仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
そうこうしている間にも時間は流れ、日は過ぎ、あっという間に1週間近くが過ぎていた。織斑一夏やシャルルなどは放課後のIS特訓などでアリーナに行ったりしていたが、IS使えるわけでもない和真にとって、毎日が暇だった。
その数日の間にもシャルルが女という事を一夏が知って、凄い気まずい状態になったりもしたが、別に和真にとっては大したことではない。既に知っている事なので、驚きはしない。
というかその時部屋に居たのは、一夏だけだったし。
他にはラウラによってセシリアと凰がボドボドにされたりしていたが、話題の中心は一夏である故、和真は関わらなかった。
時間が過ぎるのは早過ぎると思うが、そんなこんなで学年別トーナメントの初戦当日になっていた。
観客席に腰掛けてソーダを飲みながら、和真達ライダー組は話していた。
「短い回想だったな」
「短過ぎるでしょ。そもそもなんで1週間近くの出来事飛ばすの?」
「実際さぁ、俺達やる事なかったろ?全部見学じゃねえか」
「まあそうだけど」
「全部ヨグソトースの所為なんだがな!あいつムッコロス!」
「「ヨグソトース関係ないよね?」」
ツッコミをいれる風香と吹雪。
なるほど、この2人はそもそもヨグソトースによってここに送られたこと自体知らないという事か。確かに和真は話していないし、話す気もない。ここで和真の事を追うのを諦めてくれれば、こちらも助かるが...そうもいかないだろうというのは目に見えている。
「まったく....最近は滅茶苦茶だな、ホント」
はぁ、と溜息をつく。やる事はなかったので短く1週間を纏めてしまったが、大した問題ではないだろう。
しかしやはり何かがおかしい。違和感なく時間は過ぎたはずなのに、時が過ぎた感覚がない。
(滅茶苦茶なのは俺なのか?まさかな....)
ボトルの最後に残ったレモンエナジーソーダを一気に飲み干し、和真は席を立った。
「どこ行くの?もうすぐ始まるわよ」
「ちょっとトイレ(嘘だけど)」
ボトルを捨て、和真はアリーナの外に出る。
日差しは問題なく眩しい。どうやらその類の感覚は鈍っていないようだ。ならば良し。
間違いなく1週間は過ぎたはずだ。それなのに何か違和感がある。
気の所為だと思うのだが。
(やっぱ何も起きねえよな、きっと...)
カウントダウンがされ、0になると同時にバトルが始まる。
きっと一夏がブーストして、ラウラのAICにぶつかった頃だろう。
一応原作ではこのバトルの最後でBTシステムが暴走する事件が起きるはずなので、何が起きても対処できるように感じだけでもしておくことにする。
地面を蹴ってアリーナの屋根へと跳ぶ。
「よっこらせ...っと」
あぐらをかき、白式達の戦闘を見守る。
現状ではどちらが有利かは微妙だが、僅かにラウラの方が優勢と見える。そもそも装備が違い過ぎる。
全距離対応である上にAICを持っている。しかし、シャルロット(もう女だと和真と一夏にはバレている)のリヴァイヴには、それを打ち砕くだけの物がある。まあお楽しみだ。
(にしてもなァ....やる事ねーのによくもまぁ、この世界に送ったよなあ)
事実、和真がこの世界でやる事が見つからないのだ。
ヨグソトースは内心何を思ってここに送ったのか、わからない。
為すべきことなど、ここにある訳もないのだ。
「あーあ、さっさとBTシステム暴走してくれよな。暇すぎてやることねえんだよ」
誰にともなく独り言を呟く。答えはない。
眼下では丁度リヴァイヴの秘密兵器、〈盾殺し(シールドピアース)〉がラウラの機体〈シュヴァルツェア・レーゲン〉を直撃した所だった。AICなど意味が無く、その黒き装甲は砕かれる。
「お、ようやくか」
だが変化は次の瞬間に起きた。
砕かれたはずの装甲が変わり、残った装甲と融合し、分解し、姿を変えてラウラを取り込んでいく。
出来上がったのは黒一色の姿のIS。否、ISと呼ぶには無理がある。
鎧を纏った黒き騎士。和真にはそう見えた。
屋根から身を投げながら、ブレイバックルを装着。
「やっと出番が来たと思ったらこれだもんな....変身!」
青い光のカードを通過して仮面ライダーブレイドに変身。
謎のISを倒すべく加速する一夏と、そのISの間に着地した。
「なっ?!お前、トーナメントでてないはずじゃあ....」
「まあ落ち着けよ。外から見てても分かったけど、この野郎を倒すんだろ?」
「そうだがな...おまえの戦いじゃねえんだよ!俺の戦いなんだ!」
「ごちゃごちゃ言うな!今のお前じゃ勝てねえ!」
「....分かってるさ。けど、俺がやらなきゃいけないんだ!どいてくれ」
どうやら強い意志があるようだ。ここは1度だけやらせてみるのもありだろう。
和真がどくと、一夏は加速。謎のISに切りかかるが、先の戦闘の消耗があるらしく、鋭く振るわれる剣によって弾き飛ばされ、アーマーも
解除されてしまった。
「くそっ....」
「だーから言ったのにな。ここからは俺のステージだ、まあ見てな」
言って和真は地を蹴った。
和真と黒いISによって振るわれる剣と剣が火花を散らし、剣速が周りには見えないレベルにまで上がっていく。
(ここだ!)
一瞬の隙。剣を振るうことのみに集中している(と思われる)黒いISの僅かな隙をつき、和真は前蹴りを食らわせる。
突然の強力な蹴りに反応出来ず、黒いISは揺らいだ。
所詮は人が作ったシステム、完璧ではないということか。
更に揺らいだボディにラッシュを叩き込み、反撃の隙を作らせない。
しかしあともう少しでトドメというところで、和真は攻撃をやめた。
「....おい、織斑一夏。最後はお前が決めてくれ。あの野郎もそれが
1番良いだろうさ」
「え?つまり最後は俺がやるのか?」
「ああ。あいつはお前が倒す事に意味があんだよ。シャルル、エネルギーを白式に」
「分かった。やってみる」
和真の言葉にシャルロットはケーブルを出して白式に繋ぎ、残ったエネルギーを白式へと送り込む。
しかしリヴァイヴも消耗していたのだろう、あまり多くは送れなかったようだ。
「白式を一点集中で展開しろ。それがベストな方法だ」
「お、おう」
一夏の右腕部分のみ、白式の装甲と専用武器〈雪片弐型〉が現れる。
これだけでもなんとか《零落白夜》は発動可能なはずだ。
武装を展開させた一夏は深呼吸し、目を閉じた。
ゆっくりとエネルギーを剣に込めていく。
目を開け、一夏は剣を振りかぶり...そして、黒きISを斬り裂いた。
そう、まるで幻影を断ち切るがごとく。
切った中からは、銀髪の少女ラウラが倒れこむように出てくる。
「よし、終わったな」
変身を解いた和真は、くるりと背を向けて歩み去っていく。
一夏が問いかけても答えないその背中は、先程の強さと裏腹に寂しさを感じさせた。
そして...それからの生活も大して変化はなかった。
ただ一つだけ変わった事と言えば、いつもの女子4人のところに、ラウラの姿が加わったことだろう。
トーナメント戦の次の日あたりだったか、ホームルームの際に激おこ鈴から一夏を守って、ファーストキスしたとかしなかったとか。
まあ実際したわけだが、どうもラウラに日本の知識を与えている黒うさぎ達はズレているらしく、ラウラは一夏の事を嫁と呼んだりしている。
「まったく...女ってなァ良く分からんな」
「そんなものよ。女は」
「そーそー」
後はシャルルがシャルロットになったりという事件もあったが、結局のところ和真達ライダー組は教室でのんびりしていた。
どうせ自分達には臨海学校と言う名の校外IS学習なんていうものは
役に立たないのだ。なぜか?ISを扱えないからである。
IS学園の役に立たない授業を聞き、今日も1日が過ぎていく。
帰りのホームルームになり、先生がやってくる。
今日はどうやら山田先生はいないようで、鬼の織斑先生が担当していた。担任だからといえばそうだが。
教師の話など、ここでは聞いても意味はない。和真は右から左に聞き流していたが、何故かホームルーム後に風香と吹雪に捕まった。
「なんでい?俺なんか悪い事したか?」
「水着買うから。日曜日朝9時に駅」
「姉さんアンタに水着(むぐむぐ?!)」
「ちょっと吹雪、黙りなさいな。じゃあそういう事で」
「え?えっ?!」
何がなんだか良く分からない。
要は日曜日の朝9時にモノレールの駅前に行けと?
なるほどそういうことか。はたから見ればこれはデートに見えるのだろうが、メンバーがメンバー故にそうは思えないのが現実だ。
「急展開にも程があんだろ...くそっ」
外を見ながら和真は溜息をついた。何度目か数えるのが嫌になる。
日曜日までそんなに時間があるわけではない。まあテキトーに済ませて帰って来れば問題なかろうが。
よし、と気合を入れて和真は寮に向かって歩き出した。
既にシャルロットはラウラと同じ部屋になり、和真は一夏と組んでいる。部屋が前より広く感じるのは気のせいではないだろう。
日曜日の朝。
少しばかり早めにモノレールの駅に着くと、先客がいた。
しかも知り合いである。ルームメイトだ。
「おい...お前なんでここにいんだよ?」
「こっちが聞きたいんだがな...」
なんと先客は織斑一夏だった。どうやらコイツも待ち合わせをしているらしく、一足先に来ていたとのこと。
「今日は疲れそうだなァ....」
「ホントな。お前も大変そうだぜ」
お互いなんとか正気を保ちつつ、待ち合わせの時間まで耐える。
現れたのはシャルロットと風香&吹雪だった。
どうやら一夏のお相手はシャルロットだったらしい(花澤香菜さんが相手とか羨ましい一夏ムッコロス)。
女3人に男2人。なかなかにキツいものがある。
発狂しないようにしながら、モノレールに乗り込んでいざショッピングモールへ。
ショッピングモールへ着くと、休日だからかそれなりに人が居た。
満員電車程ではないが、人が居ない場所はない。
久しぶりの一般人の世界に、和真は癒しに近いものを得ていた。
「はぁー久しぶりだなぁ、普通の世界って」
「普通の世界?何の話だ?」
「いや別に。何でもねえよ」
話し合った結果まずはテキトーに見て回り、ある程度の時間で集合して水着を選び、その後昼食というスケジュールになった。
しかしこれといって欲しい服もないので、和真は本屋で立ち読みをして時間を潰すことにした。
(ほほう、デートアライブ最新巻出たのか。アスタリスクの最新巻も良いな...悩むぜよ)
アレコレ吟味していると、あっという間に時間は過ぎており、和真は水着売り場へと急ぐ。
「悪りぃ遅れた!」
「「遅い」」
「スイマセン...」
風香と吹雪に睨まれ、流石の和真も頭は上がらない。
だがずっと謝るのもアレなので、使わないにしろ何にしろ和真も自身の水着を選んでみることにした。
「とか言ってもなぁ、水着なんて絶対着ねえっつのにな」
ぶつぶつ言いながらも、水着を選ぶふりをしておく。
すると違う列の所から女性の声が聞こえてきた。
女性用の水着売り場の方だ。
「そこの水着片付けておいて!男のあなたに言ってるのよ!」
男で女の水着売り場に入るのなんざ、一夏くらいしか存在しない。
何をやっているのだ、あの馬鹿は。
しかしよくよく考えてみればこの世界は女尊男卑。男が使われるだけの存在になっているのは、当然の事である。
(厄介な野郎に絡まれてんなぁ...しゃあねぇ、助けてやるか)
一旦水着売り場から出て、和真は向かいのスポーツ用品店へ。
出入り口にあるサッカーボールを見繕い、1番硬いヤツを手に取る。
周りの客は変な目で見るが、そんなものは関係ない。
軽くボールを宙に放り、タイミングを見計らってボレーキックでボールを蹴り飛ばし、一夏に喚く女性の後頭部に直撃させる。
ばたりと倒れこむ女性。
(おまっ、何やってんだよ?!捕まるぞ!)
(別に捕まらんし)
時を置かずに警備員が走ってくる音が聞こえてきた。
「おめえは早く更衣室に入れ!」
「いや今シャルがな...」
「入れって言ってんだよ!」
一夏を蹴っ飛ばして更衣室に入れ、ミッションコンプリート!
だが同時に警備員がどたどたとやってきた。どうやら警察も呼んだようで、サイレンも聞こえる。
「風香、吹雪。あばよ、俺ァ行くからよ」
床を蹴って跳躍、警備員達の頭上を越えて売り場の外に出る。
だがここまで来て捕まるわけにもいかない。
ならいっそここで急展開を起こしてみるのも一興だろう。
「タイミングも良い....待ってろよ、篠ノ之束!」
そう言って、和真はショッピングモールの中を駆け出した。
壁を走り、テーブルを越え、ソファの上を転がり、出口へと走る。
それに篠ノ之束の居場所は見当がついている。
少し無茶をしたとは思うが、無理矢理クラックを開いて入ったのである。地球(ほし)の本棚の中に。
我ながら無茶を承知の上だったので、初挑戦初成功は嬉しいものだ。
その中のある本の記述を頼りに割り出した座標に、彼女はいる。
和真は確信している。
「「「待ちなさい!そこの少年!」」」
ポリスメンに追いかけられていることを忘れていた。
方向転換し、和真はモノレールの方に向かった。
さあ、IS創造者とのご対面まであと少しだ。
やばいです。
和真君に久しぶりにアクションさせようと思ったら、こうなっちゃいました。ごめんなさい!
無茶苦茶どころの話じゃありません。ホントすいません!
てなわけで、次回からISの世界は最終章突入です。
頑張って書くのでよろしくお願いします