仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
和真は正面から、使い魔と暁美ほむらに向かい合う。
敵が死んでいない事を確認し、使い魔はこちらに狙いを定める。
先程に比べて遥かに身体が軽い。攻撃を難なく全て避け、使い魔に拳を叩き込み、蹴り飛ばしていく。
暁美ほむらのいる中心部にある程度近付いたところで跳躍、彼女に近付こうとしたが、僅かに遅かった。
凄まじい衝撃波により吹き飛ばされる和真。
「魔女化、したのか!」
生まれ落ちる魔女。暁美ほむらの成れの果て、悪魔に至る前の姿。
されど膨大な魔力と共に、彼女は進撃を開始する。
軍隊のように整列した使い魔達に続くように、魔女は偽りの見滝原を進んでいく。
「クソ、こうなりゃ力づくでか」
彼に変身ベルトとキーを投げて寄越した人物の姿はもうなく、頼る事はできなさそうだ。
コロシアムは壊れ始め、ここに長居するのも危険と見られる。
ビルへと飛び移り、和真は魔女と化した暁美ほむらを追い始めた。
魔女に姿を変えたからだろう、魔法少女の時よりも力は圧倒的だ。
銃火器はないが、その分魔女としての力が発揮されている。
使い魔の数だけでも見滝原を埋め尽くすほどだ。
「こりゃ怪獣だな」
進撃する暁美ほむらと使い魔の前に、仮面ライダー1型が立ちはだかる。
世界を崩壊させるジョーカーには頼れない。自身の力のみで、暁美ほむらを助け出す。
剣なき今、彼の武器は肉体のみ。
『ROCKING SPARK』
深藍色の閃光となり、和真は使い魔を蹴散らしていく。
だが使い魔に構っている余裕もなく、短期決戦を試みる。
周囲のビルをも利用して魔女の頭部へと接近していき、右手にエネルギーを収束させ、和真は躊躇なく殴り付けた。
鋭い一撃に揺らぐ魔女の体。
行けるかと思われたが、魔女は直ぐに体勢を立て直し、骨だけの腕で和真の身体を振り落とす。
地上に叩き付けられ、目と鼻の先だった魔女本体は再び遠くなる。
「くそっ…」
ロイヤルストレートフラッシュを使えば、これくらいの魔女でも一瞬で葬れるのだが。
かといってブレイドに変身できるわけでもないので、この力でどうにか暁美ほむらを救い出さねばならない。
魔法少女より早く、暁美ほむらが悪魔になるよりも前に。
「待ってろ暁美ほむら!」
再度加速して攻撃をかいくぐり、魔女の両手に付いた拘束具を殴り砕き、魔女の頭部に接近。
『ROCKING THE END』
脚部にエネルギーを収束させ、強烈な蹴りを魔女の顔面に放つ。
魔女本体の内部構造がどうなっているのか知らないので、この蹴りがマジで顔面に当たっているのかもしれないと考えて、ふと不安になってしまう。
(いや大丈夫かな?)
そうして放たれたキックは見事に魔女を吹っ飛ばし、彼女の進行を食い止めることに成功。
しかしあくまで足止めにすぎない。
彼女を救うには、どう足掻いたところで彼1人では無理なのは、やはり和真自身分かっていることだった。
(魔女を救う為には、円環の理の力は必要なのか)
鹿目まどか、円環の理。
彼女がいなければ暁美ほむらは救えないが、それは魔法少女達との合流をも意味している。
「誰だろ、アレ」
「さあ?見たことない服装だけど」
「でも魔女、じゃなさそうだよね?」
未来の美樹さやかの言っていた通り、来てしまったか。
鹿目まどか、この時間の美樹さやか、佐倉杏子、巴マミ、キュウべえ。もう1人幼女が見えるが、まあ細かいことは気にしていられない。
彼女達が暁美ほむらを救う、本来の役割を担っているのだろうが、こちらも指を咥えて見ているだけにもいかない。
起き上がろうとする魔女に視線を戻し、拳を握り締める。
和真は鹿目まどかに向かって叫んだ。
「鹿目まどか!暁美ほむらを救うカギは、君だ!」
「えっ?」
「気にしないで、プラン通りに行くよ」
「う、うん!」
「おい!話聞けよ!」
この時間、世界の美樹さやかは和真とは面識はないのは確かだ。
この世界の未来の美樹さやかが和真のことを知らなかったのだから。
せめてどこか知り合いのような感じがする、くらいあっても良いと思うのだが、それは欲を言い過ぎか。
「ったく、アイツらだけで暁美ほむらを救うつもりか?」
ふっと現れるこの世界の未来の美樹さやか。
どこへ行っていたのだとは今更聞かない。
聞いている余裕もない。
「でも失敗したんだよね」
「失敗したとかハッキリ言うね。自分で立てたプランだったんだろ」
「まあそうだけど。どっちにしろ暁美ほむらを救うには、円環の理としてもう一度覚醒した鹿目まどかの力が必要だった。でも今考えれば、悪魔を生み出すきっかけにもなっちゃったんだよね」
「じゃあどうする?魔法少女を倒すのか?」
「何言ってるの?そんなことしたら、鹿目まどかを救えなくなるから、暁美ほむらはまたやり直すことになるよ」
「…どうしろってんだ?暁美ほむらを救うためには、円環の理が覚醒しなければならない。でもそれに合わせて悪魔も誕生する。…そうか!」
「何?」
「恐らく暁美ほむらを鹿目まどかの前で殺せば、鹿目まどかは暴走するだろう。暁美ほむらが目覚めて、鹿目まどかから力を奪おうとするタイミングを狙う」
「無理でしょ。あたしにも出来なかったんだよ?なんかアーマーみたいなの着てるけど、悪魔相手にそれは無謀だって」
「なら諦めるのか?俺は諦めねえ。俺が責任を持って、暁美ほむらを止める」
「なんでそこまで拘るの?暁美ほむらに」
「鹿目まどかは魔法少女にならないはずだったんだ。少なくとも、俺のいた世界では、彼女が魔法少女を救って円環の理になる未来は、存在しなかった。美樹さやか、君も、魔女にならなかった」
「…それで?」
「鹿目まどかが倒すはずのワルプルギスは、俺が倒して暁美ほむらのループも終わったと思ってた。でもこの世界はそうじゃなかった。運命を変えられなかった」
「ワルプルギスを1人で?」
「信じてくれようがくれまいが、構いやしない。あの時は力があったんだ。今はそれがない。でも、運命は変えられるはずだ」
「あたしは信じるよ。魔女でも魔法少女でもないけど、そこまでの意志を持ってるなら、やれるって」
「ああ」
「なら1つアドバイス。この結界の外に、インキュベーターの封印がある。それを砕くことが、今のあたし達の目的でもある」
彼女がそう言うと、結界の天蓋が砕け、白いインキュベーターの顔がいくつも覗く。その向こうに怪しげな装置も見え隠れしている。
「なら俺がそれを壊す」
『ROCKING SPARK』
深藍色の閃光と化し、和真は宙を駆け上がる。
彼女の言葉から察するに、恐らくその装置の破壊がこの結界の破壊、そして暁美ほむらの解放に繋がるということなのだろう。
天蓋から躍り出ると、和真は封印装置らしきものに狙いを定めた。
『ROCKING THE END』
エネルギーを右脚に集中させ、封印に向けてキックを見舞う。
跡形もなく砕ける封印。
そして鹿目まどかは、暁美ほむらへと辿り着く。
闇に囚われていた暁美ほむらの手を鹿目まどかが取り、そして暁美ほむらの世界に光が帰ってきた。
暁美ほむらと鹿目まどかは互いに弓を取り、そしてセフィロトの樹と思しき光の紋様を撃ち上げる。
「すげえ…」
鹿目まどかは魔法少女の姿をしているが、最早神に等しい。円環の理が魔法少女の姿を借りた、というのならウルトラマンにも似たようなことが言えるかもしれない。
インキュベーターの世界は2人の魔法少女の力によって、完璧に消し去られ、世界は元の姿を取り戻していくことになる。
偽りの街は消滅し、辺りは一面の荒涼とした大地に。
これからあるべき本当の世界が再構築されていくのだろう。
円環の理である鹿目まどかによって。
(でもそうは問屋がおろさねえってか)
眠り姫を迎えに行く王子のように、鹿目まどかはアルティメットまどかになり、暁美ほむらの元へと降りてくる。
和真は変身を解き、未来の美樹さやかと隠れてその様子を伺う。
「おい、封印解いたのにまだ目覚めねえのか」
「目覚めのキスが必要でしょ、眠り姫には」
「やはりそういうことか」
ぐずぐず悩んでいる暇はない。間も無くアルティメットまどかが暁美ほむらに接触、そうすれば悪魔化は始まるというわけだ。
「美樹さやか。君の力、俺に預けてくれ」
「悪魔化が始まれば君のその魔女の力も、薄れていくと思う。なら影響を受けない俺がやる」
「でもあたしがこれを手放したら…」
「俺は暁美ほむらを助ける。美樹さやか、君も守ってみせる。ださいセリフだと笑ってくれてもいい。でも、俺に賭けてくれ」
「…分かった。その代わり、キチンと決着をつけて」
「ああ」
リングを指から外すと、それはソウルジェムの形になり、和真の手に渡された。
魔女となった彼女の魂は変化し、恐らく一定距離離れたところでも大丈夫だと思ったから、彼に託せたのだろう。
和真は迷う事なく、水色のそのソウルジェムを身体に埋め込む。
「いや、そうする?」
「これしか思い付かねえんだよ」
青い魔力を身に纏い、魔力放出で刹那に加速して、和真は2人の元へと向かう。
本来の使用者ではないため適合しているわけではないようだが、力を発揮することはできるようだ。
鹿目まどかと暁美ほむらが、今まさに接触しようとした時。
「やめろ、暁美ほむら!」
けれど彼女は笑みを浮かべる。
ようやく時は来た。彼女が望む、最高最善して、最低最悪の結末。
されど和真はそれを止める。
暁美ほむらと鹿目まどかの元へ駆け寄るが、凄まじいエネルギーが暁美ほむらから放たれ、和真を吹き飛ばそうとする。
が、今の和真は耐えた。
「暁美ほむら!よせ!世界を壊す気か!」
彼女は答えない。闇が広がり始める。
鹿目まどかに暁美ほむらは触れ、そして。
円環の理としての鹿目まどかと、人間としての鹿目まどかを切り離した。
「何!?」
このガラスが砕けるようなこの音の正体を、和真は知っている。
世界が崩壊する音だ。
間違い無く、このままでは円環の理としての鹿目まどかは消滅する。
人間としての鹿目まどかのみを、暁美ほむらは残すつもりだ。
「そうは、させねえ!」
凄まじいエネルギーの波の中、和真は迷うことなく手を伸ばす。
遠ざかる円環の理としての鹿目まどか。
「悪魔に世界を変えさせるか!なら俺が、俺がやってやる!」
後の事は後になって考えろ。今は深く考えるな。
掴め、彼女の手を。ただその為だけに行け。
俺のため、彼女のため、世界のため。
そして彼の手は…円環の理を掴んだ。
瞬間、優しい光が八坂和真を包み込んだ。
どうも、最新話です。
ちょっと展開がやべーことになってきたかもしれん。
どうしよ、あ、遊戯王のカード買わなきゃ。
今夜あたり最新話また書き始めると思います。
ブレイドに戻らんとあかんとは思うんだが、ちょっと和真くん…アルティメット和真にでもなるつもりですかね。
いやどーなんだろ、まどかライドウォッチ?
さすがに無理あるよね。
つーかどうにかしてもっかい仮面ライダーブレイドに変身させたい。
頑張ります。
じゃ、またねー