はけを良くし豊かにする成分が含まれている。
伝説の霊草を持ち帰った三人に、フィオナ騎士団の面々は腰を抜かした様に驚くばかりであった。
「ほ、ほんとに持って帰ってきたのか!?」
「せやでー、まぁ、とはいえこれから加工作業に入らなあかんねんけどな」
「さぁ、お前らも今から忙しくなっからしっかり手伝ってくれよ?」
「…ははは、あは…ま、マジかよ…」
フィオナ騎士団達もこの霊草を何事もなく持ち帰ってきた英雄達に開いた口が塞がらない。
確かに、あの大英雄クー・フーリンと影の国の女王であるスカサハならば、そんな、与太話の様な事を成し遂げてしまう事はわかるが、同僚のディルムッドもまたそれが普通だとばかりに振る舞っている。
これは自分達の認識がもしかしたら間違っていたのかもしれない、フィオナ騎士団のロナン達三人は彼らが持って霊草を前にしてそう思わざる得なかった。
さて、ひと段落ついたところでこれから薬の加工作業に入るわけだが、我らがYARIOも古代の伝統的な薬の加工法は素人。
ここは一つ、深淵の知識があり、なおかつ、ルーン魔術に精通している我らが師匠、スカサハの教えを受けながらの手探りの薬作りを行わなければいけない。
「そういうわけで! スカサハ先生! ご指導ご鞭撻! お願いします!」
「う、うむ、…むー、しかし、私も久々の薬作りだ。うろ覚えなとこもあるからな…」
「あー、それなら、ほら、昔ながらの伝統的な薬品加工の方法が書かれた本がウチの書物にあったはず!」
そう言って、ディルムッドは砦にある書物庫から薬剤に関する書物をありったけかき集めてきた。
これだけ本があれば、薬作りを行うにも失敗しなくても良さそうだ。早速、クー・フーリンとスカサハは霊草を加工して薬作りをしはじめた。
まずは、霊草を乾燥させるところから始まる。乾燥させた材料を細かく砕いてこなごなにしやすくするためだ。
「ふむ、確かこんな感じだったな」
「日によく当たるところがええやろうから窓側に置いときましょ!」
それから1日ほど待ち、窓側に置いてパサパサに乾燥させた霊草の状態を確認する我らがリーダー、クー・フーリン。
さて、その一日中おいて乾燥させた霊薬の出来栄えやいかに…。
「おぉ、パッサパサしとるね!」
「あ、本当だ。これは凄い」
「しかし、発光したままか…流石は霊草だな」
そこには、見事に乾燥しパサパサになった霊草があった。綺麗に発光はしているものの、これならば加工には申し分ない。
早速、乾燥させた霊草を作業台に移すクー・フーリン達、そこからは書物とスカサハ先生の指導の元、手順から教えてもらう。
まず、薬の加工には薬研という原料をくだくための道具とすり鉢を用意する。
霊草を薬研で細かくしさらにすり鉢を使いその霊草をさらに細かくしていく作業。流石にクー・フーリン、初めて握る薬研の使い方がぎこちない。
「こうだぞ? そうそう、もっと真っ直ぐに」
「おぉ、こんな感じなんですね!」
「勉強になるなぁ」
そんな薬研の使い方がぎこちないクー・フーリンを見かねたスカサハが背後から手を握り、身体を密着させて指導が入る。
心なしかクー・フーリンの背にスカサハの豊満な胸部が当たるが、これをスルー、なんとも羨ましい光景である。
その指導を横で見ていたディルムッドも真似をして薬研を使い霊草をすりつぶしていく。
しかし、流石はディルムッド、板前で細かい作業が得意な彼は手慣れたように霊草をすりつぶしていた。
それを見ていた薬作りの指導をしていたスカサハは感心したように「ほぅ…」と声を溢すとディルムッドにこう声をかけはじめる。
「ディル? お前、本当に初めてか? 筋が良すぎるぞ?」
「あーいや、よく料理とかで肉をすり潰したりしてるから案外その要領でうまく出来てるかもしんないです」
「ええなー、ディル器用やもんなー」
そう言って、我らがリーダーも負けじと霊草をすり潰す作業に没頭していく、ある程度、すり潰したところですり鉢でさらに細かくすると綺麗に砕けた霊草が出来上がった。
これらを澄んだ真水とよく練り合わせていく。この真水は不純物を完全に取り除いたものだ。
そして、ある程度、その綺麗な真水と霊草を混ぜ終えたところで栄養価がある薬草を加え更にそこから煮る。
さらに、不純物を取り除く細かい布を通してその煮たものの出汁を丁寧に取りはじめる。これならば、きっと、フィンも飲みやすいはずだ。
出来たものを透明な瓶に溢さぬように入れていくと、あら不思議、綺麗に透き通った霊薬が完成した。
「ふむ、これが若返りの霊薬か…綺麗な色だな」
「初めてやったけど上手くいったな! よかった!よかった! やっぱり先生がええからやろうね!」
「間違いない、これは全部スカサハ先生のお陰だな! 流石師匠!ありがとうございます!」
「ふふ、あんまり褒めるなよ…照れるじゃないか」
そう言って完成した綺麗な霊薬を前に完成に1番貢献してくれたスカサハを褒め称えるディルムッドとクー・フーリンの二人。
正直、師匠であるスカサハが色々とサポートしてくれたお陰でこの薬が出来上がったと言っても全然、過言ではない。
薬作りのやり方、素材の採取にも彼女の功績は二人にとって感謝してもしきれないものがあった。
さぁ、ついに完成にまで辿り着いた霊薬、あとはこれをADフィンに飲ませるだけだ。
それからしばらくして、ADフィンは仲間達から連れられてクー・フーリン達の元へと現れた。
「リーダー…、ディルムッド、すいません、私の為にわざわざ…」
「何言うてるん! 仲間やんか! 当たり前やろ!」
「そうだよ、俺らはみんなフィンに今までたくさん助けられて来たんだからさ、今度は俺らの番だって!」
そう言って、二人は今にも泣きそうな表情を浮かべるフィンに笑顔を浮かべたままサムズアップをしていた。
妻を失い、そして、もう歳を重ねているうちに年老いていくフィンは2度とYARIOの黒子役には戻れないんじゃないかと不安な毎日を送っていた。
騎士団長という立派な肩書きはあれど、彼がやりたかった事はそれではない。彼らの隣に立って一緒に素晴らしい毎日を送りたいという気持ちがあった。
それが、彼にとっての理想郷だったから。
フィンはクー・フーリン、ディルムッド、そして、スカサハの三人が作り上げた伝説の霊薬を口を開き飲み干す。
彼らが作ったそれを飲んだフィンの眼からは涙が溢れ落ちる。やっと、長年に渡り忘れなかった自分の居場所に戻る事ができると。
霊薬を飲んだフィンの身体はみるみるうちに若返っていく、年老いて皺だらけだった顔は張りを取り戻し、白髪が目立ってきた髪は昔の様に綺麗な艶のある金色の髪へ。
それを見ていた騎士団達は目を輝かせていた。自分達は今、伝説を目の当たりにしている。誰もがそう感じたからだ。
そして、若返った美しき美貌を持つフィオナ騎士団団長兼YARIOのAD、フィン・マックールは静かにクー・フーリンとディルムッドに頭を下げるとこう口を開いた。
「ADフィン、お待たせしました。これからはYARIOのサポートを誠心誠意、全力を持って務めさせて頂きます」
そう言って頭を上げて、爽やかな笑顔を浮かべたフィンは三人にそう告げる。
クー・フーリンとディルムッドは嬉しさのあまり溢れ出た涙を拭いながら、ADフィンの手を力強く握りしめると何度も頷いた。
「おかえり…! ほんとに長くまたせちゃったね…っ!」
「ほんまにすまん…!そして、おかえりなさい!」
「…っ! …えぇ! ただいま戻りました!」
三人は感極まり、思わずそこから熱い抱擁を互いに交わした。
クー・フーリンやディルムッドは長い年月をかけて会った訳ではない、だが、ADフィンは長い年月、神話通りに困難に立ち向かい歳をとりながらもずっと忘れずにこうなる事を待ち望んでいた。
その長い空白の時間を自分達の事を忘れずに思ってくれていた。その、ADフィンとの大きな絆がとてつもなく大切なものに思えて仕方なかったのである。
感動の再会を果たした二人はこうして、新たな仲間、ADフィンをYARIOへと無事に迎い入れる事に成功した。
フィオナ騎士団の皆もその光景に惜しみなく拍手を送る。
見事であった。周りから見れば彼らの行動は友を救う為、深淵に霊草を取りに行くという立派な英雄譚になり得るものだ。
しかも、その友と言うのが騎士団長のフィン。そんな彼を若返えらせる為にとなればその功績も大きいのは明らかである。
着々とYARIOのメンバーは揃いつつある。ディルムッドは若返ったADフィンの背中をパン!と軽く叩くと声を上げて皆にこう告げ始めた。
「さぁ! 今日は大将の復活祝いだ! 盛大に料理を振る舞うよ! AD、いける?」
「もちろん、ディル、今から作るんだろ? 全員分」
「応ともさ!」
そして、二人は板前の衣装に着替えはじめた。
ここからは本領発揮、YARIOのADに復帰したフィンとディルムッドの板前料理が存分に発揮される時が来た。
すぐさま、フィオナ騎士団の団員の皆が近くの村まで馬を走らせアルムの砦での宴会が開かれる事を知らせに回る。
そして、その若返ったフィンの知らせを聞いた村々の人々がアルムの砦を訪れ、砦が人で賑わうにはさほど時間はいらなかった。
ワイワイとあちらこちらで声が上がる中、酒やフィンとディルムッドが作った日本の伝統的な料理が運ばれてゆく。
そして、村の料理人達もそれに加わり、賑やかな宴会が始まった。
スカサハとクー・フーリンの二人もアルムの砦にあるカウンター席に座らされた。正面では酢飯を握るフィンと魚を捌くディルムッドがいる。
「師匠、師匠って刺身は食べた事ありましたっけ?」
「いや、無いな? 刺身とはなんだ?」
「へぇーお客さん刺身食べた事無いんですか! なら、まずはこれからだな!」
そう告げるディルムッドは宝具包丁ベガルタを巧みに扱い、スカサハの正面でヒラメを捌きはじめた。
ヒラメは捌く際、普通の魚を捌くのとは異なり四枚に卸さなければならない。綺麗に捌かれていくヒラメの公開解体を見ていたスカサハは目を輝かせてそれを眺めていた。
そして、捌いたヒラメの身を更に横にして包丁を入れて丁寧に一枚一枚の身に捌いていく、透き通った身がプリプリに光り輝いていた。
そして、ヒラメといったら忘れてはいけないのがえんがわ。ヒラメのヒレの部分にあるそのえんがわをフィンが握った酢飯と合わせて寿司を握る。
さらに、それをヒラメの刺身と合わせて盛りつければ完成。ADフィン、ディルムッド作の『刺身と寿司のヒラメづくし』である。
アルム砦が誇るお手製の醤油につけて食べれば絶品間違いなし。皿に盛ったそれをディルムッドはバン! っと、カウンターに座るスカサハに提供する。
「さぁ、ご賞味くださいな」
「…おぉ…!? 」
「醤油につけて食べるんやで? こうやって」
そう言って、手本に食べ方を披露するクーフーリン、近くに置いてある箸を使い刺身と寿司を醤油につけて口の中へと放り込む。
隣でそれを見たスカサハはゴクリと唾を飲み込む、そして、不器用ながら箸を使い、醤油をつけてそれを口の中へと放り込んだ。
さて、そのお味はいかに…!
「んんー!! なんだこれは! すごく美味しいじゃないか!」
「はっはっはー! お客さん、そりゃ私とフィンのこいつがいいからですよ!」
「恐縮です」
「たまげたなぁ、またシャリ握る腕が上がったんちゃう? フィンさん」
そう言って、腕をパンパンと自信ありげに叩くディルムッドと軽く頭を下げるフィンにヒラメの寿司を食べたクー・フーリンは驚いたように告げた。
だが、まだ食べたのはヒラメの刺身と寿司だけである。
続いてやって来たのはカツオを節に切り、表面のみをあぶったのち冷やして切り、薬味と手作りで作ったタレをかけて食べるディルムッド特製『カツオの叩き』である。
これを見たスカサハはまたも目を輝かせていた。
長年に渡り生きて来たがこのような食べ物を食べるのは初めての経験、しかも、その料理を作るのは職人的な業を持つYARIOを代表する料理担当、ディルムッドとサポートをさせたら右に出るものは居ないADフィンである。
『カツオの叩き』、別名『土佐造り』を箸で掴み上げて慎重に口に運んでいくスカサハ。そして、食べた途端に特製のタレと歯応えのあるカツオの刺身がスカサハの口全体に広がった。
「…はぁ〜…美味しい…」
「これに日本酒やお酒を飲むとさらに美味しいんですよ師匠、な? ディル?」
「そうですぜい、そう言うと思って、リーダー…」
「まさかあるんか!? 日本酒!」
「じゃじゃーん! 実は少量ながら前に作ってましたー! へへへへ」
「おー! やるやん!」
「ささ、お二人さん、これで一献づつどうぞ」
「おぉ、酒か! いいな! 貰おう!」
そう言って、僅かながら作り置きして置いたディルムッドの作った日本酒が入った徳利をお猪口と共に手渡されるクー・フーリン。
手渡された日本酒が入った徳利をお猪口に注ぎスカサハに渡すクー・フーリン、ヒラメの刺身や寿司、そして、カツオの叩きと一緒に飲む日本酒、その味はきっと格別に違いない。
二人は互いにお猪口を掲げて乾杯すると、それをぐいっと飲み干す。
「かぁー! 美味い! やっぱりええな!」
「えー、リーダーおっさん臭い」
「ふぅ、こんなお酒があったとはな、実に美味だった…ふふ、お前達といると毎日が新しい発見ばかりで飽きないな、ほんとに」
こうして、アルムの砦で開かれた宴は賑やかに盛り上がりながらも時間は過ぎて行く。
美味しい料理に美味しいお酒、そして、だんだんと集まるYARIOの仲間達、次はどんな発見と経験がカタッシュ隊員達を待ち受けるのだろうか。
作り始める予定のラーメン作りにも着手していかなくてはならない。第2の食材、魔猪の豚骨スープは手に入れる事ができるのか。
ADフィンが復帰し、賑やかになるYARIO達! さぁ、次なる挑戦はなんだ!
気になる続きは! 次回の! 鉄腕/fateで!
今日のYARIO。
幻の霊薬が作れるーーーーーーNEW!!
師匠が日本食に目覚めるーーーNEW!!
仲間を若返らせられるーーーーーNEW!!