仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか?   作:神浄刀矢

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いざ最初の世界へ

当面の登場キャラクター

 

八坂 和真

オタク気味な高校生。邪神の血を受け継ぎ、常人を超える身体能力を持つ。鍛えてはいるが、当然ながら親には及ばない。

アト子の開発したライダーシステムの1つ《ブレイド》の装着者。

説明とか面倒なので、本人は仮面ライダーブレイドと名乗っている。

特性は切り札。

 

八坂 真尋

和真の父親。専業主夫。

 

八坂 ニャルラトホテプ(通称ニャル子)

和真の母親。惑星保護機構に所属する邪神。

 

アト子

八坂家に様々な面で支援を行う邪神。和真達の使うライダーシステムの開発者でありバイクも作っている。

和真には対しては口調や性格が変化している(と和真は思っている)

 

鹿目まどか

見滝原在住。さやか達と同じ中学生。

 

巴マミ

見滝原中学3年の魔法少女。まどかの先輩。

まどかの兄とは幼馴染らしいが...

 

美樹さやか

まどかの友人でクラスメイト。明るい性格。

まどかの兄を先輩と呼んでいる。

 

暁美ほむら

まどか達のクラスにやってきた転校生。謎が多い感じ。

 

 

 

7月の終わり。学校の終業式などというイベントをとっくの昔にクリアして、フィーバータイム真っ最中な八坂和真は、家の中で冷房で涼みながらアニメを観ていた。

作品は『魔法少女まどか☆マギカ』である。

「なんつーかなァ...マミさんのこれとかどうにかならんかなぁ...」

見るたびにこのぼやきがつい口から出てしまう。

あそこまで行って食われるとかないだろう、普通は。いやまあ脚本家が書いてるわけだし、変えられないのは分かってはいるのだけれど。

「やっぱ変えたいよなぁ、さやかとか杏子のもそうだけど」

誰にともなく個人的な感想を述べる。

誰にともなく言ったはずなのだが....

「相変わらずね、和真は」

「ふあっ?!」

突然の声に驚き、音源の方を見てみるとなんとアト子さんがいた。

アトラク=ナクア星人のアト子が正しいのだが、細かい事は良い。

いつもの事ながらこの人、(ヒトではなく邪神だが)こっちが気付かない内にウチに上がってお茶を飲んだりくつろいだりしているのだ。

まぁこちら側の察知能力が低いだけなのかもしれないが。

案外邪神だから何でもアリなのだろう。

というのは置いといてだ。

「なんでアト子さんがここに?しかも結構タイミングよく言ったよねそれ」

「それはまあそうね....勘とか?」

なぜに疑問形で返すんだこの邪神(ヒト)。

「というのは冗談だけれど。実はこの間頼まれていたモノが完成したのよ」

「頼んだっけ?うーん頼んだような....」

「ニャル子よ?こちらに頼んだの」

「そすか...」

頼んだと言っても、またどうせロクでもないモノだろう。

「和真にも新しいベルト作ったから持ってきたのだけど」

「マジで?!」

現在、我が母ニャル子は惑星保護機構に戻ってる途中だし父親である

真尋は買い物に出掛けてしまって家に1人なのは事実。

どうせならその依頼されたモノとやらを見せてもらうのも暇潰しくらいにはなるだろう。

そう思い聞いてみると、

「ニャル子から見せてはいけないとは言われてないし、まぁ良いでしょ。ここじゃ出しにくいしベルトと一緒に外で見せるわ」

と言われた。出しにくいものとはなんだろうか。何も持ってなさそうなのに。

だが邪神のことだ、どこかに隠したりしてもっているに違いない。

ふう、と溜息をひとつして和真はテレビを止め、アト子を追うように

外に出た。

 

 

ひと足先に外に出ていたアト子を追い外にでると、眩しい夏の日差しが照りつけた。

つい先日までは梅雨で涼しいなぁ、などと思っていたのが馬鹿らしく

見えてくるレベルで暑い。そんな中でもアト子は和服を着ている。

暑くないのだろうか、と毎年思うがこれまた邪神パワーでなんとかしているのかもしれない。邪神に常識は通じないことは既に学んでいるし。まあ和真自身、邪神の血が流れているので人の事は言えないが。

そして庭先でバイクをいじっているアト子に話しかけた。

「出てきたは良いんだけど.....母さんが頼んだものってこれなのか?」

開口一番出たのは疑問だった。だって期待してみて、バイクがあったらそれは疑問が出るものじゃないのだろうか?

そうでもないか。分からないけど。

「ええ、これは弐号機なのだけど」

「いやそういう問題じゃなくてね....これナニ?世界の破壊者が乗ってそうなバイクじゃん!」

「そうね...ニャル子に依頼された通りに作ったまでなのよね」

「作ったまでなのよね....じゃねえ!並行世界にでも行くつもりなの?!」

自分自身珍しくツッコんでしまった。ウチのツッコミは基本親父だからまわってこないはずなので、今だにこういうのには慣れない。

それにしてもこんなモノを簡単に作れるアトラク=ナクア星人もすごいと思う。邪神だからいいのか。

「もとの性能は知らないけれど、並行世界へ行ける事は実証済みよ」

「嘘だろマジか凄えな!てかどうやって実証したの?」

「ここの世界ってアニメじゃない?だから他のアニメも並行世界だろうと仮定して作ってね。試しに使ったら冬木市に行けたわ」

「おうマジか....なんとなく理解出来たっちゃ出来たけどさ、その類の発言控えた方が.......これって原作GA文庫であっちは型月のゲームだよ?あれアニメだから良いのかこれ?分かんねえ!」

更にこんがらがりそうだったので、アト子に何故そのバイクを持ってきたのかを聞いてみることにした。

「なんでも9つの世界を巡ってアーティファクトを入手しないといけないらしくて」

「お、おう...どっかで聞いた感じの設定だな」

「いつか組織の首領になるかも」

「それ以上は言わんでおこうよアト子さん」

するとそうそう、と言ってアト子は話を切り替えるようにシルバーのアタッシュケースを取り出した。

大方アト子の作っているベルトの1つだろう。前回もこれと同じ形のアタッシュケースで持ってきていたし。

現状《ブレイド》は既に使用していることも考えると、製作途中だった《カブト》か《ファイズ》かもしれない。

それといつまでこっちは通常フォームのままなのだろうか。そろそろラウズアブソーバーとか来ても良いと思ったりするのだが。

そうじゃないと戦闘が(以下略)

なんて思いつつアタッシュケースを開けると、そこにあったのは銀色のベルトに赤いカブトムシ型のアイテム。

というかこれって....

「カブトゼクターじゃね?!あ、ここだと《カブト》って名前なんだっけか」

何故かアト子はブレイバックルなどの名前を使わずに、《カブト》や《ブレイド》という感じに呼んでいる。

ゼクターやラウズカードなどは元の名称を使うくせにだ。

が、ほとんど内容は変わらないので別に構わないと思うし、なにより面倒くさいので和真は作品中の名称をそのままつけて使っている。

「前までの戦闘データを見るに、いつでも変身できるタイプのツールが必要と思って。てへっ」

何がてへっ、なんだ。その姿でやっても違和感しかないのだが。

つかキャラ崩壊甚だしいというか。

まぁ良い。何はともあれだ、戦力が増すのは自身にとって悪いことではない。むしろ喜ぶべきであろう。

「使い方は?」

「もとと大して変化はないわね。言うとすれば、そのベルトを付けていればどの時代や場所に居てもそのゼクターを召喚して変身できるってことが大きいかしら」

以前不覚にも、カードやブレイバックル含め全て盗られたことがあったのを思い出してしまった。

その影響でこれを渡されたのかもしれない。アレに関してはすまないと思っているが、確かにこのどこでも変身できるっていうのは便利だ。これも邪神の科学力なんだろうか。とりあえず邪神万歳。

 

 

アト子に礼を言い、和真は家の中に戻ろうとした足を止めた。

あのバイクが気になったのである。バイク自体にではなく、並行世界への移動という機能についてだ。

「なぁアト子さん。そのバイクなんだけど」

「ん?これニャル子のモノだから使えないわよ?」

「そういうことじゃなくてな。並行世界、別のアニメの世界に行けるって言ったよな?」

「ええ、言ったけれど?でもこの弐号機はニャル子の....」

「そうじゃない。弐号機ってことは俺の予想が正しければ、零号機や初号機があるはずなんだ。実戦用じゃないプロトタイプやテストタイプのやつが。アト子さんが使ったやつもそのどっちかだろう?」

和真の言葉にアト子はふっ、と笑って言った。

「察しがいいわね、和真。ちゃんとあるわよ、零号機も初号機も。けれどね、この弐号機は違うわ!これこそ実戦用に作った本物の」

ネタに走るアト子に流石の和真も叫ぶ。

「アスカ来日のあの言葉っぽく言うんじゃねえ!いやそうじゃなくてね、そのマシンの零号機か初号機を貸して欲しいんだよ俺に」

和真の言葉に、アト子がぽかーんとしていた。何を言っているのと言わんばかりの顔である。

「何を言っているの和真?零号機も初号機もここに無いのよ?それに第一何するのよ、別の世界に行って」

「まあまあ!そんな事は後で話すからね?初号機か零号機召喚してくれよ?早く早く!」

「できなくは無いけれど...」

などと渋りつつもアト子がリモコンのようなものを操作すると、一台のバイクが姿を現した。世界の破壊者が乗っていそうな弐号機に対し、こちらはオンドゥル語喋ってるライダーが乗っていそうな感じをしている。

「一応これ初号機なのだけど....どうするの?使い方は分かるの?」

「ああ。少し違うけど、以前似たような機械を見た事があってさ。

10年くらい前のイギリスのドラマなんだけどね。あ、ここ押せばゲートでも開くのか?」

「いやまあその、それで間違いじゃないのだけど....」

間違いではないって妙に遠回しな言い方だな。にしても普段勉強なんて出来の良い方ではないのに、こういうのに限ってすぐ分かるっていうのは複雑な気分である。

使い方が分かったところで。家の中に一旦戻ってリュックに様々な必需品を入れる。ブレイバックルやゼクター用ベルトなどを含めた変身ツールを、邪神特有の不思議収納内ポケットへしまう。

「何をしてるの?そんなに準備して」

「出掛けるんだよ。夏休みだし。」

「夏休みはそうだけど....このバイクでどこ行くつもり?」

アト子の言葉には答えずに、和真は疑問を返す。

「これって音声認識?」

「まあ、ええ....一応はね」

「サンキュ」

そしてリュックを背負い、ヘルメットを被ってブルースペイダー(たった今命名)にまたがる。バイクは何度か乗ったことがあり操縦方法は分かるので、すぐにエンジンはかかった。免許?何それ。

ここまでしても音がハイブリッド車と大差ないレベルなのは驚きだ。

そんな中アト子は和真へと問うた。

「なんで出掛けるの?根本的な質問な気もするけれど」

「そうだなぁ...やっぱ夏休みってのはあるけどさ、俺にはやりたい事が前からあるんだよ。多分誰もが思うことかもしれないけど」

「?」

アクセルをさらにふかし、和真は言い放った。

「運命っていうモノがあるなら俺が変えてやりたいんだ。それが例え、世界そのものに抗うことになろうとも」

「和真、貴方まさか」

「じゃあ行ってくるぜ、『魔法少女まどか☆マギカ』の世界へ」

最後まで聞かずディスプレイを操作し、光り輝くゲートを開く。そして和真を乗せたバイクはその光の中へ消えた。

 

 

和真が光の中へ消えてから、残されたアト子は呟いた。

「あの初号機完成してはいるのだけど、まだ問題があるのよね....色々と、結構なレベルで。それにそろそろアレも完成するでしょうし、後で送っておかないと...」

だが当の和真はその問題についてまだ知る由もない。

そして後になりニャル子が帰ってきて、どこに行ったのかという問いを投げかけられてアト子はこう答えた。

「和真?旅に出るって言ってたわよ。運命に抗う為に」

ため息をついてニャル子は言う。

「はぁ...私と真尋さんの子ですし、そこまで心配はしなくても生きて帰ってくるでしょうけど」

結局割と放任的な親だった。




仮面ライダーディケイドに影響されて書きはじめました、この小説です。あまりこの手のヤツは書いたことがありませんし、自信ないですが。
他にも色々な世界を予定していますので、しばらくの間お付き合い下されば幸いです。
できれば感想とかお願いします。

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