仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
時間は流れ、日は過ぎていき、遂に文化祭の日になってしまった。
ここの文化祭は天央祭というもので、10校の高校が合同で行う、大規模なモノ。ステージ企画なども大掛かりだ。
和真の所属するクラスの企画も、通ったは良いのだが。
「だからってさァ、メイドカフェっておかしいだろ!」
キッチンでスポンジを握りしめ、何度目かの叫びを上げた。
「まぁまぁ、仕方ないじゃないか。メイドカフェなんだから、男子は厨房で決まりだっての。ったく五河も来れば良いのになぁ」
「五河は色々あるにしても....俺ァやる事あんだよ!ここで呑気に皿洗ってる場合じゃないんだけど!」
「....お、おう。ひとまず落ち着けよ。それにメイド見られるわけだし、特と言えば特だろう?」
メイドカフェにしたのは女子の側だし、和真としてはあまり、メイドには萌えないタイプなのだが。
ひとまず深呼吸をし、息を整える。
「ふぅ....そういや他校の生徒も来るのか?」
「ああ。竜胆寺のお嬢様も来るらしいぞ。意外だよな」
今のは犬井。いつの間に情報を仕入れていたのか知らないが、流石と
だけはいうべきだろう。
「竜胆寺のお嬢様か。誘宵....美九だったな」
「名前は流石に知ってるか。有名人だしな。なんか男は近づけないらしいって噂だけど」
その理由を話せば相当時間はかかるので、黙っておくことにした。
精霊である美九に、変に勘付かれても困る(多分だが)。
ただでさえ、DEM社のエレンに狙われているようなものなのに、余計なことを増やしたくはない。
丁度シフトチェンジの時間に入り、和真達3人は外へと出た。
「どこに行くんだ?殿町」
「デカいとこだよ。多分犬井は入れないぞ。」
「なんでだ?俺も連れてけよ」
アイコンタクトを取り、和真と立花は裏手に走り出した。
「あとで全部話すから!あとまぁクレープくらいは奢るぜ!」
そういうと犬井は追いかけず、ただ手を振るだけに留めた。
友人の隠し事には極力踏み込まないのようだ。
そういう対応は有り難い。良い友人を持ったと思う。
「このあいだ話した手筈で、下は任せるぜ」
「ああ。ここでもジャックまでなら変身できるからな、空中戦も任せてくれ。生きて帰れよ」
そう立花には事情はある程度話してあり、当面は共闘することにしてあるのだ。
そして2人は停めてあったバイクにお互い跨り、フルスロットルで発進させた。
「行くわよ」
「了解」
後ろからの追っ手に気付かぬまま。
クラス企画のシフトも余裕が多少あるとはいえ、ステージ企画を見る時間もあるので、行動できる時間も限られてくる。
全速力でバイクを飛ばして着いたところは、昼であっても暗い雰囲気を醸し出す高層ビル。
天宮市にあるDEM社の社屋だった。
物陰に隠れながら、こそこそと話し合う。
「あれか?こないだ言ってたヤツ。」
「そうだ。でもなぁ....やっぱお前を連れてくのは気が引けてくるな」
「何故だ?ギャレンとして戦えるんだぞ。戦力になるだろ」
「そういう意味じゃない。そういう意味じゃないんだ」
狙われているとは立花には言ってあるが、予測範囲内であるが故、理由は述べていない。
「任せろって。上手くやるからよ」
「まぁここまで来りゃ同じか。よし、行くか」
物陰から出て入口へと向かい、入って行く。
「オイこれ、正面じゃねえのか?」
「そうだよ。だから悩んだんだ。連れてくかどうか」
「ここまで来てそれ言うか」
と、突然和真と立花の周りにCR-ユニットを装着した複数の女性が現れた。女性と分かったのは当然ながら胸のサイズだが、恐らく彼女達は警備か何かだろう。にしては妙に準備がよすぎる。
まさか.....
「ここは頼むぜ」
「おう、これくらいお茶の子さいさいだぜ!行きな殿町!」
「また会おうぜ。グッドラック」
警備の隙をくぐりぬけ、階段へと転がり込む。
銃撃音が聞こえ始めたのはその直後だった。
社長室はだいたい目星はつけてあるので、その階層まで上がり、廊下を部屋へと向かって歩いていく。
社員に見られたが、無視しておく。対応が面倒だ。
焦げ茶色のいかにもなドアを見つけ、立ち止まる。
深呼吸をしてドアを開ける。
「来てやったぜ、エレン!ウェストコット!」
中に居たのは、やはりというか予想通りエレンとウェストコットだった。
まるでエレンが秘書のように見える。気のせいではあるまい。
「やぁ、キミがトノマチ...ヒロトか。いや、ヤサカ・カズマというべきなのかな?」
「そこまで知ってるのか....なら良い。俺を狙う目的を聞かせてもらおうか!」
「おいおい、銃突きつけての問答は気が進まないなぁ。エレンには手を出さないように言ってあるからってねぇ」
「非常時はやりますが」
随分と本編と印象が違う気がする。フランクな感じというのか、割と軽めなキャラに見えるのは気のせいだろう...と思いたい。
「答えろ、俺を狙う目的は?」
「物騒だなぁ、銃なんて。まぁいいか、目的なんて簡単だ。君の身体だよ」
「うわっ、嘘だろ腐ってんのかよ」
「そのままなんだけどね。アンデッドと融合しかけてる人間なんて、興味がわくだろう?」
既にアンデッドの事まで知っているのか。厄介だ。
風香と吹雪の口が軽すぎたということか、あるいは独自で得たものなのか。ウェストコットは色々と情報網を持っているので、平行世界のことも知っていてもおかしくはなさそうだ。
「それで?仮にアンデッドと融合した人間が居た場合、どうするんだ?解剖して血液とって、自分にその血液入れるとかじゃないだろうな?」
「違うね。だがやはり間違いはなかった。イツカシドウ同様、捕獲対象にして正解だったか。」
「ふん、五河も捕らえる気か。大方ジェシカとその部下でも向かわせたんだろ?」
「何故それを?!」
エレンが動揺してどうする。こちらは何もできないのに、色々いう必要もないだろうに。あと動揺しても萌えない。
「さぁな。ま、俺はウェストコット、あんたをどうこうする気はねぇよ。今はな」
「そりゃ有り難いね。」
そのとき、ドアが勢い良く開かれた。
「ウェストコット、フロントで怪しい男を見つけたから連れてきましたけど。どうしましょうか?」
この声は風香の奴、ウェストコットには敬語に近い感じで話すのか。
吹雪は黙っているので分からないが。
「知らない顔だな」
ふと気になって見てみると、そいつは身近にいる....
(立花オマエ何捕まってんだよ、アホか!?)
(すまん、あのお姉さん達倒したのは良いんだが、いきなりカリスとレンゲルにやられてなぁ)
ああ、と納得してしまう。確かに風香と吹雪はカリスとレンゲルだ。
変身していれば、姿はバレない。
してやられたというわけか。予想外の展開になってきた。
「ウェストコット。俺は手を出さないと言ったな」
「そうだね。」
「あれは嘘だ」
言いながらブレイバックルを取り出して仮面ライダーブレイドに変身し、ブレイラウザーを構える。
「友人がやられた以上、穏便に進める気はない。スクエアにいるジェシカも含めて全てぶっ壊してやる!」
2人もカリスとレンゲルに変身しており、エレンもユニットを既に装着していた。
戦闘が始まった。
風を切って振り下ろされる刃を素早く弾き、迷わず3人を蹴り飛ばす。
煙幕をはって立花に肩を貸しながら、和真は部屋を脱出した。
階段を使ってる暇はないので、窓を蹴り破って外へと出る。
もちろん自由落下の豪華特典付きだが。
立花を抱えて着地し、バイクまで戻る。
「お前は早く天宮スクエアに戻れ。五河を保護するんだ」
「お、おう....分かった...よく分からんが、死ぬなよ」
「迷惑を掛けるが....頼むぜ」
「何、友人の頼みは断らんよ。基本的にな」
「んじゃ、天宮スクエアで合流だ」
立花をバイクでスクエアに向かわせ、和真はDEM社の前に立つ。
当然ながら、割れた窓からエレン達3人が降りてくる。
ドンッとデカイ音を立ててカリスとレンゲルが着地、エレンは空中で
浮遊している。
「粘りますね。ですが天宮スクエアの方は、もう手遅れでしょう」
「何故そう思う?」
「ジェシカに手負いの人間が勝てるはずがない。いくら嫌なジェシカといっても」
「そうかね?まぁ絶対俺はスクエアに戻ってやるさ」
『エボリューションキング』
キングフォームに変身し、再度戦闘を開始する。
防御がバカみたいに高くなっている今、生半可な攻撃では傷などつかない。加えて友人が狙われている今、和真の心は決まっていた。
(五河も立花も、皆も助けて、DEMを叩く!)
レンゲルラウザーとカリスラウザーが装甲にヒットするが、傷すらつけられていない。
剣を振るいながら、2人へ問いかける。
「お前らさぁ....利用されてるだけなんじゃないのか?」
「まさか」
「んなわけないじゃん」
そう思っているのか。だが協力体制とはいっても、ウェストコットに
利用されている可能性も捨てきれない。
気づいていないだけかもしれないが。
溜息を1つつき、キングラウザーを薙いでカリスとレンゲルにダメージを与え、距離をとる。
「では私も出るとしましょう」
「遅えよ、年増」
何かが切れる音が聞こえた(気がした)。
刹那、白銀の疾風と化したエレンが、和真を襲った。
だが今の和真にレイザーブレイドごときで傷をつけられるはずもなく、ポッキーのように簡単にエレンの剣は折られた。
「アイザック・ウェストコットの剣であるエレン・メイザース...か」
「何ですか、その目は」
「いや別に。ユニット外せばあんた弱えもんな。そして今はユニット解除された状態だ。誰でも勝てるね」
そう吐き捨て、歩み去ろうとする和真の背中に声が掛けられた。
「逃げるつもり?」
「今度こそ逃さないぜ」
またか。そのセリフ何度も聞いたことか。文化祭準備期間も何回も言われた。
それに今和真は、一刻も早くスクエアに戻らねばならない。
「聞き飽きたセリフを何度も言うな。俺は行かなきゃいけないんだ。
だから...俺は戻らない」
それだけ言うと変身を解除し、バイクに跨り、発進した。
スクエアに帰還すると、既にギャレンとDEMの部隊が上空で戦闘を繰り広げていた。予定よりも早い気がするが、その点折紙との戦闘にならなかっただけはマシだろう。
全回復したMPを使って結界を貼り、再度和真はブレイドへと変身。
ジャックフォームになり、空へ飛翔する。
「よく耐えられたな、流石俺のダチだぜ立花」
「ま、これくらい朝飯前だって」
そうは言うが、現状立花はかなりボロボロになっていた。
やはり無理を言い過ぎたかもしれない。
「謝るこたぁねえよ。俺がやりたくてやったことでもあるからな」
敵の1人に向かって引き金を引きつつ、立花は言う。
「長い間こんな戦闘なかったからな。楽しいんだ」
「ほう、なるほど。でもまだ敵はこんなにいるけどネ」
「言うな言うな。鬱になりそうだ。」
「改めてそんじゃ、行きますか」
「おう!」
そして2人は加速、それぞれカードをラウズし、雷を纏わせた斬撃と
炎の弾を放っていく。
数分後、その空域には和真達以外には誰も居なかった。
全て墜としたのだ。
「やったな、殿町」
「そう...だな」
倒せたは良いもの、何か疑問が残る和真だった。
しかしこれ以上考えるのもどうかと思い、地上に降りてステージ企画の為、天宮スクエアに入っていった。
文化祭も後半戦、いよいよ精霊達のライブがスタートする。