仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
12月30日から旅行へ行くという話自体は、既に桜木レナ自身から聞かされていたものの、その詳細に関しては、前日の29日になるまで、全くもって連絡がこなかった。
とはいえ、和真とて多少なりとも場数は踏んで来ている男である。
どこへいくことになっても問題ないようにと、バックパックを引っ張り出し、周到に準備を進めていた。
そして、レナから連絡が来た。
『連絡遅れてごめんなさい。30日の…明日の集合時間等についてなんだけど』
「どうなるんだ?」
『それ…現地集合にしても問題ないかしら』
「えっ、ああ、問題はないはずだ」
『着いてからの案内はするから。30日の午前10時までに、メルボルンのサザンクロス駅まで来て。迎えに行くわ』
「わーお…うん、OK。明日10時、そこで会おう」
そこで、レナからの電話は切れた。
記憶からして、目的地はだいぶ南の方な気がする。
時差ボケなどは大丈夫なんだろうか。往路復路、どちらもだが。
(メルボルンてオーストラリアの、さらに南部だったはず)
時期的に南極に近い場所であるメルボルンは、寒さは相当なものだと考えておく必要がある。
一応、飛行機で近郊にあるメルボルン・タラマリン空港まで行けば、サザンクロス駅まで直通バスは出ているという話だ。
それゆえ、サザンクロス駅を指定したのだろう。
最も、飛行機に普通に乗っていこうものなら、10時間以上のフライトは確約されたようなものだ。
道中何があるかも分からないし。
となれば、飛行機以外に、何かしら安価かつ早急にカンガルーの国までたどり着く事ができる手段を考えねばならない。
そこで相談相手に選んだのは、八坂真尋と八坂ニャル子、和真の両親であった。
「なあ、父さん、母さん」
「改まってどうしたんだ?和真」
「結婚報告じゃないですかね」
「オーストラリア行くことになったんだけど…何か手っ取り早い移動手段ない?」
「我が息子ながら、唐突だなあ…ちなみにいつ?」
「明日の10時までに」
「明日ぁ?!」
「良いでしょう…手持ちでいくつかありますから、選びなさいな」
「なんでニャル子は持ち合わせあんの…?」
「そりゃあ、真尋さんといつ出かけることになっても良いようにですよ」
「あ、そう」
早速庭で物色を開始してみたものの、言葉の割には、母・ニャル子はロクな乗り物を持ち合わせていなかった。
まず得体の知れない宇宙船。そもそも操縦方法が分からないので却下。
次は魔法力を持つ少女が履いていそうな、ストライカーユニット。少なくともウィッチは世界が異なるので、コスプレの類いであろう。
仮に使えるものであったとしても、和真は魔法力など持ち合わせていないので使えない。
続いてはドラゴンのような得体の知れない生き物だが…どうやら、父・真尋は乗った事があるらしく、ダゴンなる生物らしい。
乗っていれば目的地まで運んでくれるらしく、優れた生物のようではあったが、実際乗るかというと微妙なところだった。
最後に出されたのは、折りたたまれた乗り物のようなものだった。
「それは?」
「アト子ちゃんの発明品です。こうやって放り投げると…ホラ」
「なるほど」
ニャル子が放り投げたそれは空中でトランスフォーマーよろしく変形すると、そこにはスパイ映画などで見かけるような、1人乗りのコンパクトな飛行機があった。
最初からこれを出してくれれば、よかったものを。
「じゃあ、これにするよ」
「ダゴン君ですか」
「アト子さん印の発明品の方だって。これの方が、まだオーストラリアにまで辿り着けそうだ」
「あー…良いでしょう」
「ニャル子、何かひっかかることでもあるのか?」
「いえ…この飛行機の説明を、まだアト子ちゃんからして貰ってなくて」
「安心してくれよ、2人とも。身体の頑丈さくらいが、俺の取り柄だからね」
「それなら、まぁ…」
「いやそういう問題か?」
真尋のツッコミも尤もではあったが、和真も邪神=ニャル子ほどではないにせよ、丈夫である。
邪神の息子であると同時に、人間=八坂真尋の息子でもあるので、血は出るし、痛みも感じはするが。
「でもその飛行機、和真のリュック入らなくない?」
「それは邪神のご都合空間があるので、問題ないです」
「問題大ありだと思うけど…」
兎にも角にも、入るのならば、問題はない。
部屋に戻り、バックパックを片手に飛行機の元へ。
入るのかどうかは謎だが、とりあえず足元にすっぽりとバックパックが納まったので、恐らくそこで合っているのだろう。
「明日の10時までって言うなら、もちょっと待ってもいいんじゃないですかね?」
「いや、母さん…何があるか分からんしさ。余裕を持っておきたいのよ、こちらとて」
「前日な点で余裕もへったくれもないけどな」
「ごもっとも…」
シートに腰掛け、操縦桿を握ってみる。
感覚は普通の小型機と変わらない感じなので、操縦の仕方も大方同じで問題はないはずである。
サングラスをかけて、カッコつけて敬礼をしてみる。
苦笑いをする父と、それっぽく敬礼らしいポーズを返す母。
道路を少しばかり滑走すると、和真の操縦する機体は間もなく空中へと浮き上がる。
家の周りを軽く旋回すると、一路、飛行機は南へと進路をとるのだった。
「なんか、前もこんな感じのシチュエーションあった気がするんですけど。真尋さん、覚えてます?」
「4年くらい前にか?和真が旅に出た時の」
「あの時も、アト子ちゃんのアイテム使いましたよね」
「あん時はバイクだったけどな」
「オマージュってヤツですかね。セルフオマージュというか」
「さあな」
「…そういや、今回行くのオーストラリアらしいですね」
「そうだな。赤道超えて、更に南。ニュージーランドとならんで、南極に近い場所だよな」
「南極…思い出しますね。真尋さんとの出会いの場所ですよ」
「出会ったのは南極じゃないからな。人身売買の事件解決のために、南極にまで行ったんだよ」
はい、お久しぶり。
なんて事は言えないね、そんな時間経ってないから。
和真くんとレナの色恋沙汰にも、大なり小なり展開があるのかないのか。
あれば良いけど…記念すべき(?)101話目では、ありそうもない。
まぁ舞台がコロコロ変わるのが、この物語の特徴でもあるんですが。
次の舞台は、オーストラリアになりますね。
オーストラリアのメルボルン。
設定しておいて、細かいところは分からないから、地図見ながら小説を書いてるわけですけど。
次回更新はいつになるか分かりませんが、ぼちぼちですね。
恐らく赤道越えて、オーストラリア入ったあたりで何かしらアクシデントはあんじゃないですかね。
所詮は主人公、和真くんですし。
じゃ、またねー