仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
桜木レナを抱えながら信号弾を撃ちあげた和真は、すぐに体勢を立て直して着地。彼女には衝撃を与えぬよう、地面に垂直に落ちることだけは避けるようにしたが、まぁこれで衝撃を殺しきれたかは甚だ疑問ではある。
どうやら薫やスミレ達も異変には気付いたようで、こちらへ駆け寄ってきた。
「レナ?レナ!」
「え、下の名前で呼んでたっけ?まあいいけど」
「あなたこそ、え、和真?」
「俺だよ。それに彼女が気絶したのを知ったのも、俺もついさっきだ。それで連れてきた」
「何がどうなってるんだ?さっき銃声っぽいのが聞こえたけど、おまえか和真?」
背中のライフルを指差して言われ、流石に否定できないので首は竦める。
「まあな。とりあえず皆分散はしないでくれ。アイツらのいい的になる」
マガジンの残りを確認し、銃を空に向けて構え、降下してくる異形へ向けて撃ち放つ。
翼に風穴を開け、グレネード弾をぶち込めば一体は確実に落とせるが、このやり方では数で圧倒されれば限界が来るだろう。
ライフルを置き、カバンから中折れ式のグレネードランチャーを手に取り、グレネード弾を装填。
しかし気付けば空を埋め尽くすほどの異形がこちらへと迫ってきており、のんびりしていてはやられるのは時間の問題といえる。
「クソ、多すぎる!」
それでも引き金を引くのはやめない。
が、グレネードランチャーの弾は数えるほどしか持ってきていないし、ライフルのマガジンもそんなに数はない。
どんなに不利でも守らねばならない。戦わなければならない。
円環の理の力を使わないと心に決めたところで、結果的に彼の手にしたその力は『闇』の復活を招いてしまった。
光となってしまった和真はそのトリガーなのかもしれない。けれどそんな彼に対し、その真実を伝えてくれた桜木レナ、ウォッチャー。
和真は一度戦いを降りたつもりだった。でも終わっていない。
それが円環の理の運命でもあることは、分かっていたはずだった。
他者を救い、全てを背負い、戦い続ける。それが円環の理。
(俺は戦う。戦えない全ての人のために)
グレネードランチャーを手放し、ブレイバックルを手に取る。
腰に装着するとベルトが巻かれる。
「変身!」
『Turn Up』
和真は迷わず、仮面ライダーブレイドに変身。ヤツらを倒すのに、迷いはいらない。
彼女を元の姿に戻すためにも、ガタノゾーアを倒す。
そうすればウォッチャーは桜木レナから離れることができるのだ。
ウォッチャーの役目も終わらせることができ、桜木レナをあるべき姿に戻せる。
この身全てを一振りの鋼と化し、異形を倒し尽くす。
ジャックフォームにチェンジ、強化されたブレイラウザーを手に、和真は宙へと飛び立った。
「こんなの聞いてないぞ…アイツあんな力を」
「レナは気を失っているし、和真は動くなって言うし、どうする?」
「ここにずっと居ればやられかねないわ。逃げるべきよ、奴らは彼が相手してくれてるんでしょ」
「和真を置いていくことなんてできないでしょう!それに動けば的になるって言われたじゃないですか!」
雫の言葉に薫は反論する。彼は確かに美山雫にとっては会ったばかりのヤツかもしれない。確かに彼女と薫では付き合いの長さは違うかもしれないが、今は同じキャンプで過ごす仲間のはずだ。
「何かあった時、アイツの指示は間違いませんから。俺は和真を信じる。それに気絶してる奴だっていますし」
「じゃあここで指を咥えて終わるまで待てって言うの?!私はいやよ!」
「逃げたら狙われるって…」
薫が言い終わる前に、黒い何かが河原の石を踏み砕いて着地した。
身長は3メートルくらい、和真が戦っている異形の一体か、
恐らく和真が抑えきれなかった個体がこちらに目を付けたのだろう。
「後ろに!」
薫はスミレと雫、気絶したレナの前に立つ。
ただの人間である薫にこんな化け物が倒せるはずもないが、男としての維持が彼を動かした。
「こ、来いよ、バケモンがよ!野郎の意地ってヤツ見せてやる!」
拳を構えるが、そこに異形一体を屠れるだけの力はない。
異形は腕を鞭のようにしならせて4人を攻撃した…はずだった。
思わず目を瞑ってしまった薫だったが、目を開くとそこに異形の姿はなく。
見慣れぬフルフェイスアーマーに身を包んだ女性が1人、立っていた。
女性と分かったのは胸部の膨らみ故だが、この異形を一撃で倒したというのなら、心強い。
「倒してくれた…のか?」
「間に合いましたね。もう大丈夫ですよ」
「俺たちはどうすればいいんです?」
「応援が来ます。指示に従ってください」
「応援?」
「真尋さん、クー子、ハス太くん。頼みますよ」
そう言って黒い女性ヒーローは河原の石を踏み砕きながら跳躍、上空の異形へと向かっていった。
強化されたブレイラウザーを振るい、和真は何体目か分からない異形を切り裂く。ナイトゴーントでもないコイツらは一体何者なのだ。
「キリがねえ…」
脇腹に痛みを感じながらも、剣を握る手には力を込める。
しかし終わりが見えないような戦い。おまけに円環の理の力を使う事は出来ない。使えないわけではないのだが、円環の理の力に引き寄せられている以上、積極的にガタノゾーアを本土に近付けるようなマネは良いとは言えないだろう。
「それにアイツらにバレる訳にもいかないしな」
仮面ライダーブレイドについては後々説明しなければならないと思われるが、今は、異形を滅することに集中せねば。
剣を神速で薙いでいくが、しかしそれは一瞬の隙を生んだ。
背後を取られたのだ。
(まずいッ!)
やられるかと思われたが、その異形は1人の女性によって殴り砕かれた。
黒いメタリックな姿。フルフォースフォーム。
「母さん…!なんでここに?」
「助けに来たんですよ。信号弾を確認したのと、私の邪神レーダーに反応があったので」
「なんだよ邪神レーダーて。アテにならないヤツでしょ」
「精度は1000%ですよ、今回に限っては」
母が来てくれたのは助かるが、この件に関しては和真の手で決着を付ける必要があるのだ。
「なら母さんは皆を連れてここから出来るだけ離れてくれ」
「助けに来た意味が…それに危険でしょうに」
「俺がこの事件のトリガーなんだ。詳しい事は桜木に聞いてくれ。とにかく俺がやらなきゃいけない。母さんは黒鉄スミレ、平島薫、美山雫、桜木レナを守ってほしい」
「和真…」
「桜木から恐らく事情を聞き出せるはずだ。ウォッチャーっていうのと一体化してる」
「生きて帰ってきてくださいね」
「大丈夫だ母さん、もう何も怖くない。俺は生きて帰るよ。推しを拝むためにも」
家族がいる、仲間がいる。恐怖心など捨て、アイツらを倒す。
「それ死亡フラグじゃ…」
「それくらいで死にゃしねえって」
『エボリューションキング』
キングフォームになりキングラウザーを手に、和真は黒い異形をいとも容易く葬りながら、異形の発生源へと近づいて行くのだった。
黒い異形の数は圧倒的だった。
倒しても倒しても、湧いてくる。それこそ戦争だ。
「発生しているのはこっちの方のはず…」
黒い異形は確かに数は多いが、本土にやってくるまでに隊列というか、流れのようなものができているのだ。
(ん?アレは…夢で見た島か)
絶海の孤島。闇が封印されているという、古代の遺跡。
見れば黒い異形の他に、名状しがたいような姿をした巨大な化け物が姿を現そうとしていた。
正確にはこの巨大な化け物が、黒い異形を発生させているわけだ。
恐らくコイツがガタノゾーア。
『♠︎10・J・Q・K・A』
『ロイヤルストレートフラッシュ』
膨大なエネルギーが眩いばかりの光の奔流となり、和真はそれを巨大な化け物、ガタノゾーアへと振り下ろした。
光に滅せられていく黒い異形達、ガタノゾーアにも『ロイヤルストレートフラッシュ』は命中したが。
「効いて、ねえ…のか」
異形は滅ぼせたとしてガタノゾーアには傷一つ付いていない。
彼の今使える、最高最善にして最強の力だったのに。
「ふざけるなああああああッ!」
キングラウザーとブレイラウザーを手に、和真は突貫する。
あと僅か数ミリで剣がガタノゾーアに触れると思われたところで、彼の身体を闇のエネルギーが貫いた。
「ぐッ…」
この痛みは、これまでの痛みと別格のものだ。彼自身を、否、光そのものを消し去らんとする闇の力。
あまりの痛みにキングラウザーとブレイラウザーを手放してしまうが、それでも彼はガタノゾーアを見据える。
拳を握りしめて振りかぶり、殴りつけようとしたところで、闇のエネルギーが再度和真の腹をぶち抜いた。
どうも、いい加減日常編を書けと言われそうなクソザコ作者です。
言い訳はせんけどこうなったら決着付けるしかなくて。
しかも和真くん死ぬんじゃね、これ。
今更感あるけど。
どーにかしてガタノゾーアとのケリ付けなきゃいけねえけど、いやどうしようね。めちゃ不安。
サブカルコーナーは話すことが特に思いつかない平凡な生活をしております故、どうしましょう。
ま、いっか。
ぼちぼち今後の展開も考えつつ書いていきます。
じゃ、またねー