仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
滑走路の端、もう下を見れば海、という場所に主人公こと八坂和真は立っている。
先程の交渉で、1人でネウロイを殲滅すれば補充要員として考える、ということであの場はお開きとなった。
(この世界の軍は緩いので許してもらえるのだ)
その後すぐ警報が鳴り、場面が巡ってきたわけだが。
いくらなんでも、後ろで見てる=銃持ってユニット装着はないだろうと思う。別に構わないけども。
とはいえ、現在向こうの空から黒い物体、ネウロイがこちらへと侵攻中。
迎撃は和真が墜ちたら...になったらしいが責任は重大だ。
この場所、欧州の迎撃地点でもあるからだ。我ながらかなり言ってしまったと思っている。だが俺は謝らない!
ブレイバックルを装着し、『Turn Up』と同時、仮面ライダーブレイドへと変身した。
後ろで驚きの声が上がるが、無視無視。気にしていたら倒せない。
「さぁて、決めますかねえ」
ラウズアブソーバーにカードを読み込ませる。
『アブソーブクイーン、フュージョンジャック』の音声と共に、ジャックフォームへと変わった。
そして大空へと飛翔する。ネウロイより少し低く、 ちょうど刃が届くくらいの高さまで上昇し、ブレイラウザーのオープントレイからカードを取り出した。
『スラッシュ』『サンダー』の2枚をラウズ、『ライトニングスラッシュ』を発動させる。
剣を構え、ネウロイに向かって和真は加速していく。
「でりゃあああああああああ!」
ネウロイの下を飛びつつ、剣はしっかりと対象を斬り裂いていく。
尾の方まで飛んだところで振り返ると、綺麗にネウロイは真っ二つに
なっており、コア共々散った所だった。
「うわ凄え弱え、なんだよこんなんで銃弾無駄にしてんのかよ」
ぶつぶつと言いながらも滑走路へと戻る。降り立つと、直ぐにも坂本少佐が歩いてきた。ミーナさんも居る。
「やはり凄いな!これは補充要員決定だろう?なあミーナ」
「.....ええ、実力はそうだけど....」
「何か問題でもあるのか?」
「男だと思うんだけど」
「なるほど、そうか。女装でもさせるか?」
「え(なんだ、その男だと思えないみたいな発言)、て女装?!」
「うーんそれならいいかしら....でも部屋ないわよ」
「良いのかよ!?」
「そうか....相部屋でも良いやついるか?」
坂本少佐の声に沈黙する501。
(ですよねえ)
流石に男性恐怖症は居ないと思うが、初対面の男子と相部屋はそりゃ嫌だろうと思う。良いと思うヤツは当然いないか。
というか女装って何だ。男なのだが。
「んじゃ今は決まらんから、客間でも使っておけ。あとで連絡する」
「はあ」
そうして結局ネウロイ退治についてはあまり言われぬまま、戻ることになった。このウィッチーズ大丈夫なのだろうか。
夕方になり、案内された客間でゴロゴロとしていると、不意にドアを叩く音が。
「はーい、どちら様で?」
「坂本だ。入るぞ」
「はあ、どーぞ」
ドアを開け、坂本少佐を部屋に通す。
部屋に入ると直ぐに彼女は口を開いた。
「お前の入る部屋決まったぞ。えーと名前なんだ?」
「八坂和真ですけど....(言った気がする)」
「よし。八坂、お前は宮藤と相部屋になったぞ。明日からな。ああそれと、これは服だから着ておけよ?それ着ないと、ミーナがこの基地に置かないらしくてなぁ」
そう言って坂本少佐は服一式を置いた。どう見てもこれ、扶桑の女子の水着もとい服装だと思う。パンツじゃないから恥ずかしくないもん!とかいうのがあるが、これはそんな比ではない。
「これ女物じゃないか!なんでだよ!?」
「だから、これ着ることが条件なんだ。それに男っていうが、おまえ女に見えるぞ?」
「......嘘だろ」
「ホントホント。んじゃ朝それ着て、ミーナの部屋行くんだぞ?」
「ちょっ!?一生の恥だろ!ンなもん着られるかよ!」
とは言ったが、これを着なければここに置いてもらえないらしい。
女よりのこの顔は悩みだったのに、更にこうなるとキレそうだ。
しかし既に坂本少佐は去ってしまっていた。
もう明日ミーナさんに抗議するしか無いだろう。とりあえずサイズが
合わないと言って言い訳するか。
朝になり和真は起床と同時、扶桑の女子服一式を掴み、ミーナさんの
部屋へと向かった。
返品する為である。こんな物を着たら、精神崩壊しかねない。
惣流なんとかラングレーになっては元も子もない。主人公なので。
隊長室に辿り着き、ドアを開け放つ。
「すいませーん!八坂ですけど!って.....」
誰も居なかった。ここは隊長室のはずだ。昨日と同じ場所に来たのだから。
しかし誰も居ないようなので、戻ろうとしたところ。
「何か用かしら?」
「.....Oh,お、お邪魔してマス....」
後ろからミーナさんの声が。かなり怖い。
「退いてくれないかしら、通れないのだけど」
脇に避け、ミーナさんを通す。そして中央の椅子に腰掛け、彼女は切り出した。
「それ美緒に渡してもらったものでしょ?なんで着てないの?」
「いや、だってこれサイズ合わないし。そもそも俺男.....」
「それ着ないとここに置かないわよ?」
「いや...すげえ恥ずかしいんだけど。この顔で悩んだ事もあるのに」
「じゃあ整備員呼んで着替えさせてもらう?」
「結構です!着替えくらい自分で出来ますよ」
と言ったとき、再びドアが開けられた。
「ミーナ!八坂がどこかに.....あ、いるじゃないか。なんだ、まだ着替えてないのか?あと10分だぞ?」
「は?」
「10分経って着替えてなかったら、海に落とそうか...」
なんて恐ろしい事を考えてるんだ。鳥肌のレベルではない。
ここの世界の坂本少佐、下手すると母親より怖い。
「あーもう!クソ、覚えてろよ!」
「「はいはい」」
そして5分後。整備員呼ばないはずなのに、整備員呼ばれて無理矢理着替えさせられた結果がそこにあった。
「.....もう生きていけない.....」
「これは...思ったより女の子ね。意外と可愛いわ」
「だな。宮藤と同室でも問題あるまい」
「問題あるから!女だよこれじゃ!」
「「だってこれから女として過ごしてもらうんだから」」
何言ってんだろうか。それつまり、和真は女として過ごせと言ってるのも同然ではないか。
「やだよ!着替える!」
「でも補充要員、女性2人で提出しちゃったなぁ...」
「バカか!?」
ツッコミ入れてしまった。反射だった。
「何が女性2人だよ!男1人いるって!」
「じょ、冗談だから。あ、これなら...美緒ちょっと来て」
一体何を言っていたのか。こそこそと話し合っている坂本少佐とミーナさん。
「なるほど....それなら良いかもしれないな」
「でしょ?」
「.....で、何?」
「男の振りしてる女って事で!」
「......は?」
改めて何を言ってるんだ、この女性は。それは男装趣味の女ということか?ネロじゃあるまいし、そんな事しなくても....いや、これなら良いのか。
男の姿のまま、ここに居られるのだ。
「要は前の服のままで良いってことだろ?」
「そそ」
「っしゃあ!」
これでオッケー。とガッツポーズ取ったものの、男の振りということは、女扱いなのだろうか。風呂とかどうなるんだ。
聞こうと思った時には、既にミーナさんと坂本少佐は居なくなっていた。逃げたか。
士官にあるまじき行動だ。和真とて軍人ではないが。
もう前回の世界より無茶苦茶ぐだぐだになってきている。さっさと着替えて元の服へと戻り、ひとまず宮藤の部屋に向かうことにした。
後で整備員殴っておかねば。
ぶっちゃけ場所が分からないので、予想したところから部屋をノックしていく。
何度目かのノックで福圓美里さんの声が聞こえたので、ドアを開けた。
「失礼しま.......すいませんでした!」
マッハでドアを閉める。綺麗なお肌だった。発展途上の胸も最高だった。.....ではなく!
着替えの途中だったようだ。そういえばウィッチとして現役でいられるのは20歳以下だっただろうか。つまり小・中学生は問題なく現役ウィッチというわけだ。決してロリコンなわけでは無いが、だからルッキーニとクロエが似ているのはそういう
「ぐぱっ?!」
もたれかかっていたドアが急に開けられて思考が中断、吹っ飛ばされる。
ウィッチのパワーは何気に強いようだ。流石に邪神には劣るだろうが。
とにかくまずは挨拶からだ。
「お、おゔ....はじめまして....」
「はぁ、はじめまして?」
「なんか同室になったんでよろしく、と思ってね」
「え、えっ?!同室!?ここ1人部屋だよ?!」
「そこらへんは坂本少佐に聞いてくれよ。こっちも知りたい」
「聞いてくる!」
「いってらー」
まったく元気なものだ。早速部屋に入らせて頂くことにする。
案外中はシンプルだ。まだ家具もさほどないので、後々持ってくるのだろう。
床に寝っ転がった。
「はぁ....宮藤すげえ純粋だしなァ....なんか悪い事してる気分だなあ」
「にしてもこの世界、来たはいいけど何を救えば良いのかね....」
「親父の気持ちもわかる気がするなァ」
などとぶつぶつ呟いていると、福圓美....もとい宮藤芳佳が突入してきた。
「やっぱり坂本さん、同室だって言ってた!これから宜しくね、八坂さん」
「あ、そう....(八坂さんて、女って言いやがったのか?)。ま、宜しく」
「どうしたの?元気ないよ?」
「いや問題ない。まあこれから頑張っていこうな」
「うん!」
やれやれ、こんな純真な子相手に嘘をいうのは良くないと思う。だが真実を話すのも気は引ける。和真はため息をついた。
(間違った世界にきちまったなぁ....さっさと次のとこ行きたい)
そんなこんなで夜は更けていく。