仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
次に訪れたのはIS学園。世の中は女尊男卑である。
この学園ばかりは違うようだが....
バランスの崩れたこの世界で、和真はどう生き抜くのか。
前回の最後、逃げるように光の中に飛び込んだのは良いものの、予想に反してバイクに乗った風香と吹雪が飛び込んできてしまい、現在結構めちゃくちゃな状況になっていた。
取っ組み合いに成りかけているというべきか。
「お、おまっ、どいてくれよ!動けねえ!」
「仕方ないでしょ!そっちこそ暴れないでよ!」
「はぁ....これだから(以下略)」
前の世界でかなり重要な事をやり残している気がするが、今はそんな事は気にしていられない。いち早く此処から離脱せねばならぬ。
ディスプレイを叩き、音声で指令を出す。
「早く出してくれ!どこでも良いから!」
『OK!進之介!』
「誰だよ進之介って?!俺和真なんだけど!」
『すまない。ブースタートライドロン!』
「これブルースペイダーなんだけど!名前すら間違えるAI載せんなアト子さん!」
ツッコミ虚しくブルースペイダーは、2人を振り切って加速した。
それは良かったのだが、目的地がさっぱり分からない。
加えてブルースペイダーの走り出しは良かったのに、風香と吹雪も素早く加速。追いつかれてきている。
「どこでも良いから早く!追いつかれる!」
『OK!FIRE All ENGINE!」
「意味わかんねえ事言ってんな!」
ガン!とディスプレイを叩くと、突如前方の視界がひらけてくる。
(出口かな?もう滅茶苦茶だし、こいつら道連れになりそうだ)
ちらりと後ろを見やると、あと数メートルのところまで接近していた。こりゃ道連れ確定だ。是非もない。
「いっけええええええ!」
エンジンを思いっきりふかし、三台のバイクは加速した。
同時、出口から溢れる光が3人を覆い、眩しさに目を閉じる。
だが引き返す事などできはしない。和真達はそのまま出口へと向かっていったのであった。
どれくらい経ったのか、どこに居るのか。
バイクには乗っていないようだが、場所が分からない。恐る恐る目を開けてみると、保健室のようなところだった。
いや保健室であっている。薬品などが置いてある棚、養護教諭のいそうな机。前の《デートアライブの世界》の最初で見たので、記憶に新しい。現在地を把握し、バイクを見つける為にも和真は体を起こした。
「ってて、どっか打ったかなぁ...ま、いいや。どの世界かも分からないし、気をつけて行くとしようかね」
となりの2つのベッドに気配があるが、恐らく風香と吹雪だろう。
彼女達も和真と同じルートを辿ったのならば、ここに来たか運ばれたかしているはずだ。別に居ても居なくても良いのだが。
とにかくドアを開けて廊下へ。
丁度昼なのか、日差しが廊下まで差し込む。
そこで気付いたのだが(気付くの遅すぎた)。
「なんで俺....IS学園の制服なんか着てんだ?」
とりあえず枕元にあったカバンを持ってきたのだが、中にあるのは『転入なんとか』である。
「ナニコレ?しかもご丁寧にこの転入ナントカの名前『八坂和真』になってるし!誰の仕業だゴラァ!」
その時スマホが鳴った。とってみると、
『やっほー八坂クソヤロー和真』
「テメェその声、ヨグソトースか?今頃なに出しゃばってきてんだ?
まどマギの所でお役御免になったんじゃねえのか?」
『言ってくれるなァ、邪神に対して失礼だぞ?』
「うっせーな、ただのオタクだろ畜生邪神が。で、本題は何だ?」
『あ、そーそー。今オマエIS学園の制服着て、疑問に思ってる頃だろう』
「テメェの仕業かよ、ヨーグルト」
『ヨグソトースだから!名前間違えんな!ま、単刀直入に言うとだな...愉悦に浸りたかったからだッ!転入手続き含め諸々は全部してあるから、まぁせいぜい頑張りな。2人余計なのが混ざってしまったが....』
余計なのとは風香と吹雪の事だろうか。別にこちらとしても戦闘の邪魔になりそうだし、余計ではあると思うが。
「んじゃそんだけか。あばよ」
『えっ、ちょっ』
最後まで言わせず、和真は電話を切った。
このまま続けていれば、しょーもない言い合いにしかならない。
そんなくだらないことに割いている時間などないのだ。今は状況把握をせねばならないし、何より重要なのはバイクだ。
アレがないと動けない。
「仕方ねェ....IS学園ならとりあえずあそこに行けば誰か居るだろ」
この世界で自分が何を為すべきなのか、和真は分からない。
だが分かるまで抗い続ける。それだけだ。
1つ大きなため息をついて、和真は歩き出した。
しばらく歩いて着いたのは、野球ドームのような建物、IS専用アリーナである。
ここなら基本的に誰かが、豊口めぐみもとい織斑千冬に怒られているだろうと思ったからだ。ひと飛びでアリーナの観客席へ。
さりげなく周りの女性陣に喋りかけてみる。
「すいません、今何の試合してるんですか?」
「えーとね....って...」
時が静止した。周りの女子達も含めてだ。「ザ・ワールド」でも使ったのかと思うくらい綺麗に固まっていた。
刹那、黄色い悲鳴が響き渡った。女子の悲鳴って黄色で良いのか?
ま、そんな小さい事はどうでも良い。
「男の子よ!IS学園の制服着てるわ!」
「なになに?転入生?!聞いてないよ?」
「織斑くんだけじゃなかったの?!」
五月蝿い。女性って本当に五月蝿い。美九は男が嫌いと言うが、女性も十二分にうるさいではないか。
「あのーそこらへんはまだ....説明がしにくいといいますか....」
言い訳しようにも迫ってくる女子達。こりゃ織斑一夏もキツイわけだ。
と思っていると、バトルが行われていたはずのアリーナの障壁を破って何かが突っ込み、ドン!という音を立てて着地した。
そもそも誰だろうか、バトルしていたのは。
「あれ戦ってたの誰?」
近くに居た物静かそうな女子に聞いてみた。
「.....織斑一夏と凰鈴音。2人ともクラス代表....かな?」
「不確定だな!ま、良いけどさ」
こうも急に状況が変化するのは慣れた。既に身体が半分以上人間で無くなっていることも自覚しているし、何が起ころうとも驚きはしない。それに教えて貰ったことで、記憶が間違っていない事も分かった。今はクラス代表戦、無人機襲来といったところか。
「さて、ひと仕事しますかね。」
階段を駆け上がり、通路を走ってアリーナへの出口へ。
いや戦いへの入口ともいうべきか。
さりげなく幾らかの文を書き、紙飛行機として『転入なんとか』と共に織斑先生のいる中継室(?)へと投げ込む事も忘れない。
そして和真はブレイバックルを取り出して装着。
「変身!」
『Turn Up』
仮面ライダーブレイドに変身し、無人機の元へ跳ぶ。
落下のエネルギーを利用し、固そうなボディにかかと落としを見舞い、着地する前に回し蹴りを更に1発叩き込む。
強力な蹴りを2発も食らい、御大層な無人機はアリーナの反対側の壁に叩きつけられる。
「お前...誰?今着てんの、それISじゃないよな?」
「というか今IS蹴っ飛ばしたわよね?!」
質問は基本的に受け付けません。ノーコメント。
だが流石に無言もまずいので、自己紹介くらいはしておこう。
「俺は八坂和真だ。一応転入生なんだけど....あ、そうそう。これISじゃないからそこら辺よろしく」
「「?!」」
突然の事に頭がついていけてないらしい。そりゃそうだ、突然転入生とか言ったりIS装着しないでデカいIS蹴っ飛ばしたりした訳だから。
おっとここで放送のようだ。
「おい、八坂!貴様何をしている?!保健室で寝ていたはずだろう!」
「あ、すんません。とりあえず全部このIS倒してからにしてくれませんか?」
織斑先生の言葉を全て聞いている暇はなかった。どうやらこのIS自体、ヒトの話を聞かないタイプのようで、突然奇襲を仕掛けてきたのだ。ダメ人間というかダメISじゃないか。しっかり作ろうよ束さん。
腰からブレイラウザーを抜いて応戦、その巨体を受け止める。
だが火花が散り、僅かに押され始める。
「ぐっ....お、おおおおおおおっ!」
しかし全力で押し返して瞬時に前蹴りを放ち、再度無人機をアリーナの壁に吹っ飛ばすが、今回はふわりと衝突を避けて青空へと舞い上がる。
「転入生だっけか?ここからは俺が、いや俺たちがやる。お前充分強いけどさ、空飛べないだろ?」
「行くわよ、一夏」
「おう」
そして2人は大空に飛翔した。まぁ、和真は地面に置いていかれた。
別に空は飛べるし、問題はないのだが。はてさてどうしたものか。
「おー高え高え、さっすが篠ノ之束が開発しただけあるなァ...まぁ両方とも専用機だからかね」
見ていると、2人とも攻撃は当たることは当たるのだが、イマイチ決定打を放つことが出来ていない。
このままでは膠着状態が続くだけだ。
『アブソーブクイーン・フュージョンジャック』
和真はジャックフォームへと変わる。
「やれやれ、仕事がまた増えそうだ」
オリハルコンウィングを展開し、和真も飛び上がる。
蒼穹を飛翔し、戦闘中の雲海の中へ突入する。
思ったより彼らは早く見つける事ができ、和真はそこへ向かって更に
加速した。
「貰ったァァァァ!」
飛行しながら剣を構え、そのまま無人機へと激突。
反撃する隙を与えず、一夏と凰を空に残して、和真は無人機諸共地面へと落下していった。
身体が浮遊する。無重力に近い何かを、落下しながら和真は感じていた。それでいて1Gの重力が身体を地面へと引き寄せていく。
落ちていきながら、ブレイドは剣を無人機の固いボディに叩きつけ続ける。斬れないわけではないようだが、どうにも剣では相性が良くないらしい。
だとすればやる事は1つだ。
『キック』『サンダー』『マッハ』
3枚のカードをラウザーで読み込ませ、『ライトニングソニック』を
発動する。
「斬れねえなら...ぶっ潰すだけだッ!」
軽く蹴り飛ばして間合いを取ったところで、和真の足に紫電が走る。
オリハルコンウィングを利用して無人機に向かって加速しながら、蹴りのモーションに入る。数秒後、空中で雷を纏わせた蹴りが無人機に
クリティカルヒット。
装甲が砕ける音と共に地面に墜落。刹那、無人機は爆発炎上した。
仮面ライダーのお約束だ。倒されたら爆発、当たり前である。
と思っていると、意外にもしらけていた。
降りてきた一夏も凰も、全員がだ。織斑先生だけはため息をついているようだったが。
「アレ?なんで皆黙ってんの?何か問題でもあったのか?」
ポンと肩に置かれる手。
「あのな、IS着ないでIS壊すって、普通出来ないからな?」
「そうなんか?結構楽だったぞ、これ」
「.....空気読めよ」
「おう...せやな」
割と真剣な空気の中、織斑先生に呼ばれたので、一夏達の元を去って
中継室へ。
「貴様何をやってくれている?」
「えーと、そりゃ危ないのは排除するべきでしょう?」
「そういう話ではなくてだな....」
「あーはい、なるほど。残骸はある程度残ってるんで安心して下さいよ」
「....もう良い。この紙に今日の宿泊場所を書いてある、そこでひと晩過ごしたら、明日転入生として紹介する。丁度フランスとドイツの2人も来る日だからな」
しっしっ、と手を振る最強の教師を尻目に、和真はアリーナを後にして目的地に向かう事にした。
時は過ぎ、バイクを確認してその場所に向かった頃には夕方になっていた。
紙に書かれていたのは来賓者用宿泊部屋。複数人で1つの部屋を使うらしい。嫌な予感がしなくも無いが、この際気にしていられない。
開けると、既に奥の2つのベッドは占領されており、手前のベッドのみが空いていた。3人部屋の時点で予想はしていたが、こうなるとは。
とにかく風香と吹雪の言葉は無視し、シャワーを済ませて持ち歩いている予備の服に着替える。
さっさと布団に潜り込み、和真は目を閉じた。
良い夢を見られますように。おやすみなさい。