仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
戦いは和真が優勢で進んでいった。
鎧武者のような姿へと変身した男に対し、剣、槍、弓、銃などをもって攻めていく。
未来を識る能力を持つ男だが、こちらがそれを上回る戦力を投入していけば良い。我ながら半ば脳筋である。
円環の理の力を奪われるわけにはいかないということに加え、何より鹿目まどかから託された力を、私利私欲のために使われたくなかった。
和真自身、こうして使っているから何も言えないが。
正直この戦いが終わり次第、封印した方がいいかもしれないなどと思い始めていた。
「ここでお前が死んだところで、誰も知りやしねえ!大人しく力を寄越せ!クソガキ!」
「そうはいかないっ!つまらないとか面白いとか、そんなもので世界を作り変えようとするな!」
「いや、お前も最近やったろ」
「アレは俺のケジメだ。俺はもう自分の罪を数えたんだ。お前の罪を数えろ!」
「俺に罪はない。つまらない世界が悪い。もっと俺を楽しませろ、いい加減イライラしてくるんだ」
男は鎧武者のような姿から、紫の蛇をモチーフにしたような姿へ。
「急にキャラ崩壊するな!っつーか姿を変えられるって、あんたニャルラトホテプなのか?」
「ああ?そんなことも知らずに来たのか」
武器も角のようなドリルのような剣に変わり、荒々しい戦い方になってくる。
「オラァ!」
「ぐっ…」
サーベルで防ぐが、鋭く放たれた蹴りは和真の身体をふっとばし、月の岩山に叩きつける。
邪神というより蛇神のような。雰囲気がもう、蛇柄のジャケットを着ていてもおかしくない。
「ニャルラトホテプってこんな、変なのばっかりか…?」
銀の鎧は解除され、髪は元のピンクとライトブルーに。
目の黄金の輝きも僅かに薄らぐ。
「ま、ニャル滝は死のうが死ぬまいが、どうでもいいがな。アイツは所詮ただの囮にすぎん」
そう吐き捨てる男に向け、和真はマスケット銃を巨大にしたような大砲を創り出し、銃口を向ける。
「フィナーレだ」
凄まじい魔力の砲が放たれ、月面を大きくえぐって男を直撃するが。
男は無傷でそこに立っていた。
「フィナーレだぁ?その程度か?俺の方が円環の理の力、使いこなせそうだなぁ?さっさと寄越した方が、身の為だぜ」
「そういうわけには…いかないんだ」
和真は円環の理、鹿目まどかに認めて貰い、この力を託された。
彼自身が魔法少女を、魔女を、悪魔を救済するという目的のために。
悪意の名の下にこの力を使わせてはならない。
(暁美ほむらの二の舞になりかねない)
最も美樹さやかから話を聞いただけだったし、実物を見るには至っていない。なぜなら、和真がそれを止めたから。けれど変貌前でも禍々しい雰囲気は見て取れた。
円環の理の一端を盗まれるだけで、世界そのものを書き換えられてしまうのだ。
まだ和真が完全に適合していないともいえるが、円環の理の力を奪われては、元も子もない。
彼女達の救済すら意味を為さなくなる。
「でも円環の理には手を出させない」
「よく言いました。流石、私と真尋さんの息子なだけありますね」
どこから話しているのかと思い見上げると刹那、高速で落ちてくる人影、吹っ飛ぶ男。
「ふう、間に合ってよかったですよ」
「え、母さん?ニャル滝?のとこにいたはずじゃ…」
「あっちはクー子とハス太くんに任せてきましたから。真尋さんと私はこっちにね」
「でもその姿、フルフォースフォーム、だよね?」
「ええ、あなたも変身なさい。ベルト取り返したんですから」
「円環の理には手を出させないなんて大見得切ったけど、やっぱり俺には、ブレイドになる資格なんてないんだよ。世界を壊したり、色々やってきたし。円環の理の力を託されて彼女達は助けたつもりだったけど、そんなので罪滅ぼしにはならない」
「あなたさっき罪を数えたって言ったじゃないですか」
「そこから居たの?!まぁ、良いけど、でも…俺は変身できない」
「早くしないとアイツ起き上がりますよ?結構遠くまで蹴り飛ばしましたけど、鈍りましたかね」
「八坂、ニャル子ォォォォォ!」
「わお、めちゃ叫ぶじゃないですか。しかも私の名前叫ぶなんて。それに変身してない時に攻撃するのは反則ですよ!」
そう言ってぶつかり合う、2人のニャルラトホテプ。
黒と紫の閃光が、月の荒野を、暗黒の宇宙空間を駆け抜ける。
「俺は…」
自身の罪を数えたとカッコつけて言ったようなところはあるが、しかし彼の罪は数え切れるものではないだろう。
少なくともまだ和真自身はそう思っている。
だから仮面ライダーブレイドとしての力も、ライダーとしての資格も、全て無くなったはずだった。
(でも…)
突然の振動に驚いて見れば、母・ニャル子が男を勢いよく殴り飛ばしたところだった。
「前に進むには、今を受け入れるしかないんです。和真、あなたが何者だろうと、今を生きるんです!」
「俺が何者だろうと…今を生きる?俺の戦う意味…か?」
八坂和真の戦う意味。かつては面白半分、趣味のために世界を巡って戦いを続けていた。けれど融合により誕生した新たな世界を目にし、何かが彼の中で変わった。
そして元の世界で学生生活を送る中で、再び美樹さやかと出会い、偽りの見滝原で魔法少女や魔女、悪魔といった存在を知った。
悪魔ほむらを止めるため、円環の理から力を託され、救済には成功したものの、結果的にあの世界の皆の記憶から彼の存在は失われた。
(何のため戦う?何のため強くなる?)
戸惑いや恐れにも向き合うことで「本当の強さ」へ辿り着けるとでもいうのか。
だが彼はかつての旅の中で、様々な人の在り方を見てきた。
繰り返す時間の中で戦い続ける少女。
皆を守りたい、ただのそのために海を越え、魔女となった少女。
破壊を招く、災厄の少女を守るために自ら剣を取った少年。
妹のために自身の持てる技術を使い、兵器を与えた女性。
虚ろな秘境に身を置きながら、仲間と共に戦い続ける少年。
貴族で構成された部隊に、1人没落貴族として身を置く守銭奴な少女。
支配者の殺し合いに1人挑む、最悪の少女。
ミーナ隊長のような声をしている、女神のような少女。
破壊のみを求める、かつて女神だった女性。
全てを失った中、一般学生として出会った邪神少女。
偽りの街を創り出し、自身が魔女であるすら知らなかった哀しき少女。
「例え俺自身が変わり果てたとしても!俺は戦えない全ての人のために戦う!俺が望んだ希望と結末のためにも!」
そう叫んだ彼の腰に、ラウズカードが入ったブレイバックルが装着される。
そして彼は再び。
「変身!」
仮面ライダーブレイドに姿を変えた。
ブレイラウザーを手に男へと斬りかかり、隙を与えずに一撃、また一撃と斬撃を加えていく。
「あんたに無くて、俺にあるもの!それは記憶だ!円環の理を奪うことしか考えないあんたに、俺を識れるものか!未来を識ったところで、あんたに俺の記憶までは識ることなんかできやしない!」
「何!?」
「未来を変える事に固執しすぎた。経験や記憶を大切にしなかった。俺は色々な人を見たし、その生き方ってもんを学んだ。皆何か守るべきものがあって、何かのために戦ってた。誰かに都合よく変えられた未来なんかじゃない、自分達で世界を、未来を作ってた!」
「未来も世界も、俺の手の中だ!今を生きる事しかできない奴らに、世界を変えることなどできるものか!」
「違う!未来は皆が築き上げるもんだ!個人の都合で勝手に変えられてたまるか!」
「言うじゃないですか、和真も。なら最後はアレで決めますよ」
「ああ」
『キック』『サンダー』『マッハ』
『ライトニングソニック』
和真は足に雷を纏わせて跳躍、キックを放つ。
ニャル子も足にエネルギーを収束させ、体を回転させながらダンスのような蹴りを放った。
英語で言えばスピニングダンスといったあたりだろうか。
邪神親子のダブルライダーキックは見事に男にあたり、月面で見事に爆発四散したのだった。
後日談、といっても大して語る事はないが、あの後男は回収され、惑星保護機構の諜報機関に身柄を拘束されたらしい。
ニャルラトホテプ星人だと言うのは間違いないようで、経歴など全てニセモノだったとのこと。
惑星保護機構も組織として肥大化しすぎたせいか、警戒を怠っていたことを認め、今後に生かすと言う。
和真達八坂家のメンツはというと地球へと戻り、日常生活に戻る事になった。
しかし1番の問題としてはやはり和真だった。ルーヒーからその見た目で通学はまずいと言われ、髪を元の色に染め直し、目にもカラコンを入れ、ザ・日本人のような見た目に戻した。
正直父方を除けば見た目がだいぶパーリィな感じなので、髪を染めたりカラコンなど入れずとも、家の中ではさして違和感はないのだが。
銀色に赤に黄色に緑。黒が逆に目立つくらいだ。
そしてやはり大学の方には戻る事になったが、まあ学生生活も悪くはないし、問題なく続けていけそうだ。
ブレイバックルなどは護身のために持ち歩いてはいるが、使う機会もないと思う。そう願いたいところだ。
エンターキーを押し、男はふぅと息を吐いた。
薄暗い部屋の中でデスクトップPCの画面だけが、男の顔を照らす。
やや生えた無精髭を気にしていると、部屋のドアが開き、1人の女性が入ってきた。
「こんな時間に珍しいね」
「終わったの?」
「この後の展開に悩んでるとこ。そっちはどうして?」
「眠れないから。なんか前に読んだことあるけど、恋愛要素薄いよね、あなたの小説」
「書くの下手なんだ」
「前も言ってた。でもそろそろ必要かもよ」
「読者は求めてるのかな。でも恋愛経験そんなないし」
「私との書けばいいじゃない。馴れ初めとか」
「恥ずかしいよ。今更」
「手伝ってあげるから。ま、今日はもう休みましょ、遅いし」
「眠れないって言ったじゃん」
「いいのいいの」
彼女には勝てそうにない。
書いた部分までを保存、男はパソコンの電源を落とし、ひとまず眠ることにした。
はい、どうも。
今回で派手なのは終わります。派手な戦闘はね。
大学生編に戻るので、下手だけど恋愛要素増やしていくつもりです。
安定の低クオリティ。
最近運動不足で身体が痛い。アキバ行けてないからね。
恋愛についてはうまく書けないかもなんで、時間かかると思います。
ぼちぼち書いていきますので。
じゃ、またねー
後一回名前変えたんすけど、暁で投稿中のかりーぱんさんとのコラボ回もまだ続いておりまして、検索時に分からなくならないように前のに戻しました。
ちとやべー名前。ま、禁書目録読んでた頃に付けた名前だし。
改めてまたね