仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか?   作:神浄刀矢

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俺たちのクラスメイトが魔王になるわけがない(なっちゃったけど)

その後、隠れ家として用意した廃ビルに辿り着いたのだが、そこで免許とか道路交通法云々と言われたのはまぁ置いておいてだ。

現在ビルから外を見てみても、ゾンビのように人々が徘徊しているのがはっきりと分かり、恐怖すらいだかせる。

「おいおい、ここホントに大丈夫なんだろうな?」

「流石に操られてる人達は来ないと思うけどね、俺は」

そう言いあう立花と五河をよそに、和真は冷静だった。

「どうしてそう冷静なんだ?ゾンビみたいなのがうろついてんだぞ?」

「まあ落ち着け、応援は呼んであるから。多分五河なら知ってるはずだぜ」

その言葉から程なく、影から1人の少女が現れた。

「く、狂三っ?!」

「久しぶりだな、時崎狂三」

「まあまあ、士道さんに和真さんではありませんの。今回呼んだのは和真さんでしたわね?」

「ああ、そうだ。時崎、お前の目的地が俺たちと同じだから呼んだだけであって、余計な事をすれば容赦はないぞ」

「あら怖い」

会話についていけてないのか、立花が?マークを浮かべている。

若干士道もパンクしかけているが。

「簡単に説明するとだな、時崎狂三とはかなり前に一度会ったことがあるんだ。ま、仕事の途中でだけどな」

「ひどいですわ、共同戦線まで張りましたのに」

「あれは偶然だろ。勘違いすんな」

「あーつまり、えーと、今回の協力者って狂三なのか?」

士道の問いに和真は頷く。

立花は発狂寸前の喜び様だが、まあそれも当然だろう。

一度消えたはずの美少女が再び目の前に現れれば、誰でもそうなる。

そして和真・立花・五河の3人はカロリーメイトを齧りながら、狂三は

精霊だからか食事はしないようだが....作戦を立てることにした。

 

しばらくして、作戦を立て終わり、4人は外に出た。

既に外に出た事はバレたようで、ゾンビのように操られた人々が近づいてくる。

「良いか、絶対に人間には攻撃するなよ?よぉく聞いておけよ、攻撃した途端に居場所が特定されると思え。」

今は誰かが外に居る、程度にしか見られていないだろうが、少しでも人間に触れた瞬間が運の尽きと見るべきだ。

美九の精霊としての能力は『音』だ。触れたことすら、振動として伝わる可能性がある。

「よし、乗れ。時崎もだ」

全員乗ったところで、四輪駆動のエンジンを掛ける。

和真はアクセルを踏みこんで発進させた。

「そーいや....このエンジン音ってバレるんじゃね?」

「.....」

「.....」

「ピンチはチャンスって言うだろ?」

「「バカか?!」」

後ろを見ると、赤いスポーツカーっぽい車と白いバイクが迫っていた。

「おいどー見てもアレ、さっきのあいつらだよなぁ?!」

「喋るな、舌噛むぞ!」

無理矢理ハンドルを切り、大型の四輪駆動を路地に突っ込ませる。

そこから更に加速するが、ドライブ&マッハは追いかけてきた。

(もういっそ出るか)

最大までアクセルを踏んで、路地から天宮スクエアへの道を選んで、ひた走る。トライドロンも間近に迫っている。

「おおおおおおおッ!」

路地から天宮スクエアの前に出たところで一気にブレーキを踏むと同時ハンドルを左に切り、ドリフトさせた。

そして予想通り、操り人形と化し、機械的な事しか出来なくなっているのかドライブとマッハはハンドルを切れず、スクエアへ突っ込んでいった。

車から降り、和真達4人はスクエアに向かい合う。

明らかに多勢に無勢だが、仕方ない。

「よし、行くか」

「ああ」「了解」「分かりましたわ」

五河と時崎狂三が天宮スクエアにて美九の説得を試み、和真と立花は

先にDEMに乗り込むというのが、今回の作戦である。

五河と時崎を置いていく形になってしまったが、それは作戦上是非もないのだ。

なんとか持ち直したドライブとマッハに追われる感じで、和真と立花は再度四輪駆動に乗り込む。

「ま、しゃあねーよな」

「半分お前のせいだけどな」

バイクも何も置いてきてしまっている今、移動手段がこれだけなのも

また事実。

上手く撒きながら、和真達はDEM社へと接近していった。

 

ある程度走ったところで、和真と立花はなんとかDEM社の正面に辿り着いたわけだが。

しかし警備は前より強化されており、ユニットを装備したピーポーがあたりを哨戒していた。

車の影に隠れて様子を伺いつつ、こそこそと話し合う。

「どうすんだ?思ったより警備厳重だぞ」

「そうだなァ....あ、1つだけ手があったな」

内容を話すと、立花は明らかに嫌な顔をしたが、この際それ以外に策は思い付かない。

「「変身」」

『『Turn Up』』

そしてブレイドとギャレンに変身した和真と立花は、四輪駆動を正面玄関めがけて蹴っ飛ばした。

2人の仮面ライダーによって蹴り飛ばされた四輪駆動は、正面の自動ドアをぶち破り、フロントへと進入した。

加えてそこにロケットランチャーを撃ち込む和真。

車は爆発し、社屋の一階付近は大混乱状態に陥った。

「今だ行くぞ」

「ああ」

爆煙の中をブレイドとギャレンは走り抜け、階段を駆け上がる。

敵が現れては斬り、敵が現れては撃ち、の繰り返しだ。

ある程度上がったところで、ケータイが鳴る。

「着いたか?」

『もうすぐ正面玄関のはずなのですけれど、燃えててよく分かりませんわ。

何があったのか教えて欲しいですわよ』

「後で説明するからさぁ、五河と美九を連れてきてくれ」

それだけ言って和真は電話を切る。

「そろそろ来るらしいぞ」

「誰が?」

「時崎狂三さ」

そしてしばらくすると、時崎狂三と美九と五河士道が階段を上がってきた。美九と五河が言い争っているのは原作通りか。

「では私はここで」

「おう、すまなかったな」

時崎狂三は虚空にとけるように消え、残されたのは美九と男子3人と

なってしまった。

下手すりゃ美九に殺されかねない状況ではあるが....そこは五河の言葉に期待するしかあるまい。

 

またしばらく歩いて、先日和真と立花が来たことのあるあそこではない、別の部屋まで来た(事前にアニメで調べておいた甲斐がある)。

美九が喚いているようだが、無視してドアを蹴り開ける。

「世話ンなるぜ」

「度胸あるなぁ」

言い放った和真に対して、立花が囁く。これくらいしないと、時間がなくなってしまう気がするのだ。

早くしないと十香が《反転》してしまう。いわゆる黒化である。

早くエレンを倒さないと

「ぐうっ.....」

ギィンという鈍い音を響かせ、影から鋭く振るわれたレイザーブレイドとブレイラウザーが火花を散らす。

「て、てめえ...不意打ちたァ、騎士道もクソもねえなぁ!」

「生憎私は騎士ではありません。アイクの剣であり続けるだけです」

「〈ペンドラゴン〉とかいうユニット使ってるくせに、よく言うね」

ブレイラウザーを薙ぎ、僅かにエレンを下がらせる。

よく見れば、ウェストコットも居るではないか。

そしてガラスで仕切られた向こうには十香の姿も。

(このガラス、防刃か何かだな。そして五河を送り届ける為には、アレを壊さないといけない....か)

ゆっくりと和真はブレイラウザーを構え、立花もギャレンラウザーを

握る手に力を込める。

五河が前に出るよりも早く、和真は一歩踏み出した。

「アイザック・ウェストコット、エレン・メイザース。俺の声は聞こえているだろう!夜刀神十香を解放しろ、クソ野郎!」

「いやいや、2度目とはいえ、相変わらず物騒だなぁ....ヤサカ・カズマ」

「俺の名前は今はどうでもいいだろ!良いから夜刀神十香を解放しろって言ってんだよ!」

そこらに転がっていた機械をウェストコットに向かって投擲するが、

当然ながらエレンに切り裂かれる。

「ふむ、ならばこうしよう。エレンが君の後ろの少年、イツカ・シドウを殺すのが先か、君がエレンを倒してこのガラスを壊すのが先か。

勝負といこうじゃないか」

結局自らの手は汚さない戦法を取るようだが、それも面白い。

『アブソーブクイーン・フュージョンジャック』

ジャックフォームになり、和真とエレンは相対する。

静寂がその場を支配し、刹那、2人は加速した。

空中で繰り出されていく高速の斬撃。

2人の騎士は更に加速していき、ついには天井すらもぶち破った。

そして次の瞬間、ブレイドの刃が届くかと思われた時、エレンの姿が

消えた。

「なっ....?!」

何が起こったのか分からなかった。

あたりを見回しても姿は見えず下を見てみると、ちょうど五河の背中が斬り裂かれて、倒れ込んだところだった。

「おい、五河!生きてるか?!おい!」

立花の声が虚しく響き、エレンはウェストコット何事もなかったかのように話しかけている。

「まさかここでアクセルを使う羽目になるとはね。驚きだよ」

「申し訳ありません。思ったより手強く.....」

エレン達に構わず下に降り、変身を解いて五河と立花のところに歩み寄る。

「すまない....俺の力が及ばなかったんだ...何とでも言ってくれ」

「お前は悪くねえよ、この会社が悪いんだ....クソっ、五河の野郎...」

沈黙がその場を支配した。大切な友人を失うというのは、こんなにも

きつい事なのか。和真は今日初めてそれを理解できた。

だが、こうなってしまうと、《魔王》が生まれるのも時間の問題と言えるだろう。

そう思い、ガラスの方を見やると、プリンセス十香の体からは既に黒いオーラが溢れ始めていた。反転するまで、あと僅かだ。

(せめて後始末くらいはしないといけないな)

「ああああああああああああああああああッ!」

そして十香は絶叫し、膨大な霊力が溢れ出す。

黒いオーラが十香を中心に膨れ上がり、防刃ガラスをも砕き、部屋を

包み込む大きさで広がっていく。

慌てて結界を張り、死に体の五河と立花、美九を庇う。

(原作より凶暴になってないか?流石〈暴虐公〉を扱うだけはあるが)

予想以上に危険な存在となっている十香を前に、和真は決断をしなければならなかった。

十香を殺すか、助けるか。どっちみちエレンとウェストコットを倒すのが今の目的なのだが。

だとしたら過程でそれを達成する、それだけだ。

「変身」

『Turn Up』

再びブレイドに変身する。体に再生の炎が燻りはじめ、五河も〈鏖殺公〉を顕現させて立ち上がった。こうなると、五河を十香の元に送り届けるミッションも発生してしまうが....まぁいいだろう。

「立花は援護射撃を」

「任せてくれ」

アクセルを使わせる暇も与えず、床を蹴ってエレンに肉薄する。

随意領域を無視してブレイラウザーを突き出し、その刃はそのままユニットもろともエレンを貫いた。

「ふっ、一瞬の隙が仇になったな....」

「う、嘘....でしょう」

今の和真はキレていた。下手をすればあの発作も起こりかねないが、

必死に抑え込む。

復活したとはいえ、五河を一度死の瀬戸際にまで追いやられ、十香も

反転しかけている。

元凶にキレない方がおかしいだろう。

「残念だったな、お前は弱かったんだ」

冷たく告げ、剣をエレンの体から抜くと同時、彼女の体を無言で壁へ蹴り飛ばす。血飛沫が、照明の切れかかった半壊の部屋を舞う。

原作とかなり違う配置な気がするが、知ったことではない。

「次はお前だ、アイザック・ウェストコット」

「おいおい、ちょっと待ってくれたまえ。私は何も悪いことはしてないはずだが?」

「黙れ、ゲス野郎が。消えるがいい」

『サンダー』と『スラッシュ』のカードをラウズ、『ライトニングスラッシュ』を発動させる。

そして、無言で和真は剣を振るった。

綺麗にウェストコットの首は飛び、胴体をもその刃で切り裂く。

グロ描写になってしまったが、是非もない。

「これで奴らは消えたな。あとは....」

死体には目もくれず、和真は黒化しかけている十香を見やり、五河達に話し掛ける。

「五河、今からお前を彼処に送り届ける。あの姫さんを戻せるのは、お前だけだからな。覚悟しろよ?」

「ああ、覚悟ならできてるさ。この建物に踏み込んだ時点でな」

「強くなったよなぁ、五河も」

「なぁに、ヒトは成長するのさ」

和真たちはわずかに笑みをこぼす。そして立ち上がり、並んで十香に向かい合った。

瞬間、十香がいる場所から強力な霊力が放たれ、3人を吹き飛ばして、

『彼女』は誕生した。

例えるならば、黒き女性剣士といった感じか。否、それをも超越した

何かに十香は成っていた。

なんとか立ち上がり、3人は再び十香の方を向く。

「やっぱり男は駄目ですね〜、でもそこの馬鹿な女装趣味の変態さんの方法とやらを聞いてみたのでぇ、あくまで十香を人形にするために!やってみますぅ」

(てめぇ、やる気か?ああァ?)

(落ち着けよ、今は少しでも美九に時間稼ぎをしてもらおうや)

(女装趣味の変態さんて....)

美九の後ろで密かに行われる乱闘など気にせず、美九は己の天使〈破軍歌姫〉を顕現させる。

その一部である銀筒が壁と床から出現し、いくつかが十香の方を向いた。まるで砲門のようだ。

ゆっくりと息を吸い込み、そして歌姫は口を開いた。

「ーーーーーーーッ!」

その口から放たれた美声は天使を介して不可視の拘束具となり、十香に巻きつく。

「さっき言ってた方法とやらをやってみたらどうなんですぅ?変態さぁん」

「ぐはっ....」

「これはちょっとな...フォローできんわな」

「死にかけてるけどねえ」

なんとか五河士道を立ち上がらせ、再度3人は魔王の前に立つ。

「変身」「〈鏖殺公(サンダルフォン)〉」「変身」

和真はブレイドに、立花はギャレンに、五河士道は〈鏖殺公〉を顕現させ、魔王へと変貌したクラスメイト兼攻略相手に対峙する。

無言で十香は使える方の手を虚空に掲げると、瞬間彼女の手に大剣が握られていた。黒く、邪悪な何かを感じる剣だった。

「畜生、こいつァ楽じゃねぇな」

「弱音吐くなんざ...らしくないぞ」

「何言ってんだ、十香を助けるって言ったろ?ほら、行くぞ!」

やる気満々の五河の言葉に首をすくめ、ブレイドとギャレンも各々の

得物を手に取る。

というわけで、最終決戦は次回!

伸びてしまって申し訳ありません!(スタッフ一同)

 




デートアライブ編延長してしまって申し訳ないです。
次回でデートアライブ編は絶対完結させます。
(銀魂みたいに延ばし延ばしにはならないと思いますが)

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