仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか?   作:神浄刀矢

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仮面ライダーは何処へと向かうのか

後方を見ると、今だに彼女達は和真の乗るバスを追ってきていた。更に後方からは、やはりというかサツが迫っているようだ。

銃を構えつつ和真は、立花へと問いかける。

「どうすんだ?この件、降りるなら今のうちだぞ?」

「何を今更。前世は俺のせいで死んだ人が居たんだ。そんな事はしたくないからな。守るためにも俺は戦うぜ」

「ハッ、お前らしくねえな。いや...流石というべきか橘」

2人はニヤリと笑って刹那、アサルトライフルとギャレンラウザーの引き金を引いた。

再びバスから悲鳴が聞こえたが、無視して撃ち続ける。

予想はしていたとはいえ、バイクの2人には避けられ、特殊車両にも

何といった効果が見られない。

「クソ固すぎだろ!あとバイク誰だよ避けるのうまいなオイ!」

「仕方ないんじゃねぇの?あとバイクの2人は知り合いなんで」

「知り合い撃つなよ!」

「事情あんだよ!」

言い争っている間に特殊車両はサイドについてしまい、バイクを収納してそこから風香と吹雪が飛び移ってくる。

「なんだ可愛いじゃないか」

「まぁ見てくれはな」

こそこそと言い合っていると、2人の声に遮られた。

「もう逃がさないよ」

「覚悟しなさい」

ビッと指を突きつけられる。立花は何やったんだよオマエ、という風に見守っている。見てないで助けて欲しいものだが。

「い、いやぁ奇遇だねェ...あ、あははは」

「連れてきましょう」

「おー」

がしっと腕を掴まれ、特殊車両へと引きずられる和真。

暴力反対なのがモットーなので、かなり反対したい所だ。

「あのーすいません俺用事あるんで戻って良いですかね」

「「何?」」

「隙ありィィィィィ!」

一瞬の隙を見て両腕の拘束から抜け出し、バスへと跳躍。

ドンッという音を立てて、屋根に着地した。

立ち上がりながら、のんびりと空を眺めている立花へ話しかける。

「どうだった?久しぶりの戦闘になるんじゃないのか?」

「そうだな...高校生になってみて、色々経験したがな。以前の人生も

なかなかに悪くはなかったけども、現世も悪くはないか」

「そうか....1つ提案なんだが、俺の旅に同行する気はないか?」

「どういうことだ?旅してんのかお前?」

「まぁな。おっと、サツのお出ましだぜ」

振り向くと、赤いサイレンが見えるところまで来ていた。

何か叫んでいるが、無視して収納ポケットに手を突っ込み、武器を取り出す。

「耳塞いでろ」

そう言うと、和真はその武器を担ぐように構えて撃った。

狙いは逸れず、パトカーへと弾丸はぶち当たり、車体を爆発させた。

それを見た立花は、仰天した。

「ちょっ、おまっ、ロケランパトカーに撃つとか捕まるぞ!何やってんだよ!」

「安心したまえ、手前に撃ったから。」

「あ、ホントだ。気のせいだったんだな、ってそーじゃねーよ!」

「まあ事情は後で全部話すよ。俺がここにいる理由も含めて。」

そして車内へと戻り、和真がハンドルを握り帰ることになった。

先生もドライバーもいつの間にか気絶して、運転はレースゲーが得意なヤツがやっていたのだが、責任を取る1つのカタチで和真がハンドルを握るハメになったのであった。

絶対捕まるであろうこの状況だが、生徒も大半が気絶しているので大丈夫だろう。

その後本来のルートをかなり迂回して学校へと到着した。

皆は起きたら自然と家に帰ると思い、さっさとバスを止めて和真は

降りた。

既に日はとっぷりと暮れ、暗闇が辺りを覆い尽くしている。

「いやあ、凄え旅だったなァ....」

「そうだな。楽しかったぜ、前を思い出すくらいは」

「そうか....とりあえず帰ろうぜ」

「皆は良いのか?」

「良いんだ。起きたら帰り道の事は全て忘れるよう、記憶改竄してある」

「無茶苦茶だぜ...お前はよ」

長旅の疲れでため息をつきながら、和真と立花は道を歩いていく。

ある程度歩いたところで、和真は立ち止まった。

「どうするかなぁ....これから」

「どうするって?」

「旅の話だ。俺はこれからどうすれば良いんだろうってな」

「ならいっそ最初から話せよ。バス結局お前が運転してたから、話できなかったしな」

自販機でコーヒーを購入し、立花は片方を放ってきた。

ベンチに腰を落ち着けたところで、和真はぽつりぽつりと話し始めた。

 

話し終えたところで、立花はふう、とひとつ息を吐いた。

「随分と冒険してるんだなぁ、殿町。いや、八坂と呼ぶべきだよなこれからは」

「どっちでも良いさ。何にしろ俺はここに長居はできないからな」

「そう...か。でもあと1週間くらいで文化祭があるはずだ。それくらいは出て行かないか?」

沈黙。和真は考え込む。確かに文化祭に出るのもアリだろう。

しかしそれは裏を返せば、外部の者が多く来るわけで、彼女達に会う可能性も捨てきれない。

「文化祭か.....これは、使えるかもしれねえな」

「やる気になったか?」

「色々と思いついただけだ。んじゃ、またな!」

今日も何事も無く、と言うと嘘になるが、夜は更けていくのだった。

次の日になり、いつも通り学校へと行くと、クラスが何やら騒がしかった。

十香達精霊と士道がイチャイチャなのは変わらないが。

「お、立花。皆何か気にしてるらしいけど、何かあるのか?」

「ああ、転校生がくるらしいんだよ。このクラス」

「またか?これ以上誰が....」

「はーい、席についてくださいね〜」

続けようとしたが、のんびりとした岡峰教諭ことタマちゃん先生が

教室にきたお陰でホームルームになってしまった。

だが転校生が分かるのも基本、ホームルームだ。まぁ期待せずに待つとしよう。

ひと通りの話を終えたところで、タマちゃん先生が「転校生を紹介します」と言い、その転校生とやらが入ってきた。

「ごめん嘘だと信じたい」

「俺もだ。なんでだよ」

がくりと机に突っ伏している和真と立花をよそに、転校生は自己紹介を始める。2人居たので、転校生達になるか。

「八坂風香です。よろしくお願いします」

「八坂吹雪です。よろしく。」

(嘘だろォォォォォ!)

「2人は今日からこのクラスで勉強することになります。仲良くしてあげてくださいね」

((無理だろ))

この時ほど立花と意見があった時はないと思う。

と、ずかずかとこちらへ転校生が歩いてくるではないか。

対応せねばならぬ。

「やあどうも。転校生なんだって?」

「少し付き合いなさい」

「あーれー」

こちらの意見は無視され、和真は引きずられていった。

着いたところは屋上。ある程度の広さがあり、戦うにはうってつけだからだろうか。

「で、また俺に用か?」

「ええ、あなたを連れ戻すの」

「まぁ、姉さんは和真がす...(むぐむぐ?!)」

「吹雪の戯言は置いておいて。戻る気はないの?和真」

「.....皆、そう言うよな。けど俺は、戻らない。戻らないよ」

「何故なの?待ってる人もいるのに」

「俺は、このままでいいんだよ。世界を旅し続ける事、それが今の俺の生き方だしな。」

「そう...でも諦めないわ。必ず連れ戻す!」

「流石姉さんだな!」

ため息をお互いにつき、和真は問いかけた。

「1つ聞きたい。お前達とDEMが協力したのは、利害が一致したからだと言ったな。その利害って何だ?」

それは数秒のようにも、数分のようにも感じられた瞬間だった。

そして風香が口を開く。

「あなたよ。あなたが目的でDEMと手を組んだの」

「本当にそれだけか?お前達は俺を連れ戻す為だろ?だとしたらDEMには俺の何が目的だ?」

「....そういえばそうね...吹雪何か知らない?」

「さあ?」

こうは言っているが、まだ確証はないとはいえ、和真には予想は出来ている。自分がDEMに目をつけられている理由が。

「じゃあ俺戻るから」

「「え?!」」

面倒になったので、さっさと話を切り上げて和真は教室に戻る事にしたのだった。

 

授業も全て無事に終わり、放課後になった。

帰りのホームルームで文化祭の出し物も決め、和真はそそくさと学校から出る。

だが帰りもそう簡単には行かぬようで、校門で待ち構える女子2人組が

視界に入る。

わざと無視して立花と話しながら、校門から出る。

と、がしっと肩が掴まれる。

「何帰ろうとしてんの?諦めないって言ったわよね」

「ストーカーは男子に嫌われるぞー」

「「うっさい」」

「はい」

2人の迫力に黙り込む立花。これでは話にならない。時間もあまりないというのに。

はやくヤツに会って詳細を聞かねばならない。その為にはこいつらは邪魔だ。

「あのさ〜マジで帰りたいんですけど」

「貴方がやったことバラすわよ」

「脅すつもりか?それならそれで対策もあるぞ」

瞬間同時に動いた和真と風香。

ハンドガンを秒単位で取り出して互いに突きつける。

「まだ決着はつかないか」

「なら今日は延期ね」

そうして歩み去っていく彼女達を見送る。

夕焼け色に染まる空を見上げ、1人和真は呟いた。

「俺もいつか....人やめるのかな?」

 

 

 

 

 


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