仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
次に彼が行き着くのは如何なる世界なのか。
幻想的で万華鏡のように多彩な世界は存在するのか。
次に彼が行き着く先で出会う者とは...
人は過去を忘れることで、生きていけるという言葉がある。
巡ってきた世界、関わりあう人々。時に対立し、戦う事も避けられない。
あの浜辺を最後に、彼があの世界から消え去ったことは事実である。しかし、消えた後、彼は何処に行ったのか。
雪に覆われた、知らない世界で彼は目を覚ます。
しかしそれは新たな旅の始まりでもあった。
閑話休題
場所は変わって何処かの世界の上空4000メートル。
突如として光とともにその場所に、1人の少年と1台のバイクが現れた。比喩ではなく、突然、何の前触れもなく。
「え?何、どこ此処?しかも雪?!」
慌てふためく少年の名は八坂和真。前の世界から飛ばされてきたのだが、どうやら予想とは反した状況が展開されている模様。
それも当然だ、浜辺で消えたと思えば、雪が降りしきる上空4000メートルにいきなり出てきたのである。
(まぁひとまず状況確認....って高っけええええええええ!)
下を見て絶句。落下しているのは体感出来ているが、にしても高すぎる。4000メートルの高さから落ちる事など通常ではあり得ないのだ。
「えーと、あれ?」
改めてみてみると、自身より下方を急速落下中の物体が。
自身の愛用バイク、ブルースペイダーである。色々と積んである故重いのは分かるが、このまま見過ごす訳にもいかないし、自身の事も考えて和真は変身することにした。
すぐ変身するのはあまり好まないが、この際仕方ない。方法がそれしかない故だ。
「変身!」
『Turn Up』
青い光のカードを通過し、仮面ライダーブレイドへと姿を変える。
そしてそのままジャックフォームへ。
オリハルコンウィングを展開して加速、高速落下していくバイクをなんとか捕まえて減速し、地面につくと同時に変身を解く。
(ふう...なんとかひと段落か)
バイクを停めて周りを見てみると、さほど遠くない所に、石造りの階段があるのが認識できた。上の方には鳥居らしきモノもおぼろげにだが、見えなくもない。
恐らく神社だろう。誰かはいるはずだし、ならばここが何処なのかも分かると思われる。
よっこらせ、とバイクを押しつつ石造りの階段を登っていく。先程からこのバイク、だんまりを決め込んでしまい、どうしようもない。
「おお、やっぱ鳥居じゃねえか。つかやっぱ冬なのか?雪積もってるし、てかクソ寒ぅ!」
ごそごそと有能収納スペース&バッグを漁り、なんとか服を冬仕様に変える。
やはり夏の服では限界がある。
ロングコートがあったのが幸いだろう。
再度バイクを押して階段を登りきった和真。そしては彼が目にしたのは....
「いや、たしかに雪降ってるけどよォ....冬なのかもしれんけどさぁ。
多分別の世界だしな。だからって、神社の境内で雪合戦するか?普通」
呆れ気味に和真は呟く。いくらなんでも神社の境内で雪合戦をする奴がいるだろうか。少なくとも和真には、問題児にしかみえない。詳細は不明だが、人数は3人は確認できる。
おまけに向こうはバイクに手をかけている和真の姿はまだ視界に入っていないらしい。
(よくもまぁこんなんで怒られてねえでやんの)
凄いのか凄くないのかさっぱりだが、今は第三者として止めに入るべきであろう。
バイクを停めて、和真は足を踏み出す。
と、突然雪合戦をしていた片方の奴、金髪の少女が声を上げた。
「お、あんた雪合戦やるのか?やるよな?よし、これで2対2だ!行くぞ、丞一!早苗!」
おおよそ反対側には丞一と早苗と呼ばれたのであろう、少年と少女が雪玉を手にこちらを見ていた。
(なんか敵の2人かなり出来る感があるな。てか強制参加なのかよ)
一方的に参加させられたことへの怒りを感じながら、ため息をつく。
何故こんなことになってしまったのだろう。というか予想ではあるが、この早苗と呼ばれた少女や声を掛けてきた金髪の少女は人間離れしている気がしなくもない。丞一と呼ばれた少年もだ。
「はぁ...神社ってなァ、あんまり俺には相性良くない気がするんだよなあ」
「ん?なんか言ったか?」
「別になんでもねェよ。気にするな」
やけくそ気味に言い、和真は雪玉を握りしめて振りかぶる。
やる時は加減は無しで行くのが和真の主義である。
「つーわけで意味分かんねえが、(割とムシャクシャしてるから)全力で行かせてもらうぜ!」
そして再び神社の境内は、雪玉飛び交う戦場と化したのであった。
数分後、突然の乱入者によって雪合戦は終わり、全員して雪合戦を止めさせた少女のお小言(?)を聞いていた。
この少女、見かけは15、6かそこら辺だろう。しかし何より特筆すべきなのは装いである。
黒髪を赤いリボンで留め、纏うのは赤と白の巫女服だ。そう、つまり巫女さんなのだ。
神社から出てきた以上ニセモノではないと見て良い。
(やっぱ人いるじゃねーか。ったく...まぁこれなら多少は何か聞けるかもしれねえな)
心の中で若干喜ぶ。無慈悲に外来者を雪合戦に参加させた奴らよりは、マシな人間であることを期待したい。
などと思っているとお小言が終わったようである。
「そういえばさ、コイツ誰よ?」
和真を指差す巫女服少女。その質問は有難い。
「そういや知らねえ顔だな」
「同じく」
「あ、ホントだ。誰だコイツ」
終始コイツ呼ばわりとは不敬であろう。まあ敬えなどとは微塵も考えていないが。せめて名前くらいは聞いておくべきではないのか。
「おい、お前ら来訪者勝手に雪合戦に参加させんなよ!自分で言うのもなんだけどよ、せめて自己紹介その他諸々くらいさせてくれよ!」
「まあ...そうだな...自己紹介くらいはしておくか。俺は慶条丞一だ、まぁよろしく」
「私は東風谷早苗。よろしくお願いします」
「私は霧雨魔理沙だ。雪合戦については悪いとは思っていない!」
「私は博麗霊夢よ。ここの神社で巫女をやってるわ。」
どうやら和真の自己紹介は後回しになるらしい。無茶苦茶な展開にイライラしつつも、自制して耐え抜く。落ち着け、これくらいは日常茶飯事だったではないか。
「よし、つーわけで俺なワケだな。俺の名は八坂和真って言うんだが、色々あってこの神社に来てみたんだがなァ...金髪の少女に無理やり雪合戦させられてなぁ...」
視線だけを動かして金髪少女を睨み、彼女は苦笑いで済ます。
「っとそうだそうだ、本題に入るか。お前らの名前は分かった、けどな、ここが何処だか俺にはさっぱり皆目分からねェんだよ。お前ら知らねえか?」
沈黙が5人のいる空間を包み込む。そして和真を置いて、ひそひそと話し合い始めた和真を除く4人。
(ここが何処だか聞いたらおかしいのか?普通聞くだろ、普通はよ)
瞬きのうちに彼らは素早く元の状態に戻っていた。おそらく気の所為だったのだろう!きっとそうだ。
そんな和真に巫女もとい博麗霊夢が口を開く。
「ここは博麗神社って言ってね、私が巫女をしてるところなの。それでこの神社を含めた此処の世界全てを『幻想郷』っていうのよ」
「....げん、そう、きょう?」
「そ、幻想郷」
「幻想郷...幻想郷ねェ...」
ゆっくりと考え込む和真。
(知らねえ世界だな、クソ...マジかよ...)
IS世界からの移動で脳内データベースが傷ついたのかどうか分からないが、いくら考えようとも思いつかない。
ならば導き出される答えは1つ。まったく知らない世界に飛ばされた、ということだ。
「うん、分かんねーや。」
開き直った。分からないものは分からないとはっきり言うしかあるまい。分からないところは授業中に聞いておけと先生も言っていた(気がする)。
そんな和真を微妙な顔で見る4人が居た。
彼らを無視し、外の雪は降ることをやめない。
その雪がこれから事件の中心になるとは、まだ誰も知りはしないが、
着実に事態は進んでいた。
続く!
かなり期間空いてすいません。
この話から、暁にて投稿中のかりーぱん先生とのコラボ回が始まります。
東方に関しては詳しくありませんが、かりーぱん先生のと合わせて読んでくだされば幸いです。
ではまた次回!
そんな遠くないうちに投稿できると思います(多分恐らく)。