真剣で九鬼家長男に恋しなさい!   作:愛すべからざる光

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第十話 帰宅

従者とイチャイチャしている間に放課後になり、兄妹や知り合いの面々と帰る約束をしていたので帰る準備をしていると小島梅子が保健室に訪れた。

 

就任初日と海外から川神市まで来た疲れがあるだろうということで、今日は早めに切り上げて良いということを伝えに来たようだ。

 

そして明日の予定や今後の自分の立場を教えにきてくれて、ちゃっかり連絡先の交換と梅子が住んでいる住所も教えて立ち去っていた。

 

「彼女、明らかに皇様に好意を抱いていますね」

 

「はい、彼女のあの瞳は明らかに皇様のことを男性として見ていました(あの目は欧州の時によく見た瞳です。でもあの人からは欲や名声などで寄ってきた気配はしなかった……だが、まだ油断はできない)」

 

シオンと林沖は梅子の態度、雰囲気から皇に好意があることを悟り、彼女らの注意人物の一人に認定されてしまっていた。特に林沖は警戒心が強いため敵視していると言ってもいいだろう。

 

「明日は早くに出勤なさいますか?」

 

ナルバレックが皇に話しかけてくる。

 

「そうですね、苦労をかけます」

 

いえ、と返事をして少しだけ笑みを浮かべたが、すぐに何時ものクールな彼女に戻る。

 

「ナルさん、今日の仕事はもうないですよね?」

 

「はい、すべて完了しております」

 

「そうですか、これで心置きなく家族と触れ合えます」

 

ニコニコしながら待つ皇、その傍らに控えるナルバレック。

 

「(今日は仕事を終わらせるのが遅かったですが、普通では終わらない量ですよね)」

 

「(はい、その通りです。従者の面々も優秀だと分かっていますが、皇様自身も非常に優秀ですから)」

 

皇とナルバレックの背後に控えながら小声で話をしている林沖とシオン。

 

欧州に居た時もだが、従者の人達、主である皇も一般人では何日も掛かる作業をすぐに終わらせてしまうほど優秀であり、その環境に慣れてしまい、作業をこなせる様になってしまった自分達に改めて驚いてしまっていた二人である。

 

そんな微笑みながら会話をしている皇とナルバレック、驚きながら自覚なしに実力が付いていたことに驚いている林沖とシオンを他所に保健室の扉が勢いよく開け放たれた。

 

「皇兄上ぇー」

 

扉から皇に目掛けて飛んできた子は、皇の妹である紋白であった。

 

「紋、元気そうで何よりです」

 

飛びついてきた紋を優しく受け止め、頭を撫でながら抱きしめる皇であり、久しぶりに再会した妹を可愛がる。

 

「はい、皇兄上も元気そうで我は嬉しい限りです」

 

皇の胸元に顔を埋めて甘える紋白を可愛がりながら紋白の背後にいた従者に喋りかけた。

 

「紋の護衛ありがとうございます、ヒュームさん、クラウディオさん、ステイシーさん、李さん」

 

紋白の背後にいたのは九鬼家従者の老いては益々壮んな二人とメイド服を着た女性二人だった。

 

 

最初の二人は、先ほど皇と会っていたヒューム・ヘルシングとクラウディオ・ネエロであった。

 

次の一人は、金髪のツインテールの女性で“ステイシー・コナー”という

 

もう一人は黒髪のアジア系の女性“(リー・) 静初(ジンチュー)”という

 

二人共、メイドとしての技量も強さも九鬼従者内でも上位の実力者である。だが、二人の真骨頂はコンビを組んだ時に発揮され、コンビプレイでは戦闘力が約四倍に上昇する。

 

ステイシーが序列十五位、李が序列十六位。

 

 

「当たり前のことをしたまでです」

 

「ヒュームと同じく、主を守るは執事の仕事です」

 

ヒュームもクラウディオの実力は皇もしっかり理解している上に信頼もしているので、彼らに護衛をして貰っている紋白はある意味無敵である。

 

「当然のことをしているまでです、皇様。(相変わらず、凄い人って感じがピンピン伝わってくるわ。)」

 

「ステイシーの言う通りです。メイドとして当然です(視界に入れると目が離せなくなる人だ。凄いカリスマに覇気ですね)」

 

一礼して皇に挨拶する二人。彼への賞賛と思っている気持ちを言葉には出さず内心で。

 

「そう固くならず普通に喋って貰っていいですよ、二人共」

 

「いえ、主の前ですので」

 

「メイドの嗜みです」

 

「(二人共、ヒュームさんとクラウディオさんがいるから敬語なんだろうな)」

 

皇が二人に楽になるように言うが、丁寧に返された。

 

普段の二人の態度を知っているため皇は、内心で彼女らの言葉使いと態度に違和感を覚えて仕方なかった。

 

 

その後は、紋白、ステイシー、李との会話を楽しみたかったが、保健室の扉から人の気配を感じたので其方の方に声を出して呼びかける皇。

 

皇の従者達はちゃんと気付いていたが皇の雰囲気から動かず静止していた。

 

「そこにいる人、入っておいで」

 

呼びかけた直後、扉の傍で物音がして焦っている雰囲気が廊下側から伺える。

 

李やステイシーが動きかけたが、その前に保健室の扉が開く。

 

「………」

 

扉から入ってきた人物は静かに入ってきて皇のことを見ていた。

 

皇も入ってきた人物を懐かしそうに見て、彼女に近付き、彼女の頬を優しく撫でた。

 

「お久しぶりです。成長しましたね、由紀江」

 

「はい、皇さんも髪の毛が伸びましたね」

 

 

彼女は“(まゆずみ) 由紀江(ゆきえ)”という。

 

北陸加賀出身の武家の流れを汲む旧家の娘であり、国から許可された愛用の日本刀を常に帯刀している。

 

容姿は文句なしに美人と言い切れるモノであり、炊事掃除洗濯とどこに嫁に出しても恥ずかしくないと言える程に家事万能、さらに礼儀正しく謙虚な性格と、言葉にすれば有り得ないほどの高スペックを持っている彼女だが、唯一欠けているのが他人とのコミュニケーション能力である。

 

幾分かは皇と接する内にそれなりにコミニュケーション能力は付いているが、やはり初対面の人には言葉が詰まってしまい、表情も相手を睨んでいるように見えてしまう為に苦労している。

 

日本刀を持つからには刀を使うが、彼女の剣の腕も既に“壁”を超えている実力であり、皇の従者部隊の織斑千冬から絶賛されている程であり、彼女は織斑千冬と何度も手合わせをしているが一度も勝てた事がない為、由紀江の目標であり勝ちたい人物に織斑千冬はなっている。

 

「友達は出来ましたか?」

 

頬を撫でていた手を頭に持っていき、ぽんぽんと優しく彼女を撫でる。

 

「あ、クラスの女子とはそれなりに話せていますが、連絡先を交換できたのは一人だけです」

 

頭を撫でられて、あわわしながら答えた由紀江に対して皇は彼女に言葉をかけた。

 

「うん、由紀江にしては上出来だけど、もっと頑張ろうね」

 

「はい、頑張ります」

 

うんうん、と頷きながら笑顔を浮かべてくれている由紀江に笑顔で返した。

 

再会を喜びながら彼女らとの会話を楽しんでいた。

 

皇は妹の紋白、由紀江の話を聞きながら会話を楽しみ。

 

李やステイシーは林沖とシオンの惚け話を聞く事になり、非常に苛立っていたが、同時に川神学園にいるなら自分達にもチャンスが来るのでは、という逆の発想を二人揃って思っていた。

 

「では、帰りましょうか」

 

帰りの準備も出来たので、この場にいる全員で帰ることにした。大人数ではあるが由紀江以外全員が極東本部なのでしょうがない。

 

義経達の気配もこちらに向かっているのが分かったので合流して、一緒に帰ることにするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

義経達と合流して「一緒に帰る?」と声を掛けるとすぐに返事してくれて、帰る約束も元々していたが、改めて言葉で言ったことで義経は嬉しそうに歩いていく。

 

義経達三人と先程はいなかった人物がいる。その人物は葉桜清楚であった。

 

皇の事を視野に入れた瞬間に彼女は学園内であることを忘れて、走り出し、皇に勢いよく抱きついたのだ。

 

周りにいた生徒は、絵に描いたような文学少女のイメージが定着しつつある清楚のイメージが壊れかけたが走り去った彼女の後姿は"可憐であった"と走っていた姿を見た学生は言う。

 

皇との再会を喜んで満面の笑顔を見せてくれる清楚に皇も「ただいま」と答え、抱きついた清楚に笑顔を向けた。

 

清楚に向けた笑顔だったが周りにも影響が出ていたようだ。

 

義経、由紀江は皇から視線を逸らして、耳まで真っ赤になっており、恥ずかしそうにしている。

 

弁慶、ステイシー、李、紋白は頬が薄く赤色に染まっており、被害を受けていた。

 

至近距離で見た清楚が一番被害が酷いと思われたが頬を染めただけで、怯むことなく、皇の左側に立ちながら並んで歩くのであった。

 

清楚との再会に喜びつつ、紋白、清楚の話を聞きながら歩き続け、正門から出ようとすると正門付近で待っていた人物が複数人いるのである。

 

 

学園内に入った時に会った“川神百代”

 

中性的な顔立ちの少年“直江大和”

 

長身で筋肉が目立つ“島津岳人”

 

女装したら似合いそうな少年“師岡卓也”

 

百代の義妹であり、犬のような仕草が目立つ少女“川神一子”

 

弓を背負った少女であり、過去に皇に救われた少女“椎名京”

 

ドイツで知り合い仲良くなった少女“クリスティアーネ・フリードリヒ”

 

彼ら風間ファミリーの面々が待っていたのだ。

 

 

 

初対面であった大和と卓也と岳人は緊張した面持ちで挨拶していたが皇が、気軽にしていい、と言ってくれたおかげで幾分かは楽になっていた。直江大和という名を聞いた皇は、すぐに大和に両親のことを聞き、仕事関係で何回も話した事があることを話しながら大和と会話をした。

 

卓也とも話をしたが皇が持っていた最新の携帯や電子機器のことに関しての会話であった。

 

岳人とは話す前に何故だか、シオンによって気絶させられていた。シオンに理由を聞いてみると、こちらを見る目がイヤらしかったので沈めました、と答え、林沖がそれに頷きながら賛同していた。百代曰く、岳人は放置でいいという答えが返ってきたのでそっとしておくことにした。

 

本当なら風間翔一という人物がいるのだが、バイトがあるということで先に帰ってしまっていた。彼は風間ファミリーのリーダーであるようで会ったら話してみるか、という興味だけ湧いていた皇。

 

 

女性陣では、一子以外とは会った事があり、京が抱きついたのをきっかけに百代やクリスも皇に近づいて京を引き離そうとし、一子はアワアワしながらその光景を見ていた。

 

そのまま大人数で帰ることになり、車を用意していてくれた皇の従者と紋白の従者達に歩いて帰ると伝え、そのまま全員と話をしながら帰っていくことになる。紋白の護衛にステイシーと李が付いており、ヒュームやクラウディオは皇の命令で先に帰し、母親である、九鬼 (つぼね)に無事帰ってきたことを伝えておいて、と命令を下したが、護衛が少ないことにヒュームやクラウディオが反対したものの、皇の傍に控えるナルバレックを見て黙り、皇の命令にしたがった。

 

 

歩きながら初対面の人達や久しぶりにあった面々との会話を楽しみながら、友好を深め、今という時間を楽しんだ。

 

明日から教師として授業に出るが、気軽に話してくれ、という皇に対して大和、卓也、一子は、凄く良い人という印象を持ち、大和は内心で、この人は本当に九鬼の人なのかという疑問が湧いた。S組にいる九鬼英雄や皇の隣にいる九鬼紋白のことを見て、大和は違和感を感じていた。両親が言っていた通り、ただの人ではないな、と感じていた。

 

京は、皇が日本に仕事でちょくちょく寄っている時も遠出して会いに来たり、皇のことになると歯止めが利かなくなるほど、京は皇にベタ惚れである。

 

クリスも皇のことを“兄君”と呼び、慕っている。クリスはマルギッテ、父親のフランク・フリードリヒ経由で交流があり、日本の知識や歴史を教えたりしている内にクリスとの関係を築いていった。父のフランクに許嫁としての提案をされてから、兄と慕っていた皇のことを一人の男性として意識し始め、現在進行形で彼のことが好きという状況になっている。

 

京もクリスも久しぶりに会った皇に対して胸の奥からこみ上げてくる嬉しさ、感動という気持ちが一杯で、周りも気にせず話をするのであった。

 

だが、皇の後ろにいた義経達の視線や殺気とは違う気配を感じて、そちらに意識を向けてしまう。

 

その後、左側に清楚、右側に紋白と一緒に歩きながら話をしていきながら歩き、他の女性陣はというと皇から少し距離を取りながら集まって会話をしていた。何でも皇には聞かれたくない話であったようだ。

 

百代、京、クリス、由紀江、小雪、マルギッテ、義経、弁慶、ステイシー、李、シオン、林沖などが集まり話をしていた。こそこそと話ながら時々赤面したり、携帯を弄りながら話したりと交流を深めていて、その光景を見た皇はイイ事だと笑みを浮かべていた。

 

だが、皇の傍に控えていたナルバレックは、その光景に対して鼻で笑っていた。





更新が遅れて申し訳ありません。


やっと主要キャラが出てこれました。
主要キャラの描写が少なく、違和感を感じてしまいましたが、とりあえず書き上げました。


次の話は、帰宅後なので従者が多く出てくる予定です。


あと、小説の書き方が自分は下手なので、何か参考になるサイトがあるなら教えてください。
よろしくお願いします。
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