仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? 作:神浄刀矢
ブレイド、ブレイブ、そして未来の和真。
3人ならばスペクターを倒せると踏んでいたところはあった。
だが対峙する彼は、見事に3人の攻撃に対応してきた。
スペクター自身もまた、あの時から変わっていたのだ。
月で戦った、鎧武者や紫の蛇を彷彿とさせる姿だけではない。
頭部や胸部・肩部が牙のようになっている姿、黒と金を基調に金色の大剣を得物とする姿など、新たなフォームへと姿を変えていった。
更に分身体を複数創り出すことによって、数による戦力差をもカバーしてきたのである。
「相手は1人のはずなんだけどな」
「纏めて倒せりゃ苦労はしねえが、こんな場所じゃ…アレを使えば生き埋め確定だろうぜ」
現在和真=ブレイドはジャックフォーム、真二=ブレイブはレベル50のファンタジーゲーマー。
キングフォームのロイヤルストレートフラッシュ、レベル100のタドルレガシーのクリティカルストライク、そして和真(未来)の持つエネルギーを同時にぶつければ、恐らく今のスペクターを倒すことはできる。
だがそれだけでなく、奪われたライダーシステムのデータを取り戻す事もまた、彼らの重要な使命なのだ。
先ほどの落雷でスペクターが作った仮面ライダー達はダウンした様子だが、こちらのライダーシステム自体の回収は可能なはず。
しかし、だ。
3人の力を同時に使用して施設自体の崩壊を招いてしまえば、下手をすれば地下に生き埋め、最悪データの完全紛失にも繋がりかねない。
要は施設を壊さず、スペクターを倒さなければならないわけだ。
いざとなるとかなりの難易度ではないだろうか。
正直な話、決定打を使えないこのフィールドで彼を倒し、データを回収するのは難しい事だといえた。
「いいや……手は、ある」
「場所を移すと?」
「ああ。使えないなら…使えるようにフィールドを整えるまでだ」
ニヤリと口角を上げる和真(未来)の手に、エネルギーが収束していき、彼がその手で床に触れると。
刹那。
彼らが立っていた世界が変質した。
否、そこに新たな空間が創り出されたといった方が良いのだろうか。
そこに在った何もかもが、別の存在へと塗り替えられていく。
黒は白へ。
錆は透き通った雪の結晶へ。
陽の光を拒絶した地下から、柔らかな陽の光が射す地上へと。
舞台はガリアから遥か遠く、白銀の大地に。
***
「雪原…か」
スペクターは呟く。
ここがどこなのか、どのようなものなのか。
理解している。
彼だけではない。恐らく対峙する彼らも。
だからこそ、ここで決着を付けることを選んだ。
あの場所ではスペクターを倒せないと理解していたからこそ、異なる位相にこのような戦闘空間を創り出したのだろう。
ここでならば互いに全力で戦えると。
そう、考えて。
***
一面の雪景色。
恐らく以前のフィールドと同じ、スオムスとオラーシャを繋ぐラドガ湖のほとりといったところだろうか。
現実世界で言うと、この時代では第502統合戦闘航空団《ブレイブウィッチーズ》の基地の近くだ。
あの時和真(未来)が魔王オーマジオウと戦った所であり、同時に和真がアフリカへ発つ事になった所でもある。
あの時の一撃でフィールド自体は甚大な被害を被ったはずだが、いつの間にか修復されていたらしい。
「ここで決める。ミスは許されない」
「勿論さ」
「分かってるよ」
和真(未来)の言葉に2人も頷く。
『エボリューションキング』
「百式戦術」
『辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!』
和真=ブレイドはジャックフォームから重厚な鎧に身を包んだキングフォームへチェンジ、その手にキングフォーム専用の金色の大剣・重醒剣キングラウザーが現れる。
真二=ブレイブもレベル50ファンタジーゲーマーからレベル100のレガシーゲーマーへ。純白のマントに白のアーマーと、聖騎士を思わせる容姿である。
和真(未来)は仮面ライダーに変身しないが、代わりにこのメタフィールドにおいて、記憶から武器を創造する。
マスケット銃をやたらとデカくしたような砲や、剣、槍、ハンマーといった武器が空中に展開されていく。
さながらミサイルといった様相を呈したそれらの狙いはすべて、スペクターに定められている。
一方でスペクターの方も、自身が創り出した分身体全てがそれぞれ異なる姿に変化。
鎧武者の者もいれば、紫の蛇の者もいる。
全てがスペクターであり、彼自身と同様の戦闘能力を有する。
しかし動きが同じということはないため、全てを潰さねばオリジナルを見つけ出すことはできないと言って良い。
1にして全とはよく言ったものである。
***
雪は止んでいる。辺り一面には雪は降り積もり、元の地面は見えない。
遠くから雷が響き、一陣の風が彼らの間を吹き抜けていく。
純白の雪を踏みしめ、彼らは対峙する。
切り札をその手に。
剣に拳に。
男達はそれぞれの思いと共に。
戦いに終止符を打つ。
いや、打たねばならないのだ。
僅かに息を吸い、吐き出し。
そして彼らは地を蹴った。
***
「…ようやく終わり、ってとこか」
和真は空を見上げ、呟いた。
スペクターと戦いを繰り広げたオラーシャの白い大地は今や影も形もなく、今彼が立つのは、ドーヴァー海峡に面するパ・ド・カレーの地。
薄暗い地下から出た和真達3人に、柔らかな陽が差し込む。
「まぁ、ひと段落したわけだからね。ようやく家に帰れるよ」
「長かったような、短かったような。そういや、スペクターはどうするつもりなんだ?」
メタフィールドで辛くも撃破に成功、和真(未来)のラウズカードを応用した特殊なシステムによって、スペクターはカードに封印された。
最も封印というよりかは、護送の為の一時的な処置なのだろうが。
懐からカードを取り出して和真(未来)は答える。
「コイツは本部まで連れて行く。色々あったとはいえ…正直、今回は俺の独断で動いたようなところもあるからな…」
「特殊能力封じるような首枷でもくっつけて、牢獄に放り込んでおけば良いだろ。そうすりゃ直ぐには逃げられん」
「そうできれば苦労はしないさ。ジョシュ・ブローリンそっくりの人が来た時はどうすりゃいいか知らんが」
「ンなデッドプール2みたいな事起こらんでしょ…」
そう言い合いながら、3人は歩き出す。
あくまで彼らの目的はスペクターを倒す事であって、工場そのものを破壊することではない。
結果としてそうなったとしても、だ。
しかし仮面ライダーのニセモノが量産され、世に放たれるとなると、話は変わってくる。
流石に看過することはできない。故に復旧が不可能なくらいに、システムを破壊してきた。
最もスペクターを捕らえたことで一件落着ともいえるわけだが、バーコードハゲもとい、トレヴァー・マロニーは生きている。
「例の将軍はどうする?」
「消しておくのがベターではあるが…記憶を弄るだけで良いだろう。彼はこの時代、この世界の人間だ。下手に外部から干渉をして、歴史を狂わせてしまうのも良くない」
「確かに、それもそうだね。誰がやる?」
「俺がやっておく。ヤツを捕まえ損ねたのは、俺だからな」
仕方ない事さ、と和真(未来)は息を吐く。
しかしすぐに表情を変え、カードをしまうと、和真と真二の2人に問いかけた。
「これから帰るんだろう?」
「まぁ…そりゃあね。ここでやる事は終わっただろうし」
「しっかしあんな出発の仕方したから、どう言い訳するかな」
「あんな?」
「元を辿りゃ、真二がライダーの力奪われたとかで俺んとこまで来たのが発端だったろ。確か」
「そうだったね」
「実際向こうで何年経ってるかも分からねぇ。浦島太郎になるのは御免被りたいところだが」
そう言いながら、和真と真二は互いにバイクを展開。
どうやらシステムは問題なく動くようなので、目的地の座標を固定し、エンジンをかける。
バイクに跨り、準備を整えた和真と真二に、和真(未来)が声をかけた。
「電車は必ず次の駅へ ー
ではヒーローは?君たちは?」
「え?」
「ある映画で出てきたセリフさ。
始めた旅も、いずれ終わりが来る。生きている限り俺たちは、同じ舞台に立ち続ける事はできない。
八坂和真、八坂真二。
仮面ライダーとして、1人の人間として。君たちはどこに新しい道を見つけるんだ?」
和真は僅かに逡巡したような表情を見せたが、直ぐに口を開いた。
「それは、俺には分からない。ただ旅を始めたあの時の俺と、今の俺はもう違う。外見も、肉体も、それに考え方さえもね。
少なくとも俺にできるのは、どのような道であれ、自分なりに進む事だけだろうな。
その先に待つのが、例えどんなものだったとしても」
続いて真二も答える。
「こっちがどうなるかは父さんに掛かってる、といえばそうだけど。恐らくもう、過去に戻る必要はないと思う。だから俺は未来に帰って、色々とやるべき事をやるよ。父さんはせめて、母さんと結ばれてくれ」
「息子にこう言われるとはね。ハハッ」
和真(未来)も僅かに笑みを浮かべる。
「そうか…そう、だな。始まりは終わり、終わりは始まり。
かつての自分は死んでも、新たな自分が生まれる。
再生産ってところか。
フッ…まぁ次に会った時は、一杯やろうか」
「ああ、そうだな。じゃあ、またいつか。会う機会があれば」
バイクにエンジンがかけられ、発進する。
和真と真二の姿は、眩い光の中へ消えていった。
彼らにもまた、還るべき場所があるのだ。
とはいえ残された彼にも、仕事は残っている。
一連の騒動の後始末を終わらせねばならないのだ。
「さて、将軍のところにお邪魔するとしますかね」
パ・ド・カレーに居てくれれば幸いだが、トレヴァー・マロニーはブリタニアの軍人である。
とんぼ返りをしている可能性もあるので、そこは少々骨が折れるかもしれない。
軽く息を吐くと、彼は歩き出した。
だいぶ久しぶりと言いたいところだけど。
色々とありまして、投稿までにそれなりに期間空いたよねぇ…
今年度で私めもようやく大学を卒業するんで、卒論その他諸々に時間を割いていたので、あまり書けてないのが実際のところ。
まァ、まだ卒論書き終わってないんだけど。
今年の12月に提出らしいからさぁ…結構早めな気がする。
という辛気臭い話はともかく。
ちょっと今後の話をね。
そういや今回で何話目かな、この物語。
(確認中)
前回までで98らしくて、今回で99だね。
100で区切り良くなるけども、そこ拘って何かお祭りやるかっていうと、やらないかもしれん。
まだ大丈夫なんだけど、半年ほど先の話。
正直なところ、2022年の3月に大学卒業してから、小説の投稿自体できるかどうか、分からない。
できない事もないと思うけど、今のところ不明。
ウルトラマンや遊戯王、レヴュースタァライトなどで何か書ければ良いよねっていう考えは残ってるから、気が向けば、残り半年近くで何か書くかもしれない。
ただ3月以降、投稿できなくなる可能性は十分にあると、覚えておいて欲しい。
半年以上前に言うことか知らんが。
書く時は書くし、書けない時は書けないから、そもそもの話、不定期投稿ではあるのか。
一応2022年3月以降、生きて戻ってくることができたなら、その時はまた書こう。
ひとまず、これから半年とちょっとの間も、よろしくお願いします。
少々面白くない後書きになってしまったかもしれないけど
じゃ、またね