仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
目覚めた時に浮遊感を感じず、手錠もつけられておらず、なおかつ誰にも監視されていないという状況を、これほど新鮮に、そしてありがたく感じたことがあったろうか。
しかも周囲が崩れかけた壁などではなく、古風な日本のそれである。金髪幼女はいないし、ミーナ隊長のような人もいない。
残念ではないといえば嘘になるが、こうした目覚めも悪くない。
「っしょ…っと」
身体をゆっくりと起こし、和真は布団の上にあぐらをかく。
(アレ?俺、こんな着物着てたっけ?)
ゲイムギョウ界まで着ていた服装ではなく、今彼が着ているのは水色の着物。まぁ詳しくはないので、ゆかたくらいの認識だが。
しかしあの出来事が嘘でないことは、彼は分かる。
覚えているのだ、体が。
「アーク…ワン」
未だに消えない、赤と黒の禍々しい模様。あの2人の力によってか、全体的に減ってはいるが、腕などに色濃く刻み込まれたそれは、薄くなっていく気配はない。
最もアークワンはあそこで破壊されたのか、それとも彼の中にまだあるのか、全くもって分からない。
だがアークワンドライバーやキーが見当たらない以上、一時的にかもしれないが、安全といえるだろう。
ならば動いても問題なしと判断した和真は布団から降り、部屋の引き戸を開く。
古めかしい木製の床をぺたぺたと歩き、階下へ降りていくと、何やら美味しそうな匂いが漂ってくる。誰かが料理を作っているのだろうか。
「おはよう、ございます」
台所らしき方へ声をかけてみる。すると1人の女性が姿を見せた。
「ああ、おはよう。ご飯はもうすぐできるよ、そこで待っててくれ」
彼女に従い、和真は畳の上に座り込む。
目の前にはさして大きくはないが、木製の座卓が置かれている。
少しすると台所から先程の女性が料理をいくつか運び、座卓の上に置いていった。
白米と味噌汁は分かるが、正直副菜などが何を使っているのかは不明だ。けれどもどれも美味そうで、なんというかここのところロクなものを食べていない和真からすれば、全てが御馳走に見えて仕方がなかった。
「いただきます…」
自然とそう言っていた。
気付けばぺろりと料理を平らげていた。
食レポとか慣れているわけではないが、簡単に言うとうまかった。
久方ぶりに生きている心地がした。
「とりあえずいくつか聞きたいんですけど。俺はなんでここに?あと貴女は誰です?」
「そうだね。君は昨日この家の前に倒れていたんだ。ボロボロの状態でね。衣服は全て変えさせてもらったよ」
少々恥ずかしさがあるが、まあ相手が気にしないというのなら、そういうことにしておこう。
「あの名前は?」
「ああ、名乗り忘れたね。私はシロガネ・カオリだよ」
どこかシロガネという名に聞き覚えがないでもなかったものの、おそらく無関係だろう。生徒会長にシロガネという青年がいる時代だ。こんなところにシロガネ姓が居てもおかしくはない。
「俺は…」
「八坂和真、だろう?」
「知って…いるんですか?」
「アト子から聞いているよ。世界を旅している子がいると。あのニャル子と八坂真尋の子だともね」
無関係ではなかった。むしろアトラク=ナクア星人の一族の者らしい。
その事実に少しばかり身構える和真だったが。
「別に私は君の旅を止めはしないよ。今いるこの場所も、君が元いた世界ではないからね」
「ではどうしろと?」
「君のやりたいようにやると良い。衣服は全て直してある。行くのも良し、ここに留まるのも良し。君が選ぶんだ」
しばらく考え込み、彼は答えを出した。
「俺は…行きます。世話をかけるわけにはいきませんし、この体をどうにかしなきゃいけないですから」
そう告げ、和真は身支度を整え始めた。幸か不幸か荷物は少なく、準備はすぐに終わった。
悲しきかな、ほぼラステイションに置き去りにしたからだったが。
シロガネ・カオリと名乗った邪神であろう女性に頭を下げ、和真は玄関の引き戸を開けて外に出る。
深く息を吸い込み、吐き出す。何となく後ろを振り返ってみると、和真が出てきたところには最早何も残っていなかった。
夢を見ていたのか、それともアレは現実だったのか。
(あ、ここどこなのか聞き忘れたな)
かなり重要なことを聞き忘れてしまったものの、市街地に出れば何か分かるはずだ。
あたりを竹林で囲まれているあたり、そこそこ歴史のある場所か。
石畳の道もあるし、奈良か京都の周辺の寺かもしれない。
景観から勝手に決め付けただけに過ぎないが。
(ま、行けば分かるだろ)
気を取り直し、ひとまず近くの駅を目指して和真は歩き出した。
近くの駅を目指そうと歩き出したはいいが、ふと無人駅というものがある事を思い出したのである。
その名の通り駅員がいない駅だが、人がいるであろう場所を目指して歩いて、そこに人がいないとなれば悲しくなる。
まあ悲しくなるだけで済めばいいが。
ならばと和真は一路、住宅地の中を進んでみたわけだ。
(全ッ然進んでる感ねえ)
しかし地面をのそのそと歩いていても、全然進んでいる感じがない。
スカイツリーを目指して歩いて意外と遠かったということを経験しているため、これ以上地面を歩くのは得策とも思えない。
ではどうするか。
屋根伝いに行けば良いのである。より広範囲が見渡せるし、程よい運動にもなる。
跳躍して近くの一軒家の屋根に飛び上がると、一瞬彼は視界の端に黒い影を捉えた。それを追うように空を見上げていくと、そこには。
(あれって…ネウロイの巣…だよな?)
ブリタニアの時よりも、ロマーニャの時よりも、遥かに力を増しているように見える。いや、気のせいではなさそうだ。
しかし何より驚いたのは、ネウロイの巣から現れたヒト型ネウロイが変化していたことだった。かつて宮藤芳佳や竹井醇子と接触した、ウィッチを模倣したヒト型ネウロイとはまた違う、別の姿に進化している。
「IS…か?あの姿」
双眼鏡で見える限りでも近距離格闘型、遠距離狙撃型、中距離型などが確認でき、その武装や飛行スタイルからも明らかにISが模倣されたことが分かる。
「じゃあここはISの世界、なのか?」
だがネウロイがISを模倣し、別の世界を侵略しようとしているという説も捨てきることはできない。
ともかく被害を抑えなければ。
家の屋根伝いに飛び移り、ビルの壁を走り上がり、更に跳躍し、コンクリートの地面を砕きながら着地。
「さてと…」
どうやら見た感じ、どこかの駅までやってくることはできたらしい。
いやこの見たことのある景色は。
「ここは…あのモノレールだな」
IS学園へと繋がるモノレールの駅である。
しかし辺りは阿鼻叫喚の嵐。ヒト型ネウロイ、しかもISの形をしたそれが人々を襲っているのである。
ネウロイを知らない一般市民からすると、未確認のISに襲われているようにしか見えないのだろう。
悲しいかな人を守るために配備された兵器は、亡国企業(ファントムタスク)という犯罪組織だけでなく、異形のバケモノにすらも利用された。
これが公になれば、兵器としてのISの評判は下がるかもしれない。最も篠ノ之束はそういったメディアのことは、微塵も気にも止めないのであろうが。
「君!逃げなさい!死んでしまうぞ!」
「…アンタ達は逃げてくれ。俺はアイツらを倒す」
避難を促す駅員か警備員かに声を掛けられるが、和真はそう返した。
サイレンなどが聞こえない以上、消防や警察、下手をすれば自衛隊もまだ出動できていない、最悪機能していないと見るべきだろう。
しかもIS学園の近くでありながらISが駆けつけていない、というのは異常事態という他あるまい。
ブレイバックルを取り出して装着、ターンアップハンドルを引く。
『Turn Up』
和真は仮面ライダーブレイドへと変身、彼に狙いを定めて急降下してくるネウロイを殴り飛ばす。
ネウロイは駅舎に大穴を開けるが、トドメには至っていない。
コアを破壊できていないからだ。
「行くんだ!」
足を止める人々に叫ぶ。これは彼にも責任がある。この時代にネウロイを知るのは、恐らく彼だけだ。
20世紀でやつらを駆逐し尽くすべきだったのだ。そうするべきだった。でもそれをしなかったツケが、今ここになって来ている。
ケジメをつけるタイミングなのかもしれない。
ブレイドはジャックフォームへチェンジ、空へと舞い上がり、強化されたブレイラウザーで応戦する。
(まさか臨海学校のタイミングを狙ってか?)
敢えてそれを狙ったというなら、1年生組が出てこないのも辻褄が合う。
(でもIS学園側から誰も出てきていないというのもおかしい)
生徒会長はいない場合であっても、打鉄やリヴァイヴの量産型くらいはあったはずだ。
(ハッキングされたのか?)
学園保有ISの起動に織斑千冬の許可が必要だったか忘れたが、そうだった場合、ネウロイ側が通信障害を起こしていることになる。
彼女は今臨海学校に行っているのだから。
「何がどうなってんだか分かんねえ!けど、とにかく最ッ悪ってことだけは分かるぜ!」
雷を纏わせたブレイラウザーでネウロイを斬り裂きながら、和真は叫ぶ。未確認ISを破壊した張本人として、いずれ彼がメディアで晒される可能性はゼロではない。だがそれでも構わない。
ネウロイとの決着は自分が付けると決めたのだから。
後書きスペシャル対談!今回はちょっと変えてみます。
あと低クオリティなのはいつもそうなんですけど、昨日投稿するって言ったのに出来なかったのはアカンなと。
細々とやってる身ですが、すみません。
和真「何これ?後書きスペシャル対談て、アンタ作者だろ」
作者「まぁまぁ、細かいことは気にしたらアカンよ。なになに、『和真くん最近弱い理由』?よし、対談終わり」
和真「突っ込まれたくないんだろ。ワルプルギス以降強敵と戦ってねえもんな」
作者「だってまどマギで書き始めたからワルプルギスくらいは倒そうと思ったけどさ…それに和真くん最近闇落ちしたじゃん」
和真「いやアンタが書いたストーリーだし、強敵と戦わせないから弱く見えるんじゃね?だから俺がアークワンになったら、真二ってヤツに主人公の座奪われかけたんだぞ」
作者「そろそろテコ入れ必要かなって。ヒロインいないじゃん、この作品。だから新キャラをね」
和真「確かにヒロインいないよね。マミさんそうかなって思ったけど、そうじゃなくなったし」
作者「ヒロインいないから弱いのかな、和真って」
和真「なんだ、誰かのために強くなれってか?絆ネクサスとはならんからな、俺は」
作者「やっぱヒロインいねえから弱いんじゃんお前」
和真「アンタがヒロイン書くの苦手とかぼやいてたんだろ!複数人での会話が苦手だからハーレムもの苦手とか!サシでの会話の方がやりやすいとか!」
作者「苦手とかじゃねえって。ヒロインってなんかね、書きづらいのよね。書けないわけじゃないけど。それに複数人会話ってネプテューヌ回は一応あったろ?」
和真「アレでもいーすんメインだったろうがぁ!」
というわけでしょーもないスペシャル対談終わりです。
ここでも低クオリティ安定ですね。
25〜30あたりは投稿できないと思うので、この週末頑張ろうかと。
ちょっと色々あって忙しくなるのよ。
あと今回の話はマジでオリジナル展開になると思うので、ハイ。
毎回展開遅くてすまんね。
じゃ、またねー