仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
宇宙から戻り、しばし遅れを取った大学生活も、今や巻き返しの時。
一応授業は真面目に受けてなんとか追いつけてはいると思うが、学期も終盤になり段々と不安になってきていた。
和真は大学生活というものを知らずに1年間学生として過ごしていたわけで、つまるところテストというものがどういったものなのかすら、全く見当がついていないのだ。
漫画でワンナイ(腕内)でテストを受ける人物がいたが、恐らくアレは実際にやるとバレるやつだろう。
(どーすりゃいいんだ)
カンニングもといワンナイに頼ることはできないし、1年分の遅れも取り戻すべく、地道に勉強をしているのだが。
正直なところここで単位を落としてしまったら面目無いというのと、内容がそこそこ難しいので落ちるのでは?という不安が彼の中にはあった。
「まーた勉強してんの?真面目だねー」
「黒鉄か。いや、まあそれなりにやらないと追い付けないから」
「1年間大学にいなかったって訳でもないし、大丈夫でしょ」
「そう…だな。で、何か用か?」
「前期ももうすぐ終わるしさ、どこか出掛けようかなーって。去年は誘っても毎回断られたから
「ああ、なるほど」
断ってくれていたのか。
確かにどこかでボロを出すのは怖いし、何よりまぁ母・ニャル子は父の真尋が大好きなので、一応友人ポジションとはいえ、遊びに行くことはしたくなかったのだろう。
どこかに出掛けるにも、1000%父と母はべったりだし。
どっちかというと、母がマヒロニウムとかいうのを補給しないと動けないらしいので、母が父にべったりと言う方が正確かもしれない。
どうにも父が新しいエネルギー資源か何かの扱いをされているような気がするが、真尋の母である祖母の頼子もムスコニウムとかダンナ酸とかいまだに言っているので今更感は否めない。
「でもテストあるし。勉強くらいしないと、な」
「まぁ、それならそれでもいいけど。遊びには行く?」
「あ、ああ。行くよ」
「じゃあ後で予定立てるから」
そう言って黒鉄スミレは立ち去っていった。
(遊びってどこ行くんだ?)
なんとなく断るのもアレかと思い了承してしまったが、詳細をさっぱり聞いていない。
後で教えてもらえるのだろうけれども、池袋やら原宿やらは詳しくないので勘弁してほしいところではある。
(ま、テスト終わってから考えれば良いか)
期末テストが終われば、直ぐにも長期休業、夏休みに入る。
テストが終わり次第連絡が来ると考えれば、今は勉強をしていても良いだろう。
そう自分を納得させ、和真はテキストのページをめくるのだった。
そこから期末テストまでの日はあっという間で、テスト週間初日を迎えたと思えば、気付けば最終日になっていた。
最終日、最後のテストを終えると、皆我先にとばかりに教室から去って行く。
スケジュール上は明日から夏休みなのだが、このテストが終わればその瞬間からが学生にとっては夏休みのようなもので、かくいう和真も内心そういう1人であった。
「はあ〜終わった終わった」
彼の隣の席で伸びをする女子学生。黒鉄スミレである。
彼女もこの授業を受けており、合流してなんだかんだで並んでテストを受ける事になったのだ。
なんだかんだ彼女とはよく会うが、サークルが一緒なわけでもなし、向こうから絡んでくることの方が多い。
最も彼女自身は何かサークルに入ってはいるらしいが。
ただサークルなどの交流をどこか面倒だと思ってしまうあたり、まだ学生生活に慣れ切っていないのかもしれない。
黒鉄スミレのことは嫌いではないけれども。
「この後どっか行こうか」
「テスト終わりによくそんな元気あるなぁ…」
「学生の内は遊ばなきゃね。ほら行こ行こ」
帰ってのんびりゲームやらアニメやら、山積みになったものを消化したいという本心を口には出さず、和真はスミレに引っ張られるようにして街へ繰り出すのだった。
黒鉄スミレに連れられるようにしてやってきたのは、八坂家も度々訪れる近くのショッピングモール。
映画館やらなんやら色々入っているので、何かと便利なところだ。
「どこ向かってるんだよ?」
「うーん、どこから行けばいいと思う?」
「目的地教えて貰わんことには何も言えないけど」
「今度遊びに行くって言ったじゃん?」
「ああ、まぁそうね」
「キャンプでもいこうかなーって」
「キャンプぅ?他に誰か呼ぶのか?」
どこのキャンプに行くかは分からないが、流石に知識もなさそうな2人で行くのもアレだろう。
「まーそうね、あたしのサークルの友達で詳しいのがいるから」
「ふーん。ってサークル?!サークル入ってたの?」
「そりゃサークルくらい入ってるって」
「どんなの?」
「映像研究サークル」
「へえ、意外」
映像研究サークルとはまたかなり真面目そうな感じだが、実際はどうなのか全く分からない。というか映像研究サークルなのにキャンプというのは、ミスマッチな気もするのだが。
「映像研究って言っても色々やるからね。今日はそこで使うアイテムを新調したりしようかと」
「あーそういうね」
結局2人はアウトドアショップを回るところから始めた。和真がキャンプやらアウトドアやらの知識が大してないということもあり、軽くレクチャーしてもらいつつといった感じである。
まあレクチャーといっても、やたらアーミーナイフばかり見させられたのだが。
ともかくそうして多少アイテムを買い込んだまでは良かったのだが、問題はその後だった。
「いや、ここは俺はいいわ」
女性モノの水着が前面に押し出された、期間限定の水着ショップ。
よくこう学園モノで夏直前にあったりする、水着新調のイベントかと思うが、正直こういうのは同性同士で来た方が良いのではなかろうか。
しかしこれは言い換えればキャンプは河原で行うタイプのヤツで、川遊びもすることになるということではないか。
「和真も見ておきなって。水着持ってなさそうだし、泳げなくても問題ないから」
「まあ大して泳げないけどさ。つーか八坂くんって言ったり和真って言ったり安定しないな」
「こないだのアレはエヴァのやつだし。それに和真っていうと、なんかジョーカーっぽい」
「あ、そ」
当たりでもなければ、外れでもない。どちらかというと正解である。
時折彼の過去を知っているような、かなり怖い発言をするのはやめてほしい。心臓に良くない。
アレだろうか、母が和真に擬態している時に、何か色々言ったのだろうか。まぁ口が軽いことに定評があるので、あり得ることだが。
「まあまあ、分かった。適当に見ておくよ」
そう答えたところで詳しくもないので、適当に見繕ってカーゴパンツ的な見た目のヤツを買い、近くの椅子でのんびりとくつろぐことに。
少々寝てしまっていたらしく、ゆっくりと目を開ける。
しかしそこにあったのはショッピングモールでもなければ、先程訪れた水着ショップでもなかった。
周囲を海に囲まれた、絶海の孤島。
「なんだ、ここは…」
4体の巨人の石像と、更にその奥には古代遺跡のようなものが広がっており、そこにも幾体もの巨人の石像が見える。
ふと奥に目をやると、そこには何かがあった。
何かは分からない。
禍々しく、この世のものとは思えないもの。
ひと言でいうなら、『闇』だろうか。
『闇』は和真を認めたのか、こちらへ迫ってきた。
身体が動かない。思わず彼は目をつぶった。
「…ま、和真、起きなって。ここで寝るつもり?」
「えっ?あ、いや、寝てた?」
「まあね。今あたしも出てきたとこだし、5分くらいなんじゃない?寝てたの」
「そ、そうか」
スミレに起こされ、周囲を見渡してみても、そこにあるのは見慣れたショッピングモール。目の前には例の水着ショップがある。
(さっきのは何だったんだ?)
夢、にしては鮮明だった。地球のどこかにあるのだろうか、あのような場所が。
「次は…どこに行く?」
「うーん、特に買うものはないかな」
「そか。その、キャンプのスケジュールとかは?」
「あ、そーそー、それだ」
「忘れてたんかい」
「人数1人増えるって伝えてはある。一応1週間後あたりなんだけど、大丈夫?そっち」
「大丈夫。前日までに時間とかは教えてくれると助かる」
「任せて」
こんなんで良かったのだろうかと思いながら、結局その後ゲーセンやら色々なところを回って解散となった。
帰路につきながら、和真はふと昼間のあの光景を思い出していた。
謎の遺跡、4体の巨人の石像。
絶海の孤島。
どこか記憶になくも無いが、どこだったろうか。
思い出せぬまま家へと辿り着く。
「ただいま」
おい日常編やるって言っといて、やたら不穏なの出してんじゃねえ。
しかしそれがニャル子です。
というわけで低クオリティながらも、日常編お届けしていきます。
てかバレてるよね、一部の人にはこれ。
ぼちぼち書いて行きます。
じゃ、またねー