仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
次の日。朝は早く起こされる羽目になった。
正確には宮藤芳佳の寝相が悪く、和真の身体を蹴っ飛ばし、そのままこっちが眠れなくなったというのが事実だが。
まあとにかくそんな訳で、眠れないので外に出ることにした。
ドアを開ける時にギィ....という音がしてしまい、
「お、おはよ....」
「どしたの?早いね...」
ミスったか。起きてしまったようである。1人で出ようと思ったのだが。
「いや少し気分転換にね...」
「私も行くよ」
駄々をこねられると面倒なので、結局2人で外に行くことに。
廊下を歩きながら話す。
「えーと名前、なんて呼んだら良いかな?」
「私は宮藤芳佳。芳佳でいいよ」
まさか最初から打ち解けられるとは。やはり邪神のコミュ力恐るべしである。(嘘だ)
「えーと、八坂さん....だよね?下の名前って何なの?」
「え、下の名前.....?」
はて、どう答えたものか。現在一応私服を着ているが、薄暗いのでまあバレやしないだろう。にしても坂本少佐から聞いていないのか。
「....和真だ。」
「和真かぁ....男っぽい名前だね!」
「.....ははは、そりゃどうも」
喜ぶべきなのだろうか。男だと明かすのは簡単だ。
しかしコイツが他のヤツにしゃべって此処から追放、なんてことになりかねない。
この世界での居場所は、今のところ此処しかないのだ。
だが.....それもどうかと思ってしまう。
今回は前回と違い、既知の間柄ではないので、やりにくいところもあったりする。
いっそ別の世界に行くか?などとも考える。
「和真ちゃん?どしたの?」
「和真ちゃんて....どうにか出来ないのか?それ。なんていうかまぁ....」
非常に返答に困るのである。和真ちゃんて誰も呼ばないだろう。
リネットがリーネちゃんなのは分かるが。
(もう去ろうかな....精神的なダメージがきつい)
「女の子同士なんだから良いんじゃない?」
「アホか!いや....なんでもない」
「へっ!?」
「いや.....別になんでもないさ」
いつの間にか既に外にいたようだ。空を仰ぎ見る。
「行くかなァ....」
外に居たのも束の間、さっさと部屋に戻る。リュックを担ぎ、再度外へ出た。もう行こうと決めたのだ。
ここに居ると、1日で発狂する。
「どこか行くの?これからメンバー紹介あるらしいけど」
「....旅に出るとでも言っとけよ。」
そのまま宮藤を連れてバイクが置いてある所まで来る。
ブルースペイダーのエンジンを掛け、またがる。
「んじゃ行くよ、まあ会う機会ないだろうがな。」
「そういやそれ、見た事ない機械だよね。何なの?」
「説明面倒なんだが」
ハァ、と溜息をつく。時間稼ぎでもしようとしてるのだろうか。
すると突然チャイムのようなものが鳴った。
「何だこれ?」
「集合なんじゃない?行こう」
結局行けずに、講堂のような部屋に和真と芳佳は呼ばれた。
和真は荷物を持ったまま、芳佳はまぁ着替えてあるようだ。
結局行けなかったのが悔しい。それに今の服装とて、この時代のものではない。黒いTシャツとカーゴパンツ。そして赤い襟付きシャツを羽織っている。何故バレていないのかも疑問ではある。
「えーとじゃあ紹介するわね。八坂和真さんと宮藤芳佳さんね。
両方とも階級は軍曹になるわ。リネットさん、2人に色々説明してあげてね?」
「は、はい」
「.....チッ、何が軍曹だよ。しかも『さん』付けとか.....」
などと和真が文句を垂れていると、芳佳がミーナに言った。
「あの、それは要りません。」
「でも万一の場合は必要になるわよ?」
「要りません」
拳銃が要らないというのは、固い決意のようだ。坂本少佐は笑っているが。おっと、ペリーヌがイライラし始めている。シノンとは大違いだ。2人とも沢城みゆきさんなのだが。などというのはどうでも良いか。
などと考えていると、いつの間にか解散になっていたようだ。
芳佳はリネットについて行ったので、こちらもついて行こうとすると、ミーナさんに呼び止められた。
「あなたに客人が来てるわ」
「は?」
疑問しか抱かなかった。この世界に知り合いなど居ない。何かの間違いだろうと思った時、1つの予想が頭の中に浮かぶ。
(もしかして俺と同じような奴が?まさかな...世界間移動のバイクはあと1台....1台あったァァァァ!それ使ったのか?!)
「どうかした?」
「いや、何でもない。前の客間?」
「そそ」
取り敢えず、その客人とやらに会ってみる事にした。
客間に入ると、ミーナさんや坂本少佐は素早く下がった。
僅かに違和感を抱いたが、話さないことには始まらない。
客人...2人居たので客人達で良いだろう。の向かいのソファに腰掛け、
問いかけた。
「で、あなた方ですか?客人達というのは」
答えの代わりに、剣が2本和真に向かって突きつけられる。
「オイオイ、ちょっと待てよ。こっちは聞いてるだけだぜ?なんで剣を....」
同時、和真が座っていた所が斬り裂かれた。
「チッ...」「姉さん、どうする?」
「宇宙CQC パート2よ!」「OK」
そして2人の姿は消えて刹那、無数の斬撃があらゆる方向から襲ってきた。
「ンだよ....危ねえ!てか人の話聞けよ!」
転げるように廊下に出て、走る。勿論2人も剣を構え、追ってくる。
今度は双剣らしく、陰陽紋が刻まれた白黒の2本の剣を装備していた。
「逃さない!」
「分かってる!」
声から察するに、両方とも女性のようだ。これでは攻撃できない。
それを既に見抜いている?だが聞こえるのは声だけ、全身をフード付きのコートで隠していて、姿は見えない。
「誰か知らねえけど....ここはお前らのテリトリーじゃないんじゃねえのか?!」
再び叫ぶものの、あまり応えない。
いや、そうでも無かったようだ。足が止まっている。
「どうする?姉さん。覚えてないみたいよ」
「ならダメージ与えて思い出させるまでね。私達の宇宙CQC パート2ダッシュ」
「了解」
再び姿が消える。だがそれはウィッチ達の視点、和真には全部見えていた。
「なら....こうだっ!」
バールを取り出し、窓に投げつける。当然もろい窓ガラスは壊れ、和真はそこから身を躍らせる。と、見せかけて壁を走っていく。
これは邪神の力を持つ和真でも、流石に特訓して出来るようになったもの。仮にこれが出来るのならば、和真と同等かそれ以上のヤツでしかない。
後ろを見ると、
「マジかよ!?」
2人して壁をこちらに向かって、走ってきていた。バール2本取り出し、こっちも双剣のように構える。
だが2人は双剣を捨て、バックルのようなモノを取り出した。
それぞれを装着し、彼女達は「変身」と叫んだ。
『Change』
『Open Up』
そしてそこには仮面ライダーカリスと仮面ライダーレンゲルが居た。何故知らないヤツらが使っているのだろう。もしやアト子さんのところから盗まれたのだろうか。ならば取り返さねばならない。
「変身!」
『Turn Up』
こちらもブレイドに変身し、向かい合う。建物の壁で向かい合う仮面ライダーというのは、中々に変な感じである。
カリスアローとレンゲルラウザー、ブレイラウザーがぶつかり合い、
火花を散らす。
「誰なんだお前ら?!何しに来た?」
「忘れているのね...なら思い出させてあげるわ」
「行こう!姉さん!」「ええ!」
同時に蹴りが炸裂し、和真は吹っ飛ばされる。当然ながら足場が無くなるわけで、地面に叩きつけられる。
変身が解けた。
「がはっ....」
スッと降りてくるカリスとレンゲル。フロートでも働いているのだろうか。
地面に叩きつけられても、彼女達が誰なのかさっぱり分からない。
むしろ教えて欲しいくらいだ。
「ってて....誰なんだよ!お前ら!」
「ならダメージを...」
「姉さん、待って。顔を見せれば分かるかも」
「それもそうね」
フードを取ったその顔には、見覚えがあった。だが、明らかにここに居ないはずのヤツらだった。
「お、お前ら....風香と吹雪か?」
顔でようやく判断できた。彼女達は風香と吹雪、ハス太とルーヒーの
子供で、姉妹なのだ。昔はよく遊んでいたことも思い出す。
いわゆる幼馴染というヤツだが、高校は凄いエリートの所に行ったと聞く。まあそこで離れ離れになってしまったのだが。
「なんでここに居るんだ?」
「やっと思い出したのね...」
「ほら、顔見せたら分かったじゃん」
「...いや、だから何でここにいるの?」
黙り込む2人。そのまま和真の腕を両側から掴んで、引きずっていく。
「人の話聞けよな!てか弁償どうすんだよ!」
「「はぁ....」」
同時の溜息。息が合っていると思う。オンドゥル勢よりもダブルをオススメするが。
手ごろなベンチに座ったところで、風香と吹雪は話し始めた。何故両脇に座るのか疑問ではあるけれど。
話し終えたところで、ふむ...と考え込む。
簡潔にまとめると、和真の世界間移動が他の世界に影響を与えてしまっているので、今すぐ元の世界に連れ戻せ、との事らしい。
カリスやレンゲルのそれはアト子さんから貰ったとの事。
「俺、そんな周りに影響与えてないよね?」
「「いやいや、かなり与えてるから」」
「そうかねェ.....んじゃ分かった。荷物まとめてくるから」
あっさりとした反応に若干驚く姉妹。荷物をまとめるというのは建前だ、本音はさっさとこの世界から逃げてやろう!だ。
建物の中に入り、部屋に入ると見せかけて反対側から出る。
リュックは既に背負っているので、荷物はもう無い。
ブルースペイダーの所まで戻り、素早くエンジンを掛ける。
「ふっ...俺が大人しく従うとでも思ったかァ!」
ブルースペイダーが発進した数十秒後、エンジン音が聞こえた。明らかにストライカーユニットとは違うので、バイクだろう。そう思い見てみると。
「なんで律儀にバイク乗ってきてんだ!?しかも2台あるし!アト子さん何やってんだァァァァ!」
カリスのシャドーチェイサーとレンゲルのグリンクローバーが、砂煙をあげながらこちらを追ってきている。
振り切る為、橋へと向かう。僅かにだが、この島からヨーロッパへの連絡橋とおぼしき橋が見えたのだ。
更に加速、橋が見えてくる。
「これで決まりだ!」
橋を途中まで来たところで、ブルースペイダーのディスプレイを操作する。前のように丁寧にやっている暇はない。テキトーに操作し、前方に光のゲートが現れる。
「あばよ!風香に吹雪。また会えると良いな!」
「あっ....」「待てぇぇぇぇぇぇぇ!」
待つわけがない。和真はフルスロットルで、バイクを光の中へと突っ込ませた。何処へ行くかも分からないのに。
そして和真はまだ知る由もない。さほど時間を置かずして、彼女達と再び会う事になるとは。