仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
再び和真達はバイクで移動を開始した。
今度は和真のバイクの後ろには真二が乗り、母・ニャル子のバイクと並走していく。
海にガタノゾーアを望む最悪のロケーションだが、どうにかしてあの巨体に近づかねばならない。
空中艦はサークルの皆を載せているから、使うことはできないが。
ふとある事を思い出し、和真はバイクを止めた。
「なるほど、こんな時のためにか」
「何が」
「いや、飛んで行ける。ルルイエに突っ込むぞ」
「急に何言ってるんだ?俺は飛べるし、おばあちゃんも行けると思うけど、父さんは」
「グレンから奪ったベルトがある。それで飛べるさ」
「普通のホモ・サピエンスには使えないぞ」
「安心しろ。俺は普通のホモ・サピエンスだ」
バイクから降り、ベルトを腰に装着。グレンがやっていたのを真似て変身してみることに。
『INFERNO WING!』
赤いキーを銃とナイフが一体化したような変身ベルトにセット。
『BURN RISE!』
『KAMENRIDER…KAMENRIDER…』
「変身」
『SLASH RISE』『BURNING FALCON』
『The strongest wings bearing the fire of hell』
「なんとかなったけど、違和感あるし地味に暑い」
「クトゥグア用のだしな。そりゃ適合するわけないさ」
そう言って真二も仮面ライダーブレイブ・タドルレガシーに変身、母・ニャル子も漆黒のフルフォースフォームに姿を変える。
「さぁて、乗り込みますか」
燃える翼を広げて和真は飛び立ち、真二は純白の翼をはためかせ、空へと舞い上がる。
未だに謎なのが母はどうやって飛んでいるのか、である。スラスターも無ければ翼もないのに、どうして上昇したり加速したりしているのか、20年近く経っても疑問だ。
「来るぞ!」
禍々しいエネルギーが、ガタノゾーアからマシンガンのように間髪入れずに打ち出されてくる。
アクロバットな動きでエネルギーを回避しながら、ガタノゾーアへと近づいて行くが、禍々しいエネルギーに加え、今度はよく分からない触手も和真達を襲ってくる。
「なんだよコイツら!」
炎を使って触手を焼いて行くが、キリがない上に遠距離からのエネルギー弾の攻撃も捌かねばならない。
間一髪回避出来たかと思った刹那、複数のエネルギー弾が和真を直撃し、吹っ飛ばす。
地面に叩きつけられ、何度も転がり、岩に身体を打ち付けて。
ふらふらになりながらも立ち上がるが、変身は解除されてしまう。
ベルトは完全に壊れ、キーも砕けてしまった。
それでも。
「まだ…行ける…」
包帯は既に取れ、体のあちこちから血が流れ出しているのを感じる。立ち上がろうとするが動くことは叶わず、和真はその場に倒れ込んだ。
「父さーーーーん!」
「和真ぁぁぁぁぁ!」
真二と母・ニャル子の声を遠くに聞きながら、和真の意識は遠のいて行くのだった。
ゆっくりと瞳を開く。
白い空間。ここは見覚えがある。
(あのリングと変身ベルトを見た場所か)
手形の彫り込まれたリングは右手に、淡い水色の宝石のような何かで出来たリングは左手に。
そして彼に相対するように立つ、ピンク色の髪に黄金の瞳の少女。
鹿目まどか、円環の理。
「夢じゃないのか?」
彼の言葉に彼女は頷く。
「ブレイバックルも、インフェルノウィングもなくなった。でも渡してくれたこのリングなら、ガタノゾーアにも勝てるんじゃないかって、そう思う」
和真の言葉に、彼女は小さく頷くとゆっくりとこちらへ歩み寄り、そっと手を差し出してきた。
その手を取れと言う事か。
和真が迷わずその手に触れると、彼女の姿は徐々に和真の中へと吸い込まれるようにして消えて行った。
そして腰に現れる、手形のバックルの変身ベルト。
眩いばかりの光があたりを包んでいく。
再び和真は覚醒した。
オーラを纏いながら、瞳を金色に輝かせて、立ち上がる。
「父さん!」
「和真!大丈夫だったんですね」
「ああ」
「そのベルトは?」
「希望だ。今度こそ、終わらせる」
そう言って、左指の淡い水色のリングを変身ベルトに翳すと。
あらゆる色彩が和真の元へと収束していく。
色彩、否、これはソウルジェムか。古今東西全ての魔法少女の力であり、彼女達の魂であり、願いであり希望そのもの。
それらは融合し、再び和真と1つになる。
その光景は、まるでルルイエに虹色の橋が架かったようだ。
「すげえ…」
「綺麗ですね…」
ガタノゾーアの触手が3人へ振るわれるが、和真から放たれるエネルギーによって全て消滅した。
今度は彼の体そのものが巨大な水晶らしきものに包まれ、そしてそれが砕け散ると。
そこには仮面ライダーブレイドでも、インフェルノウィングでもない、新たな姿となった和真がいた。
淡い水色と白銀の姿は、ひと言で言うならダイヤモンド。
その内に秘められているのは、幾星霜を経てなお遺り続ける、魔女と魔法少女の魂と希望と願い。その全てを身に宿した今の彼は、無限の可能性を秘めていると言って良いだろう。
「俺は最後の希望になる」
彼の言葉に反論するかのようにエネルギー弾と触手など、全ての攻撃がこちらへと向け、放たれる。
だが和真が天に手を掲げると、再び虹が彼の元へ。
幾星霜、古今東西、あらゆる時代、あらゆる場所から、希望と願いとが彼へと降り注ぐ。
虹が止むと彼の手には、魔法少女のものともまた違う光に包まれた武器が握られており、和真は問答無用でそれを振るった。
そしてその武器から斬撃そのものが飛び、エネルギー弾、触手などの全ての攻撃を殺す。
何語か分からない、恐らく古代の言語と思しきもので咆哮するガタノゾーア。何を言っているのか知るよしもないが、知りたくもない。
「ガタノゾーア。1つ教えてやる。本当に強いのは…強いのは!人の想いだ。俺は数え切れないほどのそれを、背負ってる。だから分かる!破壊だけしか知らない闇が、俺たちに勝てるはずもない!」
「ああ、この世界は滅んだりしない。父さんが、皆が、俺達が明日を信じる限り!」
「息子も孫も言うようになりましたね…なら私も命燃やしますよ。この力はお守りじゃないですし。使う時に使わなきゃ、意味がないんですから」
3人は跳躍、和真の足には虹色のエネルギーが、真二の足には水色のエネルギーが、ニャル子の足には黒いエネルギーが、それぞれ収束していく。
そしてエネルギー弾や触手、全ての攻撃を物ともせず、トリプルライダーキックがガタノゾーアへと命中し、そのどデカイ図体に穴を開けるのだった。
ルルイエは結局すぐには沈むわけではないらしく、しばらくしてまた海中に戻っていくそうだ。
ガタノゾーア撃破後、残された未来からの刺客が何名か和真を狙ったきたが、淡い水色と白銀のその姿に勝てるはずもなく、全員があっさりと変身解除に追い込まれた。
今回の件、和真が生きて終えられたこともあり、真二は父である和真と固く握手を交わし、刺客どもを引き連れて未来へと帰っていった。
首謀者を洗い出し、失敗に終わった旨を知らせてやるという。
和真を最初に狙ってきたクトゥグア、グレンに関しては死亡扱いにするとのことで、こちらで処分しても良いらしい。
そして問題なのがこの希望の力だが、鹿目まどか、円環の理は表面に出る事はなくなり、内側に居続けることになるという。
最後の希望の力を発揮したことで、テレパシーのようなものを使えるようになったらしく、それを用いて会話することで知り得た。
能力などを表面に出さなくなるが、円環の理としての機能は維持し続ける、いわば不可視の存在に変化するらしい。
魔法少女としての能力も使えなくなり、和真は一般人に戻る。
(これで良かったのかな)
何が正しくて何が間違っているのか、彼は分からない。
けれど彼のあるべき姿は神などではない。
円環の理は眠りにつき、インフェルノウィングもなく、ブレイバックルも今は持たない彼は、ようやく大学生としての生活に戻る。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
そして自転車に跨り、和真は大学へと向かうのだった。
***
ダイニングテーブルでコーヒーを啜りながら、男はパソコンの画面を睨む。
アドバイスを貰ってから恋愛要素を入れようと試みてきたが、やはり彼には難しいのだろうか。
「うまく書けんな」
「また悩んでるの?」
背中にポンと手を置きながら、1人の女性が声をかけてくる。
「あーまぁね。ちょっと難航してるかな」
「どれどれ、ええ、私との馴れ初めは?」
「キャンプのとこ」
「確かにそうかもしれないけれど。あの戦いは事実だろうけど、入れる必要ある?」
「ノンフィクションというか、エッセイというか、自叙伝みたいな。そういうとこあるから嘘は書けないぜ」
「文化祭のこと書いてもいいじゃない。あそこで私達のサークルに参加したわけだし」
「アイツの依頼でね。結果的にまぁ、こういう関係なれたけど。待ってまだ嫁とか結婚とか、言うの恥ずかしい」
「ふふ、しておいて何言ってるの?じゃあ次は文化祭のこと書きましょう。手伝うから」
「そりゃありがと。でもホント、イチャイチャしてるのは…書く側も恥ずかしいんだよ…」
「30になってもそこだけはウブなのね。そういうとこも好きだけど」
「マジでその、好きとか…いや、恥ずい」
そうこうして手伝って貰いながら、男は続きを書くことにするのだった。
はい、日常編ていう名のガタノゾーア編終わりです。
光と闇の行方でしたね。
これで和真くん普通のホモ・サピエンスに戻ります。
普通のホモ・サピエンスっていう、邪神と人間のハーフのゴリラですが。
とりあえずこの話しまでが第1部で、次からはマジで恋愛編を書くつもりなので第2部ということにします。
ナンバリングはしませんけど。
あと恋愛がうまく書けないので、グダリグダリと引き伸ばしてるだろコイツと思ってるそこの貴方。
正しいです。恋愛初心者のクソザコなので、小説の恋愛しか知りません。
でもラノベのベタベタなハーレム恋愛は書きたくないという変な意地を持っておりまして、サシの恋愛を描きたいと。
つーことで悩みながらもまぁ、こうやっております。
最近の恋愛要素っつーとアレだよね、何話か前とこの話の最後に書いた男性と女性の。
アレで恋愛というか分からんけど。既に結婚してますし。
ぼちぼち思考錯誤しながら恋愛を描きます。
じゃ、またねー