仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
目を開くと、穏やかな光の中に彼はいた。
白い何もない空間に見えて、そこには和真ともう1人、少女の姿があった。
ピンク色の髪に白いリボン、金色の瞳。そして純白の衣装に身を包んだ少女。
円環の理として神にも等しい存在であるはずの彼女、けれど今やその体は薄れ始めていた。
「消えるのか?」
彼女は頷く。話すこともままならないのか、それともトーク機能はそもそも鹿目まどかに依存しているため、この状態では話せないのか。
「暁美ほむらを止める。力を貸してくれ。俺は魔法少女でも魔女でもないが…未来の時間の美樹さやかから魔女の力を一時的に借りてる。円環の理の力も貸してもらえれば、世界を修復可能だ」
沈黙。
円環の理の反応はない。
「俺は暁美ほむらを救いたい。鹿目まどかも、巴マミも、佐倉杏子も、美樹さやかも。かつてワルプルギスを倒して、皆救えたと思ってた。でもそれはただの自己満足、驕りに過ぎなかったのかもしれない」
「こうして悪魔を生み出してしまったのは、俺が至らなかったからだ、と思ってる。前に訪れたあの世界とこの世界は違うみたいだけど、俺にとっては同じだ。俺は魔法少女の運命を変えたかったんだ」
「救われない者を救う、それが俺のやりたかったことだって、改めて分かったんだ。色々と旅してきたけど、たぶんその中で戦う意味も分からなくなりかけてた。旅が主体になってしまってね」
「力を手にして、浮かれてた。でも一度力を失って、そして気付けたんだ。自分のやりたいことが何なのか」
決意の眼差しで和真は、円環の理を見据えた。
「魔法少女を救い、魔女を救済し、悪魔を止める。戦えない、全ての人のために…俺が戦う。そして運命に勝ってみせる」
力強く、和真は再び宣言した。
彼の言葉に納得したのか、答えが無いから分からない。
だが小さく頷いた円環の理は和真に近付くと、胸に手を当ててきた。
「ッ…これはッ?!」
膨大な情報が一挙に流れ込んでくる。
古今東西あらゆる時代、あらゆる場所で生まれ、死んでいった魔法少女の記憶とその人生。
円環の理の力とは、そういうことなのだ。
自身を捨て、他者の幸せを願う。極限の自己犠牲の元に成り立つ、神にも等しい力。
自らの死は無く、無限の戦いが彼の人生を蝕むだろう。
それでも彼は。
膨大な魔力を体内に受け入れ、身体の変質を理解しながらも。
もう一度、運命に抗う。
穏やかな光は消えていく。円環の理の姿は薄くなり、消失。
だが最後に和真は確かに聞き取れた。
彼女の最後の言葉を。
『ありがとう』
と。
悪魔がまさに今、生まれ落ちようとしていた。
ソウルジェムはグリーフシードへ、更に禍々しい別のものへと姿を変えようとしていた。
巴マミ、佐倉杏子、美樹さやかが止めようと試みるが、膨大な魔力が彼女達を阻む。
しかしその膨大な魔力は刹那、消え去った。
「あれは…」
美樹さやか(未来)はそこに新たな円環の理を見た。
鹿目まどかの円環の理と同質の力を内包し、それがいくらか変化を遂げている。それでいてさやか自身が手渡し、彼が体内に埋め込んだ魔女の力も残っているようだ。
ピンクとライトブルーの髪に、金色の瞳。
さやかの武装だったサーベルを右手に、左手を暁美ほむらに向けている。
恐らく左手で暁美ほむらの膨大な魔力を消し去ったか、あるいは吸収して己のものとしたのか。
「すごい…」
円環の理は八坂和真と同化し、八坂和真は円環の理となった。
美樹さやかの魔女としての力を失わせず、円環の理と両立させている、最早イレギュラーな存在。
特別としか言いようがない。
「暁美ほむら、君は悪魔にならなくて良い」
激情的でもあった先程から一変、冷静で優しさを感じさせる口調。
そして彼が剣を天に掲げると、鹿目まどかと同質のセフィロトの樹が展開された。
しかし色は水色。美樹さやかのカラーだ。
「世界をリセットする。魔法少女も魔女も悪魔も、助ける。人間として。君達は…人間たちの中で生き続けるんだ…」
かつて彼と同じくアンデッドとなった、1人の青年がいた。
彼は友であり、倒すべき敵となった男に同じように言った。
「人間たちの中で生き続けろ』と。
そして切り札は永遠に生き続けることになった。
和真もまた、少女たちが生きることを望んだ。
己は滅ぼうとも、少女たちの運命を変えられるなら、それで良い。
運命の切り札を和真はつかみ取った。
円環の理。それが今の彼の切り札(ジョーカー)だ。
青いセフィロトの樹は眩いばかりの光を放ち、古今東西あらゆる時代、あらゆる場所の魔法少女、魔女を優しく包む。
そして悪魔に変わりつつある暁美ほむらをも包み込んだ。
穏やかな青い光に包まれ、世界は再び作り直されていく。
魔法少女も、魔女も、悪魔も、全て消え去る。
少女たちは、あるべき本来の中学生活へと戻れる。
身体の変質で青春を謳歌できなくなることもない。
これで良かったのだろう。
「自分が、誰にも知られなくなるって怖くないの?」
この時間軸において異常な存在であった、未来の美樹さやか。彼女は世界再構築の中でも、記憶が完全に消え去ることはなかったらしい。
「良いんだ。俺たちは二度と会うこともない。触れ合うこともない。…それで、良いんだ…」
「えっ」
どこか悲しげに彼は言う。
そして手を未来の美樹さやかに向けると、彼女を未来へと送り返した。
再構築された平和なこの世界の未来へと。
彼女は彼を知っていても、他の人は知ることはない。魔女の力も彼女はもう無いから、彼を探しに来ることも出来ないはず。
以前と違い、今度こそ、これで良かったのだ。
人気のない高台で、1人の青年がコーヒーを啜る。
世界が再構築された日の夜、誰もこの世界の真実を知らないまま。
それで良い。
「誰も君を知らなくても良いのかい?」
「俺の望んだことだ。これで良いんだ」
彼の手元には壊れた変身ベルトとキー。見たところこれではもう使い物にならないが、恐らく試作品だったのだろう。
気付けばこうなっていた。
白い小動物との対話をあっさりと切り上げ、ピンクとライトブルーの髪を僅かに風になびかせ、金色の瞳をした青年は去っていった。
「良かったの?彼を助けてしまったけれど」
「息子が死ぬのは忍びないですし。それよりアレ、壊れてしまいましたよ?」
「それは構わないわ。戦闘データを取るのが目的でもあった、プロトタイプだもの」
「なら良いんですが…厄介な事になりましたね」
「確かにそうね」
「どうしたニャル子?」「どうしたの?ニャル子」
「何かあったの?」
「真尋さん、とクー子、ハス太くん。いえ、私と真尋さんの息子が」
「「「?」」」
「神になりまして」
「「「はい?」」」
安定の(?)スペシャル対談第2弾。
今回も作者と主人公でお送りしますので、安定メンバーですね。
和真「神なったね。円環の理、神っていうか分からんけど」
作者「見た目もう原形ねえ」
和真「どーすんのさ。この後ヒロイン出すんだろ?俺の嫁さん、真二の母親」
作者「いや、うん。でもこれ確実に未来変わってるよね」
和真「なんとかしろよ。真二とダブル主人公なんだろ?」
作者「正直なんとかしねえと。頑張ります!」
和真「誰に言ってんの?」
というわけでぼちぼち頑張ります。
強くなりすぎたか和真。
いつブレイドに戻すかも悩みどころだけどなぁ、ここまで来ると作者が扱いきれないキャラ筆頭よ。
なんとかするけど。
近いうち最新話あげますわ。
じゃ、またねー