仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
IS学園の上空で、戦いは続いていた。いつ決着がつくとも知れない、終わりの見えない戦いだ。
頼れるのは自分1人、助けは来ない。ネウロイは以前よりも遥かに強力になり、比較にならないほどに数も増えている。
肩で息をしながら、和真はブレイラウザーを握る手に力を込めた。
(俺の罪だってのか…これが)
世界を旅するのが自分のやりたい事だと思って生きてきた。しかし今目の前にある現実はどうだ。彼があの世界、あの時代、あの場所でネウロイを全て殲滅していれば、こんなことにはならなかった。
統合戦闘航空団が全て壊滅したから、今でもネウロイが生き残っているという可能性もゼロではない。
「俺が、全部中途半端にしなければ…ッ」
後悔と懺悔の涙が溢れ出す。
「ああああああッ!」
ブレイラウザーで眼前のIS型ネウロイをコアごと両断すると、キングフォームに姿を変える。
キングラウザーとブレイラウザーの二刀流でネウロイを屠りながら、ブレイドはネウロイの巣へと突撃していく。
妨害しようとしてくるネウロイをキングラウザーの一振りで斬り伏せ、更に奥へ奥へと彼は向かう。
「アレか!」
赤く光る結晶体らしきものを捉えると、一直線にそこへと進んでいく。
だがしかし。
地獄の門番がごとく、彼の前に現れる別個体のネウロイ。しかも今度は姿がやや異なっており、ウィッチでもなければ、ISでもない。強いて例えるとするならばそれは、彼の記憶にある1人の少女に酷似していた。
「黒…十香?」
黒い十香。反転することによる現れる、十香《プリンセス》のもう一つの姿である。反転はどの精霊を取っても危険であるが、十香の反転体は特に危険だとされていた。
(どこか不完全な感じはなくもないが)
しかし今彼女と対峙して不利なのはブレイド=和真の方だった。五河士道という、精霊に対する切り札を彼は今持ち合わせていない。
この十香が精霊ではなく、ネウロイの作り上げた模造品である可能性は高いが、確実に和真の不利は覆らない。
前に戦った時、ロイヤルストレートフラッシュで競り勝ったような気がするが、現状ネウロイ殲滅という目的がある以上、ここでロイヤルストレートフラッシュを使ってしまうと、ネウロイのコアを破壊できなくなってしまう。
要は彼女にロイヤルストレートフラッシュを使わずに、勝たねばならないのである。
「でもやるしかない、か」
二刀流からキングラウザーの一刀流へと持ち替え、反転十香へと突撃する。ぶつかり合い、火花を散らす二本の大剣。だが鍔迫り合いは僅差でブレイドが勝利。
黒十香の隣をすり抜け、コアへと迫るブレイド。
だがそれは十香に背中を見せるということでもあった。
ロイヤルストレートフラッシュをコアへ放とうとした和真は、膨大なエネルギーを背後に感じた。
「あ、嘘でしょ」
漆黒の光の奔流がキングフォームのブレイドへと放たれ、慌ててキングラウザーで防ぐ。後で思うと、あの時はロイヤルストレートフラッシュを十香に向けて放っていた方が、正しい選択だったかもしれない。
黒十香の攻撃を防いだは良かったものの、和真はそのまま更に上へと吹っ飛ばされてしまったのである。
「嘘だあああああああああ!」
ひたすら上へ上へ。
やがて雲海で上昇が止まると、今度は彼の身体は一気に地上に向けて落下していく。
飛行制御を試みたが全く反応せず、彼の身体はネウロイの巣を通過し、IS学園の敷地目掛けて猛スピードで落ちていったのだった。
「ってェ…」
またこのパターンか、いい加減にしてくれとは思いながらも、和真は寝床で身体を起こす。どうやらここは保健室らしいが、誰もいないようだ。
(保健の先生も臨海学校か?)
今回ばかりは身体もそこそこのダメージを受けたらしく、節々が痛む。最も、だからと言って甘えるわけにはいかないため、和真は扉へと向かっていく。
ドアノブに手をかけて開けようとした時だった。
背中にかけられる、聞き覚えのある声。
「久しぶりだな、和真」
「アンタ、またか」
「隣界あたりで会ったのが最後だったかな。今回は結構やばいことになったのは、まあ気付いてるか」
「ネウロイの事だろ。ISの世界への侵攻は想定外だったな。統合戦闘航空団がどうなったかは分からないんだが…」
「そこが説明が面倒でな。歴史が変わった、って一言で言っても何がどう変わったのか分からないよな」
「ああ。統合戦闘航空団は壊滅したのか?」
「結果だけ言えばストライクウィッチーズを含めた各統合戦闘航空団は、壊滅はしていない」
「良かった…」
先程思い込んで突っ走ってしまったが、そうでないのならば一安心。
胸を撫で下ろす和真に彼は続けた。
「だが、ストライカーユニットは無くなった。旧式の火薬を用いた銃もな」
「じゃあ何を使ってネウロイと?」
「ISだ。アレが対ネウロイ用の新兵器として作られたんだ。宮藤博士の遺した技術を使ってな」
「ちょっ、ちょっ、待って。何を言ってる?ISは篠ノ之束が作った兵器、だろ?対ネウロイ用の新兵器だなんて聞いてねえぞ」
息を少し吐き、慌てる和真に彼は続けた。
「歴史が変わった、ってさっき言ったろう?いや世界そのものが変化した、というのが正しいか。和真、お前のせいで交わるはずのない世界が交わり、あるべき姿をなくしたんだ」
「どういうことだよ!ISはIS、ウィッチーズはウィッチーズだろ!クロスオーバーすることなんてないはずじゃ…」
「お前はいくつもの世界を旅した。そのおかげでその世界の本来あるべき『流れ』ってものが乱れて、複雑に絡み合ったわけさ。それを直そうとしないまま、ここまでやってきた。今のこれは、いわゆる今までやってきたことのツケだ」
「そん…な…」
彼から告げられた信じられない事実に、和真は膝をつく。言葉にできない。統合戦闘航空団がなくなっていなかったのは良かったが、自身の行動が、様々な世界を掻き乱してしまったということを、受け止められなかった。
にわかには信じ難いが、言い換えるならばISサイドのキャラクターが消滅したということなのか。
「篠ノ之束が作ったわけじゃないってことは、篠ノ之束は、この世界にはいない、のか?他の皆も」
「さあな、それは自分で確かめると良い」
「…分かった」
「ま、あのIS型ネウロイは、いわゆるウィッチ型ネウロイと同じ理屈に過ぎん。この世界線でのウィッチをコピーしただけだからな。そこは同じだ」
IS学園の皆がいない可能性。であれば、彼は大きな勘違いをしていたのではないか。
「じゃ、じゃあ、臨海学校だと俺が思ったのは…」
「あるわけないだろ。お前の知る専用機と同じ機体は無論存在してるがな、全て欧州で対ネウロイ戦に使用されてるからここには無い」
「あ…ぁ…」
和真が消してしまったのは天空の魔女の歴史ではなかった。ISの世界のあるべき姿だったのだ。2つが融合し、その結果としてどちらでもない新たな世界を生み出してしまったのである。
「じゃあ聞きたいことがある。さっきあのネウロイの巣に入ったんだが、そこであの反転した十香と戦った。彼女はどちらでもない、デートアライブの歴史だったろ?どう説明すれば良い?」
「いずれ気付くことだ。俺もそろそろ行かなければならない。だが『世界の歯車』が狂い始めていると天宮スクエア前で言ったのを、聞き入れなかった非はお前にもある。悪夢はまだ続くぞ」
そう言って彼はその場から姿を消した。
不穏な言葉を残して。
同時刻、場面はシロガネ・カオリの家があった竹林。
ほどよい気温で散歩日和だったが、人影は1つもない。だがその空間に突如として亀裂が走った。『空間に亀裂が走った』というのはおかしいのかもしれないが、事実空間がひび割れたのだ。
「このあたりだよな、アークワンの反応が途絶えたのは」
そうぼやきながら1人の少年が亀裂から現れた。
青いスペードマークが特徴的なバイクに跨って。
どうも毎度低クオリティでお届けおります。
なんかぐだぐだ続くかなーって思ったけど、結構後半に入ってきてる感じあるなあ。なんとなくね。
まあいつ終わるかは分からんけど、いつかは終わらせなきゃいけないしな。
でも変な終わり方にはしたくないなと。
じゃ、早ければ今日の夜かな。あるいは明日か。
またねー