仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
やっと3話終わりましたけど、かなり急ぎ足で進めちゃいましたねえ、前回の話は
「まぁ否定できないけどなァ、その点に関しては。でも仕方ないだろ?このままじゃ4話にならないと変身出来なさそうだったし」
そんな理由でストーリーを一気に進めたんですか。
「うん」
ヒーローものの総集編でも、もう少しマトモだと思いますよ。
ディケイドみたいに劇場版に投げるつもりとかじゃないでしょ?
「流石に劇場版に投げたりはしないさ。けどここまで来ても、主人公のバトル一切ないってのはアレだからなぁ」
そですか....んじゃあ雑談もこれくらいで始めましょうか
「ま、そだな時間も時間だし」
「「「さあ、ショータイムだ」」」
「またライダーかよ」
「変身!」と叫ぶと同時、『Turn Up』の音声と共に青い光のカードが目の前に出現する。そしてカードが和真の身体を通り過ぎ、和真は
仮面ライダーブレイドへと変身した。
「俺が誰かって聞いたな?少しばかり訂正させてもらうぜ。俺はまどかの兄であり、仮面ライダーブレイドだ。」
「かめん....らいだー?」
「ぶれいど?」
何故平仮名で聞き返すのかは別にどうでもいいか。それより今は彼女達を護らねばならない。
「質問は後で受けつける。それに何でも1つ言う事聞いてやるからさ。マミさん、あの2人を頼むぜ」
「なんでも?!やるわ!」
不安要素が残る事を言ってしまった気もするが引き受けてもらい、こちらは魔女と向かい合う。
ホルスターから醒剣ブレイラウザーを引き抜き、構える。
「初戦闘で魔女ってよォ....面白えよなァ。くははっ!」
そして和真は地を蹴った。剣を振るい、綿を思わせる煩いザコどもを蹴散らしていく。荊と裁ちバサミが合わさったようなモノが襲いかかってくるが、素早く剣で切り裂き、ぐしゃりと踏み潰した。
いつだったか誰かが言っていたことがある。優しさだけでは戦いは生き残れないと。全くもってその通りだと思う。慈愛などバケモノに通じるわけがなかろう。だからこそ和真の戦闘におけるモットーは、『慈悲などいらぬ』となっているのである。
と、背後から綿のザコが飛びかかってくる。だが切らずに和真は蹴り飛ばした。ここで無駄に大見得はって負けるなど、妹にもマミさんにも合わせる顔がない。最後は倒せれば良いのだ、倒せれば。
ふと不穏な気配に目をやると、デカい何かがこちらに向かって突進してきていた。アレはもしかしてというか間違いない。
「ターゲット発見...と。これで決まりだな」
ブレイラウザーのオープントレイを開き、2枚のカードを取り出す。
『キック』と『サンダー』をラウズし、『ライトニングブラスト』を
発動させる。
助走して跳躍し、ちょうどキックを叩き込める高さまで飛び上がる。
「ウェェェェェェイッ!」
そしてそのまま和真は突進魔女へと、雷を纏わせた蹴りを放った。
命中した感覚を足に感じるとすぐ着地、念の為ブレイラウザーを再び構えたが、その必要はなかったようだ。
元々混沌としていたその姿はバラバラに散っていき、空間も元の色彩を取り戻していったのである。
「万事解決って....オイなんで居るんだ」
「.....」
「ま、いいか。今回は俺が倒したからオマエの出番はないぜ、暁美ほむら」
「......誰?」
「ああァ?」
「魔法少女でも無いのに、魔女を倒した。魔女を倒せるのは魔法少女だけのはず。何故」
「知らねーな、つうかよォ...疲れたんだから今日は帰ってくれ」
結局それ以上は何も言わずに、暁美ほむらは立ち去っていった。安易過ぎた気もするが、ひとまず安堵の息を吐く。まどか達に何も無くて良かった、それだけでこっちは安心だ。
変身を解くと、マミさん含めて全員から質問が投げかけられた。
「カズマ、そのベルト何?かめんらいだーって何なの?」
「お兄ちゃん...だよね?前はそんなもの持ってなかったと思うんだけど....」
「カズマ先輩強いじゃないですか!何ですかあの技?」
「興味深いね、キミ。」
一気に言われると辛いものである。順番に答えたい所だが、今はなんだかんだで時間が遅れてしまっている。というかキュウべえはまどかに用があったのではなかろうか。だが少なくともほむらは、未だにまどか目当てなのは間違いないだろう。
しかし現状かなりストーリーへと介入してしまっているので、修正をしなければなるまい。
「あーじゃあ俺ここら辺で帰るから。それにキュウべえオマエ、まどかとさやかに用があるんだろ?」
「まぁそうだけど。なんでキミがが知って...それに僕のことはキミには見えないはず」
「マミさん後よろしくな。」
クールに去ろうとした和真の腕が、再度掴まれる。
「ちょっと待って。カズマ貴方のことも説明してほしいんだけど。それにここで帰ろうったってそうはさせないわよ。」
「えーなんで」
「なんでも1つ言う事聞くんでしょ?」
「う」
どさくさに言ってしまったのを思い出す。この類の事は言わないのが常識なのに。困ったものである。後悔先に立たずというヤツか。
それにこのマミさんの表情。断ったら不味い感じがする。
「わーったよ、1つだけ言う事聞いてやるよ。けどまぁアレだな、一回戻ろうぜ。こんなトコにずっといるつもりか?」
「そうね」
そして結局4人プラス小動物1匹はモールを後にし、マミさんの提案で彼女の家に行くことになった。
少しばかり後、彼らはある家の前に立っていた。
予想していたあのマンションの方角ではなく、普通に住宅街の方へと歩いていたので驚いたのだが、行き着く先がまさか普通の家とは。
これもストーリーに介入した影響なのだろうか。
設定がこれまた変化している。
「入って良いわよ。カズマとまどかは何回か来てるわね」
「はい!邪魔します」
「お邪魔しまーす」
「へぇ、何回か来たのか。」
「5回以上は来てるんじゃないかしら」
そんなに女子の家に行けるものではないと思うが。幼馴染とかならば別かもしれないけれど。一応幼馴染という事になっていた気もするので、そういう事にしておこう。
ともあれ家に上がらせて貰い、部屋へと移動する。
「紅茶淹れてくるからくつろいでいて良いわよ。」
「ありがとうございます」
「はーい」
マミさんが紅茶を淹れに出て行き、急に会話が途絶えてしまった。
「さやかちゃんが聞いてよ...」
「まどかの兄さんでしょ、まどかが聞いてよね」
「....聞きにくいよ、やっぱり」
「だよねぇ」
こそこそ会話しているつもりなのだろうが、ダダ漏れである。この少女達はもう少し考えてみるべきだと思う。
そんな訳で暇になってしまい、やることが思いつかない。まあ変身する必要もないので、テキトーにごろごろすることにした。
すこしするとトレーにティーカップとケーキなどをのせて、マミさんが戻ってきた。
そしてケーキと紅茶が全員の所に来たところで、マミさんが会話を再開させた。
「こうやって集まったのだし、色々と話したい事もあるでしょう。どうしましょうか?」
「そっちが聞いてくれよ。どうせ俺に聞くことが大半なんだろうしさ。答えるぜ、ある程度は」
トップバッターをきったのはマミさんだった。
「じゃあカズマ、貴方のそのさっき使ってたベルトはなんなの?」
「ああアレか、変身用のベルトってところかなァ。ブレイドになる為の」
「んじゃ先輩、かめんらいだーぶれいどって何ですか?」
平仮名で聞くな。
「良い質問だけど...こればかりは説明が面倒くさくてなァ」
「というと?」
「ひと言じゃ説明出来ないんだよねェこれ」
「うんうん」
「うんうんって説明させるつもりかよ!マジで面倒なんだって!」
「そうなの?」
「そうなの!分かってくれよなァ...っても無理か。見た事もないものは何なのか知りたくなるものだからなァ」
いちいち聞いてくるとかやめてほしいが、女性の特性とでも言うべきものはどうしようもないか。
だからというか「なんでも1つ言う事聞いてやる」とか言ったのは間違いだったと改めて思う。どうせ大した事ないことだろうからさっさと済ませよう。
「あーそうだ、1つ言う事聞くんだっけ?俺」
「....そうね」
「んだよ、はよ言わないのか」
「カズマにはね...婿に来てほしいなぁ...とか」
「はぁ?」
何を言いだしているのだ、この子は。婿の意味が分からないわけではない。婿に来てくれとか、結婚イコールだということを知っているのだろうか。デートとかそんなものスキップしてないか?ゲッシュじゃないが、かなり響く。精神的に。
確かに1つ言う事聞かないといけないのだが!
「え、だって前に大きくなったらお嫁さんにするって言ってくれたじゃない。だからここで私も言おうと思って」
「確かに前に言ったね、お兄ちゃん」
「なんでまどかは覚えてんだよ!覚えてねえぞ俺」
「うっ....ひどいわ...覚えてないなんて....」
「お兄ちゃんマミさん泣かしたー」
「先輩ひどーい」
「ちょっと待てい!もう俺が悪かったよ!婿になれば良いんだろ!
クソォォォ!てかおまえらキャラ変わりすぎじゃねえの!?」
もうやだ何なんだ、この空間。キャラ崩壊激しい上に、いきなり婿に来てくれとか。結局言う事聞いてしまったが。畜生め。
「やった!これでもう夫婦よね!」
元どおりになるのが早い。本当にベテランの魔法少女なのだろうか。
疑問に思う所である。
「そだねー(気が重い)明日から面倒くさそうだよホント」
「ひゅーひゅー」
「ひゅーひゅー」
ここに来た意味を見失っている気がするのだが。明らかにキュウべえの出番ないし、ケーキ齧ってるだけになっている。
「でも結婚できる年齢にまだなってないよな?じ、じゃあ!」
「じゃあ婚約ってことにしましょ」
「え」
最後の退路が断たれた。もうこれは結婚しか道が無いのだろうか。
だがなんとか避けねば。
「そ、そうだよ!まだ親には言ってないじゃないか!」
「もう連絡したわよ」
「返事は?NOだよな?」
「お似合いだって言ってたわ(ポッ)」
「親ァァァァ!クソォォォ!」
了承する親も親だが、自業自得ってこういうことなのかと初めて思った和真であった。
作品内で「ダーリン」と言われているキャラの気持ちが分かったような気がした。
「はぁ.....もうどうにでもなれよ。」
溜息をつき、ぱたりと倒れこんだ。後は勝手に進めてくれて構わない。この一件で体力の大半を使い果たしたので、しばし横になる事にした。
「んじゃあ話進めてくれて良いぜ、キュウべえ」
「やっと出番だね!」
「俺寝るからあとよろしくー」
話を振り、和真は目を閉じた。世の中おかしくなりすぎである。
まぁ和真の世界も充分周りが混沌だったが。