仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
どうも八坂さん、前回も凄えカオスな話になりましたねえ
まさかヨグソトースの奴が出張るとは思いませんでしたけど
「ホントな。自分でも意味わかんねーよあの話」
OVA的な感じにします?ハイパーバトルDVDとかでも良いですよ?
仮面ライダーですし。
「そだなぁ.....まぁひとまずこの6話か?をなんとかしないとな」
頼みますよ?毎度毎度ストーリー無茶苦茶にして終わらせるんですから。それで上から怒られるのこっちなんですよ?
「気を付けます....」
はい!では始めますね
「「「ひとっ走り付き合えよ!」」」
「マジでそろそろ違うやつ出そうぜ!」
話は前回の最後に戻る。まどかとさやかを連れて帰ったマミさんが心配になり、結局和真は後を追う事にしたのだ。
彼女が死ぬのが今日なのか明日なのか、時系列があやふやになってしまいとりあえず確認だけでもすることにしたのである。
「さてと、えーとどこだったかなぁ....病院だったかデカい建物の壁だったよなアレって」
一度家に帰ってバイクに乗り、現在見滝原の都市部を走り回っているのだが、一向に彼女達は見つからない。それも考えてみれば当然ではあった。彼女達がいるとすれば魔女の結界内なのだ。
再びバイクを走らせ、建物の壁を見て回る。
いくつ目かの建物のところでようやく、和真は彼女達の入ったであろう入り口を見つけた。
周りは駐輪場、壁にはひびのようなものが光を放っている。間違いない。記憶が正しければ、マミさんが殺される場所だ。
バイクを停め、和真は結界の中へと足を踏み入れた。
中は当然というか、前と変わらず暗めのところであまり気分は良くない。だがひとつだけ異なる所もあった。1人の少女が黄色の紐で空中に
縛られていたことである。
理由は分かるが、敢えてわざとらしく聞いてみる。
「お前そこで何してんだ、暁美ほむら」
「....っ!」
睨まなくても良かろうに。ならば質問を変えよう。
「まどか達見なかったか?」
「....奥に行ったわ」
「どうも」
助けてくれとは言われてないので、紐は切らないでおいた。決してそういう趣味ではなく、面倒なのである。解いたら、時を止めて殲滅という名目でまどかを助けに走りそうだからでもあるのだが。
そんな訳でさっさとほむらを置いて、和真は奥へと走っていった。
最深部と思われる所まで辿り着いた和真であったが、中々に悩んでいた。かなり悩んでいた。考える人くらいは。
現在内部状況が分からないし、ほむらを置いてきたので紐の有無でマミさんの生存を判断することも不可能なのである。
「よし、考えるのはやめだ!行こう!」
気合を入れて柔らかなそうな(実際柔らかかった)扉を蹴っ飛ばし、中へと入る。
高い視力を活かして奥を見ると、今まさにマミさんをバケモンのデカい頭が喰らおうとしていた所だった。
そのあとは無意識とか反射と言った方が正しかった。すばやく背中に手を入れ、バールを取り出す。取れるだけすべてだ。
「はあああああああああ!」
全力で投擲した。もちろん下にいるまどかとさやかは確認済みなので、当然当たらない軌道をとる。そして投擲されたすべてのバールは寸分違わず、バケモンの頭を直撃した。
「なっ?!」
「マミさん!」
まどかとさやか、2人が叫んだ。きっと驚きと心配の表情が入り混じっているんだろう。少しはこちらに気付いて欲しいが、仕方ないか。
遠目で一応確認出来たが、マミさんも相当驚愕の表情を浮かべていた。それもそうだろう、自分が喰われかけているところで敵にバールが直撃するなんていうのは。
だがそんな風に言えるのも今のうち。バールを直撃させた以上、あのバケモン(魔女だと思うので以後魔女と呼称する)がこっちを敵として認識するのに時間はかからない。
そして案の定魔女はこちらを見つけて、突進しながらそのデカい口を開いた。何故かまどかとさやかは避けて来たのが驚きである。
やはり強い魔法少女になる奴らだからだろうか。
なんて呑気な事を言っている場合ではなかった。向かってくる以上は潰さねばならない。それにコイツを倒せばマミさんの死の運命は変えられるのだ。
「変身ッ!」
青い光のカードを通り抜けてブレイドに変身、ブレイラウザーを引き抜いて和真は一気に魔女へ飛びかかった。
「カズマ!?」「お兄ちゃん?!」「先輩?!」
3人の声が聞こえたが、今は構わない。殲滅が優先だ。
まずはデカいその面を回し蹴りで吹っ飛ばす。しかし魔女とてしぶとい。めげずにその顎門を開く。
「邪魔だぁ!」
ブレイラウザーを振るい、その頭を切りつけていくが、時間を置かずに再生するのを見る限り、剣撃はあまり効果がないのであろう。
一度剣をしまい今度は、シンプルに殴りつけた。
「おっ、これ意外と効果あるのか?」
剣は効果があまり無く、殴れば効果がある。まるで夏の鉄拳聖女マルタのようだと思った。説明は省く。察して頂ければ幸いだが。
とまあそんな事なので、和真はひたすらに殴って蹴った。
「オラオラオラオラオラァッ!」
そこからはほとんどブレイドの名に相応しくない、殴り蹴りのオンパレード。
まるで星の白金が如くラッシュを繰り出していった。
魔女の体がボドボドになった所でブレイラウザーのオープントレイを開き、和真はラウズカードを取り出した。
『キック』『サンダー』『マッハ』の3枚をラウズし、『ライトニングソニック』を発動させる。
『マッハ』で加速して魔女に肉薄、何発かパンチを叩き込み、最後に空中に跳躍した。そう、あのキックの高さまでだ。
「ウェェェェェェイ!」
そして和真は雷を纏わせた蹴りを放った。
前回同様魔女が消滅したので変身を解く。色彩が元の世界へと戻る。まあグリーフシードは自分には必要ないので、触れないでおいた。
暁美ほむらに関しては既に自力でなんとか抜け出たらしく、何も残っていなかった。どうやったのか疑問ではあるが。
その後当然ながら3人からは色々と言われる羽目になった。
「どうしてここが分かったの?」とか「よく来られたよね?知らないはずなのに」とか「先輩凄いですね!前回もそうですけど(以下略)」とかである。これ以外にも色々言われたが、かなり多いので記載しないでおこう。
3人にケーキと紅茶を奢って宥め、その後家に帰ったのが今回の(ヒドい)オチである。
家に帰ると、メガネ野郎(父親)から和真宛に、小包が届いていたと知らされた。部屋に置いておいたとの事なので、開けてみることにした。
開封してみると...
「おっ、遂に来たかラウズアブソーバー」
中にあったのはJ、Q、Kの3枚のカードとラウズアブソーバーだった。アト子さんは今日届くと言っていただろうか?言っていたな。
などというのは関係ない。いつ届くなどというのはもう関係ないのだ。届いた以上、これで戦力は確保できたも同然。
早速ブレイドに変身し、左腕にラウズアブソーバーを装着してみる。
なかなかにしっくり来るものである。
ジャックフォームとキングフォームも試そうと思ったが、流石に時間も時間である。親にバレると面倒でもあるので変身解除し、さっさと寝ることにした。
次の日になり、朝がやってくる。カーテンを開けると射し込む、眩しい日差し。雲ひとつない快晴だ。今日は洗濯物がよく乾くだろう。まあ自分は洗濯などしないのだが。
などと思いつつ制服に着替え、下に降りる。珍しくというほどでもないが、マミさんは部屋に来ずに下で待っていたのが少し驚いたことではあった。
「おはよう。マミさんもう来てたんだな」
「ええ....そう。実は言いたい事があって今日は来たのよ」
「言いたいこと?なんか悪い事したかねぇ俺」
「そうじゃなくて...昨日はありがとうね。助けに来てくれて」
何か勘違いされている気がする。確かに助けに行ったのは間違いではないのだが。色々と理由はあるのだ。
「まぁうん...そうだな。俺はお前に死なれたくないしな」
「...それって妻として?1人の人間として?」
難しい事を言ってくれる。しかも後ろにはニヤニヤ顔の親達とまどかがいる。というか何故まだ出掛けていないのだ母親。
「それは.....どっちもかなぁ」
あやふやに答えておけば問題あるまい。
「まあ!嬉しいわぁ」
抱きつかないで頂きたい。胸が当たるのと、かなり恥ずかしいのが入り混じって、顔が相当赤くなっているであろうことが予測できる。
そろそろヤンデレキャラとかに変貌するのではないか?などと勝手に心配してしまうのは、自分だけなのだろうか。
我妻由乃や清姫、緋山茜などのようなのはやめて頂きたいが。
障害物は排除(殺害)するような奴らだし。
なんてのどうでも良いので、脱線しすぎた話を戻そう。
現在マミさんに腕に抱きつかれているわけであって、この状況をどうするかである。
「マミさん?そろそろ離れて貰えませんか?」
「私のこと嫌いなの?」
なんだコイツクソ面倒くさい。元からキャラ変化し過ぎではないか?
「嫌いじゃないから!ホラ、このままだとメシ食えないんだよ」
「なるほどね。私が食べさせて...」
「自分で食えるから!」
そしてトーストを咥えて、和真は逃げるように外に飛び出した。
ひとっ走りして気付くと、そこはいつもの通学路だった。
流石にこの速さについてこれはしないだろう。ふぅ、と息をついて歩き始めると
「どこに行っていたの?見失いかけたわよ。もう」
「うわおっ?!いつの間に?!」
知らぬ間に隣に立たれていた。完全に撒いたはずなのだが。
「どうして...ここが?...」
「それは....愛故にと言いますか...」
聞き取れないのでさっさと学校に行く事にした。既に校舎は見えており、あともう少しなのだ。
「あっ!置いて行かないでよ!」
「はいはい、置いて行かないから」
周りに誰も居なくて助かった。いたら間違いなく殺されているだろうから。まあ仮面ライダーブレイドを殺せる奴などこの世界にいないだろうが。
そんな調子で学校に着いた和真(とマミさん)であった。
教室に入ると、思ったより人は少なかった。むしろ寝てるやつが僅かにいる程度で、登校時間なのか?と思うレベルである。
半ば疑問に思いながらも席につく。
朝自習の時間になるが、一向に生徒が来ない。来てないわけではないが、クラスの半分もいない。何故だろうか。大方寝坊かそんなところだろうと思い、考えない事にした。
だが数分と経たない時に、突然下が騒がしくなり、教室のドアが蹴破られた。
「オラァ!てめえらおとなしくしやがれ!ぶっ殺すぞ!」
銃声と共に覆面を被った奴らが入って来た。人数は6人。ショットガンとサブマシンガン、ハンドガンが主装備だ。なんだ、ただの犯罪者ではないか。犯罪者?ただの?何でだ。何故和真が関わることは、ロクなことが起こらないのだろう。特にここに来てからは。ヨグソトースに犯罪者の学校侵入。うんざりだ。
「おい!手ェ後ろで組んで座れ!動くな!」
奴らが銃をぶっ放し、叫んでいる。女子達が悲鳴をあげ、男子も混乱している。
だが面白い。ロクなことが起こらないのなら、それを全てぶち壊す。どんな幻想だろうが、ぶち殺してやる。
それにこの程度、ナイトゴーントに比べればカス同然である。
犯罪者?ゴミクズと同じだ。和真は1人、立ち上がった。
「おい、クソ野郎。手ェ後ろで組めって言うけどよォ、それじゃあ身体動かす羽目になるぜ?ああァ?」
「なんだテメェ...動いてんじゃねえ!」
「うるさい。黙ってろ雑種」
ハンドガンを構えた奴らの1人にアッパーを見舞い、天井にめりこませる。それに驚いたのか、他の野郎もショットガンやサブマシンガンを乱射して来た。全く...それでは後ろに逃げた生徒に当たってしまうだろう。
バールを取り出して双剣のように構え、和真は一気に振るう。銃撃音が止んだとき、そこにはあったのは無傷でバールをクルクルと回す和真の姿だった。
「どうした?それで終わりか、犯罪者共。銃弾はないのか?もっとオレを楽しませろよ!それくらいしか能がねえだろう!ああァ?!」
「クソがぁ!お前ら、行くぞ!」
「「「「おう!」」」」
決死の特攻か。ナイフを取り出して、奴らが飛びかかってくる。
だが無言で繰り出した和真のラッシュが的確に奴らを捉え、殴り飛ばしていた。
「つまらない。弱すぎだぞ、ああァ?!多人数だから面白いと思えば、ゴミクズ以下の戦闘力だなァ!くはっ、これじゃあショッカーの戦闘員より弱え!弱すぎるんだよ!」
狂ったように笑い、気絶した奴らを踏みつける。まるでそれは、己の愉悦を見つけた神父のようでもあった。
教室の隅で怯える生徒を目の端で捉える。
「ひっ!」「か、鹿目だよな?」
「お前らァ...奴らは片付けたぜェ...早く次はないのか?蹂躙こそがオレの愉悦であると言うのに!くはっ、はははっ!雑種がァァァ!」
机を蹴り飛ばす。椅子を投げる。そんな狂った和真へと歩み寄る1人の少女がいた。
「ああァ?トモエ...マミか?何だァ?殺られにきたのかァ?」
だが予想に反して来たのは、頰の痛みだった。
「ああ...あ....ああああァァァァ!」
和真は絶叫する。正気に戻り目の前の惨状、自分の行った事、それらが頭の中に流れ込んで来たのである。何て事をしてしまったのだろう。これではただの蹂躙ではないか。イジメなど程遠い。
和真は崩れ落ちた。そんな彼を巴マミは、優しく包み込む。
「俺は....何て事を...」
「貴方は間違った事をしてない。少なくとも皆を助けてくれた事は事実。ただ...やり方が少し違うだけなのね。貴方に何があったのか、話して貰わないと。後片付けは先生にでも任せましょう。」
沈む和真とそれを支えるマミ。2人はゆっくりと教室を後にした。
そして2人は屋上へと来ていた。マミが屋上が良いと言っていたのだ。
屋上のベンチに腰掛け、マミが問いかける。
「カズマ、貴方何者なの?少し前にも同じ質問をした気がするけど」
「....何者って、鹿目まどかの兄だよ。それだけさ」
「そう言う事を聞いているのではないの」
「?」
「あの狂ったような貴方は見たことがない。これまで生きてきて、あんな貴方は見たことがないわ。」
「....ああ、アレか。偶になるんだよね、意識が飛んじゃうこと。その時の記憶が後から来るから、あまり良いもんじゃないけどねえ」
そう言って和真は乾いた笑いを浮かべた。
「よく分からないのだけど....つまり無意識下の行動ってこと?」
「....そだね。発作とでも思ってくれりゃ良いさ。いや、発作にしちゃ無理があるか」
空を仰ぎ見る。やはり世界はロクなことがない。こんな事まで起こるなんて。やはりマミさんを助けて運命を変えた事が原因なのだろうか。はぁ、とため息をつく。もう教室には戻れまい。
ならば放課後まで此処で過ごすとしよう。
そして和真は、ごろりと横になった。
「おやすみ」
寝る事にした。こんな時は寝るのが一番であろう。