ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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拠点完成

 

 炭から空気洗浄機を作った一同。

 

 過程は大変ながら、一丸となり汗水垂らした結果、無事に拠点を作り上げる事ができた。

 

 人が住めなくなった地、だが、彼らには関係がない。

 

 住める土地が無いなら住めるようにしてしまうのも彼らである。

 

 

「第二のカタッシュ村ができたね」

「よっしゃ!」

 

 

 立ち込める不浄の空気はなんとやら。

 

 YARIO製、空気洗浄機ならばどんな世紀末でもやっていけるに違いない。

 

 かつて、聖杯の泥を土を豊かにする肥料に変えた経験がここでも生きた。

 

 というわけで、ようやく人が住める土地がここに完成したのである。

 

 

「ほんま大変やったなぁ」

「まあまあ、とりあえず焼き鳥でも食べながら一杯やりましょうや」

「お、良いね!」

「やったー! じゃあだん吉でみんな連れてくる!」

「……村に入りきるのかそれ」

 

 

 スカサハ師匠は無邪気にそう告げるベディに顔を引きつらせる。

 

 そう、よくよく考えたら所帯が増え過ぎた。

 

 まさに、英雄のバーゲンセールである。カルデアとカタッシュ村(ブリテン)にいる英雄を合わせるとこの村に入りきるかどうか悩ましいところだ。

 

 

「それじゃわかった、呼んでくる間にブルドーザー使って整備しとくわ」

「んじゃ俺シャベル使うね」

「なんでここにシャベルカーとブルドーザーがあるの?」

 

 

 藤丸ちゃんはリーダーとディルムッドの会話に冷静にツッコミを入れる。

 

 もうなんの躊躇もなく重機に乗り込んでるものだから今更なのだが、彼らだから仕方ないとしかもはや言いようがない。

 

 特異点の修理業者を名乗るだけあってとんでもない人達だなと彼女は改めてそう思った。

 

 

「おい、とりあえずこちらも炭窯を作ってみたぞ」

「おー! 流石はエミやん!」

 

 

 見事な炭窯、職人の腕を存分に発揮された綺麗な炭窯である。

 

 これには、リーダー達も感心せざる得なかった。

 

 

「穂群原のブラウニーの名は伊達じゃないね! やっぱり天職だったんじゃない?」

「フフフ、やめたまえ、我ながらそう思うよ」

 

 

 生き生きとしてるエミヤ。

 

 建築、料理、農業、家事、なんでもこなせる万能型、まさに、天職を得たとばかりに彼の縦横無尽の活躍振りは見張るものがあった。

 

 

「とりあえず後はアイドルデビューだけやね」

「……エミやんいつデビューする? 楽器できる?」

「とりあえずさぁ、ポジ的にはギターとかベースが似合うと思うんだわ俺」

「うむ、……実は最近ギターを弾き始めてな、これがまた奥が深くて」

「わかるわー! エミやん」

 

 

 そう言いながら嬉しそうに語り合うリーダーとエミヤ。

 

 もはや、アイドルバンドの一員として迎える気満々である。挙げ句の果てに事務所にはいつでも話通せるからというADフィンからの謎の援護射撃まであるくらいだ。

 

 

 ──アイドル入りまで秒読み。

 

 

 英霊のアイドル化が加速するばかりである。

 

 そう言えば、最近、ジャンヌオルタちゃんが漫画を描いているらしいのでそういった意味では何というかものづくりの英雄が一気に増えたような印象だ。

 

 

「先輩ー! 見てください! 綺麗に畑耕せましたよ!」

「わぁ! マシュ! すごいじゃん!」

 

 

 だが、肝心なツッコミ役が不在なのでこの始末。

 

 最早、カルデアのマスターでさえもすっかり馴染んでしまった。

 

 目的を忘れてしまっているのはきっと気のせいではないだろう、何をしに来たのか最早覚えている者はこの場にはいなかった。

 

 それからしばらくして、開拓した土地でオルガマリー達やカルデアの皆を呼んでバーベキューパーティーをすることに。

 

 

「なんでブルドーザーとシャベルカーがあんの! あとユンボ!?」

 

 

 そして、やってきたオルガマリーが放った第一声がこれである。

 

 順調に拠点が出来上がったと聞いてやってきたら、ユンボで畑を耕しているエミヤや家を建てているガテン系女子サーヴァント達、挙句には拠点を切り開くためにブルドーザーとシャベルカーを遺憾なく操縦しているリーダー達の姿に度肝を抜かされてしまった。

 

 いや、オルガマリーはおかしくはない。至って普通の反応である。

 

 挙句には時空を越えてISU◯Z◯のトラックまで行き来しているものだからだいぶカオスな空間だ。

 

 

「お! 皆んな来たかぁ! よっしゃ! それじゃ早速バーベキューしようぜバーベキュー!」

「はい! しっかり仕入れてきましたよ!」

「お、ジャンヌちゃん気が効くね!」

「私が燃やされそうになった時に出来たのがまだ残ってましたからね」

 

 

 わはははは、とジャンヌちゃんの粋なジョークに笑顔が思わず溢れる一同。

 

 そんな事もあったかとつい思い出してしまう。

 

 あの時は何故か街の皆と盛り上がってバーベキューを楽しんだものだ。

 

 確かに良い木炭だ、これならバーベキューにはもってこいだろう。

 

 

「ディル兄ィ! とりあえず肉は捌いたよー!」

「あーはいはい! 味付けね、味付け」

 

 

 そう言いながら、モーさんが捌いたお肉をチェックするディルムッド、味付けは肝心だ、特に料理人としての腕前が問われる。

 

 エプロン姿のモーさんを助手に真剣な表情で味付けをしていくディルムッド、伊達に長年YARIOの台所を預かってきたわけでは無い。

 

 さて、そんな二人とは別にスカサハ師匠はトラックから積んできたあるものをリーダーの元へと運んでいた。

 

 

「このキャベツはどうだシゲちゃん?」

 

 

 そう言って、リーダーの元に収穫してきたキャベツを見せるスカサハ師匠。

 

 このキャベツ、なかなかの大きさ、今回、バーベキューという事でスカサハ師匠がわざわざブリテンにまで取りに行ってくれたのである。

 

 

「んー、良い大きさやね、ブリテンのやつ?」

「あぁそうだ、霊草を肥料に使って作ったやつだ」

「はぁ!? 霊草ぅ!?」

 

 

 スカサハの放った一言にオルガマリーは目眩がした。

 

 この人達は霊草をワカメみたいに扱っている人達である。

 

 モーさんや他のサーヴァント達は何を今更と首を傾げているがオルガマリーは頭がどうにかなりそうだった。

 

 そして、他のメンバーも続々とやってくる。

 

 

「皆さんー! 串持ってきましたよ! 鉄串!」

「火なら余に任せろい!」

「ノッブは燃やすのが得意ですもんね、特に寺」

「なんじゃとコラァ!」

 

 

 鉄串を用意してくれていた沖田さんとチャッカマン扱いのノッブがやってくる。

 

 それでいいのか第六天魔王と思いはしたが、元からこんな感じだったなと、ここに関してはさほど驚きはなかった。

 

 

「はあ? 私の方が燃やすのは得意なんだけど?」

「お肉♪ お肉♪」

「ジャック、まずは手洗いうがいです、あとオキシドール」

 

 

 現れたのはジャンヌオルタちゃんにジャックちゃん、それにナイチンゲール婦長である。

 

 お肉にまで消毒はさすがにやめてほしいとは思うが、こちらはほぼ平常運転だ。

 

 良かった、まともなサーヴァントも中には居るんだとオルガマリーはひとまず安心した。

 

 

「私はパンを持って来たわー、ヴィヴ・ラ・フランス♪」

「おや? 私はお酒を持って来たんですけど」

「肉が食べれると聞いて、あ、これ魚です」

「やあ、飲み物を持ってきたよ」

 

 

 そして、フランスパンを持って来てくれたマリー、わざわざエジプトからお酒を持って来たニトクリス、魚を持ってきたブリテン王と飲料水を持ってきたマーリン。

 

 食材がどんどん集まってきている。というか人数が多すぎる。

 

 何人でバーベキューする気なんだとオルガマリーは純粋にそう思った。彼らなら下手すると万単位でバーベキューしそうだ。

 

 そんな中、拠点の建築に携わっている英雄達も続々と集まってくる。

 

 

「コンクリート持ってきたぞ!」

「お、ナイスぅ! ネロちゃま!」

 

 

 想像できるだろうか? ローマの皇帝が生コン車を運転しながら生き生き登場してくる姿なぞ。

 

 もはや、それはローマンコンクリートではなくコンクリートである。普通のコンクリートに進化を遂げていた。

 

 ちなみに、最近ではセメントもお手の物らしい、ローマの建築技術のブースト加減が最早、ぶっ飛んでいる。

 

 

「へーい、みんなーお待たせー」

「デコトラ小次郎! 参上だぜ!」

「ふぅ……少し遅れちゃったわ、ちょっとだけハードラッグとダンスっちまってたの」

 

 

 そして、15tトラックに乗ったコノートの女王に派手なデコトラで生き生きとしている巌流の農民侍さん。

 

 さらに、改造バイクに乗ってやって来た超武闘派のヤンキー聖女、しかも、何故か謎の返り血を浴びているという仕様。

 

 彼らの姿を見てオルガマリーは何をどうすればこうなるのかわけがわからなかった。

 

 

「……私、もうおうち帰っていい?」

「お、オルガマリー所長、大丈夫ですか?」

「あ、所長! ほら! お肉焼けましたよ! ほら食べて食べて!」

 

 

 だが、そんなオルガマリーの心情などお構い無し。

 

 さて、その肉だが、なんとメソポタミアから仕入れたばかりの高級牛肉である。

 

 ちなみに仕入れ先はもちろんギルガメッシュ王、とエルキドゥさんのお二人である。

 

 

「どう味付けは?」

「何これすっごい美味しい! 凄い! なんていうかこの世のものじゃ無いみたいな!」

「あー! 良かったぁ」

 

 

 満足げに口に肉を運ぶオルガマリー。

 

 今までに食べたことない歯応え、この世のものじゃないような美味、まさに、高級品というには言い切れないような旨味が口いっぱいに広がる。

 

 味付けも絶妙だ。舌触りに違和感なく溶けるように染み渡る味は天に召された気分になる。

 

 

「こ、これ、本当に美味しい! なんてお肉なの?」

「あーこれ? 確か……なんだっけ?」

 

 

 そう言いながら、首をひねるディルムッド。

 

 メソポタミア産の高級牛とは聞いていたし、育て主であるイシュタルさんとアヌさんにはお礼にお手製、豚骨ラーメンを振る舞った。

 

 しかし、名前が出てこない。

 

 そう、確かあれは……。

 

 

「あ、そうそう! メソポタミア特産牛、グガランナとかいう高級牛だよ」

「ぶぅ──!?」

 

 

 名前を聞いた途端、オルガマリーは吹き出した。

 

 なんで私、え? 私、今何食べたって? グガランナ?  

 

 ちなみに霊草を食べているギルガメッシュとエルキドゥはグガランナをいくら殺しても死なない事をいい事にアヌさんとイシュタルさんと最近、牧場を始めたらしい。

 

 

「あ、ちなみに味付けはこれね」

「何これ」

「霊草をすり潰して作ってぇみました! 特製胡椒です!」

 

 

 そして、なんとオルガマリーは知らないうちに不老不死にさせられてしまっていた。

 

 いや、確かに美味しかった。めちゃくちゃうまかったのだ。

 

 オルガマリーもいろんな高級肉を食べたことはあるがあれ以上の肉は食べたことは無い。

 

 だが、待ってほしい、グガランナの肉を焼いてバーベキューして、味付けに霊草を混ぜた胡椒? 

 

 

「……ばばばばば……あ、あはははははは……」

「マシュ! これめっちゃ美味しいよね!」

「本当! 最高です! このお肉!」

 

 

 オルガマリーは頭がどうにかなりそうだった。

 

 そして、それを知ってか知らずか藤丸とマシュは満足そうに肉を頬張っている。

 

 みんなもあちらこちらで食べてるものだからさあ大変、皆、不老不死である。というのも最早、今更の話ではあるのだが。

 

 そんな、オルガマリーを他所に皆で集まったバーベキューは一層盛り上がりを見せるのだった。

 

 

 今日のYARIO

 

 1.グガランナの焼肉が作れる

 

 2.霊草の胡椒が作れる

 

 3.拠点先が最早建築現場


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