仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
アークワン=和真はネウロイの巣の高さまで来ると、宙を蹴った。
全身にアークの意志が刻まれていくのを感じるが、もう遅い。
禍々しいエネルギーを放出しながら、迫り来るネウロイを倒して進む。
もう元の姿には戻れないかもしれない。
最後に彼が何か叫んでいたようだったが、恐らく行くなとでも言っていたのだろう。
けれど今の彼には。
(俺にはやるべきことがある)
雑魚ネウロイを破壊すると現れるIS型、魔法少女型、魔女型、精霊型、そのネウロイを全て打ち砕く。
そしてその先に。
(見えた!)
『パーフェクトコンクルージョン』を発動、禍々しいエネルギーを右腕に収束させてアークワンは加速。
肉薄し、彼は巨大な赤いネウロイコアを殴り砕いた。
「これで終わったか…?」
黒雲は消滅していったかに見えた。
しかし上空に突如として出現する、黒い『穴』。
「アレは…」
隣界に彼を誘ったものとよく似ているが、その正体は不明。
それも束の間、黒い雷が降り注ぐ。
「何なんだ!これは!」
雷が止むとそこには、再びネウロイの巣が現れていた。
しかも彼が破壊したものより大きい。
「またか」
「真二」
置いてきたはずの真二は仮面ライダーブレイブに変身、翼をはためかせて和真の元にやってきていた。
「ネウロイは死なない。どうやっても」
「ああ、コイツらどうやらキセイジョウ・レイの手の者らしいしな」
「何でそんなことを?」
「アイツから聞いた。さっき俺のドッペルゲンガーだった奴からな」
「喋るのかネウロイって」
「俺も初めて知ったよ」
真二と和真は、眼前のネウロイの巣を見上げる。
「さっき俺が行く前何か言ってたろ?何だったんだ」
「いや、何でもない。俺がアンタを生きて帰せば済む話だ」
「生きてれば、な」
「生きさせる。生きて貰うぞ」
「ふ、そうか。まあ良い、プランはこうだ。もう一度コアを叩く。黒い『穴』がネウロイを送り込む前に、こっちから攻め込む。それだけだ」
「雑なこって」
「それしかねえ。やるぞ」
頷きあうと2人は再度出現したネウロイの巣に突入。
剣と拳がネウロイを駆逐していき、程なく巨大な赤いネウロイコアの元へと辿り着く。
今度は真二がタドルクリティカルスラッシュを放ち、ネウロイコアを破壊。
「来たな」
予想通り空間に黒い『穴』が開く。
ネウロイが送り込まれる直前に、和真と真二は『穴』に飛び込むことに成功し、さほど時を経ずに、2人は『穴』の向こう側の世界に辿り着いたが。
そこには和真の知らない風景が広がっていた。
近未来的ではありつつも、半ば崩壊が進んでいる。世紀末とまではいかないが、何者かによって破壊されたのは間違いない。
地上に降りて2人は変身を解く。
「ここは…」
「俺のいた時代だ。また破壊が進んだみたいだけどな」
「まさかキセイジョウ・レイがやったと?」
「ああ、あとはネウロイか。これまでは足取りを中々掴めなかったが、あの『穴』を使ってネウロイを送り込んでいる以上、ここにいるのは明確だ」
「随分な自信なのは構わんけどさ、ここのどこにいるのかも分かんねえだろ」
「それもそうなんだよな。慣れた場所に戻ってきても、結局はな」
どうやら探知機らしいものも持っていないようだし、地道に探すしかないかと思った矢先。
(アレは…)
ふと視界の端に映ったのは、角を曲がっていく小さな人影。
金髪に褐色肌、風変わりな羽が生えている、あの姿は。
「ちょっと行ってくる」
「おい!どうしたんだよ!?」
真二の声を聞きながらも、和真は駆け出していた。
「この角を曲がったような…」
こそこそと覗くと、向こうに見えたのは淡い長髪の髪に、黒い際どいスーツの女性。見た感じ30手前あたりだろう、行き遅れか。
「私からアークワンを盗んだのに、よくものうのうと姿を見せられたものねェ、ハエ虫のくせに」
「だからハエ虫じゃねーって。クロワールって名前があんだよ、って今のオマエに言っても意味ねーか」
「破壊できる世界が少なくなってきたのよね。そこであの世界は興味深いものだったわ」
「ああ、そーだな」
若干引き気味の金髪幼女は恐らくクロワール。行き遅れの方がもしや、キセイジョウ・レイという人物なのだろうか。
「おい、何やって…」
「シッ、静かに」
追いかけてきた真二も覗くと、なるほどと頷いた。
「簡単に見つかりすぎじゃないか?」
「けどクロワール追っかけたら見つかったんだよ。アレで合ってるのか分からんが」
「いや、キセイジョウ・レイだ。しかも女神化しているな」
ひそひそと話し合っていると刹那、隠れていた建物が一瞬にして吹き飛んだ。
見ればキセイジョウ・レイの武器がこちらに向けられている。
バレたらしい。
「おいおい、これは予想外だぜ。ジョーカーのお出ましとはな」
「クロワール、お前には落とし前付けさせるぞ。それとキセイジョウ・レイ、アンタに面識はねえが、世界のために倒させて貰う!」
「言うじゃないの、力もないくせに!」
「力ならある!アンタからクロワールを経て俺に渡った、アークワンがな!」
「おいおいマジか」
『アークワン』
『シンギュライズ!破壊・破滅・絶望・滅亡せよ』
『コンクルージョンワン』
和真は再びアークワンに姿を変えた。
アークの意志が流れ込むのを感じるが、今の彼はそれを『怖れ』とは感じない。
これはキセイジョウ・レイを倒すための力。
地を踏み砕き、刹那にして彼女に肉薄。一撃を見舞うが、キセイジョウ・レイは一筋縄では行かないらしく、防がれてしまう。
「ぐぅッ…」
「やれやれ、自分で創り出した力に滅ぼされる女神か」
ぼやくクロワール。
金髪幼女には目もくれず、和真とキセイジョウ・レイの戦いは続く。
キセイジョウ・レイの蹴りがアークワンの腹に命中、彼は一気に2ブロックほど吹っ飛ばされる。
「この…野郎!」
隙を見せずにこちらは地を蹴り、反撃に転じる。
互いに神速でぶつかり合い、己の得物、拳、脚による攻撃を繰り出していく。
一進一退の攻防が続くが、これといった決め手がないままだ。
(けどこれほどのエネルギー、うまく利用すれば…)
ISとウィッチが融合した、あの偽りの世界。あれを破壊できるかもしれない。
和真が生み出してしまったが故に、キセイジョウ・レイの攻撃の標的にもなってしまったのは言うまでもない。
ならば彼自身と、彼女の力でもって破壊すれば丸く収まるだろう。
暴論なのは自分でも分かっているし、イカれているとしか言いようがない。
それでも、そこに全てを賭ける。
和真はキセイジョウ・レイを掴んで空の黒い『穴』に向けて跳躍、殴り合いながらも2人は『穴』を通って、IS&ウィッチの世界へ。
重力に引かれて落下し、グラウンドに再度作られる大きなクレーター。
しかし瞬時に体勢を立て直し、畳み掛ける。
『悪意』『恐怖』『憤怒』『憎悪』『絶望』『闘争』『殺意』『破滅』『絶滅』
『パーフェクトコンクルージョン』
膨大なエネルギーが両者から放たれ、同時に空の黒い『穴』からもエネルギーが降り注いでくる。
少々それは想定外であるものの、これも利用する他ない。
そして両者は刹那に地を蹴った。
互いの全エネルギーをもって放たれる究極の一撃。
「「ああああああああああああッ!」」
拳がぶつかり合うと同時、眩いばかりの光が全てを包み込んで行く。
森羅万象、この世界の全てを。
「砕け散れ!この世界ごと!」
悪意を超えたその先にあるのは、たった1つの願い。
この世界を破壊すること。それだけ。
何かがひび割れ、壊れ行く音が聞こえてくる。
(こりゃあマジで死んでしまうかもな)
覚悟を決めた時、唐突な浮遊感が訪れた。
白んでいく世界の中、1つの人影が和真を救い上げたのである。
「世話が焼ける」
「ハハッ、言うねェ」
仮面ライダーブレイブは和真を抱えて上昇し、亀裂を発生させて真二の時代へと脱出。
通り抜けた直後、亀裂を通じて凄まじい衝撃波が彼らを襲った。
衝撃波が収まったところで真二が口を開く。
「これが…」
「ああ、世界の崩壊か」
もう一度向こう側へ行く勇気は無いが、彼は確信があった。
あの世界を破壊できた、という確信が。
恐らくキセイジョウ・レイも死んだろうし、和真はアークのドライバーとキーを無くした。
まあ最も跡形も無くなっているだろう。
身体に刻み込まれたアークの意志は消えそうに無いけれど。
「バイクも無くなっちまったよな」
「ハァ…じゃあ送るよ。住所は知ってるし」
「プライバシー保護とかガバガバすぎね?」
和真の言葉に真二は首をすくめ、再び亀裂を開いた。
しれっと亀裂を開いたが、この先はつまり和真の実家ということである。
言い換えれば、ここで彼の旅は終わってしまうのだ。
(本当にこんな終わり方でいいのか?)
なし崩しというか、アニメのシーンがきっかけで始まった彼の旅だったけれど、色々なことがあったと今になると思う。
「俺はここで終われない。終わっちゃいけない気がする」
「アンタなら言うと思ったよ。変なとこで諦めが悪ィ、ロリコン野郎だってなァ、変わらねえ」
「微妙に失礼なこと言ったな。聞こうと思ってたんだが真二、なぜそっちは俺の事を知っている風に言うんだ?」
しばらくの間を置いて真二は続けた。
「俺がアンタの息子だって言ったら信じるか?」
「何言ってやがんだ?俺は独り身貫くって決めてんだよ」
「いや、そうだな。最初はそうするつもりだったって言ってたな」
「おいおい、どう言う事だよ!?俺はそんな話これっぽっちも聞いてねえ!大体誰だよ相手はよ!」
「俺に聞かないでくれ。歴史改変は真っ平御免だ」
「世界1つ破壊するのに加担しといてそれ言うか。でも帰るかどうすっかな、これ以上の旅は危険だって言われてるしな」
「ただそっちの行動が俺に影響するってことは考えてくれ。頼むよ」
「…分かった」
渋々頷いて亀裂を通り抜け、和真は懐かしい我が家の前に立った。
真二も続いてやってくる。
「お前も結局来るのか」
「いや、まあな。どうせアンタのことだ、旅は終わらねえさ」
半ば呆れたように真二は言い、和真はそうだな、と返す。
そして久方振りにインターホンを押すのだった。
なんか終わりっぽくなってるけど、終わって無いです。
終わる終わる詐欺じゃないですが、まだ終わりません。
切りが良くないのはいつものことなんですけど。
いや続きますよ?
一回家帰ってもっかい出かける感じ。
ウルトラマンで何か考えるって長いこと言ってるくせに、ほぼ進んでない。
やれよ俺。
つーわけで一旦休憩も挟みつつ、進んで行きます。
じゃーまたねー