仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか?   作:神浄刀矢

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殺し合いの時間

かくして各々が自己紹介を始めたわけだが、自分の名前と武器と霊装だけ言うのかと思いきや、始まってみるとそれが間違いだったと知ることになった。

正直聞いていたところでエンプティよりかは理解できていると思うが、彼とて準精霊の全てを知っているわけではないため、理解できない部分もあるにはあった。

とはいえ聞く限りでは彼の知る精霊と違い、準精霊特有の識別方法のようなものも存在しているようだった。

纏めると…

①準精霊、精霊には1〜10までの霊属なるものがあり、彼女達は必ずそのどれかに属している(時崎狂三は第三霊属だった)。

②精霊が扱うのが天使であるのに対し、準精霊は無銘天使というものを扱う(能力は大差ないのかもしれないが)。

③精霊の霊装が神威霊装なのに対し、準精霊の霊装は神威ではなく、無銘天使=武器を反映した名前(刀なら特攻、苦無なら隠形)になる。

といった具合である。

これから更に数が増えたら、覚える方が大変になってしまいかねない情報量である。

まあ覚えたとしても、ここにいる少女達は最終的には死んでしまうのだろうが。

時崎狂三という予想していなかった悪夢がやってきたのだから。

「あ、あの。わたしの自己紹介とかは…?」

ひと通りの自己紹介が終わったところで、エンプティがおずおずと手を挙げた。

「不要である」

うんざりそうに切り捨てたのはリュコス。ちびっ子に見えて大人びた口調をしているので、やけにイメージが強い。

「な、なんか仲間はずれっていうのはダメな気がするんですよわたしは!」

「はいはい。えーと、名前は?」

「エンプティ!です!これはそう付けて貰ったので」

「霊装(ドレス)は…なさそうですね」

「霊装(ドレス)というものがよく分からないので、たぶんありませんね!」

ここまでなるといっそ清々しいくらいの性格をしている。

リュコスが『お前は良いのか?』という風にこちらを見る。

準精霊と誤解されている以上こちらも一応答えた方が良いのだろうが、天使はおろか無銘天使すらなく、霊装など欠片もない彼はどう答えるべきか悩んだ挙げ句、エンプティに似た事を言うことにした。

リュコスにはバレるかもしれないが、それも覚悟の上だ。

「第一霊属、八坂和真。無銘天使、霊装はよく分かっていません」

「…よろしい」

なんとか一応乗り切れたようだった。

彼もまだ日が浅く、ここではあまり物事を知らないエンプティと同じような扱いをされているおかげで、嘘でもなんとか誤魔化せた。

最も支配者かこの人形にバレるのは時間の問題だろうが。

そしてリュコスと朱小町は教壇にて交互に宣言を始めた。

「ここにいる10人は殺し合うために集まった」

「これは戦争だ」

「これは殺し合いです」

「最後に立つべき者を決めるために」

「皆さんで精一杯殺し合ってください」

リュコスは鞄の中から恭しく宝石のようなものを取り出し、皆に見せた。大きさは野球のボール程度だが、何か欠片をくっつけあって1つにしたように見える。

「勝ち残った者には、第十領域(マルクト)の支配者である“人形遣い(ドールマスター)”より、この霊結晶(セフィラ)が贈与される」

「この霊結晶は準精霊100人分。つまりこれを得た者は100人分の力が与えられる事になります」

「100人分か…」

誰かが呟く。

圧倒的なまでの闘志が部屋を満たしていき、審判がいなければ今にも殺し合いが始まるのではないかというくらいだ。

「この力を手に入れたいのであれば、強者であることを吼え立てよ。それがあの御方の伝言である」

「こんなものを一時の戯れのために放り出すなんて…」

誰かが呟くが、朱小町はそれを首を振って否定。

「あの御方にとっては戯れではありません。本気です。この霊結晶(セフィラ)を手にする事で、ようやくあの御方と勝利者は対等な立場で戦う事ができる。そうしなければ、あの御方は生きていけない」

「なるほど」

戦わなければ生き残れないとはよく言ったものである。つまり殺し合いをしなければ、生き残れないと。

「皆、異存はないのだな。拒むのであれば、黙って今日から出て行けばよろしい」

「ではこれより5分に1人ずつ教室から出て貰います。誰が出て行くかはくじ引きで」

「ふーん。なら、できるだけ最初に出て行った方がいいんだね。待ち伏せして片っ端から仕掛ければいいんだから」

金髪の少女(名はパニエだったろうか)の言葉に、皆の視線が時崎狂三へと向く。

刀を持った少女だけは違ったが。

「それならできるだけ前を狙いたいですわね。わたくし、後になればなるほど狙われてしまいそうですわ」

「はい!はい!はい!わたしたちは前にして欲しいです!」

「くじ引きだって言ったろ。ドジるんじゃないぞ時崎」

「わたくしを誰だと思ってまして?精霊、時崎狂三ですわよ?

かくしてくじ引きが始まったのだが。

 




ようやく最新話書けたぁ…
誤字脱字あったら後で修正するけどまぁ…
なんか狂三がキャラ崩壊しそうで怖いんだよな。
気をつけるけどさ。
今日か明日に次の話挙げられると思いますんで、じゃ、またねー

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