仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
文字通り、和真に迫ってきたフォルス・プロキシは弾けた。
正確には彼に掴みかかり、もつれ合って壁をぶち抜き、校庭と思しき場所に落下してからであったが。
それは気持ち悪いほど綺麗に弾け飛んだが、撒き散らしたのは五臓六腑ではなく、飲み込んでいたらしい人形達であった。
「すっげえ入ってたんだな…」
イサミをはじめとした彼が知る準精霊の他に、彼の知らない顔もかなり混じっている。このゲームに惜しくも破れた者達の成れの果てか。
(こりゃあなんというか、厄介そうで)
全部で何体いるのか、数えるのは面倒だからしないが、彼が異端分子でありイレギュラーと分かった以上、全力で彼を消そうとしているのは明確である。
「変身!」
素早く仮面ライダーブレイドに変身、ブレイラウザーで人形を切り裂きながら、例の教室へ急ごうとする和真。
当然人形達が黙って見ているわけもなく、数の差で徐々に動きを抑えられてしまう。
「だからァ!お前らに構ってる暇はないんだってば!」
跳ね除けようとするが、人形とはいえ彼女達(人形に性別があるのか不明だが)は準精霊。精霊の下位互換と認識しているものの、複数で掛かってくれば精霊に匹敵する力を発揮できると見て良い。
「ちっ、知らない準精霊までいるのが面倒なんだよな」
攻撃方法を把握していないため、対策を立てづらいのである。
おまけに近距離、中距離、遠距離すべて網羅されており、変に気を抜けば死角からやられかねないと来た。
なにやら銃らしき武器を持った者もいるようで、彼女が味方の人形に構わずに撃ちまくるのである。
『エボリューションキング』
もはや手段は選んではいられない。キングフォームになり、気は進まないものの、あの手段を使う事にした。
幸い人形達は彼を囲んで密集しているため、当てるのは簡単だ。
そして和真と人形達が向かい合うと、再びあの現象が起きた。
全てが静止、水滴の落下も、人形の動きも、時間そのものが凍結したように動かない。
「ずるいからなぁ、これ」
そう呟く彼の身体の2箇所が光り、それが右足に収束すると同時、ブレイドは跳躍、ドロップキックを人形達へと見舞った。
「リスタート」
刹那、彼を包むように大爆発が起こり、少し離れていた人形も爆風に巻き込まれ、吹っ飛んだ。
「再起動にゃ少しかかるかな?」
キングラウザーを手にブレイドはゆっくりと浮上し、例の教室へと戻ってきた。
「ゲームマスターは、この階層の支配者はどこだ?」
口をつぐむ人形達。教える気が無いということだろう。
「そうか」
金の剣を人形へと向けるが、怯えた表情は見せない。そりゃ人形に表情や感情などあるわけもないのだが。
ゆっくりと拳を握りしめ、和真は例のちっこい人形2人を殴り砕いた。
「なら俺が見つけてやる。このゲームも全部終わりにする」
静寂が訪れた教室を後にし、振り返る事なく彼は進んでいく。彼が成すべきことは、シンプルである。
このゲームを終わりにし、この世界から脱出する。
遠い昔にソ連式の方が能率的だと教わったが、今は彼自身のやり方を貫く。
「どこに隠れたんだ、ゲームマスター」
出会うたびに人形を斬り捨てていくが、一向に支配者は姿を見せない。そろそろ姿を見せても良さそうなものなのだが。
(もうあぶり出すしかないのかなぁ)
軽く息を吐くと、ゆっくりと和真は剣を構えた。
久しぶりですね。
こんちくしょうゼミの方が忙しくてまた最近書けてませんでして。
まあ次はいつか分かんないけど。
ウルトラマンの方も書きたいなあ、書けてないけど。
じゃまたね