仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
けれど再会した時崎狂三は彼を覚えていないらしく…
静まり返った街を歩くのは、やはり気味の悪いものだった。
『生きている』というのが感じられないのが薄気味悪い。
ここには準精霊なる者達が存在しているらしいが、こうも静かだとこの世界に彼1人しかいないような感覚に陥る。
他にも誰もいないのではないか、と。
(でもどーせ誰かいるに決まってる)
今はまだ会えていないだけだ。
一応時崎狂三に加え、少なくとも10の領域の支配者(ドミニオン)がいるということなので、最低限10人の準精霊(と1人の精霊)がここにいるのは確定事項と言って良い。
どこに居るのかまでは分かっていないけれども。
「ん?アレは…?」
ふと彼が視界に認めたのは白い少女だった。
白い髪に白い装い、綺麗を通り越して不気味なほどに白い肌。
全てが純白。
まるで元々あった彼女の色彩を全て奪い去り、空っぽに、真っ白にしてしまったようだ。
そんな彼女が唯一色を持つのは赤い瞳。
それが彼女が彼女である証なのかもしれない、和真はそう感じた。
「ってそうじゃない!」
少女に思わず見入ってしまったが、そうではない。
初めて人(恐らく人間ではなく準精霊の類だろうが)を見つけたのだ。
「おーい!」
声をかけてみるものの、どうやら彼女には聞こえていなかったようで、近くの建物へと入っていってしまった。
「なんだよ…ったく追いかけろってか」
仕方なく彼女を追ってその建物へ入るが、彼女がどこへ行ったのか皆目見当が付かない。
しかしこんな何もないようなフロアで何かを漁ったりするのもおかしいだろうし、となれば彼女が向かったのは上か。
大方屋上であろう。
(あー全く…)
階段を一気に駆け上がり、屋上までやってきたところで、彼はこの街で2人目、そして彼が探すべき人物を見つけた。
「時崎…狂三…」
最悪の精霊はそこにいた。
古めかしい短銃を片手に、先ほどの白い少女と向かい合っている。
鮮やかな真紅の右眼、時計の刻まれた黄色の左眼。
妖しくも美しい黒と紅の血のようなドレス。
和真が知っている彼女の姿であった。
「時崎…」
でもここからどんな風に言葉を続ければいいのかわからない。
五河士道は元気か、天宮市は今どうなっているのか。
聞きたい事が山ほど溢れてくる。
「生きていたんだな」
最初に口をついて出たのはそれだった。
「どちら様でして?」
「えっ?」
「は?」
先に疑問系を投げたのは白い少女、続いて和真。
どうやら白い少女は和真が来たことを気付かなかったらしい。
「わたくしの名前を知っているようですけれど…わたくしは知らないですわよ」
「何を…言ってるんだ?覚えてないのか?」
「覚えてませんわね。というか名乗りもせずに誰ですの?」
「八坂。八坂和真だ」
「そうですの」
「えっ?!えっ?お2人知り合いなんですか?」
「そうだ」「違いますわ」
「なんだよ」
「そちらこそなんですの?もう彼女といい、貴方といい…」
やや蚊帳の外になり気味の白い少女は、おずおずと口を開いた。
「あの〜質問いいですか?」
どっちに問いかけるべきなのか困った顔をしつつ、彼女は続けた。
「ここが何処でわたし誰でなんでここに誰もいないのかって知りたいんですけど」
「質問多すぎないか」
「聞くのは一度に1つにしてくださいませんこと?」
というかこの質問はどちらに向けているものなのだろうか。
和真か時崎狂三か…まあ時崎狂三に向けているものだとは思うが。
とはいえ知らぬ存ぜぬと言われたところで、彼女の性格を全く知らない和真ではない。
「あー俺が…説明しようか?」
「できますの?」
「まあ一応は。そっちは何か用事があるんだろ?」
「よくお分かりですこと」
面倒なことは好まないのが時崎狂三、そう彼は認識している。
最も白い少女の方は和真に対して半信半疑そうではあるが。
丁度その時だった。
新たにもう1人少女が姿を見せた。
「うっわ…なんだあの服装」
その少女が空を飛んでいるということよりも、ツインテールがとんがっているという事よりも、着ている服装が際どいということの方が、彼にとっては重要だった。
そのせいで、まだ準精霊らしき者はいるという情報は後から彼の中に入ってきた。
「来ましたわね」
「アンタね、アタシを呼び出したのは」
「ええ。そうですわ」
まるでその少女が来ることがわかっていたようだ。
知らないところで待ち合わせでもしていたのだろうか。
「何が始まるんですか?」
「第三次大戦…じゃなくて、殺し合いだ」
彼女に代わって和真が答える。
ツインテールの少女が時崎狂三を空へと招き、戦いの火蓋が切って落とされた。
「分かるんですか?」
「俺が知る時崎狂三はそういうヤツなのさ」
例え今の彼女が和真を知らないとしても、和真は時崎狂三という少女を知っている。
怖いほどに彼女に殺戮と血がよく似合うということも。
「…っとそっちの質問に答えるんだったか。その、名前…名前ないんだっけ?」
「ないですね。全くこれっぽっちも」
「じゃあエンプティでどうよ?空っぽってことで」
「雑すぎません?」
「そのうち良い名前が付くさ。あとアレか、ここがどこかっていうのとなんで誰もいないのか、だっけか」
彼から聞いたのを丸パクリするようで気は進まないのだが…和真は隣界について掻い摘んで説明をすることにした。
「正直不安なところもあるけどこんなとこで良いか?」
「まあ、はい」
「時崎には当然まだ言ってないんだけど、俺もここに来てあんまり経ってない。そこまで詳しくはないんだ」
1日と経ってないとは口が裂けても言えないし、言ったら信頼されなくなってしまうだろう。
あまり経っていないといえば嘘ではない。
望んで来たわけではなく、迷い込んでしまったというのが正しい気はするが、細かい事は気にしない。
「じゃあなんでここには人がいないんですか?」
「それは…なんでだろうな。俺にも分からない」
中空を見上げると、どうやら勝負はついたらしく、ツインテールの少女が落ちていき、黒と紅の少女が降りてきたところであった。
「さっきの人は…」
「死にましたわ」
目をパチクリさせて言葉の意味を理解しようとするエンプティ。
こういうあたり時崎狂三はドライなのである。他人が死んでも一切の動揺を見せない。
それが例え自分の手を汚したものであっても。
「あら、怖いのですか?」
エンプティは彼女に恐怖したのだろう。殺す事に躊躇を覚えない者は、ただの殺し屋だ。
「でも、今あなたに立ち去られたらわたし滅茶苦茶困るので。彼だけだと頼りなさそうですし!今しばらくお付き合い願います!」
「おいコラ失礼だな」
とはいえ和真としても空っぽの少女を連れて歩くのは気が進まない。
保護者として時崎狂三がいた方が都合は良いだろう。
「…分かりましたわ。良いでしょう。使いでがありそうですしね」
「よろしくお願いします!」
やけに返事は元気なエンプティであった。
何が外出自粛だよ面倒くせえんだよ大学にも入れねえ!
つーわけで時系列的にはデート・ア・バレット1巻の最初のあたりですね。
できるだけ原作小説に沿って書くつもりです。
ウルトラマンでも何か書きたいんだけどねェ…
これ前にも言ったな。
ティガで1つ書いたことはあるんだがなぁ…アレ原作エヴァで書いたから難しいんだわな。
ま、次の話は今日か明日には挙げられると思うよ。
またねー